北海道のおへそを旅する(その4)

北海道を車で移動すると

沿道の広大な田畑や農業施設に
つい目がいってしまう。
 
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住んでいないから、
季節ごとの風景の移り変わりが分からず、
例年の景色というものを知らないけれど、
サクラの開花が遅いのと併せて
なんとなくいつもと違うのではと感じてしまうほど、
ただむき出しの土地が目についた。
 
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聞けば、やはり暖かくなるのが例年より遅いので
農作業が遅れているのだという。
 
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表面の土が十分に乾いていないので
耕せないのだという。
 
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水分が多いまま耕すと、土が塊になってしまい
苗や種が植えられないのだそうだ。
 
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ハウスの中で、さらにトンネル栽培をしてる。おそらく苺の苗を植えているのだろう
 
 
富良野の郊外で、
若い緑色の芽が風に一斉になびていて
とても美しかった。
 
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タマネギの苗だそうだ。
 
 
夕餉の席に、このタマネギ苗のお浸しが供せられた。
 
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なんとも柔らかく、クセのない口当たりと青葉の薫りは
初体験ではあるが、春を感じさせる逸品だった。
 
 
農場を俯瞰して、
改めて食卓の豊かさを感じることになった。
 
 
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北海道のおへそを旅する(その3)

この日はまだ15℃と肌寒く、

天気もグズついていたが
車で実にあちこちと案内して頂いて
ダイナミック北海道を満喫した。
 
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真っ白な雪や雪山は
やはり中国人観光客には大きな感動を与える。
 
南方の人はもとより、北方にあっても
こんなに美しい雪を愛でることが出来る所は
さほど多くないからでもある。
 
写真を撮りあって、その場から離れない。
 
 
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かみふらの八景 “ジェットコースターの路”
 
 
高層ビルばかりの香港に在住する夫婦の眼には
この広い大地がいかに魅力的に映っているかは想像できる。
 
 
中国大陸にも地平線の風景はあるが
草原、丘陵、真っ直ぐの道、大木の林など
日本人と中国人の感じ方に微妙に差があることがわかった。
 
 
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最近注目され始めた美瑛町の「青い池」。
 
河川工事による人造の池に火山成分が流入し
蒼く観えるようになったものだと聞く。
 
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ご主人の陳さんは
白樺の樹を観るたびに感慨に耽っていた。
 
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新中国建国当初、蜜月関係だった
ソ連邦のシベリアのイメージだそうで、
ロシア民謡を口ずさんでいた。
 
 
 
突然、キタキツネが道路を横切った。
 
一同、大感激。
 
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よくぞカメラを構える一瞬まで留まってくれた。ガンマン並みのショットだった
 
 
不意の出来事は旅のアクセント。
 
思い出を心の印画紙に焼き付ける作用がある。
 
 
   
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北海道のおへそを旅する(その2)

中国から来訪した夫婦の奥さんが女優さんであったことから
地元の方の計らいで、全国的に有名な実験的劇場である
富良野演劇工場」を視察することが出来た。
 
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ここは平成12年にオープンした公設民営の劇場で、
富良野在住の脚本家・倉本聰さんも関わった
とても独創的な演劇文化の拠点である。
 
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300の観客席も素晴らしいが、奥行き深い舞台はもっとすごい。
楽屋や控室にもユニークな工夫が凝らされており
演者が心地よく演技できるように配慮されている。
 
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「演者のための劇場」でもあるという意味で
一流の俳優にも一度ここで演じてみたいと思わせる所以である。
 
 
奥さんが舞台の中央に立つと演劇人魂に火が付いたのか
自然と体が表現を始めるから不思議。
 
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当時、周恩来首相の直接の指示で第一主役に抜擢されたという奥さんは、今でも香港と深圳にバレエ教室を主宰し、舞台演出も手掛けている
 
 
 
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大自然と文化が調和する富良野の魅力を
またひとつ体感した。
 

北海道のおへそを旅する(その1)

札幌のサクラの開花を話題にしたが
実は札幌の街は通過しただけ。
 
 
今回の北海道訪問は、
30年来の付き合いになる中国人夫婦を北海道に招待し、
旭川、美瑛、富良野を廻ったのである。
 
 
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十勝岳を望む雄大な風景が眼前いっぱいに拡がる
 
 
このご主人とは仕事のつながりで知り合い
一貫して僕の中国ビジネスを表で裏で助けて頂いた恩人で、
奥さんは、1970年代の中国で有名な女優さんである。
今、60歳以上の中国の人ならおそらく知らない人はいないと思う。
 
 
 
胡錦濤・前国家主席も熱烈なファンだったそうで
若いころ厳寒の北京で2時間も自転車に乗って
劇場に足を運んだと主席就任直後に面会して
“カミングアウト”したという。
 
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まだ手に取れるところにも雪が残っておりビックリ
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東京に7年間も駐在したり、何十回と来日経験がある夫妻だが
北海道は初めてということで、感激することしきり。
 
 
中華系の人たちが北海道の何に魅力を感じるのかを
徹底的に観察することにした。
 
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旭川市郊外で
 
 
ラベンダーで有名な富良野でも
寒さが長引き例年より作業が遅れているようだ。
 
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富良野観光のメッカ「ファーム富田」のラベンダー園も まだこのとおり
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でも観賞用ハウス内が設けられており
 
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このとおり紫色の可憐な姿を愛でることが出来る。
 
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室内には甘い香りが満ちて、なんとも心が癒される。
 
   
桜もラベンダーも、花は国境民族を超えて、
すべての人たちの心を豊かにしてくれる。
 
 
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オオトリに出会う

5月14日に札幌入りした。
 
 
飛行機内のニュースで、
前日に札幌市で桜が開花したと宣言された。
 
   
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札幌・円山公園
    
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これは、平年に比べて10日遅く、
史上2番目に遅い記録となったということであった。
 
 
福岡では史上最速、札幌では記録的な遅さ。
 
自然相手の農業や観光業などの辛苦を改めて思い知らされる。
 
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すすきの界隈
         
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思えば、2月初旬に那覇で緋寒桜を見て、
3月20日前に福岡と東京で史上最速のサクラを観て驚いたら、
連休明けの今回の出張で、まさか北海道で花見が出来るなんて思ってもみなかった。
 
 
まさに「桜前線のオオトリ」に出くわしたことになる。
 
 
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札幌・大通公園
 
 
澄んだ青空に映えて
ニッポンのサクラ前線のオオトリを飾るにふさわしい美しさだった。
 
今年は各地で桜を堪能できた。
 
 
 
図らずも、リレー開花を体験をしたことになる。
 
 
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21世紀型産業社会の実現を目指す女性リーダーの県

台湾中南部の嘉義県を訪れた。
 
嘉義という地名に馴染は無くても
阿里山といえば知っている人も多いだろう。
 
そう。世界3大登山鉄道のひとつ阿里山森林鐡路のある
台湾最大の観光名所のひとつだ。
 
 
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また即席麺の父と呼ばれ、日清食品創業者の安藤百福さんの出身地でもある。
 
 
嘉義県は東西に長く、西端の海岸線から、東端は富士山より高い玉山(3,952m)の峰につながる、めっぽう多岐に及ぶ地理的環境にある。
 
 
ちょうど北緯23.5度の北回帰線が横切るのも、ここ嘉義県である。
 
 
だから、物産も豊富。
 
海産物は養殖の牡蠣やサバヒ、農産物では高山茶、メロン、柿、トマト、タケノコ、トウモロコシ、オクラ、花卉類では胡蝶蘭とトルコキキョウが全国的にも有名だ。
 
 
 
この日、嘉義県の公邸に 張花冠県知事(県長)を訪ねた。
 
 
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農業振興に関する日本の地方とのプロジェクト連携について協議するためである。
 
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京劇の主役のような端正な顔立ちに
魂のこもった眼差しが印象的な嘉義初の女性知事である。
 
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物事もズケズケとはっきりしていて
通訳をしていてもとても小気味良い。
 
 
今、日本の人たちは、これからは東南アジアだとか、まだ大陸だなんていうけど、日本にとって一番重要なパートナーは台湾よっ!
 
 
長いこと政権から軽視されたために開発から遅れてしまったけど、それを逆手にとって緑あふれる食と農と観光の拠点にするのです。
嘉義県は21世紀に相応しい、まさに自然と産業が調和した地域づくり戦略を積極的に展開するので、経験豊かな日本の協力がぜひとも必要なのです。」
          
ときっぱり。
 
 
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嘉義にも名物カラスミ(烏魚子)がある
 
 
農業、経済商工、観光の各局長も自信満々な表情。
 
  
最近、我が国政府も、女性の能力発揮を、と協調を始めたが、海外ではもはや珍しくなく、男性には出来ない発想や対応力、気配りもあって、大いに学ばなければならないと感じた。
 
 
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山あり海あり、文字通り山海珍味
 
 
目指すべき道や成長戦略が明確な組織は、
行動も早く、人心もまとまりやすい。
 
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豊かな嘉義のフルーツ
 
 
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別れ際の記念品交換の場でふと女性らしい柔らかな笑顔を見せてくれた。地元では嘉義のお母さんと呼ばれるほど県民から親しまれている
 
   
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公邸内に設えられた超プレミアム級の阿里山高山茶の茶葉。あたり一面に清々しい香りが漂う
 
 
農水産物商品の輸出促進もいいが、ただそれだけが海外対応の施策なのだろうかと考えると、いずれアジア新興国にこの分野でも追いつかれ、追い抜かれるのではないかと心配するのは、ただひとり僕だけであろうか。
 

地力アップした南国に 元気な季節がまたやって来た

久方ぶりの宮崎。
 
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前日は、全国ニュースで取り上げられるほど
日本で最も暑い夏日だったらしいが
この日は23℃としのぎやすい気温。
 
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日頃、僕が一目も二目も置く農業サポーターの
SさんとTさんとの打ち合わせが目的。
   
      
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「これから農業は変わるぞ~!」と
ますます意気が上がる。
 
 
 
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連休明けということでまだ観光客も多く、
休暇を後にずらした若い女性や熟年カップルの姿が目立った。
 
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一時の知事ブームから落ち着いたとはいえ、
それなりに認知度も上がり、
自然な付き合いの出来る宮崎県人のファンとなって
リピーター観光客も増えている。
 
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ブランドマンゴー“太陽のタマゴ”もお目見えだ
      
    
それに地域ブランド商品が沢山開発されていて驚いた。
 
 
むしろブームが去ったからこその新たな緊張感、
また口蹄疫や鳥インフルエンザ危機を克服してのたくましさが
そうさせているのではないだろうか。
 
 
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当の宮崎の人たちにはあまり自覚されていなくても
10年余り頻繁に通っている僕の眼には明らかだ。
     
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宮崎空港の中央催事場には
海外で一緒に汗を流した川野海産の川野社長(上)と
福冨農産の福冨社長(下)が頑張っていらっしゃった。
 
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有機米・野菜の生産から加工、カフェ経営まで幅広い経営にチャレンジする福冨社長。海外での農業ノウハウ・経験も持つ逸材でもあるとは、その穏やかな風貌からは誰も想像できないだろう
 
 
どちらも着実に業績を上げているホープ企業。
 
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国内も海外でも、自ら店頭に立ってまめに消費者と接し、
変化を察して、不断に商品創り、サービス創生に活かしていく。
 
伸びる生産者の王道だ。
 
 
 
 
やっぱり来て良かった!
         
宮崎はいつもそう思わせる天堂である。
 
 
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台湾ブドウの名産地で、新たなチャレンジが始まる

台中市の西南に隣接する彰化県
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面積は台湾本島では最小の県ではあるが、人口は130万人で逆に2番目に大きな県である。
 
 
ここ渓湖鎮の特産はブドウ
巨峰葡萄は台湾でもその名が知られている。
 
 
 
ブドウ園を訪問した。
 
 
 
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高付加価値化、加工度向上、輸出振興を目指して
2年前からワイン用ブドウの栽培に乗り出したという。
 
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白ワイン用の品種だそうだ
 
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青果では思うように収益が上がらなくなったという。
 
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この農園では大企業がバックアップ体制を敷き、
苗や肥料、農薬、栽培技術指導を行い
収穫したブドウも糖度に応じた価格で買い取りを保証する。
 
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明るく元気な園主の胡さんの話では
ブドウ栽培は、米作に比べ単収ベースで5倍の収益があるという。
 
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ただし、施設や手間がかかるので同面積とはいかないから
単純に比較はできないというが、
ワイン用にチャレンジする胡さんの表情はとても生き生きとしている。
 
日本も海外も挑戦者の姿は皆同じだ。
 
 
隣に、ゴーヤ(苦瓜)の棚栽培も
 
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ヘチマ(絲瓜)と並んで台湾にはなくてはならない食材だ。
 
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ミニトマトの収穫にも出逢った。
 
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台湾では盛んに高糖度のミニトマトが作られている。
 
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中央に掘られた溝に液肥が入れてあり、水中に根が張る「半水耕栽培」というのだそうである
 
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見学を終え、渓湖鎮のもう一つの名物「羊肉爐」を全員で囲んだ。
 
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そのまんまヤギ肉の鍋である。
 
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赤身肉でクセがなく、とても食べやすい。
 
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ここ台湾でも、園主ひとりで鍋の管理を受け持つ「鍋奉行」が生まれる
 
 
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生肉が必ずしもメインでなく、滋味深いスープを楽しんだり、
骨の髄をストローですすったり
数種の料理をついばんだりで、地方色あふれる逸品だった。
 
 
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鍋用のタレは、中国チーズとといわれる腐乳を使う
 
 
ここ台湾彰化だけでなく、韓国・中国・東南アジアでも
農業の新たなチャレンジはすでに各地で始まっている。
 

番組を通じてノウハウが学べる

ジェトロ(日本貿易振興機構)が製作するTV番組「世界は今-JETRO Global Eye」が面白くて役に立つので、よく視聴している。
 
 
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©JETRO
 
 
5月1日にアップされた「特集 海外へ売るための知恵と工夫 -日本産食品の挑戦」はインターネットでいつでも観ることが出来るので、海外に販路開拓を目指す諸氏にはぜひご覧頂きたい。
     
(約9分半)
 
 
まずはタイトルに共感。
僕は常々「ニッポンを売る!」ためには、知恵と工夫を徹底的に使うことだと訴えてきたから。
 
 
番組では、トロントで繁盛する居酒屋の日本人マネジャーの行動を軸に、出口戦略としての業務レストランに着目。Foodex Japanでの商談会風景や養殖・加工の現場を織り交ぜながら日本産農水産物輸出の様々な知恵と工夫を紹介している。
 
 
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©JETRO
 
 
ジェトロならではの視点とネットワークで、現場取材と事業者の生の声が聞けるのが特徴だ。
 
 
 
食品輸出の原理原則や成功のポイントを平易に紹介しているので、ぜひ参考にして頂きたい。
          

輸出を超えた海外農業ビジネスの可能性を感じた旅(その1)

1日から、台湾を訪ねた。

    
   
中南部の台中彰化嘉儀
そして台北の4カ所を4日間で廻ってきた。
 
つい先回の北海道に続いて
ちょいハードスケジュール。
 
 
人口約270万人の文字どおり
台湾中部の中心都市・台中の街は、
新幹線効果もあって、最近すっかり変わっている。
 
 
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ホテルの窓からの眺望
 
 
雨が比較的多い台北に比べ
台中は晴天が多いはずだが、
さすがに梅雨に入ったか、この日は朝から雨模様。
 
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でも、裏通りには
昔と少しも変わらない朝の風景も
 
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朝の軽食(早点)の店では
豆乳に蒸饅頭、揚げパンなど気軽に食べられる。
 
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台中では、上場企業で商談と工場を見学した。
 
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工場建屋の壁面緑化  やはり気持ちがいい
 
  
さらに蘭の栽培施設も見学させてもらった。
 
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さすが蘭大国 -台湾だ。
 
明日、シンガポールに向けて出荷の準備に大忙し。 
 
 
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日本も台湾も成熟段階に入り
難しい経済運営を迫られているが
農業分野でも“輸出を超えた日台協力の姿”が
垣間見えた出張となった。