海外で、仕事以前に大切な心がけを再確認する

今、巷間騒がれている話題の一つに
デング熱の全国的な流行がある。

 

   
11日の厚労省の発表によると
15の都道府県で計105人の感染者が
報告されているという。 (時事通信社)

 

 

このデング熱、僕らのようにもう30年も前から
頻繁に東南アジアに出張する者にとっては
基礎知識として誰でもが知っているべき熱帯感染症の一つである。

 

香港でもずっと以前から街中のいたるところで
デング熱や日本脳炎に注意するよう呼びかける
横断幕やポスターが貼られている。
      

                                                        
Sc_3221
都心の街市(マーケット)の壁面にも、このように大きな横断幕が。  -香港

 

  
登革熱がデング熱のことだ。日本脳炎もここでは患者が発生する。
共に蚊が媒体になって伝染するのだ。

 

  
日本では、インフルエンザのA香港型なんていうが、
香港の方では、日本脳炎が伝染病として恐れられている。
別に反日とは関係がない。

 

Dsc08622
シンガポールの街頭でもデング熱の注意喚起が  (今年2月)

                                              
                    

Dsc08623
蚊が発生する溜まり水をつくらないこと  罰金もあるとか

        

2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)
何度か発生した鳥インフルエンザの時は
香港や台湾、中国、ベトナムでは死者も出た。

 

僕はその時、決死の覚悟をして現地に行ったが、
未知の伝染病と命がけで闘う医師や看護師が
野戦病院と化した屋外で、
必死の形相をして治療にあたっていた光景は、
今でも脳裏に焼き付いている。

 

幸いデング熱は、きちんと知識を持っていれば
パニックに陥ることはない。

 

   
どんな症状があり、どんな経過をたどるのか?
特効薬やワクチンは?免疫はどうなるのかなど
情報を仕入れておくことは大切だ。

 

Dsc_8134
九龍公園で

 

蚊に刺されないようにすること。
                      

疲れ過ぎないようにして、免疫力や抵抗力、体力などが落ちないよう注意すること。

 

暴飲暴食や冷たく冷えたものを食べすぎないこと。

 

生水、生卵や
生煮えの貝類や甲殻類は口にしない。

 

   
睡眠をよくとること。

 

 

少なくとも仕事で渡航している以上、
体調管理には気を付けることを本能的に対応する力を持っていなくてはプロフェッショナルとは言えない。

 

 

            
2004年に中国衛生部(厚労省に相当する)大臣と面会した時も
当局の情報として、わかっているだけで約200近くの風土病が各地にあるという。

 

その中には狂犬病やコレラなども含まれる。
            

 

Dsc_9208
大都会ではネズミの媒介する伝染病も恐ろしい     香港にて

 

ほかにアジアでは広く性病や流行性肝炎なども本当に怖い。
   

専門の医師の話によると、
抗生物質が効かない新たな耐性菌が次々と出てきているそうなのだ。

 

              
これだけ日本人も頻繁に東南アジアや中国大陸に行き来する時代になったが、僕は毎回随行する際は、出発時にメンバーには、犯罪治安とともに自己責任で身を守ることを警告することにしている。

                                   
      

これは仕事以前の命にかかわる大事だからである。

 

        
表面上は日本と変わらない都会でも、見えない悪魔が潜んでいることを強く肝に銘じてもらいたい。 

 

             
日本人は商談だけでなく、多くのことであまりにも無防備な人が多すぎる。

中秋に想う

今日は旧暦8月15日で中秋である。

       

   
Dsc09268

           
         
9月8日とこんなに早い中秋ってあったっけ?と
不思議に思って調べたら、
なんと1976年以来の38年ぶりなんだそうである。
              
           
ちなみに今後、今年の記録を破る早い中秋は、
やはり38年後の2052年に、9月7日が中秋になるという。

    
    
こんなに早い中秋では、
台湾や香港で定番になりかけている日本産の大型梨の供給
困難を極めたのではないかと想像する。
    
  
Dsc_5296
香港ビクトリア公園での中秋イベント (2010年撮影)
    
    
ちなみに来年の中秋は、9月27日だそうである。
       
    
この中秋、文字通り旧暦で秋の真ん中の日を表し、

十五夜として日本、中国、韓国、ベトナムなどアジアの国では

月を愛でる習慣があるのは広く知られている。
 
Dsc_5490

        
 
     
我が国では地方によっては、
十五夜のことを芋名月と呼んで

ススキやお団子と共に、里芋を供える地方もある。
   
    
最近、あまり食べなくなった里芋だけに

冬至カボチャのように、この日のイベントアイテムとして

広く知れ渡るといいな。
 
  
Dsc09285

      
      
また、今日9月8日は、二十四節気の「白露」である。
      
    
暦の上では、草木に朝露が宿る頃とされ、

日一日と秋の気配が深まっていくと言われる。

           
         
秋なのに白というのは、
日本人の感覚から観たら少々違和感もあるけれど

中国の陰陽五行説では、白は秋の色とされている。

          
北原白秋の名もそうなのだろうか。

        
ちなみに春は青(緑)、夏は紅(赤)、冬は玄(黒)である。
 
 
旧暦は月齢に基づく暦なので、太陽の運行と無関係なため

季節の周期とズレが生じてしまう。

      
農作業などでは春夏秋冬の季節を正しく知る必要があるため、

中国の戦国時代に「二十四節気」が考案されたと言う。

今に生きる知恵である。
 
 
Dsc09255

        
     
本来なら五穀豊穣を祝うこの時も

30年ぶりだと言われる異常気象により

農産物の流通が広く混乱しており、

生産者も消費者も大変な被害を被っている。
  

           
             
今日の十五夜、そして明日のスーパームーンに

気象の安寧と収穫の加護を願わざるを得ない。

      
       
 
Dsc09278

     
      
  月月に 月見る月は 多けれど

  月見る月は この月の月
        
                           詠み人知らず

      

これは良く知られた歌ですよね。
      
毎月毎月,月を見ることができる月は多いけれど,

月を見る価値がある名月は,やはり今月のこの月だ。

ということでしょうか。
 
        
     
ちなみに

英語では天体の日と一日の日を"sun"と"day"に分けていますが、

日本語はどちらも「日」を使います。

    
空の月と一ヶ月の月も、英語では"moon"と"month"ですが、

日本語ではどちらも「月」といいます。

面白いですよね。
 
 
 
Dsc_5123
香港・ノースポイントで
 

再開します

らくご無沙汰失礼いたしました。

   
   
約半年ぶりの再開になります。
 
 
相変わらずの全国出張や沢山の皆さんとの邂逅に加え、
初盆という行事も無事済ませました。
 
 
この間、大勢の皆さまからブログ復活の要望を頂きました。
この場を借りて厚くお礼申し上げます。
 
 
 
しばらくはリハビリ的なアップになりますが、

これからもどうぞよろしくお願いいたします。

19年ぶりの“ハート”と“マル”のシンクロ

Happy Valentine’s Day!!

 
バレンタインデーを祝うのは
もちろん日本だけではない。
 
 
画像は去年の香港。
 
農暦の正月が明けて間もなかったので
この年は少し屠蘇気分だったな。
 
 
夕刻、九龍・尖沙嘴(チムサチョイ)の繁華街に出ると
いるわ、いるわカップルだらけ。
       
Dsc02162
 
 
女性が彼氏からもらった花束を抱えて
得意げな表情をしているのが印象的だ。
 
Dsc02070
 
ここでは、男性が女性にプレゼントをする。
      
    
Dsc07168
有名ブランドショップは遅くまで長蛇の列だった
 
 
もう7~8年前になるだろうか。
日本のイチゴの販促キャンペーンをしたことを思い出す。
 
当時、邦貨換算で6000円を超すギフトケースの
イチゴが飛ぶ様に売れて、本当に驚いたのを覚えている。
 
 
企画したら、花だって、フルーツだって、小物だって
ニッポングッズはまだまだ売れるぞ。
 
 
Dsc02132
 
 
 
レストランだって、この日はロマンチック路線だ。
 
Dsc02381
 
セットメニューが10%ディスカウント。
おまけに女性客にはもれなくプレゼント付きとある。
        
Dsc02386
 
 
Dsc02250
 
中国の風水では、桃の花は恋愛運を呼ぶという・・・。
 
Dsc02221
 
 
 
今年は、19年ぶりにバレンタインデーと
元宵節(農暦1月15日の小正月のこと)が重なった。
 
新暦と農暦両方を使う地方ならではのこと。
 
 
あちこちでランタンが飾られ、
家庭では湯圓(タンユアン)を食べる。
日本で七草粥を食べるようなもの。
 
Dsc01335
 
もち米で作った団子で、
中にはゴマや小豆、クルミなどの甘い餡が入っていて
ショウガや砂糖、酒麹などの入ったスープで食べることもある。
 
Dsc01350
 
”は丸いという意味。
 
農歴新年最初の満月の日であり、また
家庭円満を願う意味で丸い団子を食べるらしい。
 
Dsc01343
 
 
円卓に代表されるように
角張ったものより丸いものを好み、
円満を尊ぶ中国人も
最近、少しとげとげしくなったような気もする。
 
日本人の絆、中国人の円満
丸くて甘いものを食べてハートを通じ合えないものだろうか。
 
  
Dsc02016
 
 
 
実は、インドネシア編をアップしていた
旧暦正月元旦の1月31日を挟んで
僕は、約2週間、台湾と香港に行っていた・・・。
 
       
Dsc02167
 

中部ジャワ地方の奥深い味を堪能し、インドネシア料理に対する認識が変わった(その4)

中部ジャワ料理を一通り堪能したから

最後はさらっと主食を、と見渡したら
ジャワ風ナシゴレン(NASGOR DJAWA)があるじゃないか。
 
インドネシア料理で知名度が高い筆頭が
このナシゴレン
 
 
インドネシア風チャーハンなどと呼ばれるfried riceで、
イメージとしては色黒い焼き飯の上に、
目玉焼きが乗っかってて、
えび煎餅なんか添えられているあれでしょ、
なんて感じだ。
 
 
そもそも焼き飯ごときが有名だというから
インドネシア料理も大したことはないな、なんて
タカを括っていたら、
なんとこの日出逢った、一皿半人前の焼き飯は
僕の想像を遥かに大きく超える究極のナシゴレンだった。
 
 
このレストランでは、注文すると
シェフが目の前で腕を振るってくれる。
 
 
まずは熱した鉄鍋にパーム油をたっぷりと入れて
よくなじませる。
 
Dsc05438
前に作った米粒が残っているのはご愛嬌
 
 
 
最初に卵を割り入れる。
 
Dsc05443
 
鉄鍋とフライ返しのこすれる音がなんとも心地よい。
   
    
カッ、カッ、カカッ…
 
 
具材の鶏肉を加えられた後、 
いよいよ主役のご飯が投入される。
 
Dsc05450
 
もちろんインディカ米(外米)を炊いたもの。
 
 
カッ、カッ、カカッ…  
 
 
 
すぐさま加えられたのが赤いサンバルソース。
 
Dsc05449
 
 
辛みとコクを出すサンバルが馴染んだら
次は香味野菜みたいなみじん切りのハーブを放り込む。
 
唐辛子も一緒に。
 
Dsc05461
 
 
この後、唯一少々じっくりと炒め続ける。
 
 
Dsc05456
   
お米がほぐれてきて
そのうちに、焼けた鍋肌の上でパラパラと踊りだす。  
 
 
カッ、カッ、カカッ…
 
 
Dsc05458
 
 
表面の水分が跳んでしまったタイミングを見計らって
基本の調味料であるケチャップマニスを投入。
 
Dsc05468
ケチャップというと普通、赤いトマトケチャップをイメージするが、インドネシアではソース全般のことを言うらしい。マニスは甘いという意味で、黒くてドロッとしたソースをタップリと振りかける
 
 
 
それからは、強火に切り替わり、時間勝負だ。
  
Dsc05467
 
カッ、カッ、カカッ…
 
  
Dsc05485
 
あっという間に、今度は湯気が立ち上り、アツアツの状態に!
 
 
Dsc05488
 
 
そしていつの間にか褐色のテカリを発し始めているではないか。
 
 
食欲をそそる姿に変身した。
 
 
Dsc05491
 
絶妙のタイミングでサッと平皿に取り上げ、
揚げたエシャロットとハーブをまとい、
ピクルスが添えられる。
 
 
それまで集中していたシェフの表情が緩み、
そこはかとない笑顔で、その「作品」を渡してくれた。
 
 
Dsc05502
 
僕だけの為に作ってくれた、世界で一皿だけのオーダーメード。
 
 
立ち上る蒸気を吸い込んだ時から、もうメロメロになってしまった。
 
 
Dsc05507
 
口に運ぶと、すぐに舌の上で米粒が飛び跳ねる。
 
濃い色に反して、軽い舌触りで少しも幼稚な甘さを感じない。
 
奥深くて、むしろ黙りこくってしまう味というか。
 
噛みしめるほどに滋養のようなうま味が口中に広がる。
 
 
 
ショックだった。
 
ナシゴレンがこんなに美味しい料理だったなんて…。
 
Dsc05496
 
 
あの若いシェフが紡ぎだした錦織のような、
甘い芳香を放つ小宇宙。
 
 
たかが焼き飯。
 
されどナシゴレン。
 
 
口の中で縦横に踊る米粒たちを噛みしめながら
いつまでも心に残るあの音が、
 
 
カッ、カッ、カカッ…
 
カッ、カッ、カカッ…
 
 
(次回に続く)

中部ジャワ地方の奥深い味を堪能し、インドネシア料理に対する認識が変わった(その3)

続いて僕が触手を伸ばしたのは

温かいスープ料理である。
 
バリ島などインドネシアの一部では
食事は朝の一度だけ作り置きをして
三度に分けて食べる家庭もあると聞いたことがあるためか
アツアツの炒め物や鍋物、汁麺などあまり見かけない。
 
暑い地域とはいえ、熱い料理も恋しくなるもので
温度もまたバラエティー感を感じる大事な要素だと思う。
 
 
そこで所望したのが、
TENGKLENG KAMBINGというラムの骨付きリブのスープだ。
 
Dsc05530
 
しっかりとコク味の強いラムのスープだが、
揚げたエシャロットや刻んだリーキ(ポロ葱)などの香味野菜や
スパイス・ハーブがしっかり味のバランスを補っていて
ホッとする絶妙な一品だった。
 
Dsc05521
昔は天秤棒を担いで売っていたのだろうか?温めて供してくれる
 
 
得てしてこの種の料理は、羊臭かったり、香料が強すぎて
閉口することが多いのだが、全く僕のストライクゾーンだ。
 
ジャワ風おすまし というところか。
 
Dsc05540
 
 
なんか中部ジャワの料理ってホッとする味、癒される味なのかなと
ひとりで勝手に得心してしまった。
 
 
また、中部ジャワの代表的な料理なんだそうだが
GUDEG BU AYU (グドゥッ)を食した。
 
Dsc05276
 
 
これは、世界最大のフルーツと言われている
ジャックフルーツ(現地ではナンカ、和名は波羅蜜)
若い果肉と鶏肉、ココナッツミルク、牛皮などを煮込んだ料理。
  
Dsc03932
ジャカルタの屋台で見かけた巨大なジャックフルーツ
 
 
これも味のメインは椰子砂糖で甘口だが、
噛みしめるほどに口の中に豊かさが拡がるような味わい。
 
ここでしか味わえない逸品でございました。
 
 
ジャワ料理のフルコースにも似た品々を味わい、
それらを支える食材、副材に思いを馳せる。
 
スパイス、ハーブ、調味料を眺めると
その一端を垣間見ることが出来る。
 
Dsc05369
 
主役級の調味料の椰子砂糖(パームシュガー)をはじめ
クローブ、クミン、ショウガ、タマリンド等のスパイス、
レモングラス、エシャロット等のハーブ類が脇を固める。
 
 
またこの国の料理に欠かせないのが、
サンバルソースだ。
 
Dsc01134
唐辛子をベースに、ニンニク、タマネギ、トマト、エビの発酵品などを煮詰めて作る
 
 
毎回食事のお伴に登場するけれど
これまではあまり深みのないものだと思っていたが
今回は地方やメーカーによって味が違うことが解るに至り
その奥深さの一端を知った。
 
 
もしかしたら、人間と同じように
異文化の料理を理解するのにも
思い込みや伝聞を廃し、
時間をかけながら興味と関心をもって
素直な気持ちで向き合い続けることが大切なのかもしれない…。
 
 
Dsc05292
 
 
(次回に続く)
 

ひとり二台持参のモバイル空間に漂い、滄海桑田の想いに至る

その超高級ショッピングモールの階上には
大きなフードコートがあるんだけれど、

どんな食材があるのかよりも
目についたのが、
スマホかタブレット端末か
モバイルパソコンかのどれかをみんな持っていること。
 
Dsc02631
 
特に若い女性が盛んにカチカチやっている。
 
Dsc02634
この女性も“二台持ち”
 
 
こんな光景は日本と少しも変わらない。
 
いや、日本よりスゴイかも
 
 
Dsc02638
僕には未だにパソコンとスマホの使い分けがわからない…
 
 
レストランでは、若者たちが
ひとり一台ずつのパソコンとスマホを使って
ワイワイとコミュニケーション。
 
Dsc02670
 
 
 
秋葉原のような携帯電話を扱う雑居ビルにも潜入。
 
Dsc01933
 
ブラックベリー(BlackBerry)という機種が
この国では圧倒的な人気らしい。
 
Dsc01929
       
 
 
一転、外に飛び出し
公園でこんな風景を見ると、僕は一瞬混乱する。
 
Dsc01293
 
露天物売りのお兄さんまで
携帯やスマホを持てるほどの豊かさなんだろうか?
 
それとも、本業があってスマホを持てる兄さんが、
たまたま余暇でも商売に励む勤労青年なのだろうか?と。
 
 
Dsc02913
 
 
何処に行っても、どんな時でも
携帯・スマホは若者たちの日常ツールだ。
 
 
Dsc02875

          

ジャカルタ名物

「やはり、そうだったか……」
 
 
僕は乗ったばかりの車の中でため息をついた。
 
 
Dsc01773
 
 
ジャカルタの街での慢性的な交通渋滞である。
 
とにかく動かない。
 
   
Dsc01762
 
第一、移動手段が車しかない上に、
何処へ行っても、どの道を通っても渋滞だらけ。
 
Dsc04381
このようなミニバスが縦横に走ってはいるが、渋滞は同じ
 
 
地元の運転手は、これが当たり前だとばかり慣れた様子。
 
 
Dsc03152
バイクだって、ほらこのとおり
 
 
かつての北京上海やバンコクのよう。
 
   
Dsc03175
 
 
これでは仕事が効率的に進まず、社会的損失は計り知れない。
 
それとも、これがジャカルタテンポだと郷に従う?
 
 
Dsc01069
夜遅くても、このとおり
 
 
そこで一応、車線の多いメインストリートには
バス専用レーンの「バスウエイ」が設けられており、
渋滞の車列を横目にスイスイ走るのだが、
いかんせん点と点を結ぶ線に過ぎない。
 
Dsc03165
バスウェイ(トランスジャカルタ)の専用レーン
 
Dsc03056
道路中央に設けられたバスウェイ乗り場。まるで埠頭のよう
 
 
街の中心地にあるホテルから、ジャカルタ空港に行くのに
通常であれば30分程度で行けるところを
運転手は何気ない顔をして「2時間かかる」と言うのである。
    
狐につままれたような気分になった。
 
 
Dsc04409
空港バイパスも多数のコンテナトレーラーが走っている。これでは…
 
 
実際に1時間45分くらいかかりハラハラしてしまった。
 
        
Dsc04405
 
 
 
特に外国人出張者には先ず、なんとも頭の痛い第一関門だ。
 
   
Dsc01752
            

ところ変われば、人はどう感じるか? 香港のレストランで実験してみた

香港での日曜日。少しだけ遅い朝。
 
 
仕事が無ければ、行くところは決まって飲茶レストラン。
 
 
Dsc_2616
 
九龍にあるホテル近くの飲茶楼は、すでに地元の人で満席。
観光客なんて絶対にいない場所。
 
 
飲茶(Yam cha)は、広東人の文化そのもの。
 
Dsc_2627
 
 
香港ローカルの人たちに完全に埋もれて、
僕もお茶を楽しみながら点心をつまむ。
 
Dsc_2569

シウマイって広東語からきている
 
 
でも今日はちょっとした実験を試みた。
 
 
 
レストランに持参したのは
日本の自宅でも愛用している煎茶のティーバッグ
 
 
抹茶も入っていて色も鮮やかで香りも高い、
仕事中などでも手軽で美味しい僕のお気に入り。
 
 
香港でも楽しもう。きっと癒されるはず…。
 
 
いつもは烏龍茶やプーアル(普洱)茶を淹れる
分厚い急須に魔法瓶の湯を先に入れ、
少し湯温を冷ます。
僕は緑茶には少々うるさいのだ(W)
 
お気に入りのティーバッグを入れ、
しばらくじっと待つ。
 
Dsc_2517
 
 
ああ、至福の時間・・・。
 
このお茶を作ってくださっている生産者の家族
ひとりひとりの笑顔を思い浮かべる。
 
 
広東語が耳元を飛び交う喧騒の中だけども
しばしの憩いのひと時。
 
 
習慣にしている少し長めの時間を見計らって
武骨な茶杯に、茶を注ぐ。
 
Dsc_2593
 
 
「これでいいはず。」
      
と口に含んで驚いた。
 
 
 
 
アレレレレレレレレレレレっ!
 
 
何度やり変えても、香りはしない上に、味も薄い。
       
水色(すいしょく)も濁っていて
全体的になんとも物足りない。
 
 
淹れ方を忘れてしまったのかな?
と思うほど、正直、味もそっけもない
 
 
これほど、ぬるくてメリハリのない味では、
点心をつまみながら飲む気がしない。
 
 
Dsc_2547
 
 
せっかくのアイデアが肩透かしに終わって
拍子抜けな感じ。
 
 
同じ茶葉を使って、同じ淹れ方をしても
水質が違い、茶器が違い、空気も違い、
そして取り合わせも雰囲気も違う。
 
 
果物や他の食品に比べて、
お茶の海外展開は普通にやっては難しいことを
改めて体験した。
 
 
酒類や調味料などの一部も
これと似たケースがあることが知られている。
 
 
 
やはり同じく日本から持参した柚子こしょう
好物の蒸し蝦餃子につけて食べてみる。
 
Dsc_2558
 
これは、僕としては、イケると判断。
   
でも正直、これまで慣れた辣椒醤(唐辛子ペースト)でもいいのかな、と。
 
 
あくまで人の感じ方とはいえ
計数化が出来ないので、
売り込むには知恵と工夫が必要なのかも知れない。
 
 
 
別の急須に、飲茶の定番プーアル茶を入れて飲んでみる。
 
Dsc_2609
 
しっかりと熱くて、どこまでも深い珈琲色をして、
濃くて重厚なコクと香りの
中国雲南を故郷とするこの液体が喉を通り過ぎる。
 
 
「外国人」の僕も、気を失うほどの虜になってしまう。
 
Dsc_2613
 
飲茶には、やっぱりコレだ!
 
 
 
入郷随俗(郷に入れば郷に従え)という成語を
つい想い浮かべるのをあやうく思い止まって
日本茶の海外販路開拓の策を練り直すことにした…。
 
 
Dsc_2598
飲茶の精算カード。いくらの点心をどれだけ食べたかを記録する
 
 
 
ちなみに日本茶の海外輸出はこの数年
関係者の努力もあって着実に伸長している。
 
 
Dsc_2563_2
 

正月元旦、CHAに魅せられて(その2)

(前回より続く)

 
九份に続く、台湾の2ヶ所めの訪問先は、猫空(mao kong)
 
 
台湾でも鉄観音茶の有名な産地である。
 
そんな所が大都会・台北の中心地から
車で僅か40分程度で行けるなんて
知らない人も意外に多いのではないだろうか。   
 
 
昨年10月に2回、親しい仲間と猫空に行った。
 
 
いずれも仕事が終わってからなので
夜の訪問となった。
 
 
とはいえ、ここは台北の若者の
夜景で有名なドライブデートスポットでもある。
 
Dsc_7005
眼下にtaipei101など台北の夜景が拡がり、感動
 
 
何軒も個性を競う茶芸館がある中、
この日の晩は現代カフェ調のお店。
 
 
いつも遠出するとき、不案内のところに行くときに
とても親切にしてくれる僕のドライバーの黄さんが
秘蔵の台湾高山茶の最高級茶葉を持ってきてくれて
お店の茶器を使って自ら烏龍茶を淹れてくれた。
 
 
Dsc_6927
 
急須一杯に溢れるほど茶葉が膨れる。
 
 
Dsc_6825
 
香りを嗅ぐための聞香杯(ぶんこうはい)
淹れたばかりの茶を静かに注ぎ入れる。
 
 
馥郁たる味と香りとの対面だ。
 
Dsc_6886
 
飴色の素晴らしい水色(すいしょく)と拡がる香気。
 
 
これぞ台湾が誇る烏龍茶の真髄。
 
 
一杯、一杯、また一杯。  
 
Dsc_7031
 
 
こうしてみると、中国茶の作法というのは
美味しく飲むためにあるもの、とさえ思ってしまう。
 
 
そこで、僕が興味を持ったのは
形式美、精神性追及ではない
飲んで美味しい日本茶の淹れ方についての知識。
 
 
ちょうどその後、煎茶道具が手に入ったので
京都に行った折、四条通にある福寿園本店で
日本茶インストラクターの方に
マンツーマンで長時間にわたり、
玉露と煎茶の淹れ方について指導をして頂く機会に恵まれた。
 
 
Dsc02240
 
専門家の話によると、
茶葉や水質の吟味もさることながら、
         
1.茶葉とお湯の分量比
2.お湯の温度
3.抽出時間
の3つの要件を茶葉の種類によってきちんと守れば、
誰にでも美味しく緑茶を淹れられるということ。
 
 
Dsc02260
         
僕のために、100g1万円もする玉露を淹れて頂いた。
 
天国にも昇る気持ちだった。グレードに弱い僕。
 
 
Dsc02217
  
 
Dsc02222
 
清酒の猪口くらいの小さな小さな茶杯に、
しずくを落としただけのようにして淹れた玉露を口に含むと
ぬるい湯温の液体の甘くて奥深い旨みのエキスが
一気に拡がり、声が出なくなるほどの衝撃を受ける。
 
淹れ方の作法といい、茶器といい
まるで猫空で黄さんが淹れてくれた
高山茶となぜか共通点が多いことに気がついた。
 
 
Dsc02214
 
さすが免許皆伝のインストラクターさんの淹れた緑茶だと感服。
 
 
Dsc02251
 
 
幸い、仕事を通じて
宮崎、京都宇治、和束(わづか)町、京田辺、
福岡八女、熊本、鹿児島などの生産者さんから
丹精込めて作られたお茶を分けて頂くから、
きちんとルール通りに淹れることこそ
製茶の苦労に報いることになると信じて
以来、教えて頂いた方法でほぼ毎日腕を磨いている最中だ。
 
 
Dscn7710
京都・和束町の茶畑風景
 
 
今年は、旨みが凝縮した緑茶で新年を迎えた。
 
 
きっと良い事が起こりそうな予感が・・・。