蜀は食都 成都紀行(その1)

港に降り立った瞬間、
ムッとくるいつもの湿気に
ああ四川に来たんだなぁ」。

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(いつも湿度が高い成都の街)

年間を通して晴天日数はわずか25日ほどしかなく、
曇りや雨の日が多いため、本当に湿度が高い。

日本を発つ時はまだ14℃と肌寒かったが
ここはもう26℃にもなっていた。
とにかく蒸し暑い。

久方ぶりに四川省成都を訪れた。

我々日本人にとって、四川といえば、
パンダ、三国志、そして激辛料理だろう。

四川の人が辛い食べ物を好むのは、
この湿度の高さと大いに関係があるといわれている。
不調になりがちな身体の新陳代謝を促すためらしい。

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(四川の代表的激辛料理-「水煮魚片」)

確かに辛いものを食べた後には発汗し、
誰でも神経が高揚するように感じる。

気候や風土と食べ物は本当に関係が深い。

四川では、子供の頃から辛い食べ物に少しずつ慣らしていき、
10歳になる頃には一人前に激辛が食べられるようになるそうだ。
スゴい。

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ご存知「麻婆豆腐」。
突き抜ける辛さとヒリヒリとしびれる刺激は、ここ成都ならでは。
上海や香港・台北などで食べるマーボドーフは全く別の食べ物だ。

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写真は、麻婆豆腐の元祖と言われている「陳麻婆豆腐」の支店。
看板メニューの「金牌麻婆豆腐」の味は一流だが、昔の国営レストランを思い出させるほどの接客の悪さには閉口した。 

成都の有名レストランをハシゴしてみる。

特に「成都名小吃」と呼ばれる伝統惣菜には旨いものが多い。

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私の好物である「蒜泥白肉」(上)と「夫妻肺片」(下)。
辛さの中にコクのある味付けがたまらない・・・。

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実は成都もワンタン(抄手)が有名。
「龍抄手」はブランドになっている。

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四川に来始めのうちは
「地元の人と同じ辛さじゃなきゃつまらないッ!」
と意地を張る割には、どうしてもこの辛さを受け付けず、
ビールやお茶で一度シャブシャブと洗ってから口に運んだものだが、数日も経つとすっかり慣れて、辛くないと食べた気がしなくなるから不思議だ。

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本場の担々麺には汁がないのかと思いきや…

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下には真っ赤なタレが潜んでいた。

日本のラーメンと同じく、担々麺の本場成都でも店によって味付けや麺の種類などがかなり異なる。

とにかく四川料理の奥は深い

北京・上海・広東と並ぶ4大料理と言われる中でも、四川料理は香辛料や調味料の使い方などに独特の技が秘められている。

辛いだけではなく、複雑さや深みのある味付けは脳の記憶中枢に強く残る

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(成都の市場にて)

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(「麻(マー)」と「辣(ラー)」。唐辛子と山椒の組み合わせが特徴)

日本はもとより、上海や香港、台湾などでも本場同様の四川料理が食べられるところは極めて少ない。

本場成都を訪れることなくして、川菜(四川料理)を語ることなかれ、だ。

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四川系の新作料理 -ローストガチョウの皮とフォワグラ・マンゴーペーストのせは絶品だった。

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あまり知られていないが、昔から四川でもソバ(蕎麦)が食べられている・・・

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ただし、麺は弾力に富み、スープは真っ赤で酸味もある。
酢とラー油をタップリ入れた激辛韓国冷麺のよう。
ところ変われば、である。

本場の味を堪能するために、ぜひ一度成都を訪ねてみることをお勧めする。
中華料理好きなら、絶対に満足すること請け合いである。
(続く・・・)

テーマパーク化する中華街

年ぶりに横浜中華街を訪ねた。

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平日の昼間というのに多くの団体客やカップル、家族連れで一杯。

以前から中華街は人出の多いところで、
土日に行ったら歩くスペースもないくらいだった。

その後、長期不況もあってしばらく停滞する時期があったと聞くが
この日見る限り、そんなことはない様子だ。

街全体が生まれ変わっていることが実感できるのである。

先回のエントリで、アメ横でアジア人観光客が急増していることを紹介したが、中華街もそうかと思ったら、日本人が圧倒的に多いのである。
しかも老若男女、団体・個人さまざまな訪問客を迎えている。

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つまり、アメ横は売っているのが日本人で、買っているのはアジア人であるのに対し、中華街では訪れるのが日本人でそこで働いている人のほとんどが中国人なのでまるでどこにいるんだか分からなくなる。その中国人というのも二世・三世の華僑ではなく、中国からの就労者や留学生アルバイトが多い。たどたどしい日本語が面白い。

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(売り子さんの多くが中国人!?)

地下鉄も渋谷から直接乗り入れるようになり、確かにアクセスが便利になったことも大きいだろう。
しかし、街づくりにも熱心に取り組んでいるし、昔の閉鎖的なコミュニティー特有のあのワクワク感というよりは、外からも受け入れる開放感が感じられ

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(オープンしたばかりの横浜媽祖廟

関帝廟に続き、今年立派な「媽祖廟」も完成し、またひとつ立ち寄りスポットが出来た。そういう意味では、以前は本格中華料理を食べに行くところ、他では売っていない食材を手に入れるところというイメージだった中華街も、飲食はもとより、雑貨や土産店を冷やかしたり、中国寺を詣でたり、占いをしてみたり、と単店舗目的ではなく、街全体の回遊性が高まり、さながら入場無料のテーマパークを散策しているよう。また、年間を通してイベントも企画されている。

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(イベントの呼び込み?)

20年前、私が横浜中華街の貿易商社協議会の皆さん方と貿易促進のお手伝いをしていた頃の社長さんたちは、今中華街のさまざまな組織の会長や顧問としてますます活躍されている。当時も日中貿易にはさまざまな障害があり、会社の利害を超えて数多くの難題を解決してきた。今の反日騒ぎどころのレベルではなかった。貿易そのものが出来なくなるほど、当時は中国の政治情勢や社会混乱の影響をいつも受けていたのだ。それでも、いつ私が訪ねても中華街の皆さんは快く迎え、共に汗を流していたことを懐かしく思い出す。

それにしても中華街散策は益々面白い。
特に目に付いたものは、肉まんや焼売など点心類のテイクアウトだ。持ち帰りやその場で歩きながら食べるなど随分と消費の姿も変わった。

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(ディズニーランドの家族連れと変わらない)

また占いも大変な人気で、女の子だけでなく若い男の子が集まっていたのは興味深い。

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他に、足つぼやエステなどの癒しマッサージ系、食べ放題、麺食、開運グッズ、健康ハチミツなども人気が高い様子だった。

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(開運ストラップも人気)

危機感をバネに常に挑戦と革新を続けていくことが発展のために必なのだ。
変革なき組織や地域が長期にわたり存続し続けることはありえない。

伝統を受け継ぎ、それを現代に生かしながら自己改革していくことが、地方ではいま特に求められている。

横浜中華街には熱い想いを持つ行動派が何人もいるのだろう。大いに参考になる。

アメ横に続き、ここ中華街も観光誘致、企業誘致、物産振興のアイデア満載の宝箱だ。

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(中華料理の七つの味は・・・)

日本でわかるアジア人の嗜好

東京でまとまった数の外人に出会うとなると
少し昔までは六本木や品川など港区と相場が決まっていたが、
今確実に、しかもアジアの人たちと出会おうとすれば
秋葉原かアメ横に行くのが一番手っ取り早い

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桜の満開を過ぎた上野公園ではなく
フラリとアメ横に立ち寄ったら、
いるわ、いるわアジアの団体ツアー客や常住者らしき人たちが
大勢買い物をしている
ではないか。

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もしかしたら日本人より多いんじゃないかと思うくらいの比率だ。

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(立ち止まって観光ガイドブックで場所を確認)

耳を澄ませば、韓国語、広東語、台湾語、北京語、タガログ(フィリピン)語、タイ語が聞こえてくる。

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それにしても旺盛な購買欲だ。これは最近、上海やバンコクなどの食品スーパーで見た光景とどこか似ている

変な人だと思われないよう彼らが何を買っているのかをコッソリと観察する。

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宗谷産干し貝柱、ドンコ椎茸、水産珍味、ワサビ味の豆菓子、うなぎ蒲焼、タラバガニ、イクラ、イチゴ、健康茶などを買っている。

海苔屋では、台湾人と思われる若い女性の二人連れが、家で寿司を作りたいからと英語で交渉して、寿司用海苔をまとめて数帖買っていたのにはビックリした。寿司がアジア人家庭にも入り込んでいるのだ。

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(家庭で寿司を作るらしい・・・)

ほかにもいろいろ興味深い消費行動をしていたが、 紹介はいずれ別の機会で。

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(電卓片手に値切り交渉は当たり前)

またここでは、食品だけでなく時計やアクセサリー、化粧品、薬品、ハローキティーのキーホルダーや携帯ストラップなども売れていた。

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何もいちいち海外に行かなくても、日本国内でテストマーケティングをしているようなものだ。アジアの華人や韓国人がどんな日本食材を求めているかを知りたければ、一度アメ横に行ってみることをお勧めする。

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継続性と革新性と

4月は言わずと知れた新年度の始まりの季節で、
多くの組織で人事異動が起こる。

一般的に2年か、長くて3年で人事が変わることがあり、
最近は数値目標などが設定された事業もあり、
日々、緊張感を求められることが多いが、
せっかくチーム内にそのノウハウやネットワークが培い始め、
さあ、これから、と言うところで人事異動することが多い。

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(桜の季節は異動の季節)

後任はまったく別の部署から配属されることが普通だから
振り出しとまでは行かないまでも、事業が巡航速度に戻るまでしばらく時間がかかるのは避けられない。

特に、新規事業やこれまで前例のない挑戦的な事業には、チームスタッフの「熱い想い」に支えられていることが多いからなおさらだ。

また、事業対象やパートナーがいる場合は、相手方が困惑することもあるので注意が必要。

それを少しでも回避するためにも、極力引継ぎをしっかりと行ない、十分に情報を伝え、継続性を持たせることが重要だ。

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(文京区小石川・播磨坂の桜並木)

しかし一方で、後任担当者が、全くの継続性踏襲ではなく、異なる視点から事業を組み直し、独自の方法論を用いることによって、事業がステップアップされることがあるから、この流れを封じては決していけない。

革新的な成果が生まれるのもこういう時だ。

ただし、これはあくまで正確な判断力や分析力、行動力がそろった場合。プロジェクトチームの親和性が加わると、さらに面白い結果が生まれる。

悪しき前例主義は、変化激しい昨今、何も対応できなくなる。
築き上げた基盤の上に、いかに新しい息吹を吹き込めるかが重要で
その意味では、変化は常に飛躍のチャンスだ。

私も4月は、仕事の進め方をリモデルしようと思う。

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(4月はスタートのとき・・・)