水産と柑橘の王国で

   
愛媛県宇和島市を訪ねた。

   
松山から特急列車で約1時間半。

   

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車窓から

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車窓にはリアス式の入江が続く海岸側と
収穫後の柑橘の樹が青々しい急斜面側とのコントラストに心を奪われながら初めて訪ねる宇和島駅に滑り込んだ。

   

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駅前通りの背の高い熱帯樹が印象的だ。

   

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この日は少し肌寒かったが、もともと温暖なところなのだろう、街中にソテツや椰子の樹が植えられていて、南国の風情が漂っている。

   
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市役所の正面玄関にも立派なソテツが

   

宇和島市とジェトロ愛媛貿易情報センターの共催で
農水産物輸出セミナーが開催され、地元や県内から多数関係者が集まり、2時間にわたり熱心に情報交換を行なった。

   

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愛媛県といえば、昨年来、特に台湾でミカンをはじめとする柑橘類の輸出開拓活動が活発で、高級百貨店やスーパー、卸売市場などでよく目に付くようになった。

   

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台北の百貨店で

   

特に化粧箱入りの高級ミカンは愛媛県産が、九州産と並び活発に取引されるようになった。

    

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台北のある青果商は、昨シーズン愛媛県産高級ミカンを、一社で4000ケース以上も得意先に外商したという。

    

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台北の卸売市場で売られる愛媛産ミカン

   

全国的に有名な柑橘類や水産品、真珠などの海外輸出に大きな関心が寄せられた。

    

愛媛県、およびジェトロ愛媛による支援体制もしっかりとしていて、今後の動向が注目される。

   

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そう言えば、メジャーリーグに挑戦するヤクルトの岩村選手も、ここ宇和島の出身だったのだ。

  
スポーツ界でも、今年「宇和島から世界へ雄飛する」のだ。

        

宇和島といえば、美味しい特産品が数多くあることでも知られている。

    

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柑橘類の王国であることは言わずもがな。

    

まずは、なんといっても「じゃこ天」。全国的にも有名な一品だ。
     

詳しくは、私の師匠のブログでご堪能を・・・。

http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2005/06/with_3_1.html
(やまけんの出張食い倒れ日記・愛媛編)

    

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このブログを見て、じゃこ天がちりめんじゃこから出来ているのではないことを知り、一度ぜひ地元で食してみたいと念願していた。
   

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また、新鮮な魚介類や豊富な農産物を使った郷土料理には驚いた。

  

地元でセイと呼ばれるカメノテや、チャンバラガイという変わった付け出しに感激。

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右がセイで、左がチャンバラガイ

      

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太刀魚の巻焼き。

見た目ほど濃厚な味付けでなく、太刀魚の旨みを堪能できる逸品だ。

    

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全国に鯛めしは数あれど、
炊き込みではなく、出汁と生卵、調味料で和えた新鮮な鯛の刺身をご飯の上にかけて豪快に食べる宇和島の鯛めしは絶品!!

    

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さつま」と呼ばれる変わった名前のぶっ掛けご飯に2度感激。
  

魚のすり身を味噌で溶いた滋味豊富な出し汁をかけて頂く。満腹のお腹にもズルズルと入り込んでいく・・・。

    

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ふくめん」と呼ばれる色鮮やかな逸品。

中に細切りのこんにゃくが隠れている。

   

また、宇和島といえば、闘牛が有名。

   
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いちど、ぜひ観てみたい。

  

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牛鬼

     

東北の雄・伊達藩を受け継ぐ宇和島の歴史には幕末期にも輝きを増し、開明的だった伝統の一部を垣間見ることができる。

     

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宇和島歴史博物館

    

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名勝  天赦園

    

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宇和島は、しっとりと情感ある街。

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歴史と文化に彩られ、人情あふれるこの街には、
間違いなく「」がある・・・。  

   

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昨年の農産物輸出実績

          

昨年(平成18年)の農林水産物の輸出実績(速報値)が公表された。

         

農林水産物全体の輸出額は対前年で+13.0%増加し
3,741億円になった
という。

    

このうち
農産物は+9.9%増加し1,947億円
林産物は-1.5%減少し90億円、
水産物は+17.7%増加し1,703億円となっている。

      

輸出先上位国・地域は、
     
1位が米国で662億円、2位が香港で610億円、3位が中国で585億円、4位が韓国で493億円、5位が台湾で408億円、6位がEUで192億円、7位がタイで188億円、8位がシンガポールで84億円の順。

   

近年中国の伸びが目立っているようだ

       
近年輸出額が増加している具体的な品目としては、

(援助米を除く)(4億円、13年比+497%)
ながいも(18億円、13年比+172%)
りんご(57億円、13年比+929%)
もも(4億円、13年比+4,558%)
緑茶(31億円、13年比+266%)
菓子(100億円、13年比+163%)
丸太(4億円、13年比+662%)
さけ・ます(177億円、13年比+452%)
さば(127億円、13年比+2,478%)
かつお(50億 円、13年比+205%)
ホタテ(102億円、13年比+186%)
    
などが挙げられている。

       

5年前に比べて大幅に伸びている品目があることがわかる。

   

絶対額で言えば、これからの品目が多いが、
昨年、全国の挑戦者たちが努力した成果も含まれる。

        

瞬間風速でなく、着実な実績となって欲しい。

   

(資料出所:農林水産省国際部)

      

正月の大フィーバー(その1)

         

中華圏では、新暦の1月1日ではなく
伝統的に旧暦正月を祝う習慣がある。

   

今年は2月18日が旧暦の元旦に当たる。

         

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上海の目抜き通りで

     

出身地を遠くはなれ都会に仕事に出たり、
移民や仕事・留学のために世界中に散っている家族たちも
この季節は生まれ故郷に集合するのだ。

     

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香港の花屋で

        

旧正月(春節とも呼ぶ)の一週間前となると、中国・香港・台湾などどの都市も歳末の買い出しで街中ごった返していた。

   

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台北の市場で

      

感覚としては、普段の週末の混雑のそのまた2倍という感じだろうか。

     

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台北の店先で

   

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めでたい言葉を掲げる  台北

      

一気に街のいたることころに正月の飾りつけが施され、
中華圏ではおめでたい色である朱赤色の装飾でイッパイになる。
      

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ホテルでもこのとおり  台北で

    

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香港でも

   

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下着ショップもこの時だけは赤一色・・・  上海で

   

商店ではギフト用の商品が高く積み上げられ、
増員された店員やアルバイトが声を枯らして売り込んでいる。

    

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台湾の正月用品(年貨)市場で

   
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香港の百貨店でも売り場が一変する

      

豪華に見えないギフトは売れないから
パッケージの色も派手になる

   

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日本とは明らかに色使いが違う   台湾にて
          

        
もちろん中身も重要だから、日本製の食品や飲料、酒類、健康食品も健闘しているようだ。

    

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台湾中部の高級店にて

     

この時期に大いに高額商品が売れるのだ。

   

また、飾り物や食べ物などの正月用品を中国では「年貨」と呼び、庶民はこの時とばかりに抱えきれないほど買い込む。

   

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台湾ではあちこちで「年貨大街」が設けられる

     

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正月飾りの屋台が沢山でる  台北

   

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おつまみ、キャンデー、ナッツ類も食品の年貨

  

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鮮やかな色が眩しい台湾の正月飾り

  

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カゴ一杯に買い込む  台北

  

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ポチ袋だって年貨   上海で

    

待ちに待った年一度のイベントだけに家族みな賑やかで楽しげでもあるが、日本と同様、慌しくて大変だ。

  

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コンビニでも  上海

   

師走”に類するような言葉はないのだろうか?

    

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香港の花屋で

     

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上海のホテルの装飾

     

    

美味しいお茶の淹れ方知ってます?

   

福岡県八女市21世紀茶業青年の会の研究会が開かれ、私も招かれて参加させていただいた。

   

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八女といえば高級緑茶「玉露」では全国的にも有名な産地であり、八女茶ブランドとしても確立している。

 

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地元の青年の皆さんたちと一緒に、海外の市場開拓・マーケティングについて研修した。

  
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講演の後、「おいしい緑茶の淹れ方選手権大会」が開かれ、私も志願して一選手として参加させていただいた。

 

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5名の選手がひとつのテーブルに着き、各々グラム3000円もする玉露を同じ茶器で自分流に最高の淹れ方で5杯に分けて入れてから、自分の番号の上に置く。

  

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自分で淹れた後、隣のテーブルに移り、同じように淹れられた異なる選手の5杯の玉露を飲んで、今度は審査員として一番美味しいと思う番号を投票するのである。
    
もちろん、誰が淹れたのかはわからない。

  

私以外は、緑茶生産者や茶商の青年やJAの緑茶担当者であり、その道のプロである。

   

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中には日本茶インストラクターの資格を持った人や手もみ技術で全国大会を制覇したツワモノまで何人もいる。

   

私も一応、常識として玉露は入れる温度がとてもナイーブで、人肌くらいに冷ましてから急須に入れることくらい知っていたはず。

     

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まずは茶器を十分に暖める・・・

    

気合を入れて試合に臨んだ。

     
しかし、温度計がある訳でもなく、頼れるのは自分の経験とカンだけ

  

廻りはじっと腕を組んで待っているのに、私だけ辛抱しきれずに急須にお湯をさしてしまった。

        

その後もしばらく他の4名はジッと動かない・・・。
   

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腕組みしたまま微動だにしない

    

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その間の時間の経過がなんと長かったことか。

  

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5人それぞれが淹れた茶碗の中の玉露の色を見たら一目瞭然だった。

  

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完敗・・・・・。

   

私が淹れたお茶は、色も悪いし、冷めると一遍に風味を無くして不味くなってしまっている。

   

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隣のテーブルの審査

    

初戦敗退である。

   

トホホ・・・   

勉強し直します。

    

    
それにしても、私が審査したテーブルでも
5杯5様で、すべて色も香りも味も違った。

    

甘さ、旨み、渋み、あと口・・・

上手に淹れられたお茶は冷めても美味しいのだ。

   

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いや、冷めた方が違いがはっきりしてしまうほどだ。

  

なんて奥が深いんだろう!!?

 

俄然、お茶に対して興味が湧いて来た。

  

茶葉の分量、湯の温度、浸出時間、茶器の暖め方、そして心を込めて・・・

     

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知性と精神性の両方が求められるのだ。

    

このような競技(?)をぜひ大消費地や海外でもやってみてはどうだろうか?

     

いっぺんに高級緑茶ファンが増えるはずだ。

 

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実は裏方の準備がとても大変なのだ

   

お茶席の抹茶も代表的な日本文化だけど、生活に根ざした美味しくお茶を頂く技法としても日本人の文化を再発見することができる。

  

ワインやコーヒーもいいけど、緑茶もいいぞ。

   

最近、料理の出来る若い男性が女性の間でモテているというが、

世の女性の皆さん!

「日本茶を美味しく淹れられる男性って素敵ッ!!」

と合唱してくれないだろうか。

    

きっと男たちはマイ急須などを持って研究に没頭するに違いない。

    

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ペットボトル全盛の時代、お茶を美味しく淹れられる男性を、私は本当にカッコいいと思う。

       

もちろん女性もとても素敵だ。

        
バレンタインやホワイトデーにはチョコレートもいいけど、八女玉露のリーフ茶なんてのはオシャレじゃないかなあ。

   

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特別に「水出しの玉露」というのを頂いたが、最高に美味しかった。

   

   
それにしても、八女地区の緑茶生産者の青年たちは皆イケメンぞろいで驚いた。

   

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このまま渋谷の街を歩いても何ら違和感のないような、ルックスもいいし素直で明るいイイ男たちばかり。

   

輝いて見えるだ。

   

この茶業青年の会は40歳が定年で、会員が90余名いるそうである。

   

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それだけ若い後継者に恵まれている産業なのだろう。

   

自然を相手にモノ作りする青年は、これから地球レベルで物事を考える時代、もっとも先端を行くリーダー達なのだ。

  

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優勝者の表彰  「おめでとう!」

   

ぜひ大きな志を持って、これから世界を相手に飛躍して欲しい。

  

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福岡県は今、緑茶の海外輸出に向けて着々と作業をすすめている。

    

産地青年たちの行動が始まれば、きっと面白い事が起こせると思う。

     

           

車販売でも日本を抜いた中国

   
新年早々、あるニュースに目が留まった人もあるだろう。

    

昨年の中国での自動車販売数が日本を上回ったという記事である。

   

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上海にて

    

中国汽車(自動車)工業協会の発表によると、
2006年の中国製自動車販売台数が、前年比25.1%増の721万6千台だったと発表した。

    

輸出を差し引き、輸入車を加えた正味の国内販売台数は約715万台で、日本の約574万台を抜き去り、堂々の世界第2位の市場となった訳だ。

   

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今年は800万台を越える見通しとされる。

    

ちなみに、米国は1,655万台と圧倒的な自動車大国だが、中国が1000万台の大台に乗るのは、上海万博が開催される2010年には実現しそうだ。

    

参考までに、中国の昨年の生産台数は、前年比27.3%増の728万台で、ドイツを抜いて、アメリカ、日本に次ぐ世界第3位になったとみられている。

    

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空港を結ぶ高速道路

     

     
今回も、上海の浦東国際空港から市街につながる数十キロの高速道路沿いにそびえる大型の広告は世界各国の自動車のものばかり

     
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日本車

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ドイツ車

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アメリカ車

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韓国車

    

少し前までは、工業開発区や不動産の広告が多かったはずだが・・・。

        

街を歩くと自動車の洪水だ。
   

     
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観ているだけなら壮観な眺めなのだが、
実際にビジネスで移動するとなると、街中渋滞だらけでまったく時間が読めなくなってしまった。

  

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歩いた方が早い??

    

中心街では、移動手段としての自動車はもう期待できなくなりつつある。
   

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昼間は慢性的な渋滞の上海  

    

90年代のタイのバンコクを思い出させる。

  

また、夕方にもなるとタクシーも拾えない。
   

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タクシーの台数は結構ありそうなのだが、市民が移動の足として気軽に使うようになり、繁華街などでは奪い合いなのだ。
     
バブル時代の新宿や渋谷がそうだった。

    

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また、以前の中国は、一定の訓練を受けた職業運転手ばかりだったが、今は普通の市民が運転するようになったから、交差点や車線変更などで危なっかしいこと極まりない。
   

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もちろん排気ガスのことを考えると大気汚染や温暖化のことが心配だが、日本人や欧米人ならいいが、中国やインド、ロシアの市民が自家用車の便利さは享受してはいけないという理屈はないはず。

   

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なんとか技術革新で環境対策を急ぐべきだろう。

  

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自動車や住宅は、経済牽引の役割を果たすものであり、その国の経済力を如実に反映している。

          

    
中国にもいよいよマイカーブームがやってきたようだ

   

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上海の高級ショッピングモールでは、新車のプロモーション活動も。

    
ライブ演奏も花を添える・・・

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市民のライフスタイルも大きく変化していくことだろう。

    

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中国の車社会はどこへ向かうのだろうか?

              

一転、寒波襲来の上海で

    
暖冬傾向といわれた上海でも、突然の寒波に襲われ
街を歩く人たちもご覧の通りの重装備となってしまった。

      

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私の記憶では、以前は上海でも気温が零下に下がったり、雪が降ったりしていたはず。

   

黄河以北の北方はボイラー暖房が普及しているし、
国から配給される練炭などで家庭でも暖かいが、
上海はこの配給がないので、10年ほど前までは一般家庭には暖房機が無く、真冬の季節は家の中でも分厚い綿入れやオーバーを着込んで、背を丸く縮めながらテレビを見ていたのを何度も目撃した。

    

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朝の路上で

   

「上海はハルビン(中国最北の省都)より寒いよ」などと笑い話になっているほどだった。

   

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繁華街のショーウインドー

   

そう言えば、最近はあまり寒いと感じた事がなかったのは、てっきりエアコンや暖房が普及したためだと思っていたら、やはり暖冬が続いているらしい。

    

暖冬と言えば、最近、どうしても環境変化、異常気象との因果関係を考えてしまう。

   

今回、上海市人民政府の環境政策主管部門とプロジェクトに関する協議も行ったが、責任者の話によると、上海市の経済運営は今年は大きな転換点という位置づけになっている。   

     

去年から始まった第11次5カ年計画では、それまで14年連続二ケタ成長を続けた上海の国内生産額を、今年は9%台に押さえ込むと宣言しているのだ。

   

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経済発展優先から調和社会への転換は、果たして可能なのか?

    

大気、水質、ゴミ廃棄物、緑化、食品衛生など多方面にわたる具体的な施策を紹介してもらった。

  

これらの技術・ビジネス分野でも、今後は日中の「相互依存」「協力関係」が求められている。

   

成長路線からバランスの取れたエコ社会(中国語で生態社会)への転換が実現できるかどうか、いま正念場を迎えている。

   

それにしても、今回は寒い。
      
しばらく外を歩くと手がかじかんでくる。

  

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30年前の冬の上海を体験している者としては、ある意味で懐かしく感じた。

    

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早朝の公園で

    

   

一日の仕事の終わりに、上海風味の暖かいスープが冷えた体を温めてくれる。
    

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日中の日差しで、一斉に洗濯物の花が咲く・・・
  

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