壁を越える

             

27日、「九州地域バイオクラスター計画」が始動した。

   
Dsc082610

      

九州経済産業局が中核となり、産官学で連携して機能性食品や健康食品の開発や量産化拠点作りを目指すもので、「環境クラスター」「半導体クラスター」に続く第3の産業クラスター計画だ。

      

クラスターとは、ブドウなどの「房(ふさ)」、魚などの「群れ」を意味する英語で、産業クラスターとは関連する産業や事業がお互いに結びつくことによって新たな相乗効果を生み出す産業・事業群の総称である。

   
Dsc082620
キックオフセミナーの会場には200名を越える参加者が集まった

       
    

九州は農林水産業の出荷額は全国の20%に達し、食料品製造業の工業出荷額も2.5兆円と、域内の自動車産業2.7兆円に次ぐ中心産業のひとつと言えるのだ。

      

また、みそ、醤油、黒酢、焼酎、鰹節などの醸造・発酵技術では日本を代表する蓄積もあり、豊富な農産物を活用する事で、機能性食品や健康食品を生み出し、今後の社会ニーズに合わせた「フード・健康アイランド」の構築を目指すことになる。

       

農業を農業だけですべてを完結させようというのではなく、加工、販売、サービス、物流、研究開発、観光、医療、ITなどと連携することで大きな可能性が広がるのである。

      

農業関係者もぜひ海外を含め、あらゆるネットワークを求めて、柔軟な発想と行動力で壁を越えていって欲しい。

      

バイオというと高度な医薬品をイメージするが、実は農産物や地域資源が核となる夢のある産業なのだ。

      

それも大都市ではなく、地方にこそチャンスがあるのだ。

      
    

Dsc_41790
羽田空港にて

  
   
今日から、羽田空港と上海虹橋国内空港との間にJALとANAのフライトが就航する。

      
我々ビジネスマンにとって、とっても便利になることだろう。

      

「成田空港は国際線、羽田は国内線」という固定観念の壁を打ち破り、そして行動を起こしたらこういうことだって出来るのだ。

    

    

そう言えば、あさって10月1日からいよいよ郵便局が民営化される・・・。

      

豊穣と放生と(その2)

      
(前回から続く)
      

日本から一気に数千キロ飛んで、
ここはカンボジアの首都プノンペン

         

まったりとした空気の中をゆるりと流れるトンレサップ川のほとり。シソワット・キー(Sisowath Quay)と呼ばれる大通り沿い。

        
Dsc_5067
        
   

ここは、かの有名なシアヌーク殿下の居住か公務の場であっただろう王宮前の広場である。

      
Dsc_5063

       
               
夕方になると何処からともなく大勢の市民が集まってきて、大賑わいになっている。

  
Dsc_5262
      
           

あまりに賑やかなので、年に一度の祭りにでも出くわしたのではないかと思って喜んだのだが、どうもそうではなく、毎日の事らしい。

   
Dsc_4569_2
      
Dsc_4579_2
祈りを捧げるプノンペンの娘

        
    
仏前にお参りをする人、川縁で夕涼みする人、デートする若者など老若男女さまざまだ。

   
Dsc_5242
    

Dsc_4484

この娘さんが食べようとしているのは、ポンティア・コォンと呼ばれる孵化寸前のアヒルの卵を茹でたものだろう。丸い方を上にして殻を割り、ライムや塩胡椒をかけて食べるオツな味だ。

      
     
Dsc_4679
この仏像のお顔、どこかで見たような・・・??

      

     

この一角で、スズメのような生きた鳥がたくさん入った籠が並んでいて、お金を払ってわざわざ放して逃がしている光景を見てビックリした。

    
            
Dsc_4535

    
Dsc_4524
大空に放たれる鳥 (左上隅)

      
     
 

これが仏教の放生なのかッ。

  

功徳を積む行為なのだろう。

  
Dsc_5287 Dsc_5290
「ほらッ、こうやって。」 「命を大切にねッ!」

      

しばらく見ていると、次々に鳥を買っては逃がしてやっている。
     
   

僕は我欲から離れられない凡夫だから、
チラッと、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の話を思い出してしまった。
   
    

僕もやってみようか。
     

万一、地獄に行っても、一羽の鳥が飛んできて、サッと血の池地獄から救ってくれるかも知れない・・・。
   

小人(しょうじん)である。

     

Dsc_4531

   
    
とにかく放生の現場を目撃して、感動にも似た思いがした。

      

そのうち、どこからともなく10人くらいの複数の集団が、金銀の装飾を施した張り型のような船を大事そうに抱えてやって来た。

   
Dsc_4632
   

張子の舟には、いろいろな供物が備えられているではないか。

   
Dsc_4636
     

そのうち大勢の人が集まってきて、川に浮かべる準備をしている。

    
Dsc_4646
供物やお賽銭を次々に供える

    

ここで初めて判った。

     

なんだ! これは「精霊流し」じゃないかッ!!

       
    

すなわち日本流に言うと、この舟は「西方丸」だったのだ。

  
Dsc_4652

   
Dsc_4710

    

いやはや、はるかカンボジアまで来て、日本文化との共通点を目の当たりにしてビックリ仰天。

   
Dsc_4619

   
Dsc_4672

     
      

敬虔な仏教徒が多いこの国がグッと身近に、そして親しく感じた瞬間だった。

    

Dsc_4680

       
(2006年9月撮影)
     

豊穣と放生と(その1)

   
の彼岸を前にして、いつもこの時期に放生会(ほうじょうや)というお祭りが開かれる。

        
Dsc_2692

    
     
なんと1000年以上も続いているそうで、昔から「ナシもカキも放生会」と言われることくらいは、私も子供の頃から知っていた馴染み深い秋の収穫祭である。

   
   
Dsc_2875
放生会には縁起物の新ショウガが必ずお目見えする
        
  
Dsc_2546 Dsc_2895

        
    
私にとっては昔懐かしい祭りではあったが、ここ10年ほど農産物マーケティングや地域資源を活用した商品開発の仕事にも携わってから、露店の並ぶ参道を歩いても、妙に視点が変わっていることに気づき、我ながらあきれてしまう。

      
Dsc_2600
延々と続く社前の参道

       

最近は、ご当地ブランドの商品も目立つし、流行便乗商品もある。

   
Dsc_2845
   
Dsc_2782
こんなところで茨城名物を見つけ、つい足を止める

Dsc_2915
地名を冠する商品が多くなった

      
        
祭りの露店は、どれも屋号を付けず商品名でストレート勝負だから分かりやすい。

      
Dsc_2843
ローカル化とグローバル化と・・・
    
Dsc_2867

         
     
   

延々と続く参道を歩くだけで、面白いアイデアがいくつも見つかる。

      
   
Dsc_2824
宮崎と佐賀と熊本がチャンポン!?

    
Dsc_2755
この外人家族が興味を示したものは、意外なものばかり・・・
とても参考になった。
    
        

Dsc_2781
   
Dsc_2603 Dsc_2609

この日は35℃を越す猛暑。地球は絶対におかしくなっている!!!

    

       
もともと放生会は、生けるものの命を慈しみ、五穀豊穣を祝い、秋の収穫に感謝する祭りだ。

    

恵みを与える山の神、海の神を敬い、農業・漁業の営みの永続を祈願し、地域や国の平和・安泰を願うという思想が込められた神事であり、庶民の年一回の楽しみの場でもある。

    
Dsc_2666_4 
日本人はもともと心が大きな民族なのだ

       

農業・漁業あっての日本文化の原点であり、全国の多くの祭りにも共通する私たちの財産でもある。

     

気象や自然現象に左右されやすい農水産業の永遠の安定・発展に対する願いは、これから迎える未来社会でも同じはず

     
    
Dsc_2403
多くの著名人の揮毫に触れることが出来る

  
Dsc_2404
ホークスの王監督は、まだ夢を追っている・・・
      

     
子供たちにもこの素晴らしい文化を伝えるためにも、地域の持つあらゆる農水産資源・産地技術を再認識して、世界に誇れる宝物としてポジティブに活用するべきである。

    
Dsc_3012
子供たちに日本の良さを伝えたい・・・

    

心から農業に感謝!!

    
Dsc_2702
収穫の秋

   
       

祭りの最終日、「放生」という名のとおり、池に鯉を、社前で鳩を放つそうである。

    
   
ういえば、この前、カンボジアの首都プノンペンの河畔で目撃した放生の光景をふと思い出したのだった。   (次回に続く)

    
      
   
Dsc_2455
季節を先取りする日本人の美意識はスゴイ

  
     
Dsc_2999
雲もすっかり秋支度・・・

     
            

たかが家庭菜園、されど・・・

     

には、何か予感めいたものがあった・・・。

         
10年前、私がまだ中国ビジネスのコーディネーターとして活動していた頃、自宅の小さな庭は名前も知らない観賞用の庭木ばかりであった。

         

ところが、その後、庭師さんの制止を振り切って次々と庭木を切り倒し、その代わりに果樹を植えたり、畑にしていったのだった。

    
Kabosu2
我が家の自慢は果汁タップリのカボス
   
         

その後だ。私が日本の農業関係の支援事業に参画したのは。

           
    
今、庭には、梅、柿、柑橘類、タケノコ、ザクロ、イチジク、ブルーベリーなどの樹木が、畑には一年を通して夏野菜や万能ネギ、小松菜、大根、人参、玉葱、カツオ菜など様々な野菜を植えている。

   
Lemon2_2 Lemon_2
植えて4年目になるレモンが今年はたわわに実をつけた

      

今の季節、ちょうど夏野菜の収穫が終わった。

    
Lajiao 
唐辛子のことを九州では「こしょう」と呼ぶこともある   

   

トマト、ナス、きゅうり、苦瓜、バジルやルッコラなどのハーブ類、大葉、豆類などだ。

      
Bajiru
バジルももう終わり

   

ところが、まだ残暑も癒えないうちに、もう秋冬用のために畑を耕さなければならない。
       

Kuwa

     
これが辛い。 

     
年2回の重労働。10分も続けていると運動不足の体が悲鳴をあげてくる。

    
Kuwa3

        
明日から3日間ぐらいは筋肉痛で顔をゆがめるだろう・・・。
     
   

これに加えてもっと過酷なのが夏場の草取り灼熱地獄そのものだ。

    
Kusa

    
Nira
草取りしないニラ畑のコーナーはこのとおり
       

もっとも草取りや手入れするのは、年老いた両親だから私は偉そうなことは言えないけれど。

     
Toti
とにかく頑張って頑張ってこのような畑を数ヶ所作る

      

ところが、散々手をかけて育てた後、いよいよ収穫となると、カラスや野鳥がヒラリと飛んできて、熟した美味しいものから、さらっていかれる。
     
もうため息も出ない。

  
Itijiku2 Itijiku
大好物のイチジクは今年は豊作。だが、カラスとイタチゴッコだった

   
     

加えて最近は、無責任な餌付けをされた複数の野良猫が畑を荒らし、「何が動物愛護だッ!!」と、この程度ですら憤りを隠せない。

       

自家菜園だから無農薬は当たり前だけど、とてもまともな形にならず、近所におすそ分けすら出来ない有様だ。とにかく生産・栽培とはとても奥が深いことだけは体感して解る。
    
     
Siso2 Siso
この夏、重宝したシソの葉だが、このとおり・・・

       
    
日照りが続けば大量の水道水を撒き、毎年新しく高価な有機肥料などを試す一方で、素人で知識も情報もないから、結局収量などたかが知れている。

     

いったい、一本いくらのきゅうりになるんだろう!?
      

もし、労賃をまともにコストに入れたら????
   

痛めた腰をさすりながら、「これで生産者の苦労がわかる」なんて言ってたら農家の方からヒンシュクを買ってしまうだろう。

    

ましてや、かつて現地でトラウマになるほどの衝撃を受けた中国、東南アジアの農民の厳しい現実を思うと、なんとまあヤワな悩みだろうか。

    

これまで延べ何千人という生産者の人たちと日本の国際化とこれからの農業について議論してきた。

    
    

「私も少しは農業の厳しさを分かっているつもり…」
     

この感覚が一番危ないことを肝に銘じておかなければ。

     

Onion

       

          

面会お礼

      
月の旧盆・夏季休暇期間を過ぎると、何故か会合・集会の事業が急に目白押しになる。

      
最近10日間で関東、関西、九州など各地で計7回の講演・セミナー、研修会、座学などの会合に呼んでいただき、延べ300名近くの方々と交流することが出来た。

     

お渡しした名刺や講演資料などに記載したアドレスを通じて、このブログにアクセスして頂いている「新朋友(中国語で知り合った友人の意)」の皆さんに対して、この場を借りて厚くお礼を申し上げます。

      

会場では時間や進行の都合で、なかなか個別にお話できなくて申し訳なく思っています。

   

テーマは、アジアビジネス農産物・食品輸出、国際物流、地域振興など多岐にわたるが、皆さん暑いさなかにもかかわらず、熱心に話を聞いていただいたり、私の心に深く残る名講義などを聞くことが出来て、大いに刺激になった。

   

思えば、このブログの主要テーマのひとつである農産物輸出だけでも、この5年間で合計120回を越える講演活動を行なった。
   

にもかかわらず、毎回自分の思い・考えを上手く伝えることが出来ずに、未だに悩み続けている。
    

これからも様々な機会を通じて、多くの皆さんと交流できることを楽しみにしている。
    

私は、情報交流でも一方通行ではなく双方向の関係を望んでいる。このブログにわざわざアクセスして目を通している皆さんに今一度感謝し、ぜひ様々な交流を深めていきたいのです。
    

先日も、参加した会合主催責任者の方から直接封書で熱い思いを届けていただいたり、札幌にお住まいの方からブログを通して交流することが出来た。本当に嬉しくありがたい事。
   
後悔ばかりの毎日で、心が救われる瞬間だ。

       
これまでも信じられないくらい全国・海外の大勢の皆さんと知り合い、その思いをブログ原稿に書き溜めています。
     

仕事の合間をぬってアップしますから、時々のぞいてみて下さいね。

      
   
皆さんに深謝!!