富士宮やきそば、八戸せんべい汁、姫路おでん、高砂にくてん・・・。
いま全国的に注目されているこれらのメニューを、皆さんはご存知だろうか?
先ごろ福岡県久留米市で「第3回B-1グランプリ」全国大会が開催された。
Bとは、B級グルメのことで、地方に根付いた安くて結構旨い庶民派の食べ物のことを指している。
言い換えれば、ローカル・ソウルフードとでも呼べるものだろうか。
この日、農商工連携の九州地区第一号案件に見事認定された
元山(がんざん)という会社の皆さんと一緒にこのB-1グランプリの会場を訪ね、情報収集したり現場研修をしようと集まったのだ。
私も独立行政法人中小企業基盤整備機構の農商工連携プロジェクトの担当マネージャーとして、元山社の商品開発、販路開拓のお手伝いをしている。
参加客の投票によってその年のグランプリが決まる
開幕の日の午前中というのに、市内に展開している3つの会場はすでに大勢の人手でごった返していて、チャンピオンの富士宮やきそばと浜松餃子はすでに完売してしまったというハイペース。
初日の朝なのにもう完売!?
僕は、とにかくメモ帳とデジカメを持って、各屋台ブースを見学しまくる。
富士宮やきそばの地元経済波及効果はなんと217億円だ
さすが2年連続王者の風格
やきそば、おでん、ホルモン、カレー、餃子など、全国の有名庶民派グルメが一堂に会して、その腕を競うとあれば、皆一度はぜひ食べてみたいと思うだろう。
う~んッ。一度口いっぱいに頬張ってみたい
親子連れ、カップル、にわかグルメ専門家などが多数集まり、街中が熱気に包まれた。
僕ら「研修班」の今回のテーマは、味見や商品開発はあえて無視して、各ご当地グルメがどのようなストーリーで、どんな元気人たちが地域活性化のためにアクションを起こしているかについてのただその一点に絞って観察をした。
すべての店の前で立ち止まってそのストーリーを“学ぶ”
北は北海道・富良野から、南はご当地九州・久留米まで、実に様々な土地からやる気満々の仕掛け人たちが集っているのだ。
額に流れる汗も拭かずに一所懸命ソバを焼いたり、揚げ物のフライヤーと格闘しているご主人に、迷惑も顧みずにその土地の素晴らしさについて訊ねまくる。
熱心に観察するIさん
埼玉県行田市から来たゼリーフライのご主人もそのひとり。
ゼリーフライ???
あのふにゃふにゃした甘いスイーツを油で揚げるの?
いえいえ、おからに野菜や馬鈴薯を混ぜた衣の薄いコロッケのようなもので、小判(銭)の形をしたフライがゼリーフライと訛ったらしい。
行田では、かつて足袋の生産が盛んだった頃の手軽なスナックだったことや埼玉県の語源となった埼玉(さきたま)の遺跡の話など、とても面白い街のストーリーを伺い、俄然興味を持った。
そもそも僕はこれまで行田市がどこにあるのかも知らなかった。
あの最高気温40℃で有名な熊谷市の手前だと教わった。
このように、ゼリーフライのおかげで、九州の人々に行田市の歴史や風俗などを、B級メニューを通じて認識することが出来るのだ。
このご主人は、言ってみれば素晴らしい民間外交官なのだ。
ニッポンを売ってますねえ~ッ!!
ほかにも横手市や太田市、各務原市、黒石市など、比較的なじみの薄い街のことを知るチャンスとなるのだ。
各務原ってなんと読んで、何処にあるのか知ったよ。
うわぁぁぁ~ッ。温まりそう!
公共投資や行政府にばかり頼るのではなく、地元の有志がムーブメントを起こし、自分たちの力で街の情報を発信していく。
おぉぉ~ッ。オバマ(福井県小浜)Tシャツ見参!!
地方の閉塞感が強い昨今、これからの時代にふさわしい取組みのモデルがあちこちに生まれている証拠である。
人に頼るな、自分で動けッ!
慣れたフィールドを飛び出して、
外に向かってッ!!
それが地元に人を呼び込み、地域を守ることにつながるのだ。
外向きの行動が変化を呼び起こす良い例だと思う。
自分が動けば支援者が集まる。ひと昔なら当たり前だったことが、ようやくわが国でも王道となりだした。
ハイテクでも、ナショナルブランドでも、高級こだわりグッズでも、
舶来品でもなく、あくまで地方のB級の時代なのだ。
会場は熱気に包まれた
これからの時代を生き抜く新たなヒントが見えてきたような気がするゾ。
自分で考え、行動する。
その上で、行政や外世界の知恵や資源を有効活用することも忘れずにッ。
チャレンジ精神とやる気のある人たちにとっては、とてもエキサイティングな時代が到来したのだ。
ふるさとマイラブ だねッ
ため息ついて下ばかり向いて人頼みばかりしてないで、前を向いて自分の足で一歩を踏み出そう!
(次回に続く)