受け入れられるか?ニッポンの食文化

ジャカルタの高級ショッピングモールは

ただただ驚くことばかり。
 
階上のフードコートレストラン街は
広くてシックな雰囲気で、
東京や香港の高級モールと少しも変わらない。
 
 
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イタリアン、シーフード、エスニック、中華、
お馴染みファストフード、コーヒーショップなどに加えて
和食、居酒屋バー、カレー、ラーメン、唐揚げ、スイーツ等
日本式がとにかく目立つ。
 
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日本の食品サンプルはジャカルタ市民にはどう映っているのだろうか?
 
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イスラム教徒の多いこの街で
各店とも健闘している。
 
ジャカルタでも非ムスリム客の消費が見込めるのだろうか。
 
 
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世界中で見られるようになったお馴染みオレンジ色の看板
 
 
市民も豊かな食事を落ち着いた雰囲気で
楽しんでいるよう。
 
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お買い物も同様。
 
 
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高級スーパーにも富裕層や豊かさに触れたい消費者が
数多く訪れていた。
 
店内だけを見れば、香港、シンガポール、バンコク等と
少しも変わらないアイテムの豊富さだった。
 
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ただ、日本食品関係は、バラエティーに乏しく
他のアジア成熟市場に比べ、あきらかに見劣りがする。
 
醤油、味噌、ワサビなどの調味料、菓子類、
そして、なぜだかお馴染みのスポーツ飲料が目についた。
 
 
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品質にも厳しそうなジャカルタの富裕層
 
 
やはりここでも
これからのジャカルタマーケットの可能性を
垣間見ることが出来たような気がする。
 

ひとり二台持参のモバイル空間に漂い、滄海桑田の想いに至る

その超高級ショッピングモールの階上には
大きなフードコートがあるんだけれど、

どんな食材があるのかよりも
目についたのが、
スマホかタブレット端末か
モバイルパソコンかのどれかをみんな持っていること。
 
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特に若い女性が盛んにカチカチやっている。
 
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この女性も“二台持ち”
 
 
こんな光景は日本と少しも変わらない。
 
いや、日本よりスゴイかも
 
 
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僕には未だにパソコンとスマホの使い分けがわからない…
 
 
レストランでは、若者たちが
ひとり一台ずつのパソコンとスマホを使って
ワイワイとコミュニケーション。
 
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秋葉原のような携帯電話を扱う雑居ビルにも潜入。
 
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ブラックベリー(BlackBerry)という機種が
この国では圧倒的な人気らしい。
 
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一転、外に飛び出し
公園でこんな風景を見ると、僕は一瞬混乱する。
 
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露天物売りのお兄さんまで
携帯やスマホを持てるほどの豊かさなんだろうか?
 
それとも、本業があってスマホを持てる兄さんが、
たまたま余暇でも商売に励む勤労青年なのだろうか?と。
 
 
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何処に行っても、どんな時でも
携帯・スマホは若者たちの日常ツールだ。
 
 
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今まさに光り輝く一面を見せ始めた南洋の巨龍の姿を垣間見た

アジアの高成長のひずみと格差拡大は
確かに深刻な課題で、時事問題としては興味あるが
ニッポンを売る!という観点からは、一部の明るい光の部分を通して数歩先の可能性を発見していくことも、我がミッションだと心得ている。
 
 
 
ジャカルタには、大規模小売店が相次いで開業しており、
市民の購買力、豊かな生活への希求ぶりを垣間見て、
数年前に比べてもその変化に驚きの連続だった。
           
        
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ここは、ジャカルタの中心部の大型ショッピングモール。
 
 
 
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中間層を対象とした展開とみえる店内。
           

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広くて多層な空間に、所狭しと商品が溢れている。
 
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マッサージチェアの実演販売も。懐かしい
 
 
かつて僕も幼かった頃、大型店舗のその威容と物量の豊富さに魅了され、頻繁に友人と繁華街に通っていたことを思い出す。
        
   
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地下フロアの食品・日用品を売る巨大スーパーのレジで。カートいっぱいの商品を買う客が目立つ。日本では考えられないボリュームだ
 
 
この街は、いま、まさにそんな状態なのかもしれない。
 
 
すぐ隣には、豪華な威容を誇る
超がつくほどの高級ショッピングモールもあって、
ここにも立ち寄った。
      
         
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シャネルやグッチなど馴染みの欧米ブランドと共に
日本企業、日本ブランドも、その特性を生かして
豊かな生活を見事に提案している。
 
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5年後10年後の巨大市場出現に向けた展開が始まっている。
            
           
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日本車にとって大事な大事なマーケット。
 
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パラパラと外国人駐在員や観光客もいるが、
何と言っても主役は、インドネシアローカルの富裕層が目立ち、
実際に買い物袋を抱えている姿が印象的だった。
 
 
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ブランドに身を固めるムスリムの富裕層      ※ソフトフォーカス処理をしてます
   
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家族でショッピングのシーンを散見
 
 
 
改めて思う。
 
 
百聞は一見にしかず
 
百見は一考にしかず
 
百考は一行(行動)にしかず…
 
 
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ジャカルタ名物

「やはり、そうだったか……」
 
 
僕は乗ったばかりの車の中でため息をついた。
 
 
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ジャカルタの街での慢性的な交通渋滞である。
 
とにかく動かない。
 
   
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第一、移動手段が車しかない上に、
何処へ行っても、どの道を通っても渋滞だらけ。
 
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このようなミニバスが縦横に走ってはいるが、渋滞は同じ
 
 
地元の運転手は、これが当たり前だとばかり慣れた様子。
 
 
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バイクだって、ほらこのとおり
 
 
かつての北京上海やバンコクのよう。
 
   
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これでは仕事が効率的に進まず、社会的損失は計り知れない。
 
それとも、これがジャカルタテンポだと郷に従う?
 
 
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夜遅くても、このとおり
 
 
そこで一応、車線の多いメインストリートには
バス専用レーンの「バスウエイ」が設けられており、
渋滞の車列を横目にスイスイ走るのだが、
いかんせん点と点を結ぶ線に過ぎない。
 
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バスウェイ(トランスジャカルタ)の専用レーン
 
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道路中央に設けられたバスウェイ乗り場。まるで埠頭のよう
 
 
街の中心地にあるホテルから、ジャカルタ空港に行くのに
通常であれば30分程度で行けるところを
運転手は何気ない顔をして「2時間かかる」と言うのである。
    
狐につままれたような気分になった。
 
 
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空港バイパスも多数のコンテナトレーラーが走っている。これでは…
 
 
実際に1時間45分くらいかかりハラハラしてしまった。
 
        
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特に外国人出張者には先ず、なんとも頭の痛い第一関門だ。
 
   
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南洋の大国で、急激な成長の光と影に触れた旅

数年ぶりにインドネシアジャカルタを訪ね、
また、ジャワ島中部にも足を運んできた。
 
 
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ジャカルタまで8時間のフライト
 
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シンガポールはギリギリ北半球だけど、ジャカルタには赤道を越える
 
 
ここ数年、世界から注目を集めるインドネシア。
 
    
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日本からの直行便はビジネスマンで満席。しかもそのほとんどの座席がファーストクラスかビジネスクラスだった   
 
 
ここ3年は6%の経済成長を見せ、
一人当たりのGDPも3000ドルを超え、
いよいよ新興市場として外資も呼び込み
日本からも投資に勢いがついてきた。
     

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スカルノハッタ空港から市内へのバイパスには日本企業の広告看板が続く

 
 
約2億4千万人という世界第4位の人口を抱え
資源も豊富で、また地域経済の基盤は農業であり、
内需にも力強さがある。
 
何と言っても戦後一貫して日本との関係も良好だ。
 
 
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安倍総理が就任後初の外遊先(ベトナム・タイと共に)に訪れたことも記憶に新しく、オバマ米大統領も幼少の頃、数年間ジャカルタで暮らしていたことも知られている。
 
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とはいえ、急激な経済成長の裏で、
物価上昇、広がる格差、脆弱な社会・インフラ基盤等で
市民生活は決して楽ではなく、
先月初めには最低賃金の大幅アップを求めるゼネストが起きた。
 
 
僕の訪問中も、大使館ほかから外出時の注意喚起を促す通知もあり、外国人の宿泊ホテルや空港では、厳重な荷物検査など、やや緊張感が走る状態でもあった。
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大統領官邸
 
 
日中関係の冷え込みで、日本企業の東南アジアシフトが進んでいるが、当然のごとく、それぞれの国・地域でも様々な事情を抱えており
決して一筋縄ではいかないのである。
 
 
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アジアの共通課題。高度経済成長の光と影
 
 
この国も今後、ひと波乱起きそうな予感がするが、
とにかくすっかり変わったジャカルタの街と
中部ジャワの町興し、世界遺産などに触れた数日間だった。
 

ところ変われば、人はどう感じるか? 香港のレストランで実験してみた

香港での日曜日。少しだけ遅い朝。
 
 
仕事が無ければ、行くところは決まって飲茶レストラン。
 
 
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九龍にあるホテル近くの飲茶楼は、すでに地元の人で満席。
観光客なんて絶対にいない場所。
 
 
飲茶(Yam cha)は、広東人の文化そのもの。
 
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香港ローカルの人たちに完全に埋もれて、
僕もお茶を楽しみながら点心をつまむ。
 
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シウマイって広東語からきている
 
 
でも今日はちょっとした実験を試みた。
 
 
 
レストランに持参したのは
日本の自宅でも愛用している煎茶のティーバッグ
 
 
抹茶も入っていて色も鮮やかで香りも高い、
仕事中などでも手軽で美味しい僕のお気に入り。
 
 
香港でも楽しもう。きっと癒されるはず…。
 
 
いつもは烏龍茶やプーアル(普洱)茶を淹れる
分厚い急須に魔法瓶の湯を先に入れ、
少し湯温を冷ます。
僕は緑茶には少々うるさいのだ(W)
 
お気に入りのティーバッグを入れ、
しばらくじっと待つ。
 
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ああ、至福の時間・・・。
 
このお茶を作ってくださっている生産者の家族
ひとりひとりの笑顔を思い浮かべる。
 
 
広東語が耳元を飛び交う喧騒の中だけども
しばしの憩いのひと時。
 
 
習慣にしている少し長めの時間を見計らって
武骨な茶杯に、茶を注ぐ。
 
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「これでいいはず。」
      
と口に含んで驚いた。
 
 
 
 
アレレレレレレレレレレレっ!
 
 
何度やり変えても、香りはしない上に、味も薄い。
       
水色(すいしょく)も濁っていて
全体的になんとも物足りない。
 
 
淹れ方を忘れてしまったのかな?
と思うほど、正直、味もそっけもない
 
 
これほど、ぬるくてメリハリのない味では、
点心をつまみながら飲む気がしない。
 
 
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せっかくのアイデアが肩透かしに終わって
拍子抜けな感じ。
 
 
同じ茶葉を使って、同じ淹れ方をしても
水質が違い、茶器が違い、空気も違い、
そして取り合わせも雰囲気も違う。
 
 
果物や他の食品に比べて、
お茶の海外展開は普通にやっては難しいことを
改めて体験した。
 
 
酒類や調味料などの一部も
これと似たケースがあることが知られている。
 
 
 
やはり同じく日本から持参した柚子こしょう
好物の蒸し蝦餃子につけて食べてみる。
 
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これは、僕としては、イケると判断。
   
でも正直、これまで慣れた辣椒醤(唐辛子ペースト)でもいいのかな、と。
 
 
あくまで人の感じ方とはいえ
計数化が出来ないので、
売り込むには知恵と工夫が必要なのかも知れない。
 
 
 
別の急須に、飲茶の定番プーアル茶を入れて飲んでみる。
 
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しっかりと熱くて、どこまでも深い珈琲色をして、
濃くて重厚なコクと香りの
中国雲南を故郷とするこの液体が喉を通り過ぎる。
 
 
「外国人」の僕も、気を失うほどの虜になってしまう。
 
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飲茶には、やっぱりコレだ!
 
 
 
入郷随俗(郷に入れば郷に従え)という成語を
つい想い浮かべるのをあやうく思い止まって
日本茶の海外販路開拓の策を練り直すことにした…。
 
 
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飲茶の精算カード。いくらの点心をどれだけ食べたかを記録する
 
 
 
ちなみに日本茶の海外輸出はこの数年
関係者の努力もあって着実に伸長している。
 
 
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正月元旦、CHAに魅せられて(その2)

(前回より続く)

 
九份に続く、台湾の2ヶ所めの訪問先は、猫空(mao kong)
 
 
台湾でも鉄観音茶の有名な産地である。
 
そんな所が大都会・台北の中心地から
車で僅か40分程度で行けるなんて
知らない人も意外に多いのではないだろうか。   
 
 
昨年10月に2回、親しい仲間と猫空に行った。
 
 
いずれも仕事が終わってからなので
夜の訪問となった。
 
 
とはいえ、ここは台北の若者の
夜景で有名なドライブデートスポットでもある。
 
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眼下にtaipei101など台北の夜景が拡がり、感動
 
 
何軒も個性を競う茶芸館がある中、
この日の晩は現代カフェ調のお店。
 
 
いつも遠出するとき、不案内のところに行くときに
とても親切にしてくれる僕のドライバーの黄さんが
秘蔵の台湾高山茶の最高級茶葉を持ってきてくれて
お店の茶器を使って自ら烏龍茶を淹れてくれた。
 
 
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急須一杯に溢れるほど茶葉が膨れる。
 
 
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香りを嗅ぐための聞香杯(ぶんこうはい)
淹れたばかりの茶を静かに注ぎ入れる。
 
 
馥郁たる味と香りとの対面だ。
 
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飴色の素晴らしい水色(すいしょく)と拡がる香気。
 
 
これぞ台湾が誇る烏龍茶の真髄。
 
 
一杯、一杯、また一杯。  
 
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こうしてみると、中国茶の作法というのは
美味しく飲むためにあるもの、とさえ思ってしまう。
 
 
そこで、僕が興味を持ったのは
形式美、精神性追及ではない
飲んで美味しい日本茶の淹れ方についての知識。
 
 
ちょうどその後、煎茶道具が手に入ったので
京都に行った折、四条通にある福寿園本店で
日本茶インストラクターの方に
マンツーマンで長時間にわたり、
玉露と煎茶の淹れ方について指導をして頂く機会に恵まれた。
 
 
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専門家の話によると、
茶葉や水質の吟味もさることながら、
         
1.茶葉とお湯の分量比
2.お湯の温度
3.抽出時間
の3つの要件を茶葉の種類によってきちんと守れば、
誰にでも美味しく緑茶を淹れられるということ。
 
 
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僕のために、100g1万円もする玉露を淹れて頂いた。
 
天国にも昇る気持ちだった。グレードに弱い僕。
 
 
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清酒の猪口くらいの小さな小さな茶杯に、
しずくを落としただけのようにして淹れた玉露を口に含むと
ぬるい湯温の液体の甘くて奥深い旨みのエキスが
一気に拡がり、声が出なくなるほどの衝撃を受ける。
 
淹れ方の作法といい、茶器といい
まるで猫空で黄さんが淹れてくれた
高山茶となぜか共通点が多いことに気がついた。
 
 
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さすが免許皆伝のインストラクターさんの淹れた緑茶だと感服。
 
 
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幸い、仕事を通じて
宮崎、京都宇治、和束(わづか)町、京田辺、
福岡八女、熊本、鹿児島などの生産者さんから
丹精込めて作られたお茶を分けて頂くから、
きちんとルール通りに淹れることこそ
製茶の苦労に報いることになると信じて
以来、教えて頂いた方法でほぼ毎日腕を磨いている最中だ。
 
 
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京都・和束町の茶畑風景
 
 
今年は、旨みが凝縮した緑茶で新年を迎えた。
 
 
きっと良い事が起こりそうな予感が・・・。
           

正月元旦、CHAに魅せられて

正月の嗜みといえば、屠蘇をはじめ
清酒が挙げられるが、
今年我が家は珍しくお茶が主役を演じてくれた。

 
 
宮崎の親しい生産者さんから頂いた「賀春茶」と
京都の福寿園さんから頂いた「大福茶」がそれ。
 
 
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元旦の朝、賀春茶を頂き
気持ちを新たにする。
 
清々しい香りが口中に拡がり、
年の初めに、なんとも満ち足りた気分にしてくれる。
 
 
午後は、大福茶(おぶくちゃ)を淹れる。
 
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かりがねと呼ばれる茎茶に、福梅、福昆布をあしらうもので、
1000年以上前に起源があるとされる、
京都では元旦に、新しい年の幸福を願って飲まれるそうである。  
 
 
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やはり、おめでたい気分になるから不思議だ。
 
 
日本茶で正月。  また一興。
 
 
 
振り返って観れば、
去年、仕事ではなく、プライベートに
台湾でお茶を楽しむ機会に恵まれたんだっけ。 
 
 
 
台北郊外の九份と猫空
 
 
どちらも数年ぶりの訪問だったが
10月はなぜかひと月で
それぞれ2回ずつ行く機会があったのだ。 
 
 
 
まずは、九份。
 
 
この数年、台湾のホットな観光地として
ここを訪れる日本人も随分と多くなった。
 
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映画のロケ地や、延々と続く復古調の土産店もいいが、
僕のお気に入りは、登りきった高台にある
九份茶坊(九份芸術館)」という台湾式の茶芸館だ。
 
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見晴らしのいい露天のテーブルで
薫り高い台湾茶を楽しむもよし、
 
 
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展示即売してある茶器や工芸品を眺めているだけでも
1時間でも2時間でも僕は退屈しない。
 
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どんなにストレスフルな台湾の活動でも
ここに来ると、すっかりと心が和む。  
 
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台湾、中国のお茶の文化は、確かに奥が深い。
 
お茶を愉しむために、その場の空気
すなわち空間から設(しつら)えるのだから。
 
 
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酒を飲んで談論風発もいいけど
清茶談話も、とても素晴らしいと思う。
 
 
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(次回に続く)
       

赤ひげ病院で悟った今年の行動指針

この正月、
心の底から静かに感動した話を聞いてください。
 
 
年末休暇が始まった昨12月29日の午後
高齢の父が転倒して、額に大怪我をしてしまいました。
 
 
日曜で、なおかつ年末休暇で病院はどこも既に休みで
公的機関である急患センターへ運び込みました。
 
たまたま外科医として当直していた30代後半くらいの
一見地味な医師がテキパキと縫合処置してくれたのです。
 
脳内のチェックも、連絡がつかない薬剤部との指示も
その医師が自ら動いてくれて、
慌てて動転していた僕が正気に戻るほど
冷静沈着で完璧な応急処置をしてくれたのでした。
 
 
それでも、怪我の状態が極めてひどいので
毎日、チェックと消毒が欠かせないとのこと。
 
 
長い連休が始まったばかりで
不安に思っていたら、
 
「大丈夫。安心しなさい。
明日からは自分が勤めている
町の医院に来てください」と。
 
 
言葉通り、大晦日も、元旦も三が日もずっと
病院を開けて治療してもらっています。
 
   
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その病院は、今では珍しいくらいの古びた病院で
カルテも手書き、医・薬も分業しておらず、
70過ぎの老院長が取り仕切る 
本当にクラシカルでアナログな町医者風情なのだ。
 
 
大晦日や元旦だから、
当然、看護師さんや事務の人がいない。
 
 
その担当医と老院長と若い男性医師だけで
10人ほど来院した患者を黙々と処置していく。
 
 
機器の準備や消毒交換、絆創膏の出し入れからすべて
その二人の男性医師が駆けずり回ってこなしていく。
 
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こんなに医師が駆け回る病院は見たことが無い。椅子に座っていることがない
 
 
元旦、2日、3日の昼間にです。
 
 
それに医療事務スタッフがいなければ
普通、預かり書を患者に渡して5000円か1万円を預かって
後日精算をするはずなのだが、
ここは名前だけ書いておいて、後日支払い。
 
 
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なんと治療の掛け売りではないか!
患者が来なければ取りっぱぐれたり、
保険事務が面倒になるのは病院側になってしまう。
 
患者を信じているの?
 
 
 
しかもニコニコと、すべての患者に
 
「大丈夫、もう心配要らないよ」
      
「明けましておめでとう!」
 
「今年はきっといい年になるからねぇ」
 
と自ら寄り添い、絶対に声掛けを忘れない。
 
 
 
嫌々な義務感では決してやっていない、
正月なのにやらされている感が微塵も無く、
疲れや面倒な表情も一切見せないのだ。
 
 
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このお二人が仁術医の赤ひげ先生だ。
左の先生は、前日の元旦に24時間の当直勤務明けした朝なのだ
 
 
この信じられない光景を見て
僕は自分でも無意識に頭を深く垂れていた。
 
 
全ての患者が、その老先生・若先生に対して
笑顔で丁寧に深々とお辞儀をして
お礼を述べている。
 
 
いったいこの僕は、今まで何をやっていたんだろう?
 
 
 
確かに、医師だけでなく、
旅館やホテルのサービス業は正月が掻き入れ時だし
警察官や消防士、自衛官ほか多くの公務員も
年末年始は休む時ではなく、忙しい期間のはずだ。
     
最近は小売業も元旦や2日が初売りだったりして
正月休み返上の業界は増えている。
 
 
 
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病院の玄関には休診の張り紙がしているが、建物の中では連日てんやわんやの処置が行われている
 
 
でも、でも、
僕は、この老医師、ベテラン医師、若い医師の
日常的にすら見える淡々と、黙々とした献身介護ぶりを見て
心の底から感謝し、感動した。
 
 
 
同時に、農業の現場でも
人の目の届かないところで、
休むことなく、正直に誠意をこめて、自然相手に、
消費者の笑顔を励みに日々研鑽努力する
農林水産畜産業の生産者、支援者の姿が重なりあった。
 
 
 
おりしもTPP参加で、もっとも影響を被り、
業界改革が急務だと言われてる農業と医療の世界。
 
大規模化、近代化、効率化、IT化・・・。
 
 
一方で、このような市井(しせい)
地域に根ざして決して目立つことがない、
真の農業者、医療従事者の活動が
少しでも報われる制度にも改革して欲しいと切望している。
 
食料も命も、やはり人の手で守られているのだから。
 
 
彼らは微塵も不平不満を漏らさない人たちなのだ。
 
 
 
僕自身も謙虚に学び、自ら顧(かえり)み、
情熱と誠意を尽くすことこそ我が核心なり」と再認識し、
今からでも遅くはないと、改めることに躊躇せず
新たな一年の指針テーマとして行動したい。
 
 
 
小さな小さな正月の出来事でした。
 
 
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一陽来復

初春のご挨拶を申し上げます

 
 
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オーストラリア・ゴールドコースト
 
 
老馬の域にさしかかりましたが
新たな年も 良心と信念に従い
変化と動乱のこの時局を駆け抜けていきたいと思います
 
 
 
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます