どこの国も発展途上の段階では、
いかに優良な人材を海外や外資企業に供給出来るかがカギである。
以前から、ベトナム人は勤勉で真面目によく働くという
もっぱらの評判だったが、どっこい今も健在であった。
ここは工業団地にほど近い、
日系企業向けの人材派遣研修機関である。
もちろん日本にも研修生として派遣する窓口業務も行っている。
校内は、秩序正しい空気に包まれている、
校内の掲示板に反省文のコーナーがあるのには驚いた。
中には、日本語で書かれたものまである。
学生たちとすれ違うと、全員が立ち止って一礼し、
こんにちは!と笑顔で大きな声であいさつする。
実に気持ちがいい。
日本式の挨拶の効用を、ここハノイで再認識するとは・・・。
日本の若者をこそ、こんな機関で再教育しなければいけないと感じたのは、ひとり僕だけではなかろう。
ごみの分別など、日本に行っても戸惑わないように
実際にシュミレーションしているほどのこだわりようだ。
担当官に話を聞いたら、予想通り、
最近のベトナムの経済成長に伴い、
日本への研修を望む若者が頭打ちになりつつあるという。
中国もそうだ。あれだけ無尽蔵だといわれた
ワーカー人材が集まらないのが現状だ。
そこで中長期的な戦略として、この機関は
二つの方向性を掲げている。
それは、いずれ枯渇する研修生をミャンマー、ラオスなどの
次のフロンティアに求めることがひとつ。
ただこの戦略は法の壁があるなど、意外に難しいのだそうだ。
もう一つの比較的現実路線が、
ベトナム人材の質的向上、高度化戦略なのだそうだ。
企業ニーズに合わせて、礼儀や習慣のみならず、
専門技能等の養成にも力を入れていくらしい。
時代の変化に対応しなければ、
ビジネスはあっという間に淘汰される。