台湾中南部の嘉義県を訪れた。
嘉義という地名に馴染は無くても
阿里山といえば知っている人も多いだろう。
そう。世界3大登山鉄道のひとつ阿里山森林鐡路のある
台湾最大の観光名所のひとつだ。
また即席麺の父と呼ばれ、日清食品創業者の安藤百福さんの出身地でもある。
嘉義県は東西に長く、西端の海岸線から、東端は富士山より高い玉山(3,952m)の峰につながる、めっぽう多岐に及ぶ地理的環境にある。
ちょうど北緯23.5度の北回帰線が横切るのも、ここ嘉義県である。
だから、物産も豊富。
海産物は養殖の牡蠣やサバヒ、農産物では高山茶、メロン、柿、トマト、タケノコ、トウモロコシ、オクラ、花卉類では胡蝶蘭とトルコキキョウが全国的にも有名だ。
この日、嘉義県の公邸に 張花冠県知事(県長)を訪ねた。
農業振興に関する日本の地方とのプロジェクト連携について協議するためである。
京劇の主役のような端正な顔立ちに
魂のこもった眼差しが印象的な嘉義初の女性知事である。
物事もズケズケとはっきりしていて
通訳をしていてもとても小気味良い。
「今、日本の人たちは、これからは東南アジアだとか、まだ大陸だなんていうけど、日本にとって一番重要なパートナーは台湾よっ!」
「長いこと政権から軽視されたために開発から遅れてしまったけど、それを逆手にとって緑あふれる食と農と観光の拠点にするのです。
嘉義県は21世紀に相応しい、まさに自然と産業が調和した地域づくり戦略を積極的に展開するので、経験豊かな日本の協力がぜひとも必要なのです。」
ときっぱり。
嘉義にも名物カラスミ(烏魚子)がある
農業、経済商工、観光の各局長も自信満々な表情。
最近、我が国政府も、女性の能力発揮を、と協調を始めたが、海外ではもはや珍しくなく、男性には出来ない発想や対応力、気配りもあって、大いに学ばなければならないと感じた。
山あり海あり、文字通り山海珍味
目指すべき道や成長戦略が明確な組織は、
行動も早く、人心もまとまりやすい。
豊かな嘉義のフルーツ
別れ際の記念品交換の場でふと女性らしい柔らかな笑顔を見せてくれた。地元では嘉義のお母さんと呼ばれるほど県民から親しまれている
公邸内に設えられた超プレミアム級の阿里山高山茶の茶葉。あたり一面に清々しい香りが漂う
農水産物商品の輸出促進もいいが、ただそれだけが海外対応の施策なのだろうかと考えると、いずれアジア新興国にこの分野でも追いつかれ、追い抜かれるのではないかと心配するのは、ただひとり僕だけであろうか。