ソロライブ in Shanghai

イブと言えば、9日に松浦亜弥が「上海新天地」でソロライブを行なうらしい。

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会場の新天地のライブハウスの前では写真のような立派な看板が出ていた。「上海新天地」は、都市再開発・レトロモダンなどで世界的な注目を集めた商業・不動産プロジェクトで、上海で働くセレブたちの集いの場でもある。

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上海セレブが集まるところ ―「上海新天地」

たまたま新天地を管理する会社の広報部長氏と話したのだが、社内の上海人女性社員の間では、このライブの話題で持ちきりらしく、一枚450元なり(約6800円)のチケットを買うことなんてなんでもない様子で、もちろんすぐに完売したそうである。ゴージャスな食事代は別らしく、なんとも都会の消費ぶりにはビックリする。

日本のバブル時代に、アメリカの超人気コンサートやハリウッドスターが次々と日本市場開拓のためにやってきたように、これからエンターテイメントの分野でも日本を含めた世界の芸能人たちが中国を目指してやってくる時代になったのかも知れない。

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消費の主役は、やはり若い女性

元気と忍耐と

馬県前橋市で講演させていただいた。

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会場の群馬ロイヤルホテル。手前は利根川

主催は「群馬国際ビジネス協同組合」といい
海外と非常にアグレッシブな活動を展開している会員組織だ。

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メーカー、物流、商業サービス、教育機関など幅広い分野の企業から構成されており、共同で国際ビジネスを展開している。

対中ビジネスでの人材育成をテーマにした活動を活発に行なっており、この一年で西安市などから200名を超える中国人研修生を受け入れて各企業に派遣したり、江蘇省張家口市に日本語学校を設立するなど、日中間で活躍する人材育成に熱心に取り組んでいる。

今回で私も4回目を数える講演会だったが、ますます熱気を感じ、具体的なアクションを起こしているからなのか、アジアビジネスに対する関心の内容も非常に現実的で、とにかく積極的なのに驚いた。

少々おっとりした群馬県人のイメージが変わりそうなくらいだ。

ホットな精神とクールな思考を持った元気人たちの組織だから、交流していても話題が未来ビジョンまで弾む。

今後、農業や観光分野についても、関東広域とアジアとの交流を目指して計画が進行中だというから、これからの活動が楽しみだ。

橋での講演に先立ち、高崎で時間があったのでしばし散策した。
これまで何度が立ち寄ったことがあったのだが、仕事ばかりでじっくりと街を歩いたことがなかった。

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JR高崎駅前

高崎市は新幹線、高速インターと交通の要所にあり、今は県都・前橋市とほぼ同じ人口だが、9月にはまた合併があり、人口では群馬県一の都市になるそうだ。

060522pasta_2 高崎はパスタで町おこしをしているらしい

郊外にある少林山達磨寺を訪ねた

名前といい、また黄檗宗であることから中国の影響を受けた禅寺らしく、総門はやはり特徴的だった。

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少林山総門

本堂に至る参道から観る境内の景色は、言葉にならないくらい美しかった。

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写真術が未熟なので表現できないのが悔しいくらい実物は素晴らしい。

なんと言っても、この寺の特徴は境内に沢山のだるまが納めてあるのが面白い。

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奉納といっても、いわゆるお札やお守りの納めどころと同じで、役目を果たしただるまさんを引き取ってもらう所なのだ。

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両目が黒いものもあれば、片目のダルマもいる。選挙必勝もあれば、営業目標必達、合格祈願など大小様々なダルマが納めてあった。

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高崎といえば全国の約8割を占める日本一のだるまの産地で有名だが、初めて縁起だるまを生み出したのがこの達磨寺で、特徴は、マユは鶴、鼻から口ヒゲは亀をあらわしているおめでたいだるまなのだという。知らなかった。

本堂の隣には、達磨堂という木造の平屋があるが、出入り自由のちょっとしただるま陳列館になっていて、全国のダルマや達磨大師に関する収集物が所狭しと陳列してあって、ついつい長居してしまった。

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達磨堂は面白かった

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群馬三宰相の選挙ダルマと思われる実物も鎮座している。

僕もダルマのように忍耐強く不屈の精神で、困難と思える事業にも挑戦し続けていかなきゃ…。

この日は多くの元気人たちと再会を果たし、思わぬダルマ様との出会いに心洗われる一日だった。

木材輸出セミナーに参加

11日、東京・虎ノ門で「国産材輸出促進セミナー」が開催された。

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虎の門のセミナー会場

とても内容の濃いセミナーで大変勉強になった。

冒頭、主催者である木材輸出振興協議会会長で東大大学院教授の安藤直人先生によると、中国の経済成長と不動産の活況により日本の杉材の輸出の可能性が現実味を帯び始めていること。世界的な資源の需給バランスや各国通貨の変動により国産材も競争力を持ち、資源としての見直しとアジアとの交流の可能性について、じっくりと取り組む必要性について説かれた。

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安藤直人協議会会長

わが国の木材需給における自給率は、昨年ようやく20%台に乗った状況で、産業の活性化はもとより国土の環境保全に対しても、木材の有効利用は非常に重要なのである。

もし輸出への道のりが開けるとしたら、大きな活力になることは間違いなく、関係者は密かに期待しているところではないだろうか。満員のセミナー会場もそれを示している。

講演の前半は、北京から来日した中国林業科学研究院資源情報研究所の易浩若氏が中国の森林資源と木材需給について、詳しく紹介した。国家プロジェクトとしての森林資源保護、植林事業が大々的に展開されているプロセスと旺盛な国内需要と輸入増加の関係についてさらに理解を深めることが出来た。

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北京周辺の衛星写真。赤色の都市部が近年急速に拡大しているが、緑色の森林部も増えているのがわかる(出所:中国林業科学研究院)

中国の2004年の木材輸入量(紙パルプを除く原木換算)は約4000万立米で、1995年に比べ4.5倍に急増し、米国に次ぐ世界第2位の木材輸入国になっっているのである。

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(出所:中国林業科学研究院)

今後、日本一国分の需給量が中国で増えるというのだから、これを放って置く理由はないのではなかろうか。

後半は、木材輸出振興協議会事務局長の日比野義光氏による「上海住宅における木材利用状況」というテーマで、とても詳細な分析報告がなされた。上海では今後、内装済みの住宅建設への転換が行なわれ、高品質の内装材に大いにチャンスがあるのではないか感じた。上海市民へのアンケートでも、すでに不動産を所有している中間層の多くが、新たに高品質内装の住宅購入を希望しているという驚きの結果を見てもそれがわかる。

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日比野局長の講演風景

「単に高品質・高付加価値の商品が売れるからといってそのまま日本の木材や木質建材が売れるわけではない。日本はタタミ、中国は床の生活の違いなど、相手のニーズに合ったものを作る努力なくして販路開拓は実現できない」という日比野氏の最後のメッセージは、特に心に響いた。

実は加工が出来ないように見える農産物についてもそれが言えると、最近私も感じ始めていたのである。

日本国内での「こだわり」の商品を持ち込むだけでは海外の消費者にはすぐには通じないのである。酒類しかり、茶葉しかり、和菓子もしかりである。

大胆な発想転換が出来ないと十分な成果は得られないのではないだろうか。

木材輸出振興協議会では、今年11月に参加者を募って、中国でセミナーや商談会を行なうビジネスマッチングを企画している。本格的に動き出せば、木材は物量や金額が大きいだけに今後の動向が注目される。

ブランド対策セミナーに参加して(2)

…(1)から続く

ミナーの後半は、作家で金儲けの神様として知られる邱永漢氏が登壇して、「中国・台湾で勝負する農産物の日本ブランド確立に向けて」と題する講演をされた。

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実は、邱先生が9年前に福岡で基調講演をされた後、パネルディスカッションのパネラーとしてご一緒した時以来、2度目の再会となった。それ以来、邱先生の著作や行動については、ずっとチェックを入れている。

だから、邱先生の言論や発想は多少知っていたつもりだったから、日本の農産物を中国や台湾に輸出するというテーマについて講演されるとはとても意外だったのだ。

060311Qsan2 なぜなら、邱さんはこれまで、永田農法の中国での展開を提案したり、コーヒーや日本そばの中国での栽培に挑戦されているから、日本からの輸出ではなくて中国に移って生産せよという、発想としては逆なのではないか、と感じていたからだ。

講演は相変わらずの名調子で、会場を大いに沸かせた。まるで名作落語を聴いているような心地良ささえ感じてしまう。パワーポイントに頼る私の講演などは、まだまだ修業の余地がありそうだ。

060311Qsan3 やはり日本産の農産物の輸出について、邱さんは、とても難しいのではないか、と本音を漏らされた。生産コストが大幅に安い中国に対して、高コストの日本産農産物を恒常的に販売することは、邱さんの原理原則では、やはり反対なのだろう。

私はそれを聞いてむしろホッとしたほどだ。ホッとすると同時に、ますますファイトも沸くというものだ。

でも、最後には
「私は日本産の農産物がどうしたら中国で売れるのか、その答えは持っていない。普通に考えれば、とても難しいと思うからだ。もし、売れるような情報があったら、むしろ私に教えて欲しいくらいだ。皆がグズグズしているうちに、私はサッサと行動に移しますから」と。

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会場は大いに沸いた。さすが邱先生。
齢82歳にして、この発想と行動力。脱帽する他ない。

同行の方が、講演終了後に邱さんに題字を求めたら、丁寧に一字一字筆を走らせてくれた。

毎日、聞いたことのないことを聞き
毎日、見たことのないものを見る
          邱 永漢

また、大いに刺激を受けた。

ブランド対策セミナーに参加して(1)

東京・虎ノ門で、農水省、関東農政局等の主催によるブランド保護対策セミナーが開催された。

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(セミナー会場)

中国・台湾への農水産品の輸出に関わるブランド保護対策に関するセミナーは、国内でも新らたな試みらしく、たいへん勉強になった。

やはり東京、大阪には、このような情報収集の機会があるから
私のような活動をしている者は
平素出来るだけフットワークを軽くしておき
情報源を広げておかなければならない。

セミナーの前半は、中小機構国際化アドバイザーの太田光雄氏による「中国・台湾における日本産農産物のブランド保護対策」についての講演だった。

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実は、太田先生は、私が20年ほどまえ前職当時、住友商事の中国食品関連のご担当をされており、数年間にわたり、よく一緒に仕事をしていたのだ。

早くから中国に対してとても造詣が深い方で、まだ駆け出しだった私に、いろいろと教えていただいたことを思い出す。

講演では、中国における商標・ブランド戦略など知的財産権に関する様々な情報や事例を挙げて、広範囲な紹介がなされた。中国での「青森」に関する商標権の争議無印良品をめぐる日中間の侵害事例の経緯など細かく解説され、非常に参考になった。

海外における販売戦略において、日本産農産品や食品などは高級商品として扱われるだけに、ブランド維持やコピー対策などでも、「守りとしてのブランド対策」と、積極的に販売を展開するための「攻めのブランド戦略」のふたつの視点があることを再認識した。

ルート開拓にどうしても関心が偏りがちだが、このブランド構築と保護対策は、これからますます重要になると感じた。

多くの関係者が懸念するアジア市場でのコピー商品の出現は、当事者だけでは解決できないので、ぜひとも国の支援が必要な分野である。地方で輸出を展開するには、国や専門家との連携を強化すべきである。

このような情報は、私もぜひ地方で発信していかなければならない。 (続く…)

愛媛で農産物輸出を考える

愛媛県松山市で、(社)愛媛県産業貿易振興協会、ジェトロ愛媛貿易情報センター等の主催による「愛媛県農林水産物輸出促進セミナー」が開催された。

輸出セミナーは、昨年に続く2回目の開催だそうだが、70名を超える熱心な参加者を集めた。

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東京からジェトロ農水産部の石川総括審議役が、国の様々な施策や輸出事例などが紹介された。国の輸出事業推進の最前線におられる方だけに、貴重な情報を幅広く勉強できた。今後、東アジアだけでなく、インド、中東、欧州にまで、日本食の普及を目指すジェトロの意気込み熱く語られた。

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(ジェトロ石川審議役)

私が2番手に立った後、トリを務められたのは、島根県西部のJA西いわみの御手洗部長で、プレミアム米の台湾向け輸出の事例についての講演があった。JA西いわみの「ヘルシー元気米」の台湾輸出は、いまや伝説となりつつある成功事例として、小泉総理がアドリブで紹介するほどだ。

051215ja 中山間地の単位農協が、自力で無名の減農薬米を海外に輸出する挑戦は大きな注目を集めた。決して派手な語り口ではないが、人任せにせずコツコツと実績と信用を勝ち得ておられる経緯を説明された。いたずらに量を追い求めるのでなく、質を高め、息長く海外に販売することで組織が活性化し、地域が元気になるという大きなビジョン支えられた活動なのだ。

石川審議役も御手洗部長も、早くからお名前は耳にしていたが、対面が実現し、たいへん勉強になった。

松山といえば、漱石の坊ちゃん。そして道後温泉である。話を聞くと、韓国や中華系のツアー団体客が大勢温泉三昧にやってくるという。館内には、ハングルや中国語の表記がされていた。彼らもきっと愛媛産のミカンや水産物などの素晴らしさを体験していることだろう。

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(道後温泉本館正面)
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(館内の表示板。各国語で表記されている)

今回、松山を訪れるにあたって、もうひとつの楽しみがあった。

私の農業、ITの師匠である農産物コンサルタントの山本謙治氏(通称やまけん)が、親友のホリエモンこと堀江貴文氏と人気スポーツライター二宮清純氏の三人で、「愛媛じゃこ天ツアー」を敢行したときの紀行ブログを見て、ぜひ松山に来たらじゃこを味わおうと思っていたのだ。

良かったら、ぜひ氏のブログをご参照いただきたい。きっとじゃこ天が食べたくなるから…。ちなみに山本氏と二宮氏は愛媛県の出身なのだ。
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2005/06/with_1.html
(やまけんの出張食い倒れ日記)

私は今日まで、じゃこ天は、チリメンジャコを使って作られるものだとばかり思っていたが、現地に来てそれが間違いであることがわかった。「はらんぼ」と呼ばれるほたるじゃこという魚を骨ごとすり潰して油で揚げるテンプラである。

前夜、会席料亭で板前さんにわざわざ私の為に、揚げたてのじゃこ天を特別に作っていただいたのだ。もう感激、絶句であった。グルメブログでないので詳細は省くが、すり身独特の深い味わいで、瀬戸内の潮を香りを感じさせる見事な一品であった。

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(忘れられない愛媛の味)

ちなみに、香港をはじめ、東南アジア地域では、この魚肉練り製品はとても良く食べられている。もしかしたら、近いうちに、この愛媛のじゃこ天が海外でも味わえるようになるかも知れない。

東京での輸出セミナーに参加して

9日に、東京四谷 主婦会館プラザエフで、
農林水産物等輸出促進セミナーが開催された。

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(会場のプラザエフ)

これは農林水産省が行なう支援事業の一つで
今年度は、名古屋、札幌、宮崎、那覇など全国9箇所で催されている。

さすが東京だけあって、大勢の参加者を集め、白熱した雰囲気でのセミナーであった。

051211izumi セミナー冒頭で、農水省輸出促進室和泉室長が挨拶し、今年度は全国的な事業展開の成果が現れ始め、今年1~9月の輸出額は前年同期比+7.6%増の2,226億円のジャパンブランドの農林水産物が輸出されたという。

全国版のセミナーだけあって、講師も経験実績が豊富で、大変実務的で有意義な内容だった。

㈱ホクレン通商取締役の坂井紳一郎氏による香港向け輸出の実践論は、非常に参考になった。豊富な情報とそのノウハウの一部に触れるだけで、さすが輸出最先進地・・・北海道だと再認識した。輸出成功の王道は、自ら日々の努力の積み重ねであるという指摘は、本当に説得力があった。

もう一人の講師である㈱日通総合研究所町田一兵氏の講演も、物流を切り口にした対中国輸出のポイントについて勉強させてもらった。今後の市場規模には大きな期待がある中国大陸だが、物流と決済など多くの課題に目をそらすことなく、冷静にアプローチすることの重要性を改めて確認させられた。

後半のパネルディスカッションでは、講師おふたりに加え、東京海洋大学の櫻井研先生がコーディネーターを務められ、より内容が深められた。

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櫻井先生は、農産物輸出、国際マーケティングの権威であり、80年代からの農産物輸出の指南役として、国の事業にも精力的に活動されている。

櫻井先生の専門家2講師に対する「ブランドの本当の価値について」「メイドインジャパンであることの本質について」の問いと、総括における輸出事業成功の姿勢に関するコメントは、やはり問題の本質を理解している方だからこそのメッセージであったと思う。

東京だけあって、生産メーカー、団体、行政に加え、商社の方が多く参加しているのが、私の目には新鮮に映った。地方では、輸出事業に関心をもつ物流、商流の事業者がまだ十分でないところが多い。

事業面でも、行政面においても、東京と地方の連携をすすめることが大切なのかも知れない。

青年は宝

福岡県青年農業士会の研究会で講演させていただいた。

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(会場の博多サンヒルズホテル)

青年農業者の皆さん達との交流は、これで2度目だが、とりわけ楽しみにしている。いつも感じるのだが、農業を志す若い青年や女性は、地域にとって、そして国家にとってもかけがえのない財産である。

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(壇上で挨拶する農業士会幹部)

講演では福岡県が農産物の輸出に力を入れている経緯や実績、そして未知の事業に挑戦する人たちの姿を青年達に紹介した。

ただ、壇上から見ていると、後ろの方で数人居眠りしている人が目に付いた。
他地域の高齢者が多い会場では、ほとんど居眠りする人はいないのだが…。
年配者のほうが向上心や探求心が強いからだろうか。それとも、私の話の内容に、若い人は魅力を感じないからなのか・・・。

しかし、後半から終盤になるにつけ、全員が身を乗り出して聞いてくれた。

一時間半の講演にもつい力が入り、声がかすれてしまう。

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講演後の意見交換の時間にも、積極的な反応が返ってきた。
質問が途切れないのだ。これは、他の会場では滅多にないこと。
講演者としては、とても嬉しいことだ。

また、研修後の懇親会では、個別に面談できて有意義だった。

次の予定があるので、30分で退席する予定が、青年達が次々に語りかけてくれて、ついに1時間半も会場から離れられなかった。

蘭の苗を、人任せにせずに自分で台湾から買い付けて、すでに海外と信頼関係を築いている人。

韓国と行き来するほどのネットワークを持っている人。

スモモやナスを差別化し、商品開発に挑戦している人。

イチゴのあまおうをもっと積極的に展開しようと企画を練っている人。

作っている作物や地域は違えども、皆、熱い想いは同じだ。
目が生き生きしている。

ひときわ声が大きく、私に喰らいついてきそうなひとりの青年は、
5年後に1億円の売り上げを目指して頑張っている夢を語ってくれた。
彼はソフト業界からの転身組だ。

彼の農業に対する先見の明は、近い将来必ず開花する、と私は断言した。

彼らが主役となり農業を担う数年後には、日本の農業事情もすっかり変わっていることだろう。

今は、とても辛い時期。
しかし、文字通り、農林水産業が実りある産業に展開するかどうかは、すべてこの青年達の頑張りにかかっている

現場から変わる日本の農業

農林漁業金融公庫の筑後地区友の会の総会が八女市で開かれ、福岡県庁農政部の方と共に講演会に登壇させていただいた。

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農林公庫は、経営基盤の弱い農林水産業に対する融資を行なう機関で、これまで大きな役割を果たしてきたが、現在、政府系金融機関の再編問題の渦中にある。

福岡県の筑後地区は、四季を通じて多種多様な農産物を産出している。都市圏消費者に向けた商品開発や新技術の導入にも積極的な地域で、JAのレベルでは海外輸出に対しても日本でもトップクラスの取り組みを行っている

昨年来、全国的にも注目されている福岡産イチゴのあまおうの香港、台湾向けの輸出でも、この筑後地区のJAの積極的な挑戦によるところが大きい。

国内でもトップクラスの販売力を誇るJAふくおか八女は、昨年来、独自の輸出戦略に取り組み、貿易実務を行なう通関士の資格を持った職員も活躍している。スゴイ!
JA福岡大城は、平成4年ごろからエノキタケをいち早く香港に輸出し、一時、大ブームを呼び起こした。

また、この地域でキノコを生産販売する農業法人を経営する元気な女性達も総会に参加され、大いに意気投合し、農業の持つ可能性について語り合った。

会合では、野田八女市長とも懇談する機会を得、今後の様々な取り組みや同市の農業政策に対するビジョンについての熱い想いをうかがった。

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(スピーチする野田国義八女市長)

10月28日29日には、筑後市で第59回全国お茶まつり福岡大会が開催された。

茶葉の生産販売に関する資機材の展示や製品の即売などが大規模に行なわれ、大勢の人で賑わった。会場では、タレントの森口博子さんやアナウンサーの林田スマさん、地元名士によるトークショーも開かれ、日本の文化に根ざす茶の文化の再認識について語り合った。

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会場では、若い生産者や青年会による様々なイベントが特に印象的だった。彼らにこそ、海外の市場についても理解を深めてもらい、その企画力と行動力で世界に挑戦して欲しいと強く感じた。生産現場の青年、女性達こそ、ニッポンを売る原動力なのだ。

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(青年会のイベント企画には長蛇の列が)

国際中枢港湾都市・志布志の底力に驚く

11日、鹿児島県志布志町の招きで、
同町の40名余りの元気人たちで構成される
異業種交流会の「志布志商人(あきんど百人塾
夏の定例会で話をさせていただく機会を得た。

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メンバーは、自営業、物流業、商店、農業、サービス、行政など多種多彩に及ぶ。
地場産業の国際ビジネスへの挑戦が今日のテーマであったが、講演後の交流会では、大盛り上がりというより静かではあったが、個別の懇談では会員ひとり一人が私に迫ってくる気迫を感じ、その意識の高さと秘めたる決意がテレパシーように伝わってくる。
こういう方たちは、往々にして実際行動に踏み切る可能性が高い。とても頼もしい。

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志布志町は来年1月の合併を控え、「志布志市」になる準備が進められている。慶田町長とは2度目の面会だったが、先だってまた中国にも視察をされており、相変わらず精力的に国際交流へも強い関心をお持ちだった。

ここ志布志は、太平洋に広がる志布志湾の奥にあり、西は大隅半島に連なり、東縁は宮崎県南部に接している。
歴史的にも中世以来の対外貿易の窓口港であり、江戸時代末期には、薩摩藩の密貿易の拠点でもあったという。

町の一角には、密貿易船から貨物を積み替えた小船がカモフラージュされた秘密の格納庫の跡(今は復元されていない)が発掘されたという場所があり、とても興味深い。
きっと、海外にも積極的に交流を図るという進取の行動力のDNAが、今にも息づいているのだろう。

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(地面を掘り秘密の水路に通じていて、屋敷で荷卸をカモフラージュしていたという発掘調査跡地)

志布志港は、コンテナの取扱量では、博多、門司港に次ぐ、九州第3位の中核国際港湾である。
特徴的なのは、畜産用飼料(トウモロコシ、稲わら等)の輸入港としては、鹿島港に次ぐ日本第2位の規模である。
畜産県鹿児島・宮崎への飼料供給基地として、年間240万トンの配合飼料を生産しているそうである。

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(急増する貨物に追いつけず、拡張が計画されている志布志港)

しかし、飼料の輸入量が大きい割りに輸出貨物が少なく、海外輸出に対する需要開拓は緊急の課題でもある。理想は畜産飼料を輸入して、畜産加工品を輸出できれば、貨物がバランスしていくはずだ。

関東・関西市場には遠くても、台湾や香港などアジア市場には、日本でもっとも近い港湾のひとつである。
海外こそ挑戦すべきターゲットであっても不思議ではない。
ただ、BSEや鳥インフルエンザの発生により、肉類の海外輸出には現在逆風だが、香港では宮崎産の黒豚肉がブランド品として扱うデパートもあり、可能性は十分にある。

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(林立する飼料工場のスケールは圧巻)

志布志港の穀物バースには、系統、商系の大規模な飼料サイロや加工場がいくつも連なり、しかも拡張中だと聞いて、そのスケールの大きさに本当に驚いた。BSEの発生で、国産牛の飼育が盛んになり、輸入飼料の需要が急増しているものと見られる。志布志港は、新たに水深14メートルの多目的ターミナルの整備がすすめられている。
農畜産物の輸出には、国際物流機能の有無は大きなポイントになる。

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(志布志町港湾商工課の川野さんに整備事業を紹介していただく)

秘めたる熱い志を持つ
志布志商人百人塾のメンバーのこれからの動向が楽しみだ。