先回まで何度となく、バイクと
アオザイ姿と 変わりゆく現代女性の一コマを紹介してきた。
目にした若い女性のアオザイ姿は
スタイルもよく、優美で華やかなんだけど
なんか街角では浮いた存在のような気がしてた。
確かに、ベトナムの女性は美しい。
でも、そう言えば、
実は僕が美しいと感じていたのは、
あちらこちらで働くお姐さん、おばさんたちのことだったんだと、改めて気が付いたのだった。
何をすかした事言ってんだと思われようが、
ベトナムのどの街でもいい、一度でも
街角を歩いた諸兄なら、この感覚は共鳴してくれると思う。
食堂の仕込み作業を黙々と、ただ黙々と
移動なんでも屋さん
男性だって確かに働いてはいるんだけど
女性のひたむきで一生懸命働く姿に、つい心を奪われてしまう。
スコールが来たって何のその
どしゃ降りだって平気の平左。でもお客さんも雨宿りで通らない…
かといって、あまり悲痛で過酷な労働だっていう感じもしない。
僕らが豊かさと便利さを手に入れたのと引き換えに
なんか置き忘れてきた大切なものが
まだここには残っているっていう感じなんだ。
今後、この国も経済成長という過程を歩むのだろうけど
大らかに頑張るお母さんたちの働く姿は、アオザイと共に
これからも失わないでほしいと心から願う。
僕の無言の会釈に対して、笑顔で答えてくれた凛とした姿は忘れられない。苦労を重ねた末に平安をつかんだ世代だろうか。
働いていても、やっぱり美しさへの関心が・・・
近い将来、この働き者で明るい女性たちをお客様として
今度は僕たちが、ニッポンのきらりと輝く逸品を
売り込む時がまもなくやって来るだろう。
いや、もうすでに始まっている・・・。
重ねて言う、
僕はきっとこの人たちの笑顔が観たくて
またベトナムに来たいと思っているに違いない。
(シリーズ終わり)