カレーとマグロ

神奈川県三崎市と
横須賀市に初めて訪れた。

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JR横須賀駅を降りると、
すぐに多くの自衛艦(だと思う)が停泊しているのが目に飛び込んでくる。

街を歩いていても、
あちこちで制服姿の自衛官に出会うし、
もちろん米軍が駐留しているので、
いかにも基地の町なんだと感じさせられる。

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あちこちでカレーライスの店が目立つのは、
旧海軍の定番メニューである
カレーで町おこしをしているようだ。

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次回は、時間の余裕を持って
歩き回りたい所だ。

   *        *

三崎は遠洋・近海漁業の基地であり
マグロ料理でも有名だ。

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今、中国をはじめとしてアジア各国でも
日本食の普及によりマグロを食べる人たちが急に増えて、
鹿児島県から中国向けに輸出が始まっている

051011maguro (三崎のマグロはつとに有名)
051011maguro_sashimi (マグロは日本の食文化そのもの)

今後、遠洋で日本とアジアの漁船がマグロを奪い合うことになるだろう。

中国の需要増で、石油や天然資源だけでなく、
食品でもコーヒーやナチュラルチーズの相場が上がっているという。

マグロやフグ、アワビなどもそのうち中国特需が引き金の
価格高騰が訪れるかもしれない。

ピンチと思うか、チャンスと思うか、である。

安中を訪ねる

群馬県安中市で講演させていただいた。

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(信越本線安中駅)

安中・高崎地区商工界の経営者の研修会
物流、製造、自動車、石油、金融保険、不動産、会計事務所など
多岐にわたる。

変化大きい中国・アジア情勢の現状と
北海道・東北や九州のような東京から遠い地方ほど
アジアとの関わりが密接であることをレポートした。

もちろん「ニッポンを売る!」がメインテーマである。

それぞれの分野で非常に関心を持っていただいた。

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(安中の郊外風景)

安中地区には、ケミカル関係に従事する企業も多く、
物流業とともに、最近の原油価格、石油製品価格の高騰には
少なからぬ影響を受けている
という。

研修会の会長のお話では、
石油精製などの技術や設備が不足する中国に対して、
軽油などの石油製品を日本から輸出しているので
日本の石油価格はなかなか下がらないだろうという
見解をご披露いただいた。

石油製品までが、日本より中国の方が高く売れるのだ

国内では、
しばらくは高値を覚悟しなければならないのだろうか。

特需といえば、先の台風13号で
台湾中南部が過去最大という農業被害を被ったのだが、
ここ群馬県嬬恋産のキャベツが
数十コンテナ(40ft)も台湾向けに緊急輸出されたと
現地の商社から聞いた。

日本国内では生産過剰となり、廃棄処分が重なったことにもよる。

8月末に台北に行った時、高級スーパーで
日本産の見事なキャベツの方が
台湾地元産の萎びたそれより安かったのを見て驚いたばかりだ。

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(JR高崎駅)

アジア各地でも、山梨をはじめ、千葉、群馬、茨城産の青果物や食品を
最近良く見かける。

東京大消費圏だけでなく、
海外にも関東のスグレモノが出回ってきた。

商業ベースの中国向けのナシ輸出が遂に実現

先月24日に、福岡県産のナシ2.5トンが
中国上海に向けて出荷された。

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(出荷を待つ上海向けの福岡県産のナシ)
*写真はいずれも福岡県提供

昨年も福岡県は、地元企業の支援でナシを上海に輸出した実績があるが、今回は、産地から農業団体、物流、商社、小売店のすべての関係組織が取り組んだ、初の本格輸出となった。

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(上海の高級デパートで販売される福岡産のナシ)

中国大陸への農産物輸出は、
限定的な輸入制度、未発達の商物流など数多くの難題を抱えていて、
テスト輸出や供与は出来ても、商業ベースの輸出となると難度が極めて高く、早くから輸出事業に取り組んできた福岡県も、中国大陸向けには2年越しの実現となった。

今回、輸出実現の大きな推進力となったのは、
JA筑前あさくらナシ部会とJA全農ふくれんの主体的な取り組みによるところが大きい。

「今年は、ぜひ私たちのナシを海外に輸出したい!」という年初からの産地の熱意は、ただならぬものがあった。

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(自慢の福岡県産の豊水梨)

福岡県の農産物輸出のトータルコーディネートは、
今年発足した福岡県農政部
「福岡の食・輸出促進センター」である。

促進センターでは今年、
輸出に関心を持つ、やる気のある産地を募り、
きめ細かいサポートを展開している。

海外の販路開拓も、輸入商社、および上海の高級デパートである久光百貨さんの協力を仰ぎ、商流を築いた。

産地側もJA組織が積極的に動き、品質チェックや梱包等にもに気を遣った。

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(輸出のために、産地が品質チェックに万全を期した)

また、今回特筆すべきは、海外輸送に航空機ではなく「上海スーパーエキスプレス」が使われたことである。博多-上海間を27時間で結ぶ高速貨物船で、RORO船と呼ばれるトレーラーごと積み込むことが出来る、いわば海上国際シャトル便である。鮮度とコストの両立が求められる青果物の海外物流において、日本で唯一、上海港との間で高速定期航路を持つ博多港のポテンシャルは非常に高いのである。

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(上海スーパーエキスプレスに船積みされる貨物)

つい数ヶ月前までは、あまりに立ちはだかる困難が多く、あきらめかけていた中国向けのナシの輸出が実現したことは、実に大きな前進である。

特に、生産者、農業組織、商社、物流、小売店、そして行政が有機的に連携したことの意義はとても大きい

関係者の努力に心から敬意を表したい。

今後、この輸出が継続できるのか、福岡ブランドが認知されるか、ナシ以外にチャンスはあるのか、など難題が山積している。

13億人のマーケットの入り口にようやくたどり着いたばかりだ。

高雄の変貌ぶりに驚く

およそ7年ぶりに、高雄に来た。

台湾南部の大都市、高雄は、
コンテナ取扱量でも世界第5位のアジアを代表する港湾都市で
台湾経済の発展とともに大きく変容してきた街である。

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(アジア物流の拠点-高雄港)

宿泊したホテルが85階建ての高層ビルの61階の部屋で、
その眺望のよさも見事だったが、単なる港町だと思っていたら
かつてのタイペイ(台北)を思わせるような規模に拡大している。

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(陸地にも広がる高雄の街)

商業の中心地には、日系百貨店の看板も目立つ。
伊勢丹、三越、そごう、阪神などなど。
大丸も今は撤退したが、店舗を構えていたという。

高雄の人たちは、とりわけ親日的な様子で、
出会った人は大方、心底日本びいきではないかと感じてしまう。
だから、食の世界でも日本製、日本産の商品は関心が高いようだ。

また、ここ数年、富裕層が増えたそうで、
高額商品のほとんどが、地元ローカルの顧客層が購買するのだという。

台湾のお金持ちは、確かにひと目でそれとわかる風貌の人もいることはいるが、暑い気候の土地だからか、服装や持ち物をみても庶民と変わらない人が結構多い。
普通のTシャツを着てハンバーガーなどをかじっているようなオジサンがベンツに乗って、すごい時計をしていたり、高級レストランやスポーツクラブなどに出入りしていたりする。
袈裟の良し悪しで、簡単に判断できないのである

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(ここにもいた台湾家族の団結力)

ちょうど25日の午後2時に、防空訓練と称する
市民総動員の避難訓練に出くわした。

14時の時報と共に、街を歩いている人も
デパートで買い物をしている人も、
決められた防空施設(シェルター)に非難するのである。

おりしも、中国でロシアとの共同軍事訓練の最中で、
すわ緊張か、と、妙に興奮したが、
今日の訓練は、年一回定められた定期的なもので
年中行事のごとく慣れた感じだった。

050826boukuu それでも、街には装甲車が走ったり、
戦闘機が高速道路に着陸訓練することもあるそうだから驚く。
平和になれた日本人には、にわかに信じがたい。

台湾には徴兵制もあり、地域によって様々なコストがあるもんだと考えさせられる。

コストといえば、高雄まで、農産物を運ぶとすると、運賃、積み替え、荷痛みなど地方独自のコストが発生するかもしれない。

これまでは、タイペイ、香港、シンガポールなど、
国際空港のある拠点都市で販売していたから、あまり意識していなかったが、高雄の街では新たな課題ができそうだ。

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(高雄市有国民市場にて)

それでもアジアでは、高雄までは十分にマーケット目標にしても良い都市なのかもしれない。

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(夜遅くまで多くの客でにぎわう六合夜市)

国際中枢港湾都市・志布志の底力に驚く

11日、鹿児島県志布志町の招きで、
同町の40名余りの元気人たちで構成される
異業種交流会の「志布志商人(あきんど百人塾
夏の定例会で話をさせていただく機会を得た。

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メンバーは、自営業、物流業、商店、農業、サービス、行政など多種多彩に及ぶ。
地場産業の国際ビジネスへの挑戦が今日のテーマであったが、講演後の交流会では、大盛り上がりというより静かではあったが、個別の懇談では会員ひとり一人が私に迫ってくる気迫を感じ、その意識の高さと秘めたる決意がテレパシーように伝わってくる。
こういう方たちは、往々にして実際行動に踏み切る可能性が高い。とても頼もしい。

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志布志町は来年1月の合併を控え、「志布志市」になる準備が進められている。慶田町長とは2度目の面会だったが、先だってまた中国にも視察をされており、相変わらず精力的に国際交流へも強い関心をお持ちだった。

ここ志布志は、太平洋に広がる志布志湾の奥にあり、西は大隅半島に連なり、東縁は宮崎県南部に接している。
歴史的にも中世以来の対外貿易の窓口港であり、江戸時代末期には、薩摩藩の密貿易の拠点でもあったという。

町の一角には、密貿易船から貨物を積み替えた小船がカモフラージュされた秘密の格納庫の跡(今は復元されていない)が発掘されたという場所があり、とても興味深い。
きっと、海外にも積極的に交流を図るという進取の行動力のDNAが、今にも息づいているのだろう。

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(地面を掘り秘密の水路に通じていて、屋敷で荷卸をカモフラージュしていたという発掘調査跡地)

志布志港は、コンテナの取扱量では、博多、門司港に次ぐ、九州第3位の中核国際港湾である。
特徴的なのは、畜産用飼料(トウモロコシ、稲わら等)の輸入港としては、鹿島港に次ぐ日本第2位の規模である。
畜産県鹿児島・宮崎への飼料供給基地として、年間240万トンの配合飼料を生産しているそうである。

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(急増する貨物に追いつけず、拡張が計画されている志布志港)

しかし、飼料の輸入量が大きい割りに輸出貨物が少なく、海外輸出に対する需要開拓は緊急の課題でもある。理想は畜産飼料を輸入して、畜産加工品を輸出できれば、貨物がバランスしていくはずだ。

関東・関西市場には遠くても、台湾や香港などアジア市場には、日本でもっとも近い港湾のひとつである。
海外こそ挑戦すべきターゲットであっても不思議ではない。
ただ、BSEや鳥インフルエンザの発生により、肉類の海外輸出には現在逆風だが、香港では宮崎産の黒豚肉がブランド品として扱うデパートもあり、可能性は十分にある。

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(林立する飼料工場のスケールは圧巻)

志布志港の穀物バースには、系統、商系の大規模な飼料サイロや加工場がいくつも連なり、しかも拡張中だと聞いて、そのスケールの大きさに本当に驚いた。BSEの発生で、国産牛の飼育が盛んになり、輸入飼料の需要が急増しているものと見られる。志布志港は、新たに水深14メートルの多目的ターミナルの整備がすすめられている。
農畜産物の輸出には、国際物流機能の有無は大きなポイントになる。

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(志布志町港湾商工課の川野さんに整備事業を紹介していただく)

秘めたる熱い志を持つ
志布志商人百人塾のメンバーのこれからの動向が楽しみだ。

中国四国地方の輸出促進連絡会に参加して

10日、中国四国農政局主催による
「地域農産物等輸出促進連絡会」が岡山市で開催され
私も参加させていただく機会を得た。

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中国といってもCHINAではなく、
中国地方の「ちゅうごく」である。

当地域は、
鳥取、島根の農産物輸出の横綱を擁し、
また岡山や広島、愛媛、徳島、高知などの
レベルの高い優良農産品を多く持つ
強県がそろう一大エリアだ。

中四国すべての県の輸出担当者、
各地のジェトロ所長、JA農業団体が揃い、
東京からは農水省輸出促進室ジェトロ本部からも担当官が参加され
官民のバランスが取れたメンバーが集まった。

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もう3回目になるというこの会合では、
国やジェトロの最新施策の紹介や各県の活動報告などがなされた。

私も時間をお借りして、
東アジア市場における農産物輸出の現状と課題について見解を述べさせていただいた。
各参加者とも、予定時間を超過するほど
非常に熱心に意見交換や情報収集を行ない、
その真剣さが感じられた。

20世紀梨の台湾向け輸出で実績を誇る鳥取県も、
昨年から難度の高い中国市場への参入に果敢にチャンレンジしている。

050810simane また、上海・台湾市場で積極的な販促活動を展開する島根県の担当者の報告は、大変勉強になった。

   

                            (上海で目につく島根産食品)

広島県・岡山県のチャレンジぶりも興味深い。
特に、ブドウ、モモなどアジア地域で人気の高い果物は
この両県が西日本を代表する産地だけに
今後の動向が注目される。

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(今が旬の岡山産ピオーネと清水白桃)

四国各県も、柑橘や野菜類、農産加工品のラインナップも豊富で、
やり方によっては、実績をあげることは十分に可能だと思う。

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(シンガポールで販売されている徳島産こまつ菜)

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(香港で売られている高知産かんしょ)

もっとも、鳥取県を除き、各県とも他の地域同様
輸出事業を始めたばかりで、
行政も農業関係者も本格的な輸出体制を構築するのはこれからのようだ。

生産・流通、物流の諸課題を克服し、
一日も早く成果を挙げてもらいたいと願っている。

上海で輸入果実のすごさを知る

福岡空港を午前10時発の便に乗ると
なんと上海には10時半に到着する。

時差が1時間あるためだが、
実際の飛行時間はわずか1時間半。
東京へ行くよりも短い。

しかも、この航空会社は、
同日午後6時上海発の復路便があるから
やろうと思えば、なんと
上海日帰りが可能なのである!

九州と上海の近さを肌で感じる。

肌で感じると言えば、今回の上海は暑かった。
連日33℃を超え、外出のたびに吹き出る汗を抑えるのに大変だった。

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(強い日差しの上海中心街)

ちょうど、台湾から福建省に上陸した強力な台風5号(アジア名:HAITANG)が接近していることもあって、時折、風も強かった。

いつもはガスやスモックがかかる上海の街も
久しぶりに青空が広がり、違った町並みを見せてくれた。

折りしも、18日より上海展覧センターで
「台湾農産品展示即売展」が開催された。

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(会場となった上海展覧センター)

今年4月に60年ぶりに国民党の連戦主席(当時)電撃的に訪中したが、それにタイミングを合わせるかのように、中国政府は台湾産の果物の輸入を全面的に解禁したのである。

これを広く市民・関係業界・報道界に広めるために
国務院、商務部、農業部などの主催で
台湾産果実の展示即売会が上海で開催されたのである。

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3日間の開催であったが、初日から会場は
解禁されたばかりの台湾の果物を目指して市民が殺到し大混雑した。
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マンゴーやパパイヤ、パイン、スターフルーツ、
スイカ、豊水梨、ブドウ、茶葉、蘭鉢などの生鮮物や
冷凍食品、水産加工品、菓子、健康食品なども展示販売された。

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(殺気すら感じるほど、台湾産果実を買い求める市民が押しかける)

一個70元(約900円余り)する巨大マンゴーや25元(約350円)のパパイヤなどが次々と売れていく。
初日からあまり売れ行きが良いので、こっそり値札を換えて値上げする業者も出る始末だった。
とにかく上海市民の新しい食品・海外産農産物に対する関心の強さと購買力に正直驚いた。
「日本産果実も、こうやって市場に並べることさえ出来れば、品目によっては決して売れないはずはない!」と、つい力が入ってしまう。

050724sakki (百元札が舞い、空箱が次々と積み上げられてゆく…)

しかし、現実には、日本産の果実は、リンゴとナシ以外は中国には輸出できない
過去の輸入実績に基づく、検疫上の問題というのが中国政府の理由だが、今回の熱帯果実の即決の輸入解禁を見てみると、複雑な思いもする。

とにかく、我々の商談現場では、貿易手続きの他にも商物流において気の遠くなるような障害が多く、現状では、多額の販促予算を持っているか、時間とコストをかけた取り組みが出来ないと、その多くが対中輸出には二の足を踏むことになるのが現状だ。
中国での販路開拓と同時に、日本国内での競争力強化に向けた取り組みにもなお一層の厳しい努力が求められる。

今回の台湾展示会で、
上海人消費者の購買力の潜在性を見せ付けられながら、
一方で様々な困難に直面し、暑さと共に卒倒しそうな気分に陥ってしまった。

私は、「農産物の対中輸出は、現状では絶対に発想転換が必要だ」と結論付けている。
これからが面白くなりそうだ。ファイティングスピリットが湧いてくる。

これまた折りしも、帰国日の夜、
中国政府が人民元を2.1%切り上げることを発表した。

切り上げは、「ニッポンを売る!」には追い風になるのだが、
それ以前に解決すべきことがあまりに多すぎて、
実際にはまだピンと来ない。

中国には、挑むもよし、また避けるもよし
すべては自身の思い次第だ。

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(今、上海では、ザリガニ(小龍蝦)料理が流行だとか…)

蒸し暑い東京で変化を感じる時

最近、海外や国内地方の出張が続き、
久しぶりに東京で一週間ほど活動している。
(東京はもともとホームグラウンドでもあります)

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新宿界隈

今回は、主にIT関連の事業のためだったが、
農水産品の輸出案件に関わるようになってから
普段の生活に新たな習慣が加わった。

それは、都心に出ると、必ずデパートの地下の青果物売場を覗くこと。以前は、人がごった返していて閉口していたのだが…。
わずか数週間のことだが、季節の果物や野菜がすっかり入れ変わっていて、季節の移り変わりが目に見えて判る。
“都会で感じる旬”である。

いま店頭に並んでいたのは、山形のサクランボや山梨の桃、
岡山のブドウに、佐賀のハウスミカンなどなど。
全国から選りすぐられた商品が所狭しと並んでいる。
最近は、国産青果物の産地表示をしているお店が多いから
判別がしやすい。

もっとも私が観察するのは
食欲を満たすためではなく、
情報収集と頭のトレーニングがもっぱらの理由だ。

この店頭に並ぶまでの物流や商流は?
都心のデパートに扱ってもらうための宣伝や工夫は?
ブランド戦略の有無、消費者の反応は?などをチェックしながら
これを海外で販売するにはどうしたらよいのだろうか?
とイメージを膨らませる。

アジアの量販店では、どうしても米国産や豪州産等の
リンゴやオレンジがドーンと積まれているが、
日本お店の品数の豊富さやディスプレイの多様さには、
独特の素晴らしさがある。

よく観察していると、やはりアジア系の人たちも
1000円前後の果物などを嬉しそうにかごに入れている姿を目にする。

このブログでもたびたび紹介している
国の輸出支援機関である「農林水産省輸出促進室」を訪ねた。

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先月6月末に公表されたばかりの
「農林水産物等輸出倍増行動計画」に関する内容など
いろいろと情報交換させていただいた。
農水省のホームページにも掲載されているから
ぜひ一度目を通して、国の支援事業の理解の一助にされてみては如何だろうか。

「農林水産物等輸出倍増行動計画」
http://www.maff.go.jp/yusyutsu/k_02/itiran.html

7日にロンドンで発生したテロの影響だろうか、
新宿や池袋、羽田空港など、都心ターミナルや交通拠点などでは
特別警戒をしているのが目立った。

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中国やアジア諸国では
このような警戒警備に遭遇するのは以前からも時々あったが、
日本でも世界でコトある度に緊張感を強いられるのも
「特別」ではなくなりつつある。

マレーシアを調査

先月末、㈱伊勢丹農水省輸出促進室JETROの協力を得て、
東南アジア市場における日本農産物輸出の可能性について、
現地調査のために、
マレーシア(クアラルンプル)、タイ(バンコク)、シンガポールを周って来た。

マレーシアは、人口2560万人のうち、
マレー系が約65%、中国系が25%ということで、
言わずと知れたマレー半島のイスラム国家であるが、
ビジネスとしては中国系富裕層が主なターゲットとなるようだ。

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朝3時におきて、クアラルンプル最大の青果市場に足を運んだが、
いずこも同じ、ものすごい活気だった。
飛行機から見た風景が一面ヤシとゴムのプランテーションだったので、
さぞや農産物も自国産ばかりだろうと思ったが、
意外に、タイ産や豪州産も多く、野菜は中国産も目についた。
輸入品も決して少ないわけではなさそうだ。

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一方、シンガポールやタイへも輸出される「キャメロンハイランド」産の高原野菜は有名だ。
市場の労働者の中には、バングラディシュなどからの不法移民がいるそうだが、いずれも財布を握っているのは中国系がほとんどだ。

話しによると、マレーシアでは、商売は中国・インド系、法律関係はインド系が幅を利かせているそうだ。この国のブミプトラ政策(マレー人優遇政策)は有名だが、最近では段階的に変化している傾向にあるという。

今日(8日)の日本の経済新聞に、
伊勢丹のマレーシア3号店が設立されるとの報道があった。

LOT10店、KLCC店共に食品・青果物も充実した品揃えで驚いた。
青森のリンゴや大分の大葉なども販売されていた。
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この国の食品売り場で目を引くのは、やはり豚肉の扱いである。
イスラムの人たちが忌み嫌う豚肉であるが、
信仰の異なる消費者のために、
「NON HALAL」という特別のコーナーに、
豚肉、ハムソーセージなどを扱っているのである。
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また、同店の食品担当の方に伺ったのだが、

「日本式の惣菜も人気があって販売しているのですが、
どことなく味に深みが無く、色も照りが無いんですよ。
なぜだか分かりますか?」となぞをかけられた。

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答えは、みりんが使えないからなのだという。
そう、ここではアルコールを食品に添加できないのである。
惣菜のほかにも、カステラなどの菓子類にも
添加剤としてのアルコールが使えないので、
注意が必要なのだそうだ。
国が違えば、というところである。

伊勢丹のある界隈は、
クアラルンプルでも最も賑やかな一帯であるが、
新たに最高級ブランドショップを集めた超モダンなショッピングセンターもソフトオープンしている。
ここは、香港や台湾にも匹敵する豪華さだ。
観光客、富裕層を狙ったビジネスが展開中だそうである。

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03年は5%強、昨年は7%強の成長(GDP)を遂げており
商業の方も好調なのだろう。

ただ、食品においては、
香港、シンガポールとは消費レベルが異なり、
関税など諸コストをそのまま算入するなど価格を高く設定すると、
販売が厳しくなることもあり、
輸出により「ニッポンを売る」ためには、
コスト構造にかなりの工夫が必要だろう。
一人当たりGDP(国全体)が4000ドル弱と中国沿海都市のレベルだ。

ジャスコにも足を運んだが、
ちょうどバイヤーズデー(お得意様招待日)ということも050708kljuscoあり、
館内はごった返していた。
買っている量も半端ではなかった。

周囲の道路も大渋滞を引き起こしており、
警察が整理に出動するほど。
その物凄さが想像できよう。

この国でも、製造業と並び、
商業でも日本人チャレンジャーたちが奮闘している。

滞在時間が短く、
ゆっくり街中を観察できなかったが、
新たな発見ができそうな印象で、
機会があれば、ぜひ訪れてみたい街である。

近い将来、中東・イスラム圏にも「ニッポンを売る!」ことにでもなれば、
この地は、貴重な橋頭堡にもなりえるのである。

アジアビジネス先進地「神戸」で

商談のために神戸に出張した。

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久しぶりの神戸だったので楽しみにしていたが、
商談に熱が入りすぎて、ゆっくり街を探索することが出来なかったのが残念。

神戸は大学時代の恩師の故郷であることと
福岡市と共通点が多いことから
私は前々から強い興味を持っている。
自分の故郷以外で、唯一住んでみたい憧れの街でもある。

同じ港町であり、商業・サービス業など第三次産業の集積も高い。
また最近、地震に見舞われたことでも共通している。

福岡市は、いま「21世紀の中華街構想」というビジョンを掲げているが、
神戸は、横浜と並びチャイナタウンの本家本元だ。

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(神戸・南京町)

今回商談に訪れた食品の輸出についても、
ここには輸出を行なう商社が多く集積しており、
「ニッポンを売る」商流の基礎は、東京・横浜に劣らない。

また、神戸市は、
アジアからの企業誘致、観光誘致にしても一日の長があり、
多くの面で見習うことが多い街である。

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(ポートライナーから神戸港をのぞむ)

そういえば、異人街周辺には、
台湾・香港からの団体旅行客で一杯で、
異国情緒ある風景に加え、
日本語よりアジアの言葉の方が多く耳に残り、
あっという間に海外旅行(出張?)している気分に浸ることが出来た。

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(異人館付近はアジアからの観光客で一杯)