追い風?向かい風?

   
今日の関東地方はもの凄かった。

   
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地上60階から観た関東平野

      
平年より9日遅れの春一番が吹き荒れたのだ。
春一番と言えば、文字通り春の訪れを告げる季節の風物のように思えるが、とんでもない! 台風並みじゃないかと思うほどの強風だったのである。

     
立って風上に向かって歩けないほど。
   

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東京の北西部では畑の土が舞い上がり黄砂のように一面がまっ黄色。

   
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細かい砂埃が容赦なく目や鼻から突き当たってくるからたまらない。
    

鉄道ダイヤまで大幅に乱れるくらいだから、ホントに凄かったのだろう。

    
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西武線沿線で 

     
        
ころで、20日から22日まで東京ビックサイトで
2008スーパーマーケット・トレードショーが開催された。
    
      
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バイヤーや流通、食品などの関係者約7万人の来場が見込まれる本格的な展示商談会で、会場は熱気に包まれていた。
     
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フードショーなどと違って一般来場者がほとんどいないので、プロの関係者がじっくり商談できるイベントといえる。

    

実は、今年から地域資源活用プログラムの事務局でも専門コーナーを設け、認定された全国の企業が出展して積極的なプロモーションを行なった。

   
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私がお手伝いしている企業も3社参加し、プロのバイヤーの眼に適うかどうかチャレンジしたのである。

   
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おりしも中国冷凍餃子問題が発生し、食品・流通業界に大きなインパクトを与えた直後だっただけに、流通バイヤーは全国に埋もれている優れた商材を発揮しようと地方の食材、食品に対して、いつもより増して真剣に情報収集している様子を肌で感じ、これはスゴイ追い風になるかもしれない、と強い手ごたえを感じた。

   
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さっそくチャイナフリー(中国回避)を前面に押し出してきた・・・

    

同時に、食の安全性、トレーサビリティー(記録性)や情報の公開性(アカウンタビリティー)、法令の遵守(コンプライアンス)に対する需要家の要望はこれまでになく厳しく、単に素材のこだわりや国産の良さなどを工夫なくアピールするだけではとても相手にされないな、と逆風にもなりかねない厳しさも身にしみた。

     
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今年は各県のブースも特に人気

        
   
春一番の強風を追い風にするか、向かい風になるか、それとも乱気流なのか? そんな事を考えた一日だった。

       

畑の白いカーテン

      
一段と寒さが厳しくなるこの季節、
漬物大根の産地である宮崎市田野町では
(やぐら)に掛けた「干し大根」が畑のあちこちで見かけることが出来る。

   
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この風景は実に壮観だ。

  
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なんといっても漬物大根の生産量が日本一なのだそうだ。
     
   

てっきり東北か北関東がそうなのではないかと思っていただけに、南国宮崎の特産品だったんだ。

    
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竹のやぐらは高さが6メートルもあるらしい

     
   
霧島連峰から吹き降ろす寒風に約二週間さらして出荷するもので、「大根干し」とか「櫓干し」と呼ばれるそうだ。

   
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洗った大根を2~3本ずつ麻ヒモで束ねてやぐらに掛けてある。

   

寒い時期での作業に「大変なんだろうなあ」と、つい思いを馳せてしまう。

   
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乾いた冷たい風が適しているのはもちろんのこと、でも凍ってしまってはまったく価値が無くなってしまうという実はナイーブな代物なのだ。

  
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本当に冷え込みそうな時は、シートを全体に掛けてストーブを焚くのだそうだから気が抜けない。

   
     
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白く丸々太った大根も、二週間が過ぎたのだろうか、取り入れ前の列は干しあがっていて、すっかりスリムになっていた。

   
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乾燥前と乾燥後と

   

ここ数年、毎年この風景を観ることができるのも田野の町を訪ねる機会があるおかげ。

      
    
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たくわん漬けに美味しいご飯が食べたくなる。 ああ、ニッポン人!
      

       

すっかり私の冬の風物詩になってしまった。

        

      

スポーツランド宮崎

   
の季節、宮崎の街はスポーツキャンプ一色に染まる。

    
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複数のプロ野球、サッカーJリーグのチームや著名ゴルファーがここ宮崎でキャンプを張るのだ。

   
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沖縄県と二分するキャンプ地のメッカの理由は、
気温が比較的高い」「晴天日数が多い」など気候の条件もあるだろうが、「宮崎県民の熱意あふれる、しかし必要以上に気を遣わせない自然体のホスピタリティー」が大きな要因ではないだろうか、と勝手に分析している。

    

野球では、巨人、ソフトバンク、西武、広島が宮崎県内でキャンプを張っているが、せっかくだからと、隙間時間を見つけて一ヶ所見学に行こうと、今年宮崎キャンプ50周年を迎える読売巨人軍のキャンプ地「サンマリンスタジアム」に足を運んだ。

    
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この球場名が長嶋元監督の命名によることは宮崎の人ならみな知っているらしい。

    
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入場無料である事にささやかな感動を噛み締めつつ、球場に足を踏み入れる。

   
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やってるやってる。

   

原監督をはじめ、高橋や上原、阿部、谷、豊田、李、清水、それに新外国人のクルーン、ハウエルなど、テレビ中継でおなじみの一軍選手たちが、すぐ目の前で柔軟体操や走り込みを何度も繰り返しているではないかッ。

   
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実物はヤッパリ感動もの。

   
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それにしてもよく走る。

    

日本代表選手も何人もいる訳だが、そんなビックプレイヤーだって基礎トレーニングは欠かせないのだ。常識なんだろうが、当たり前にやっているところを目撃すると何故か感心してしまう。
       

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僕は、
自分のプロとしての分野で基本練習を毎日しっかりとやっているだろうか?

   
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少し恥ずかしい・・・。

     

私は農産物の輸出を、よくスポーツの国際試合に例えることがあるが、まさに基礎トレを徹底する事、基本に忠実なことが大切である事を、ここでも改めて認識する。
      
いや、むしろ国際試合ほど基礎力の差が現れるのだ。

   
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シートノックや守備練習、フォーメーションの確認など、決して気をてらった特別な練習ではないけれど、この時期は反復して体に刻み込ませているようだ。

   
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やはり間近で選手たちを見ると興味は湧く。

   
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結構アップでいい写真が取れたのだが、肖像権の問題があるかもしれないので掲載は止めておく

     

    

野球通は試合よりもキャンプの方が見ごたえがあるかもしれない。

   
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地元のタクシーの運転手さんに聞けば、監督、選手行きつけのスナックや理髪店の話や桑田投手が大のコーヒー好きでいつも通っていた店があるとか、長嶋監督が自転車でホテルから球場に通っていた道の話など、地元ならではのネタに会話も弾んだ。

   
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週末ともなれば、数万人の見学者でごった返し、経済波及効果もいかばかりかと想像される。

    
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東京などから報道陣も大勢取材に来ている

    
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最近はファンサービスにも余念がないらしく、宮崎の人たちには結構お得なのではないだろうか、とうらやましく思える。

     
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どげんかせんといかんのは、“臣人”と書く人かも…

        

    
これもスポーツランド宮崎県民の長年のホスピタリティーの賜物である。

     
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元気宮崎に師匠現る

   
のこのブログの産みの親、そして育ての親であるやまけんこと山本謙治氏が宮崎を訪れ、農業経営戦略セミナーで講演をされた。

   
    
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会場は大勢の聴講者で満員  鹿児島から駆けつける人がいたほど

       

足掛け3年にわたる出演交渉の末、ようやく実現したのだ。

     
いま“やまけん”は、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などありとあらゆるメディアから引っ張りだこで大忙しの身。

    
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地方の生産者たちこそ、いち早く食の乱れを正し、
伝統食の素晴らしさを自ら発信することの大切さを熱っぽく訴える

       

あるべき食の姿」を農産物流通を通して訴え、地方の活性化や環境問題に至るまで、多くの国民の幅広い共感を集めている若きコンサルタントである。

     

私も、昨年から地域資源を活用した農林水産物の発掘支援を行う政府機関のプロジェクトマネージャーの仕事でまさに農産物流通の現場に立っているだけに、久しぶりの再会は刺激的なものとなった。

      
この日の出来事をこれ以上多く語る必要はなかろう。
   

ぜひ人気日本一のブログで参照して頂きたい。

http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2008/02/post_1117.html
(やまけんの出張食い倒れ日記 2008年2月6日記事)

    
ただでさえ、熱く燃える宮崎の若き農業法人経営者たちの中でやまけん節が炸裂したのだから、この夜どんなことになったのか想像してみてくれたまえ…

    
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常に前向きな人たちの会話は刺激的。

     
やまけんも「宮崎は気温も熱いけど、皆さんの気持ちが熱いのにもっと驚いた」と再会を誓い合った。

      

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やまけんブログの素晴らしい画像には新たな秘密兵器が・・・

     

地域資源に注目

         
九州経済産業局、中小企業基盤整備機構九州支部の主催による「中小企業サポーターズサミット in Kyushu」が福岡市で開かれた。

    
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私は昨年7月から、経済産業省・中小企業庁による地域資源活用プログラム」事業の農林水産業部門のプロジェクトマネージャーの仕事をしている。
   

地域が誇る農林水産物、観光資源、産地技術を生かした新製品の開発や販売システム構築をハンズオン支援しようというもので、様々な困難やハードルが立ちふさがるとは言え、地方が活力を生み、自立への向かうために必須のプロセスと位置づけ、私も支援者の一人として試行錯誤の日々を送っている。
   

この日は、第一部の講演シンポジウムにNHKビジネス番組の人気キャスターでもある三神万里子氏も参加し、地元九州の元気企業経営者と共に興味深い議論が繰り広げられた。
    
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また第2部のビジネスマッチングには予想を超える来場者が集まり、事業認定された出展企業との間で活発な商談やプレゼンテーションが行われた。

   
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私が支援担当した企業も全社参加してもらい、バイヤー企業や専門家との情報交換やアピールを行った。

   
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農産物を有効利用した商品  安全性・有効成分にも特長が

   
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見慣れたイラスト。だが、苦境にあえぐ酪農への熱い想いが伝わる

     

新商品の販路開拓は容易ではなく、まだまだこれからの様子ではあるが、自らの力で活路を切り開く姿にはどうしても応援したくなる。

    
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また、地域資源を生かした事業への挑戦に大勢で広範囲の皆さんの注目を集めたことは、大きな自信につながることになろう。

   
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これからも参加者の期待に応えたい・・・

      

地方を元気にするために、国内・海外の販路開拓にぜひとも支援していきたいと決意を新たにしている。

   
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頑張れ 地方の元気人たち!!

    
    

中国冷凍餃子問題

     
日本中が中国製加工食品問題で揺れいている。
    

折りしも昨年一年間を通して食の偽装が大きな社会問題になった後だけに、火に油を注ぐことになった。
   
中国は特に燃えやすい。

   
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昨年、全国に通達して食の安全確保に乗り出した中国だったが…
                         (2007年11月 上海で)

    

消費者がさらに自己防衛の意識を高め、国産農産物への関心と理解を深める大きな契機となったことは言うまでもなく、安全性と価格の関係性、生産への認識について主体的に考えるという意味ではここで改めて指摘する必要なく、食育や報道セクターに任せることにしよう。
   

確かに、国産食品への一層の回帰は、国内農業にとってはある種の追い風になるとも言えるが、加工食品、冷凍食品業界、外食給食業界などは「チャイナリスク」に直面し、今大変な戦略転換を迫られていることを考えると尋常ではない。

   

他国産へのシフトと共に、国産農水産物への希求は国内農業に対する一層の変革要因となり、農業セクターも構造的な対応をよりシビアに、よりスピード感をもって迫られるだろう。

     
    
私は30数年、中国ウオッチを続けていて、このような社会を震撼させる事件をもう何度となく体験したり、居合わせてきた。
  

この時常に肝に銘じていることは、「とにかく冷静に、客観事実を追うこと。そしてどの位までの業界や人々にまで影響が及ぶか、さらにそれから後に続く変化は何が予測されるか」を考えるのだ。

   

とかく感情的、ヒステリックになり、先入感や自己利益の視点からだけで相手を安易に判断し、感情的に対応したり、事実ではないことにまで風評が及ぶと、国で言えば国益・社会益、ビジネスで言えば自社の利益まで長期間、負の影響を引きずることもまた、何度となく体験しているからである。

   

安全・衛生の問題だけをとっても、80年代の烏龍茶のダニ混入事件に始まり、最近もSARS、鳥インフルエンザ、口蹄疫などの案件の渦中に私は身を置いてきた。

   
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食品安全に関する政府通達  上海の卸売市場にて

     

中国自身、そしてアジアの少なからぬ消費者たちは、この問題に常にさらされていることも私たちは認識し、なぜ日本産の農産物や食品が、富裕層だけでなく中間層にまで求められているかがイメージできよう。
    

しかし、それは日本産農産物輸出への追い風と言うよりは、日本の農業技術や食品加工・品質管理技術が、ますます中国へ向かい、日本向けではなく中国を含め海外の国内向け製品の開発や改善に拍車をかけるだろうと、私は観ている。

    
   
今日は2月1日。
      
今後、ビール、牛乳、醤油、みそなど食品の値上げが相次いて実施される予定だ。

   

ただでさえ、世界的な相場上昇で値上げ圧力がかかり、賞味期限や品質チェックの厳格化でロス率の管理も含めコスト上昇の折に、さらなる原料・製品の調達変更は、加工食品、外食産業のみならず農水産業にも、そして地方経済にも波乱要因になる可能性があることを覚悟しておかなければならない。