七草の日に思いを馳せる町(その2)

                     
(前回より続く)

    
愛媛県西条市は、名水も全国的に有名だが、僕がこの地を三度も通って、未だに強い思いを残しているのが、「西条産業支援センター」(通称サイクス)に集う元気な面々である。

  
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個性豊かな会員企業の経営者・担当者、そして使命感強いサイクス事務局の皆さん。
    

一人ひとりの顔がすぐに思い浮かぶほど名優(!?)ぞろい。

   

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毎週開催される「うちぬきサロン」は、さながら梁山泊に集まる水滸伝の英雄たちの百家争鳴状態である。

   
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もっと近くに住んでいたら、ぜひ仲間に入れてもらいたいと熱望するほど羨ましいグループだ。

   
        
    

豊富で清浄な水を有していることから、半導体や食品工業など大手の製造業が集積しており、西条市の工業出荷額は高知県全体を上回るという。

    

合併により農業地区も加わり、農商工連携が唱えられるずっと前から、工業技術と農産物栽培や加工を行う面白いプロジェクトが次々と展開されている。

   
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また3年ほど前から、地域や四国産の農産物や加工品をタイや香港などに向けて輸出も始めているのだ。

         

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自分たちのもつ地域資源や技術をしっかりと把握している

       

          
決して人真似でも、押し付けでもない「熱い志を持ったプレイヤーのいる」元気集団のこれからの活躍に期待したい。

   
   
熱々の七草粥をすすりながら、西条の名優(盟友?)たちに思いを馳せたのだった。
             

私的回顧2009(その3)地域の元気

            
今年も地域資源活用プログラム、農商工連携のサポーターとして、
北海道から東北、関東、北陸、関西、中四国、九州、沖縄と各地の元気な皆さんと一緒に考え、行動してきましたね。

   
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2月 東京ビックサイトで
  
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今年も一年、開発=販売の連続だったですね!

   
  

飛んだ、走った、歩いた、語り合った、 そして 食べた…。

   

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                       柚子の里の夏
   

  
  
一歩前に踏み出さなければ何も始まらない

    

元気人たちの共通する発想。
   

 
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伝統を受け継ぎ、そして新たにチャレンジする・・・。
そんな物作りの現場の喜びの笑顔こそが報われるニッポンになれ  

  
    

自分たち自身が変わらなければ、もう何も生まれない!
   
人任せの時代は終わった

      

   
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挑戦・努力する人には耳目が集まる      佐賀県

   
  

自分たちで集まり、考え、知恵を絞り、そして即行動する。
 

トライ&エラーの繰り返し。

   

異業種、よそ者、変人との交流も面白いぞ。

   

   
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ユニークな人材が集まり、談論風発                  愛媛県

           

   

絶対に変えてはいけない原理原則と、
大胆に変えていかなければ市場の要請に対応できないこと。

この区分けが難しいんだよね。
    

結構多くの人が真逆の発想をしているようで少々残念。
    
  

   
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少し前までは当たり前の風景が、今では大きな価値を生む
      

  

はじめは嫌われ者に徹してでも、時間をかけて説き続け、
行動を共にして結果を求めていきたい。

   

まだまだ道半ば・・・。

                                (次回に続く)

  

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福島県猪苗代湖付近

    

この回顧は、あくまで私見に基づくもので、いかなる分析、事象と関係ありません。
                        

Bの時代(その2)

           
(前回より続く)
       

今回のB-1グランプリの会場となった久留米市は、

人口約30万人の中核都市。

   
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西鉄久留米駅前

     

東芝発祥の地やブリジストン、旧月星化成などの本社があることでも有名。

     

      
あの九州とんこつラーメン発祥の地としても知られており、人口当たりの焼き鳥屋の軒数が日本一だとか。

     

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B-1グランプリ会場でも九州とんこつ発祥の屋台が参戦

    

    

だから最近はラーメンや焼き鳥などB級グルメでの町おこしなどでも頑張っている。

       

             
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地元の熱い応援を受けて一際目立っていた“久留米やきとり”
      

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正味肉だけでなく、いろんな部位を焼くのが久留米の特長だとか

       

全国グランプリ会場としても、とてもふさわしい街だ。

       
    
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この街に2日間で10万人を越える来場者が集まったというからすごい事だったんだ。
      

      
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結局、神奈川県厚木市の“厚木シロコロ・ホルモン”が、栄えあるグランプリに輝いたそうだ。

        
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おめでとうございます!

       
         

ころで、あまりに研究熱心だった僕たちは、結局何も口にすることが出来ず、地元に詳しいメンバーの社長さんに、久留米の超B級メニューの店に連れて行ってもらった。
         
      

その名も「中華うどん」。

        

       
エエッ!? 

     
     
中華ラーメンや中華そばは聞いたことあるけど、中華うどんなんて聞いた事ない。

        
     
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第一、可笑しすぎるじゃあないか。胡散臭すぎる。

   

        
   
ところが、どんぶりに入れられた中華うどんサマを一口すすったら、

     

アアッ!! と妙に納得してしまった。

     

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                 百聞は一食にしかず

      

多くは語るまい。  ぜひ体験してみてください。

     

きっと、ほのぼのした気分に浸れます。

       

     

これこそB級グルメ、地元名物の醍醐味。

      

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実はここ久留米・筑後地区は、日本酒や醤油の蔵元の数が
全国でもトップクラスであることはあまり広く知られていない・・・。

     

     

B級バンザイ!! 

                         

                          (シリーズ終わり)

         

“B”の時代(その1)

                         
士宮やきそば、八戸せんべい汁、姫路おでん、高砂にくてん・・・。

       

いま全国的に注目されているこれらのメニューを、皆さんはご存知だろうか?

     

    
先ごろ福岡県久留米市で「第3回B-1グランプリ」全国大会が開催された。

   
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Bとは、B級グルメのことで、地方に根付いた安くて結構旨い庶民派の食べ物のことを指している。

   
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言い換えれば、ローカル・ソウルフードとでも呼べるものだろうか。

     
     

この日、農商工連携の九州地区第一号案件に見事認定された
元山(がんざん)という会社の皆さんと一緒にこのB-1グランプリの会場を訪ね、情報収集したり現場研修をしようと集まったのだ。

   

私も独立行政法人中小企業基盤整備機構農商工連携プロジェクトの担当マネージャーとして、元山社の商品開発、販路開拓のお手伝いをしている。

       
    
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参加客の投票によってその年のグランプリが決まる

     

    

開幕の日の午前中というのに、市内に展開している3つの会場はすでに大勢の人手でごった返していて、チャンピオンの富士宮やきそばと浜松餃子はすでに完売してしまったというハイペース。
    

   
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初日の朝なのにもう完売!? 

    
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僕は、とにかくメモ帳とデジカメを持って、各屋台ブースを見学しまくる。

      
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富士宮やきそばの地元経済波及効果はなんと217億円だ

   
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  さすが2年連続王者の風格

      
       
やきそば、おでん、ホルモン、カレー、餃子など、全国の有名庶民派グルメが一堂に会して、その腕を競うとあれば、皆一度はぜひ食べてみたいと思うだろう。

    
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う~んッ。一度口いっぱいに頬張ってみたい

     
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親子連れ、カップル、にわかグルメ専門家などが多数集まり、街中が熱気に包まれた。

     
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僕ら「研修班」の今回のテーマは、味見や商品開発はあえて無視して、各ご当地グルメがどのようなストーリーで、どんな元気人たちが地域活性化のためにアクションを起こしているかについてのただその一点に絞って観察をした。

       
   
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すべての店の前で立ち止まってそのストーリーを“学ぶ”

     

北は北海道・富良野から、南はご当地九州・久留米まで、実に様々な土地からやる気満々の仕掛け人たちが集っているのだ。

        
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額に流れる汗も拭かずに一所懸命ソバを焼いたり、揚げ物のフライヤーと格闘しているご主人に、迷惑も顧みずにその土地の素晴らしさについて訊ねまくる。

    
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熱心に観察するIさん   

    

     
埼玉県行田市から来たゼリーフライのご主人もそのひとり。

    

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ゼリーフライ???

     

あのふにゃふにゃした甘いスイーツを油で揚げるの?

      

いえいえ、おからに野菜や馬鈴薯を混ぜた衣の薄いコロッケのようなもので、小判(銭)の形をしたフライがゼリーフライと訛ったらしい。

        

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行田では、かつて足袋の生産が盛んだった頃の手軽なスナックだったことや埼玉県の語源となった埼玉(さきたま)の遺跡の話など、とても面白い街のストーリーを伺い、俄然興味を持った。

       

そもそも僕はこれまで行田市がどこにあるのかも知らなかった。

     

あの最高気温40℃で有名な熊谷市の手前だと教わった。

       

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このように、ゼリーフライのおかげで、九州の人々に行田市の歴史や風俗などを、B級メニューを通じて認識することが出来るのだ。

    

このご主人は、言ってみれば素晴らしい民間外交官なのだ。

     
    

ニッポンを売ってますねえ~ッ!!

        

       

ほかにも横手市や太田市、各務原市、黒石市など、比較的なじみの薄い街のことを知るチャンスとなるのだ。

      
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各務原ってなんと読んで、何処にあるのか知ったよ。
    
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うわぁぁぁ~ッ。温まりそう!

       

公共投資や行政府にばかり頼るのではなく、地元の有志がムーブメントを起こし、自分たちの力で街の情報を発信していく。

    

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おぉぉ~ッ。オバマ(福井県小浜)Tシャツ見参!!  

         
    

地方の閉塞感が強い昨今、これからの時代にふさわしい取組みのモデルがあちこちに生まれている証拠である。

      
          

       
人に頼るな、自分で動けッ!
      

慣れたフィールドを飛び出して、
外に向かってッ!!

    

      

それが地元に人を呼び込み、地域を守ることにつながるのだ。

外向きの行動が変化を呼び起こす良い例だと思う。

     

    

        
自分が動けば支援者が集まる。ひと昔なら当たり前だったことが、ようやくわが国でも王道となりだした。

        
    
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ハイテクでも、ナショナルブランドでも、高級こだわりグッズでも、
舶来品でもなく、あくまで地方のB級の時代なのだ。

     

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会場は熱気に包まれた

    
     

これからの時代を生き抜く新たなヒントが見えてきたような気がするゾ。

    
    
自分で考え、行動する。

      
     

その上で、行政や外世界の知恵や資源を有効活用することも忘れずにッ。

        

      
チャレンジ精神とやる気のある人たちにとっては、とてもエキサイティングな時代が到来したのだ。

      
   
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ふるさとマイラブ だねッ

    
          

ため息ついて下ばかり向いて人頼みばかりしてないで、前を向いて自分の足で一歩を踏み出そう!
                              (次回に続く)

       

      

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在りと無し(その2)

                
(前回から続く)
    

縁結びというといつも思い出す場所がある。

   

僕は「ニッポンを売る!」ミッションのために台湾に行くと、
必ず立ち寄る定点観測のポイントがいくつかある。

    

そのひとつに、乾物問屋街がある。

   
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“批發”とは卸売りのこと 

     

ここは、高級食材・業務用食材のほか、漢方薬草や健康食品までそろえている店もある。

   
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いつも興味を持った店に入り込み、話を訊くのが僕の習い性。

      

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   北海道はここでもブランド

   
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これが本物の日本産ならチャンスかも・・・

    
    

と、今回の話題はだから、市場の話はまたいずれにしよう。

    

この卸売街の一角に、小さな道教のお寺がある。

    

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台湾全土にはこのようなお寺が散在しているから、一見何ということはないのだが、いつここを訪れても、若い人たちで一杯なのだ。特に若い女性が大勢お参りに来ている。

    
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そう、日本で言えば、先回紹介した出雲大社や京都の地主神社のように、結構有名な縁結びの神様なのだ。

       
    
     

もっともメインは、城隍爺という街を災害などから守る神さまで多くの人たちに信仰されている。

    
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城隍爺   
          

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でも、おそらくこの賑わいは、もうひとりの月下老という神さまに願い事をするためなんだろう。

      
 
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月下老人は、以前日本でも結婚式のスピーチなどで、新郎新婦の仲を取り持った仲人さんのことを月下氷人などと呼んで文才をチラ見させている人がいたくらい、結構有名な中国の話に登場する。

   

皆さんは知ってましたか?

      
   

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結ばれる男女は、生まれた時から赤い糸(紅絲線)でお互いの足首が繋がれている伝説  と言えば、多くの人が知っているのでは?
   

(日本では小指で結ばれているということになっているようだが、物語ではそうなっていない。足首ではロマンチックじゃないからかな)
    

    

この縁結びを司る神様が月下老で、手には誰と誰とが結婚すると
冥界で決められた婚姻簿とその二人を結びつける赤い糸を持ってらっしゃるのだ。

      

         
「続幽怪録」という唐代の伝奇集からの出典らしい。

      
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とても短く、ほのぼのしてロマンチックなストーリーだから、下記のサイトなどをのぞいて読んでみては如何?
    
http://www.katch.ne.jp/~kojigai/gekkarou.htm

     

      
話は戻って、まあ沢山の善男善女が真剣な面持ちで参拝している。

  
      
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まだ見ぬ相手を探すのか、憧れている人との成就なのかは定かでないが、未婚の人にとって最大の関心事のはず。
     

      
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日本人の参拝も多いのだろう。このような説明書きも。
親切にも、好きな人がいない場合のノウハウについてまで…

      
     

一体、赤い糸は誰とつながっているんだろう?

    
夢見る乙女たちは、足首を撫でながら思いを馳せているのかな。

         
        

お守りには赤い糸と鉛製のコインを入れるのがお決まりらしい。

    
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なぜ鉛なのかというと、鉛という字の読みがチエンで、と同じ発音でという意味があるからだ。

      

考えてみると、鉛のもうひとつの読みでイエンとユエン(縁)でも韻を踏んでいるゾ。

   

いずれにしても、繋ぐ? つなぐ? 縁?

     

そうそう、僕の今年のメインテーマ、「連携」ではないかッ!!

     

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お寺の入口では“平安茶”という甘茶のような飲み物が無料で振舞われている。赤ナツメとクコ、そして祈祷された砂糖が材料だとか。

砂糖というのは、人を縁付け、またその甘さが人の心を暖かくする物だと書かれている。

       
    
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次回、台湾に行った時は、ぜひもう一度、月下老さまにお参りしよう。

    

     

「地方の元気つくりのため、農商工連携で多くの縁が結ばれますように・・・。」

     

僕も、これからの厳しい時代、もっと農・商・工業の現場に入って、赤い糸を結び廻る活動に汗を流さなければいけないな。

    

      
月下老さまに願いを込めて!

     

でも、まさか旧暦10月の神無月で出雲の全国会議に出張なさっている訳、・・・ありませんよね!?
                                 (シリーズ終わり)

       

地球最大の農商工連携(その2)

(前回から続く)

   
続いて、サトウキビ由来のバイオエタノールの製造プラントを視察した。

    
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需要の急増で設備更新もすすむ工場施設の詳細画像はアップしないのがマナー。

  
ゴメンナサイ。

   
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とにかく広大な丘陵地帯に突然現れた巨大秘密基地のような壮観な施設に終始圧倒され続けた。 

   

しばらくの間、そのあまりの巨大さにあっけに取られていた。
    

    
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サトウキビ原料をプラントに運び込む大型トレーラーもこの通り渋滞

     

    

この工場では、直接エタノールを生産するのではなく、まず食品用原糖を製造して、その後蒸留にかけて工業用と燃料用エタノールを精製するのだが、副産物として排出される搾りかすは、発電用燃料としてボイラーでたかれ、工場の自家発電はもちろんの事、系統にも売電されている。

    
また、上澄み液や廃液はそのまま有機肥料として再度畑に散布されるなど、徹底的に循環型リサイクルシステムの完結に取り組んでいる。
    

   
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搾りかすは発電用の燃料となる

   

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発酵上澄み液は、有機肥料として大地に還される。
とってもダイナミックな光景

   

    

生産されたエタノールは、国内はもとより、専用バースを通じて日本を含む世界中に輸出されている。

    
    

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これは地球最大の農商工連携だッ!!

    
    
思わず心の中で叫んでしまった。

   

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有限な化石燃料ではなく、再生産が可能な植物由来のエネルギーだ。
    

製造過程におけるCO2の発生も極力抑える努力をしている。

    

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    視察の時に支給された安全ヘルメットとゴーグル

     

     
よく報道で、ブラジルはアマゾンの原生林を伐採してエタノール用のサトウキビを植えまくっているとの批判めいたものがある。

   

「割り箸は森林資源を破壊するから一律にダメ」式のレベルの類だろうか。

          

       
  
もとより高温多湿に弱く、特に冬場の降雨に弱いサトウキビ栽培は熱帯雨林地帯には適さない。ブラジルではほとんどが、この南東部に栽培が集中しているそうだ。

      

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このような土地を好むサトウキビ

   
   

また耕作可能地で、未利用の土地が日本の8倍の面積もある

       

現に、この数年もブラジルは食糧用穀物の生産量は減少していないという(直接未確認)。

     

     
他国の事情は別として、ブラジルの現場の声にも冷静に耳を傾ける必要があろう。    

(ただし事実の根拠や見解にはいろいろあるのでここでは断定しない)

     

     

現在、ブラジル国内で販売される自動車用のガソリンにはすべて25%のエタノールを混入させることが法律で義務付けられているほどの徹底振りである。

   
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右の価格のガソリンにもエタノールが混合されているはず

    

またエタノールが0%から100%の任意の混合率でも走れるフレックス車も急速に普及しており、資源大国であり、同時に環境大国としても着実に歩みだしている。

    
   
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後ほど行く、イグアス国立自然保護区でも自然環境をそのまま手をつけずに守る徹底ぶりは目を見張るものがあり、
     
   
もしかしたら

    
10年後の環境共生社会をイメージしたければブラジルを見よ!

   
とも言えるのではないか。

                             (連載終わり)

      
     

地球最大の農商工連携(その1)

       
ラジルは世界でも有数の資源大国、農業大国だと言われる。

  
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            豊富な果物    リオデジャネイロの市場にて

    

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サンパウロ郊外のハウス群

       
     

昨年から顕著になった原油をはじめとする資源の高騰、異常気象や新興国市場の台頭、投機資金の流入などで、特に資源国のポテンシャルが際立って高くなった。ブラジルは、中東やロシアと並んでその筆頭だろう。

    
       

    
サンパウロから車で一時間半ほど郊外にあるブラジル最大のバイオエタノール製造工場を視察することが出来た。

   
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サンパウロ市街から郊外へ抜けるハイウエー

   
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1時間もすると見渡す限りサトウキビ畑に  壮観!!

   
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地平線までサトウキビ    ブラジルならではの光景だ

   

かつてはサトウキビを原料とする砂糖の製造メーカーだったが、世界的な需要の低迷、そして70年代のオイルショックを契機にサトウキビ由来のバイオエタノールを自動車用の燃料とする国家戦略が始まった。30年近くも前の話である。

   
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ブラジルのガソリンスタンド  Gはガソリン、Aはアルコール

     

その後、石油価格の落ち着きからこのプロジェクトは一時低迷したが、昨今の石油高騰、とりわけ資源の有限性、地球環境保護の大きなトレンドは一時のブームではない根本問題となった。

    

その情勢下でブラジルのバイオエタノール事業は世界中の注目を浴び、一気に世界の最先端に躍り出ることになったのである。

   
  
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付近の丘陵地帯一帯に延々と広がるサトウキビ畑。あまりに壮観で言葉が出ないほど。

    
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土耕や収穫機械の都合上、等高線に沿って植えられているのが面白い。

   
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続いて、人力と機械双方による収穫の様子も見せてくれた。

   
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炎天下での相当に辛い仕事だ

   
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人手で刈り取る時は、葉が危険で邪魔だから予め火を着けて焼き払っておく。(上図)
      
    
これがCO2を発生させる要因となるので近いうちに刈り取り機を完全導入して焼畑を禁止にするらしいが、そうすると一気に失業者が増えてしまうという新興国ならではの問題にも直面している。

   
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生活保護か、環境保護か?    ブラジルのジレンマ

   
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突然の轟音と共に、地響きを鳴らしながら巨大な刈り取り機が眼前に現れた。

    

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そのド迫力とスケールに驚いた。

   
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大量のサトウキビがみるみる刈り取られていくぞ

    
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まるで巨大ロボットだ

     
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カマキリのような巨大な刃に圧倒される

 
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超巨大トレーラーいっぱいのサトウキビが運び込まれてくる

    

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砂埃、赤土、轟音・・・    とっても男性的な光景だ

     
   

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いよいよブラジル最大のエタノール工場とご対面だ!

                             (次回に続く)

      

ダイナミック農水産業の拠点で

(先回より続く)
         
札幌市で「北海道農商工連携フォーラム」に参加させていただいた。

http://www.hkd.meti.go.jp/hokic/noushoukou_f/index.htm

    
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会場のホテル

      

会場は300名を大きく越える参加者が集まり、さすが北海道は農林水産業の一大拠点であることを再認識した。

     
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高橋北海道知事も駆けつけ、先頃行なわれた洞爺湖サミットを通じて世界中に北海道の素晴らしさを発信でき、これを契機に厳しい状況から大きな発展に換えていこうとエールを送った。

     
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はじめに農商工連携88選の道内関係者の授与式が行なわれた。

http://j-net21.smrj.go.jp/expand/noshoko/88/01.pdf
(農商工連携88選)

           
    

地場産小麦を使った高品質麺の開発やIT農業の実践、酪農用自動給餌システムなど7団体などだが、ユニークかつ日々の挑戦と努力が結集した生産者ばかりで、その謙虚な姿勢にもとても共感した。

    
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基調講演は慶応大学大学院(札幌)の林美香子教授による「農都共生のすすめ」。

       
    

しっかりしたフィールドワークによる説得力ある研究成果とキャスター出身の見事な話術に、つい引き込まれてしまった。
      

     
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後半は農商工連携支援施策の説明とパネルディスカッション

      

ディスカッションの中のやり取りの中で、北海道と九州を比較するような話題となり、

私が、

九州から観ると北海道の農水産品の層の厚さとバラエティーさ、作り込みの巧さに、国内のみならず海外でも引っ張りだこでうらやましい と水を向けたら

    

コーディネーターの林さんに

北海道のスケソウダラの卵が辛子明太子として付加価値を加え、全国で有名な特産品に変えた九州の商売上手には適わない と切り替えされたのには面食らった。
     

博多名物辛子明太子もなるほど、考えてみたら確かに原料は北海道産だ、と言われてみればその通りだが、正直これまで考えてみたことも無かった。

       
    

でも同じような事は、大産地の鹿児島や宮崎の緑茶が静岡ブランドになっていたり、九州産の南高梅が紀州ブランドになって価値を上げていたりしてもいる。
   

    
それに、九州に旅行に来る台湾の人たちが、福岡市の中心街にある札幌出自のレストランに大勢押しかけて、大好物のタラバガニの鍋料理を頬張りながら、
     
  

やっぱり本場の[E:cancer]カニは旨いッ!!

      

などと喜んでいるのを観ると、なかなか興味深いものである。

     

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パネルディスカッションの壇上で  皆さんユニークな発言で面白かった

右は㈱イソップアグリシステムの門脇社長、右2は㈱ナチュラルアートの鈴木社長
左奥はコーディネーターの林さん  

     

     

いずれにしても、北海道や東北と九州・中四国という北と南のエリアが頑張ってこそ、真に日本は動き出すのかもしれない。

      
   

北端と南端で連携して、ものすごい事は出来ないだろうか???

        

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北海道の空と大地は、本当に包み込まれるように雄大だ

     

     

いつもはのんびり構えている僕の脳みその一部がメラメラと動き始めてきたゾ。
                           

        

連携・融合の元祖

    
崎県食品産業協議会の研修会に参加させていただいた。
    

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会場のホテル

    

日本でも代表的な水産加工業をはじめ、様々な加工食品の製造・販売に従事される代表の皆さんと交流した。
    

    
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一杯の会場は熱気に包まれた
   

      

昨今の原油、素材、食糧等の高騰に対する危機感を共有したことはもちろんのこと、新商品の開発や新たな販路開拓について前向き・活発な情報交換も行われた。

   
   

長崎の人は静かな人が多いかと思っていたら、なんの、元気でアイデアマンが多いのでビックリした。

  
        

とんでもなく面白いアイデアが次から次へと出てきて、これからが楽しみ楽しみ。

   

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交流会での自社紹介コーナーは大盛り上がり

   
    

あんまり面白くてワクワクする企画ばかりなので、僕もここで自慢に披露したくて喉元まで出かかっているのだが、どれも各社・各業界にとってシークレットのはず。
   

ここはグッとこらえておこう。
    

どのアイデアも、実は突拍子も無いものなのではなくて、いろいろな異質な物や考え方の組み合わせが実に多い。

      

何故だろう?

     

      
  
アッ

    
   

    

チャンポン、卓袱料理、トルコライス・・・

   

     
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文字通りチャンポンは混合文化の象徴

     
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トルコライス: パスタ(欧州)と炒飯(アジア)を取り持つカツがトルコだとか?

    

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高級宴席料理の卓袱(しっぽく)料理も和華蘭(わからん)文化
僕はまだ食べたことが無い・・・
   

     

これってどれも融合・連携じゃないか!?

    

長崎の人は、何百年前もから異文化や異質なものを取り込んで新しいものを生み出すという連携をやってのけてきたのだ。
      

    

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君は「ハトシ」を知っているか?

長崎ではポピュラーな食べ物で、エビのすり身をパンに挟んで油で揚げた食べ物だ。
    

中国広東省広州で見かけた飲茶点心の「蝦多士」(広東語読みでハートーシー)なのだ。多士はトーストの音訳。
     

台湾でも、タイのバンコクでも同じような食べ物を食べたことがある。
     

まさにアジアとの融合。

    

      
来月から経済省と農水省による「農商工連携」施策が始まったら、一番得意なのは長崎県じゃないだろうか。

      

      
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現在長崎では県産品の愛用運動が展開中

     
     

いや~あッ こりゃ楽しみだ。
                                 (次回に続く)

     

      
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日本初の石造りアーチ橋と言われる眼鏡橋。 文化も技術も連携だ