東洋のハワイ…三亜にやって来た

海南島北部から南部へ向かう道は、
東回りと西回りの2つのルートがある。

東回りは観光ルートで、見所が多い。

アジアフォーラムで有名な博鰲(ボアオ)鎮もこの沿線だ。

今回、我々は滅多に通る機会の少ない西ルートを進むこととなった。

洋浦開発区を後にして
目的地である三亜市までの約3時間の沿道には
椰子、檳郎、竜眼、バナナなどの畑が延々と広がり、
亜熱帯の農村風景に少しも飽きることがなかった。

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海南島の南西部はバナナ畑が広がる

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沿道にて

ここ海南島ではコーヒーも栽培されている。
沿道のコーヒーのテーマパークで一服したが、意外に美味しかった。

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(海南コーヒー…現地語では“コビ”と言うらしい)

ちなみに中国の高速道路は日本と同様、有料だが、
ここ海南島は、ガソリン税から手当てされていて、
通行料金は徴収されない

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(海南島では高速料金はタダ)

夕刻、海南島最大のリゾート地である三亜に到着した。

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(ブーゲンビレアの花がお出迎え)

細長く広がる海岸線では、ビーチやリゾート施設が延々と広がる。

夕暮れ前のひと時だったが、
どのビーチも観光客で賑わっており、
海水浴を楽しんでいる人もいた。
やはり中国南端の海南島である。

先週、広東・香港と台北にいたが、
肌寒くてビックリした記憶が忘れられない。

私はハワイに行ったことがないのだが、
同行の人によるとホテルからの眺めはワイキキビーチを
思わせるそうだ。

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(ホテルのテラスからの眺望)

三亜のリゾートホテルは、どこもプールやガーデン、テラス付きのようで
私たちが宿泊したホテルもビーチサイドで
設備、内装ともに洒落ていた。

土産屋、カラオケ、屋台など夜遅くまで賑やかなのは、
東南アジアのリゾート地と少しも変わらない。

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(豊富な海鮮・・・左は海南島でしか食べられないマンゴー貝)

それにしても、三亜や海口では
とにかく韓国人ツアー客の多さが目立った。

現地の人の話によると、
春節期間中から2月下旬の予定で
仁川と釜山から毎日のようにチャーター便が就航し、
多くの韓国人観光客が来訪したという。

060227golfbag ホテルでも、ハングル文字の名札をつけたゴルフバックがたくさん並んでいる。

ゴルフに温泉、リゾートライフと
三亜は韓国の人にとっても気軽で魅力的な観光地となったのだろう。

もちろん、春節期間中は
中国国内からの観光客でごった返したのだという。

ホテルの価格も2・3倍などではなく、
7~10倍も跳ね上がったそうで、
普通のツインが一泊7000元(約12万円!?)もしたという。

タクシーの運転手も、この間、休む間もなく働き
大いに儲かったそうだが、
春節も去り、観光客のピークも過ぎたせいか、
やたらと「案内するからどこかへ行かないか」と
必要もないのに盛んに声をかけてくるのであった。

ホテルといい、タクシーといい、
中国の市場原理というものは物凄い…。

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三亜の朝焼け

滞在時間が短く、街を探索することが出来なかった。
また、ぜひ訪ねたい街だ。

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早朝の三亜空港

海南島の投資誘致

060227map 海口から車で西岸に向かって約1時間余り、国家級の開発区である洋浦経済開発区を15年ぶりに訪ねた。

1988年に海南島が広東省より独立して海南省になり、島全体が経済特区に指定された時のシンボル的な経済開発区である。

この開発区は当初、日本の大手ゼネコン社の香港法人が政府の委託を受けて開発したこともあって注目を浴び、当時、幾度かここを訪ねたことを記憶している。

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もちろん開発当初はまだインフラ工事に精一杯で
土地や港湾の造成中だった。

その後、海南島ブームが起こり
地域振興のため、他の省では受けられない様々な優遇措置もあったため、内外の観光客やビジネスマンなど多くの人が海南島を目指し、
一時活況を呈した。

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(現在発展中の洋浦経済開発区)

しかし、インフラ整備で資金不足に陥り
見合った外資誘致が進まず、
さらに密輸や不動産乱開発のイメージも重なり、
しばらく停滞の時期が続いた。

ところが、2000年頃を境に
それまで開発事業の委託方式から
海南省政府による本格的なテコ入れが図られた。

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(視察した海南省最大の製紙工場)

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(最新鋭の製紙プラントは、ここでも無人化・省力化がすすんでいる)

また、旺盛なエネルギー需要に支えられ、
石油化学やケミカル(化成品)関連、
その他、製紙などの素材産業も好調らしく
活況を取り戻している。

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(急速に拡張中の石油天然ガス精製プラント)

今回の訪中は、転換期を迎えた中国の経済開発区と
投資誘致に関する調査である。

福岡市は早くからアジア企業、特に中国企業の
同市への投資誘致活動を活発に展開している。

現在、これは「二十一世紀中華街構想」という形に企画化されており
市長もトップセールスを行うなど全庁・全市的に
活発な誘致活動をすすめている。

実は、外資誘致では中国の方が多くの経験やノウハウがあるのではないかという仮説のもと、専門家チームを結成して、国内や中国各地を研究し、アクションに繋げようというものである。

現在、中国企業の対日投資は、日本側の熱い期待がある反面、
両国の制度上の問題やビジネス面での前提など様々な要因を抱え、
必ずしも実績が伴っていないのが現状である。

しかし、この海南・洋浦開発区の例にあるように
経済環境の変化を背景に、現場の積極的な働きかけや行政支援が加われば、必ず実現できるものだと確信している。

今まさに戦略的発想とスピーディーな行動が求められる時が来た。
福岡の投資誘致も、いよいよこれからが本番だ。

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(現在の洋浦港)

中国最南端の楽園をゆく

060227map2 15年ぶりに、海南島を訪れた。

上海から空路3時間で海口国際空港に到着。
飛行場も沿道も昔とあまりに大きく変わっていたのでビックリしてしまった。

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(海口空港)

最初に海口を訪問した時は1980年代中ごろで
まだ広東省の一部であった。
その後1988年に独立して海南省となり、
同時に島全体が第5番目の経済特区に指定された時は
大きな話題となった。

街道沿いには椰子の樹やガジュマロの樹が植えられ、
やはり南国の風情が漂っている。
ホテル到着後、さっそく街に飛び出してみる。

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(ヤシと近代マンションの林立が今の海南島を物語っている)

海口の繁華街らしく、大勢の人が集まっている。
やはり顔立ちが異なっており、黎(リー)族か苗(ミャオ)族だろうか
明らかに漢族と違う様子がとても興味深い。

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一歩、路地に入ると、そこは庶民のワンダーランド。
市場あり、屋台あり、食堂あり、日用品屋ありで
中国南方のどこにでも見られる住民コミュニティーが
そこにあった。

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果物もマンゴーやスターフルーツ、マンゴスチン、パイナップルなどの熱帯果実が豊富に並んでいる。
青果市場も夕方に近いせいか活気が物凄かった。

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地元の言葉はもちろんわからないが、大陸各地からの居住民が多いためか標準北京語も飛び交っている。広東語とも違う独特の訛りが耳につく…。

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地元幹部の話では、2000年に入り、ようやく成長軌道に乗り出したそうで、昨年も年率10%を超える域内成長率だそうである。

島内は、観光資源開発と農水産加工、自動車などの精密部品、エネルギー・ケミカルなどに特化した開発戦略を求めているようだ。

15年前とはすっかり変わった海南島に、改めて強い興味を抱いた。

やりましたッ!博多あまおう堂々の販売第一位

台湾のシンボル的存在のひとつである百貨店で、
今年1~2月初旬の日本産農産品の売り上げランキングで
福岡産イチゴの「博多あまおう」が第一位を獲得
した。

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(台湾で販売される博多あまおう)

並み居る有名青果物の中で、
しかも一年で最も販売が伸びる春節(旧正月)前後の
歳末・正月商戦での第一位だから、その喜びもひとしおである。

もちろん短期の催事イベントではなく、季節定番商品としてである。

同時に、店舗責任者の方から、販売客単価を大きく押し上げる効果に大いに貢献した、とお褒め頂いた。

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(台湾でも人気を博した博多あまおう)

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(驚くほど頻繁に補充される…)

思えば、台湾への輸出に着手したのが3年前のこと。
それまでの香港を含めた海外輸出のノウハウをもってしても
どうしたら新市場を開拓できるか、スタッフ全員とても不安だった。

台湾は、とても日本商品の受容度が高く、
ビジネスがやり易いところと思われているが
実は、中国と同じ年の2001年末にWTOに加盟してから
ようやく農産品の輸出が手探りで始まったばかりなのである。

だから、もちろん台湾の業者も本格的に日本産青果物を輸入しているところは皆無に等しかった。

その後、福岡県は官民を挙げて販路拡大に取り組んだ。
ここ数年の努力は並大抵のものではない。
今回の成果は、絶対に一朝一夕では実現できず、
またいくつかのノウハウを応用すればよい訳でもない。

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(ミス福岡も台湾入りし、キャンペーンを行った)

「人任せの販売では絶対に上手くいかない」というのが、
関係スタッフの信念。
今回の売り上げ第一位の好成績は、
「博多あまおう」の輸出関係者みずからが勝ち取ったもの。
去年の上海向け梨の輸出成功に続く快挙で、
生産者、JA、商物流企業、そして
福岡県「福岡・食の輸出促進センター」の執念の結果である。

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(現場実践主義の県スタッフには頭が下がる)

3年前、多くの人が本気にしなかった中で
本気で「台湾向け輸出にも成功させてやる」と心から信じ、念じたこと
これが閉塞感や固定観念を打破し、
新機軸を実現させた最大の原動力である。

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(一流職人による苺大福の実演には多くの人が集まった)

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(台湾のテレビ局の取材を受ける)

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本当に多くの台湾の皆さんにお買い上げ頂きました。多謝!

日本のキャラクターも海外へ

台湾の航空会社の台北-福岡線に
キティーちゃん専用機ハローキティージェットが就航している。

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キャラクターをあしらった飛行機は
日本でもすっかりおなじみだが、
機体デザインやノベルティーだけでなく、
機材備品などにここまで徹底しているのか、と驚いた。

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搭乗の機内音楽から始まって
シート、常備袋、乗務員のエプロン、石鹸やトイレットペーパー、
そして食器だけでなく食材までもキティーのデザインが施されている。

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これでもか、というほど、機内はキティーだらけだが
乗客の子供だけでなく、大人も結構喜んでおり、
雰囲気が和んでいる。

ツアー観光客らしき台湾人の乗客が多いのだが、
福岡線はビジネスマンより観光客が多いからだろうか。

考えてみれば、キャラクターグッズは、
雑貨や食べ物、小物など結構、機内で使用できるものがあるもんだと改めて認識した。

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(化粧室の中までも…)

それ以上に、台湾の人たちのキティー熱には恐れ入った。
「卡娃伊(カワイイ~ッ)Kitty猫!」と言った感じなのだそうだ。

これがアメリカのディズニーやスヌーピーなどではなく
日本のキャラクターであることは、私たちの好感度をグッとくすぐる。

アニメを含めた日本カルチャーが海外へ雄飛することは
大きな追い風となる。

バレンタインのモノ凄い購買力

中国出張の帰路、14日に香港に立ち寄った。

おりしも今夜はバレンタインデー(中国語で)。
夕刻、退勤時刻ともなると、至る所で花束を持った若い男性がひとりソワソワ彼女が現れるのを待っていたり、すでに女性が花束を受け取ったカップルがもうわんさかと街中を徘徊している光景は壮観でさえある。

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(どこを向いても花束を手にしたカップルばかり…)

そう、ここ香港では、バレンタインデーは男性が女性にプレゼントするのである。

その日の報道によると、バレンタインギフト用の生花の価格は、好景気を反映して、今年数年ぶりに前年比20%アップとなり、売り上げ見込みも30%を超えるだろうと景気のよい話題となった。

日本で見かけるようなセンスの良い花束やブーケもあるし、99本の赤いバラなんていうドラマのようなカップルも結構目に付いた。

1000~1500香港ドルという価格帯が結構売れ筋だったが、彼女の自宅に4~5000香港ドル(8万円以上!?)の花束を贈るツワモノもいるのだそうだ。ここ香港でも、日本の購買力を絶対額でも超えているのではないだろうか。

当日手にした新聞報道によると、女性が男性からもらいたいプレゼントの第一位はアクセサリーで、次いで花束、デジタル製品、ラブレターやカードの順だという。

デパートの地下食品売り場に行ってみる。

やはりチョコレート売り場に女の子たちが集まっていた。当日に買う人も結構いるのだろう。
ということは、ここ香港では義理チョコなど無縁なのかもしれない。

ビックリしたのは、精肉コーナーでステーキ用の肉に女の子たちが争うように買い求めていたことだ。
バレンタインとステーキ?どんな関係があるのだろうか。

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(女の子たちがステーキ肉に群がる!?)

ステーキ肉にもバレンタイン用のハート型のパッケージがあるくらいだ。ほかにも日本食のサーモン寿司、チラシ寿司、マンゴープリンなどにもこのような容器が使われていた。恐れ入った。

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(バレンタイン仕様の寿司パック?)

帰国した翌日、すぐに台北に行ったのだが、バレンタインにステーキを買うような習慣は台湾には無いという。

また香港では、洋食レストランや洒落たカフェテリアはご覧のとおり、カップルによる長蛇の列だった。

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それと感動したのが、青果売り場で、若い男性たちがイチゴのギフトパックを選んでいる光景だった。しかも売れているのが、一番高い福岡県産の「博多あまおう」ばかりなのだ。

隣には、アメリカ産も台湾産、韓国産も並んでいるが、とにかく博多あまおうの人気は抜群だった。ひとケース198香港ドル(約3800円)也のギフトを真剣なまなざしで青年が見比べている。愛する人のために少しでも綺麗なもの、見栄えのするものを選んでいるのがありありだ。

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(愛しい人のためなら高価なものをよく吟味して…)

博多あまおうのコーナーが頻繁に補充されるので、その売れ行きのすごさは相当なものだ。

でもこれは一日にしてその地位を獲得したのではない。福岡県は今から14年前より香港向けのイチゴの輸出をはじめ、2002年から本格的な市場開拓に取り組み、この間、数多くの挑戦と努力をしてきたのである。香港の消費者に支えられ、売り場、代理店、物流業者、産地の人たちに支えられて得た結果なのだ。

とにかく、この夜の香港は熱きカップルたちで大いに燃え上がったのである。

この日だけは、若い男性が直接購買のターゲットとなるようだが、それはあくまで彼女を喜ばせるために…。

オリンピックが開幕

昨日、イタリアのトリノで冬季オリンピックが開幕した。

一昨年のシドニー夏季オリンピックでは、
日本の若者たちの大活躍でメダルラッシュとなり
国内が大いに盛り上がったことは、まだ記憶に新しい。

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(画像はロイターより)

4年に一度の最高のステージで、世界を相手に競技や演技で
自分最高のパフォーマンスを目指して躍動する若者の姿は
いつも私たちを感動させる。

そのわずか数秒数分数時間のために
日々厳しいトレーニングを行い、
自己の身体と精神を極限まで高めるプロセスを思うと
感動もひとしおだ。

今、日本の若者はニートだフリーターだと
世の大人たちから蔑まされているが、
この豊かな環境の下で
どっこい世界を目指して、金メダルを目指して
頑張っているのは本当に頼もしい。

凡人には縁のない天賦の才能に加えて、
厳しいトレーニングをしたものだけが得られる資格だと思われがちだが、最も重要なのは、世界に挑戦する、世界一を目指すという志や高い目的意識をまず持っていることだ。

また、最近では、その競技のコーチだけではなく、専任のトレーナーや栄養士、心理学士、広報マネージャーなどの専門家を集めチームを作って、長期のプログラムをもって戦略的に取り組む選手もいるという。

また、国や大学、企業などの支援を受けているケースも多い。

これを良く考えてみると、今我々が取り組んでいる「ニッポンを売る!」事業と共通点があまりにも多くはないだろうか

私は、よく講演で、このスポーツの例をとって農水産業や食品、地場産業の関係者に訴えることがある。

「日本一の商品は、品質ではそのまま世界一の可能性が高い。金メダルはともかくとして、国際試合で鍛えることで、自分たちの実力をもっともっと高めてはどうだろうか!」と。

欧米市場をはじめ、最近では香港、シンガポール、上海などアジア大都市の市場も、世界中の商品がしのぎを削って販売競争を繰り広げている。しかも、同じ世界市場の東京と違って、言葉も商習慣もまるで異なる敵地(アウェー)戦である。

高い目標意識を掲げ、外部の様々な専門家をチームに取り込んで、海外にも通用する商品作りを目指せば、内外での競争力強化に大いに役に立つこと請け合いだ。

もちろん厳しいプロセスや涙のドラマもある。

世界を目指すのは、ひとつスポーツの世界や精密工業産品ばかりではない。

政府の取組み

6日の衆議院予算委員会の質疑でも
農産物の輸出が話題になった。

与党議員と農水相とのやりとりで
WTO交渉の推移と共に、
守りと合わせて攻めの姿勢、
すなわち輸出への取り組み強化が課題であるとの
政府の認識が改めて示された。

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答弁する中川農水相
(画像は時事通信社より)

特に、貿易相手国との検疫交渉の強化、
そしてブランドや品種保護のための知的財産権の確保などが
政府の具体的施策として挙げられた。

国が出来る事、やるべき事の筆頭が外交交渉ということだ。

今後、農業をめぐる通商交渉において
この守りと攻めの展開を見据えながら、
輸出に携わる我々は、単にビジネス視点だけではなく
内外の政治、外交の推移にも十分にウォッチしながら
主体的に行動していかなければならない。