宮崎空港から北へ車で約一時間、
川南町に今年5月に運転を開始した
鶏糞焼却による発電システムを視察させていただいた。
(川南町ホームページより)
事業主体は、みやざきバイオマスリサイクル株式会社で、
地元生産者、ブロイラー会社、そして九電グループの
西日本環境エネルギー株式会社(本社:福岡市)の出資による。
畜産大国である宮崎県は、養鶏業も鹿児島県に次ぎ
全国第2位の生産量を誇り、年間約1億羽に及ぶという。
そこから発生する鶏糞の量も半端でなく、
これまでは地中埋設による処理で、
周辺環境や河川汚濁の原因のひとつとなっていたそうだ。
それを西日本環境エネルギーの技術により、
これをそのまま燃やし、その蒸気でタービンを回して、
出力約1万キロワット・住宅3千数百件分の電力を生み出すという画期的なシステムだ。
(プラント全景)
このシステムの素晴らしさは、
それまで環境に悪影響を及ぼしていた鶏糞を処理し灰にして
化成肥料の原料として再利用するのである。
集められた鶏糞を処理する委託費用、売電費用、灰の販売費用の三方面からの徴収から成り立つ仕組みで、とても注目に値する。長年の懸案であった鶏糞処理を一日400トンも処理し、電気エネルギーに転換し、そして残渣であるはずの焼却灰を、リンを豊富に含む肥料として、再度農業に再利用とする、まさにリサイクルシステムだ。
プラントも、核になるボイラーはイギリスの技術だそうだが、随所に西日本環境エネルギー社の応用技術が盛り込まれ、本家を凌ぐ実用的なシステムに出来上がっている。
さらに特筆すべきは、地元地権者、生産者、ブロイラー会社、県などの行政からも理解と大きな支援を受け、地域社会に大きな貢献をもたらすモデルプラントと認識されている事である。
単なるバイオマス発電プラントの建設に終わることなく、事業関係者が皆、その地の農林畜産業の促進など地域振興にもとても熱心なのである。宮崎県で発生する鶏糞の過半を処理しつつ、地元ブランドの農産物を国内外に販売することも視野に入れている社長のビジョンに私は心から敬服している。
地域のために何が出来るか、生産者のために何をすべきかを一歩踏み込んで考え、行動すること。
日本の、地方の進路がここにある、と私は考えている。