バレンタインのモノ凄い購買力

中国出張の帰路、14日に香港に立ち寄った。

おりしも今夜はバレンタインデー(中国語で)。
夕刻、退勤時刻ともなると、至る所で花束を持った若い男性がひとりソワソワ彼女が現れるのを待っていたり、すでに女性が花束を受け取ったカップルがもうわんさかと街中を徘徊している光景は壮観でさえある。

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(どこを向いても花束を手にしたカップルばかり…)

そう、ここ香港では、バレンタインデーは男性が女性にプレゼントするのである。

その日の報道によると、バレンタインギフト用の生花の価格は、好景気を反映して、今年数年ぶりに前年比20%アップとなり、売り上げ見込みも30%を超えるだろうと景気のよい話題となった。

日本で見かけるようなセンスの良い花束やブーケもあるし、99本の赤いバラなんていうドラマのようなカップルも結構目に付いた。

1000~1500香港ドルという価格帯が結構売れ筋だったが、彼女の自宅に4~5000香港ドル(8万円以上!?)の花束を贈るツワモノもいるのだそうだ。ここ香港でも、日本の購買力を絶対額でも超えているのではないだろうか。

当日手にした新聞報道によると、女性が男性からもらいたいプレゼントの第一位はアクセサリーで、次いで花束、デジタル製品、ラブレターやカードの順だという。

デパートの地下食品売り場に行ってみる。

やはりチョコレート売り場に女の子たちが集まっていた。当日に買う人も結構いるのだろう。
ということは、ここ香港では義理チョコなど無縁なのかもしれない。

ビックリしたのは、精肉コーナーでステーキ用の肉に女の子たちが争うように買い求めていたことだ。
バレンタインとステーキ?どんな関係があるのだろうか。

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(女の子たちがステーキ肉に群がる!?)

ステーキ肉にもバレンタイン用のハート型のパッケージがあるくらいだ。ほかにも日本食のサーモン寿司、チラシ寿司、マンゴープリンなどにもこのような容器が使われていた。恐れ入った。

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(バレンタイン仕様の寿司パック?)

帰国した翌日、すぐに台北に行ったのだが、バレンタインにステーキを買うような習慣は台湾には無いという。

また香港では、洋食レストランや洒落たカフェテリアはご覧のとおり、カップルによる長蛇の列だった。

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それと感動したのが、青果売り場で、若い男性たちがイチゴのギフトパックを選んでいる光景だった。しかも売れているのが、一番高い福岡県産の「博多あまおう」ばかりなのだ。

隣には、アメリカ産も台湾産、韓国産も並んでいるが、とにかく博多あまおうの人気は抜群だった。ひとケース198香港ドル(約3800円)也のギフトを真剣なまなざしで青年が見比べている。愛する人のために少しでも綺麗なもの、見栄えのするものを選んでいるのがありありだ。

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(愛しい人のためなら高価なものをよく吟味して…)

博多あまおうのコーナーが頻繁に補充されるので、その売れ行きのすごさは相当なものだ。

でもこれは一日にしてその地位を獲得したのではない。福岡県は今から14年前より香港向けのイチゴの輸出をはじめ、2002年から本格的な市場開拓に取り組み、この間、数多くの挑戦と努力をしてきたのである。香港の消費者に支えられ、売り場、代理店、物流業者、産地の人たちに支えられて得た結果なのだ。

とにかく、この夜の香港は熱きカップルたちで大いに燃え上がったのである。

この日だけは、若い男性が直接購買のターゲットとなるようだが、それはあくまで彼女を喜ばせるために…。

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田中 豊

地域の元気づくりと海外ビジネスを通じて、日本を元気にしたい行動派プロデューサーです。 海外ビジネスの参謀役として長年活動してきました。 とりわけ農林水産業を振興にすることで地域が元気になることを現場の生産者、支援者の皆さんと共に日々実践していることをとても誇りに感じています。 「地域を活かし、そしてつなぐこと」をスローガンに訴え、いつの時でもチャンス(chance)ととらえ、絶えずチャレンジ(challenge)し、チェンジ(change)を果たしていくことの「三つのC」をモットーにしています。