名産地で浴びるほどマンゴーを頬張った日(その4)

(前回から続く)

   

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ここ玉井区青果集荷場で扱う商品は、もちろんマンゴーだけではない。

      

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パパイヤ、パイナップル、スターフルーツ、ライチをはじめ
様々な果物や加工品が売られている。

    
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台湾ライチだっ! 

     
    
   
話によると、ほぼ一年中何らかの青果物が扱われているのだそうな。

      
       

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突然、台南人社長が
「これ食べてごらん。」
と差し出してくれたのが、なんと青いバナナ。

    
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最近、バナナは黄色いどころか、
周りが醜く黒ずんだくらい熟しているのが一番旨い!
などとうそぶいている僕だから、
これを見た途端、
「こんな渋そうなバナナ食べれるもんか!!」
と一瞥しながら、恐る恐る口に運ぶと、なんと甘いどころか
バナナ特有の香りが口いっぱいに広がって、清々しい美味しさに包まれた。

   
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さすがバナナの宝庫である。

いろんな種類があることを学んだ。

 
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市場の奥には、官田名産の菱の実が売られていた。

      
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官田郷は、先のエントリで紹介した烏山頭ダムのある所で
菱をたくさん栽培していることがわかる。

            
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また、陳水扁前総統の生まれ故郷としても有名だ。

        

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口に運ぶとホクホクと懐かしい味がした。

       

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他にもドライマンゴーなど加工品やデザートコーナーも付設。

     
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今日僕は、一体どれだけのマンゴーを試食させてもらっただろうか?

          

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もう数えきれない。

   

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場外に歩を進めると、世界中どこも同じ、あの市場で働く人の
とびっきり美しい笑顔がここにもあった。

      
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ありがとう! 玉井の市場。

    

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場外生鮮市場

          
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こんなイメージの場所

       

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「早く、行くよ!」

社長はホトホト待ちくたびれた様子だった。
                                  (次回に続く)

        

        
※明日から海外出張に行きますので、次回のアップは来月5日前後の予定です。

名産地で浴びるほどマンゴーを頬張った日(その3)

(前回から続く)

         
連れて行かれたところは玉井郷の中心地だろうか、
町の真ん中に突如現れた大きな建屋。

      
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玉井区青果集貨場」とある。

       

      
中に足を踏み入れると、そこは青果物や農産加工品の交易場だった。

    

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気温も湿気も高いムンムンとむせ返るような暑さだったが、
場内は活気ムンムンと、やはりむせ返るような賑わいだ。

    
   
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さまざま、色とりどりの果物や野菜、食品が所狭しと並んでいるが、
この時期はやはりマンゴーが主役。

    
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日本では、化粧箱やパックに宝物のように大切に「収納」されているマンゴーしか見たことがないが、ここではいわゆる「旬の果物」なのだ。

 
Dsc_1626     亜熱帯色彩のグラデーション
     
            
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黄桃のような色合いのマンゴーも
    

       

         

台北や日本の店頭では滅多に見かけない欠点のあるマンゴーだって、商品の一部として売られている。

    

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それにしても圧倒的な存在感。

    
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やっぱり果物の王様だよ。

   
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はぁ~ぃ。もうひとカゴお買い上げ~ッ!!

   
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場内一杯にま~ぃ香りが漂っている。

   

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エエッ
こ、こ、こ、こんなに安いの??

   

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ひと盛り300日本円弱!?

   
   
頭の中で自分の日本円換算を疑うくらい信じられない値段なんだもの。

      

どこも名産地の旬の只中というのは、こういうものなんだよね。

     
     

  
よおっ~し。今日は夢にまで見たブランドマンゴーを浴びるほど喰ってやるぜ。」

    

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僕が財布に手をかけようとした途端、

    
       
ちょっと、よしなさいってば。

もっと良いものを食べさせてあげるから。」

      

    
マンゴー輸出の社長殿が言うんだから嘘じゃないとは思うんだが、食べたい衝動をこらえるのは至難の業だ。

    

うんん~んッ! オフィスかなんかで、見た目綺麗なマンゴーを上品にちょこっと出されたってつまんないんだし、悪いけどここは目を盗んで豪快に頬張るゾっと。

    

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僕を市場に放り込んだら、もうそれでお仕舞い。

     

魚を海に放り込むのと変わらない。
失踪・行方不明は毎度のこと。

    
      
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こんな蒸し暑い所から早く自分の会社に行こうとあせる台南人社長を一顧だにせず、僕はズンズン市場の奥に分け入ってどこかへ消えてしまったのである…。
                                (次回に続く)

   
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名産地で浴びるほどマンゴーを頬張った日(その2)

(前回から続く)

    
まずは、さっそくマンゴー園を訪ねる。

      
      

「おぉ~いッ!!  ○*▲!」

         
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知人の社長が取引先と思われる園主の名前を何度も呼ぶが、反応がない。

    
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車も収穫したてのマンゴーもあるのに返事がない

    
    

「まっ、いいか。」

     
    
勝手にマンゴー園の中に入り、見学させていただく。

    

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見渡す限りのすっごい広さの圃場に、マンゴーの樹がぎっしりと植えられている。

     

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まだ若い実

   

    
マンゴーの樹ってどんな形をしていて、果実は一本の弦(つる)にブラリとぶら下がって結実するものということくらいは、タイやバリ島などで野生の木として見たことがあるから知ってはいたが、こんな果樹園に仕立てられた群生マンゴーを観るのは初めてだ。

   
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そのすべての実に、ひとつひとつ袋がかけてある。

   
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山一面マンゴーの樹でギッシリ

  
   

見るからに手間がかかっていると実感。

      
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失敬してひとつだけ袋を外させてもらった

   

    
台湾で栽培されているマンゴーのほとんどが、
アップルマンゴーと呼ばれるアーウィン(愛文)種で、
宮崎の太陽のたまごや沖縄宮古島などで栽培されているものと同種である。

   
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真っ赤に熟れていて、甘さが表面に滲み出ているかのよう

     
     
他に、フィリピンで多く栽培されている黄色いペリカンマンゴーは
この農園では見ることはなかった。

     

   
一部の促成ハウス栽培を除いて、すべて路地。

   
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そうだ、ここは北回帰線より南に位置する亜熱帯だった。

     

ちょうど夏至も過ぎた時で、
昼の太陽が頭の真上から容赦なく陽光を浴びせてくるんだ。

    
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この日は明るい曇り空だったが、それでも強烈な蒸し暑さは日本でも考えられない。

  
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とにかく眼前の山間部一杯に広がるマンゴーの樹を観たときは、思わず息を呑んでしまった。

   
さすがマンゴーの里として超有名な玉井郷である。

     
        
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「さあ、お次は集荷市場を案内しましょう。」

    
      
なんということもなく、くだんの社長がマンゴー園を背にして車を走らせた。
                                 (次回に続く)

    
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名産地で浴びるほどマンゴーを頬張った日(その1)

       
6月下旬から7月にかけて、
台湾ではマンゴーの本格的なシーズンに入る。    

    
今年は冬の寒さが長引いた分だけ、出荷が例年より遅れたそうである。

     
     
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台北の有名なマンゴースイーツ店の看板メニュー  マンゴーかき氷

     
         
     
この時期は若い娘たちだけでなく、
老若男女みんな手ごろになったマンゴーを楽しんでいる。

      

     
      
今月初め、あるプロジェクト推進のために台南に行ったのだが、
台湾でもトップクラスのマンゴー輸出に携わる地元貿易商社の社長さんと旧知の仲で、突然連絡したら、案内するからぜひいらっしゃいと誘われ、出荷の繁忙期と知りつつ、ホイホイと現地を視察に行くことにした。
      

      

台南の中心街から車で約1時間半強の道のり。

     

途中、烏山頭ダムを横目に進む。

     
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ここは、1930年に完成した農業灌漑を主目的としたダムで、日本人・八田與一技師により建造されたものである。

      
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後方に見える長い堤防のような土手に烏山頭ダムがある

           

それまで、常に干ばつの危険にさらされていた嘉南平野が、このダムのおかげで台湾を代表する穀倉地帯として蘇ったのである。

    

八田技師は、その死後70年近く経た今でも
多くの台湾民衆から敬愛されており、
日台交流の模範として僕の心の中にも特別な存在である。

   

当時の日本人は、物資調達だけでなく
土木やインフラ、衛生など技術やノウハウ、社会資本整備までも
台湾やブラジルなど世界各国で広めていった
のである。

  
その上、歴史的な背景があったにせよ、
祖国に帰ることを前提にではなく
腰を落ち着け、根を張る情熱で…。

   

当時の日本人の方が、よほどグローバルな視野を持っていたと思う。
    

しかも、その核心技術が農業栽培や加工、農業土木技術なのだ。

  

本当に頭が下がる思いだ。

    

     

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さて、どれだけ坂道を登ったであろうか、
山間部に開けた大きな町が見えてきた。

    
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だんだん生活の匂いがしてきたぞ

    
     

ここが、台湾マンゴーの名産地 玉井区である。

    
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玉井郷にようこそ、と書かれている

      
     
玉井という地名は、高雄と同様、おそらく日本時代につけられたものだろう。

       

これまでは台南県玉井郷であったが、昨年12月の台南市への編入で
現在は玉井区ということになっている。

    

300pxtaiwan_roc_political_division_  250pxyujing_tnsvg
左は台南市。右は台南市での玉井区の位置 wikipediaより     
       

        
     
今や台湾でこの玉井は、マンゴーと同義語であるほどの地域ブランドなのである。

 
いずれ日本でも知名度を上げてくるかもしれないので、
読者の皆さんはマークしておいて頂きたい。   

    

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巨大なマンゴーのオブジェが町のシンボルだ

    
     
    
手始めに、まず畑に行きましょうかね。」

     

いよいよ台湾の有名ブランド・玉井マンゴーとのご対面だ。
                               (次回に続く)
           

富良野ふたたび(その4) そして暑中お見舞い

(前回より続く)
         
        
    
新富良野プリンスホテルに併設されている「風のガーデン」。
      

       
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2008年にフジテレビで放映された倉本聰脚本のドラマ撮影のために2年をかけて設えられた舞台である。

    
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緒形拳さんのテレビドラマの遺作としても知られている。

   

心ときめかす涼風に誘われて、ひとり、
部屋を飛び出して散策してみた。

         

        
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猛暑が続く列島の読者の皆さんへ、
少しでも草の香りと涼を感じてもらえるよう
この爽やかな風の便りをお届けします。    

    

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心地よく乾いたマイナスイオンいっぱいの爽やかな風が、頬を撫でているのをイメージしてみてくださいね。

 
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富良野の方に聞くと、この涼しさが当たり前なのだと言う。
まさに当たり前なんだろうけど、これこそ地域資源というものなんだよね。

    
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暑中お見舞い申し上げます

   
   
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いつもブログにお立ち寄り頂き
心から感謝申し上げます。

     
   
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とっても楽しい時も、どんなに辛い時も、なんたって体が一番。

くれぐれもお体には、ご自愛ください。

    
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次回から、また海外からのアツい話題をお届けします。
                                 (シリーズ終わり)

  

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富良野ふたたび(その3)

(前回より続く)

   

今の季節、富良野のあちこちのハウスで盛んに栽培されている
この作物 なぁ~んだッ??

   
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少しズームアップしましょうね。

   
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それでは決定的なヒントをチラリ。

   
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そうです。

答えは、あの有名な富良野メロンでした。

   

    
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静岡メロンのように支柱に立てて栽培する方法をイメージしている人には少々違和感があるかもしれないが、ここでは地這え栽培が主流である。

     

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一本の苗からは2個に仕立てて大切に育てられる。

      

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こんなに大きく育った。そろそろ出荷も間近。

    

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生産を担う青年から収穫のタイミングや甘いメロンの見分け方を習う

      

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ご存知のとおり、富良野メロンは赤肉系で糖度も高く、舌触りが滑らかなのが特長。

    
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甘い香りがふわぁ~ッと鼻孔を突き抜け、口一杯に果汁が広がる。年代物の洋酒を含んだ時のような陶酔感に包まれる。

   
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フラノマルシェでは必ずお買い上げの逸品だ

      
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もちろん青肉系のメロンも栽培されている。

     
    
キングメルティーというここでしか味わえないメロンを堪能。

    
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手前がキングメルティー

    
   

そのとろけるように滑らかな舌触りと甘さは、
これまで経験したことのない驚きもので
僕の脳幹もメロメロとなり、
メロンという高級感あふれる果物の価値を再認識させられた。

     
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残念なことに、日持ちがしないため、
せいぜい札幌か、一部東京にしか出荷されていないのだそうである。

    
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黄金色した果皮が特長

   
    

ぜひとも条件を整えるか、改良を重ねて、世界の人々にもぜひこの豊かな香りと甘さを堪能してもらいたい。

   

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またひとつ富良野のとりこが出来てしまった。
                                   (次回に続く)

    

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富良野ふたたび(その2)

(前回より続く)

      

この日、今年初めて30℃を上回ったと地元の人たちは話題にしたが
日頃湿度の高いところに住んでいる僕にとっては、爽やかそのもの。

  
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天然のクーラーの中にいるようなもんだ。

    
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映画のタイトルバックに出てきそうな風景
   

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夏を迎えると、この町は一面農作物に覆われる。

   
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最近は減少気味という水田
   
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車窓から丘陵に広がるジャガイモの畑を観る

   
      

米、小麦、トウモロコシ、たまねぎ、ニンジン、ジャガイモ、大根、
そして様々な施設園芸作物が延々と眼前に広がる。

   
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麦秋  一面に敷き詰められた黄金の絨毯のよう
    
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夏の北海道といえば、すぐにトウモロコシを思い浮かべる

   
    
   
広い。ただただ広い。

   
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ちょうど富良野にんじんの間引き作業に遭遇  広いだけに大変
    
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さすがに、十勝に並ぶ日本を代表する農業王国だ。

     
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玉ねぎの畑も延々と続く
    
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機械を入れて思いっきり農業が出来る環境。

     
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機械のわだちのように見える
    
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これも日本の景観のひとつ。

     
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ところどころに畦(あぜ)の跡があるのは、
水田から転用した名残りだろうか。

      
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昨年オープンしたフラノ・マルシェ。

   
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豊富な農産物に出会える場所だ。

  
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今回、初めてワイン工場とチーズ工房を見学させていただいた。

     

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富良野ワイン工房
   
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北海道でも珍しい、栽培、醸造、販売の一貫経営だ
   
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富良野の澄んだ空気と同じ爽やかな飲み口をご堪能あれ
    

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滞在中、能登芳昭・富良野市長と面談する機会を得る。

    
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地域活性化や農業振興に加えて
アジアにおける食糧基地としての北海道富良野の未来や
中国・香港を中心とする観光誘致など海外戦略にまで話題は広がり、夜が更けるまで歓談は続いた。

   
      

他の自治体同様、決して財政事情は楽ではない中、
着実・堅実に回復軌道に向け努力されている姿が深く印象に残った。

        
       
人口2万5千人の自然豊かな土地に年間200万人の観光客が訪れる町。

     

さらに、海外に向けてプロジェクトが始まる。

    

     
Dsc_5997富良野ワイン工場で
       
   
    

北海道のへそに位置する
ここ富良野はすでに世界ともつながっている。
                                   (次回に続く)
    

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富良野ふたたび(その1)

            
去年の8月に続き、再び富良野の地を訪れた。

       
本州以西では、梅雨の湿度と猛暑、それに今年は節電が加わり、
特別に凌ぎにくい毎日だが、ここ北海道の中心に位置する富良野では、そんな悩みは皆無。
     
    
毎日爽やかな風に包まれている。

  
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澄み切った風を感じる町

     

      
おりしも7月初旬はラベンダーの季節で、
今年は春が遅く来た分、まだようやく始まったばかりという風情であったが
平日にもかかわらず、ラベンダー園は観光客であふれんばかり。

   
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昨年訪問した時は、すでにラベンダーの季節は終わっていたが、
今年は、ついに夢のご対面が実現。

     
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やっぱりその清楚な美しさに感激。

    
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ここファーム富田。
今や年間100万人もの観光客を集めるほどの一大観光地となったが、
ラベンダー栽培を始めたのが、今から53年前。

   
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それまでオイルや線香用香料向けに栽培されていたが、
輸入物や合成香料の登場などで、
250戸あった付近の農家がほとんど栽培をやめていく中、
最後の一年にしようと悩んでいた頃、
国鉄のカレンダーやドラマ「北の国から」に登場したことで
人気に火が着いたのだという。

   
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情熱、信念、継続、思い、自立。

      

この奇跡の物語に、今、全国各地で農業生産に励んでいる皆さんの姿を重ね合わせる。

   
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遠くに今も火山活動を続ける十勝岳の雄姿が望める
      
 

   
      

ラベンダーが紫蘇科の植物とは知らなかった。

なんか縁があるのかも。

    
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僕にとって、富良野の町も特別な存在になりつつある。
                                     (次回に続く)

   

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木陰に入ると爽やかな風が体中を吹き抜ける   
     
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ラベンダーは高温多湿を嫌う繊細な植物。でも熱々のカップルが良く似合う

       
     
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みんなどこかで動いてる(最終回)

          
(前回から続く)

     

ここは、島根県の東部、中海に浮かぶ大根島。

   
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後方が大根島

    

行政区としては、松江市八束(やつか)町となっている。

    
   
隣の鳥取県境港とは橋で結ばれ便利になったが
今回、僕らは松江市側から干拓用に整備された道路を使って訪れた。

  
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周囲わずか12km、標高も42mしかない玄武岩質の小さな島に過ぎないが、実は高麗人参(雲州人参)と日本一のボタンの生産を誇るスゴイ島なのだ。

   
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牡丹と高麗人参の町

   
   

高麗人参は、江戸時代から栽培されていた門外不出の貴重な産業で、
この大根島命名の由来は、
通説では、たこ島が大根島になったということだが、
島で人参栽培しているのを隠すために、わざと大根島というようになったという逸話も残っているほどだ。

  
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見事な雲州人参。
      
栽培に6年もかかり、また一度収穫すると連作が出来ず、その土地では15~20年は植えられないほどだと言うから驚きである。

  
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人参とはよく言ったものだ

     

他にも人参にまつわる面白い話をたくさん伺った。

  
ハイテク・バイオ日本農産物の輸出商品としての復活を期待したい。

      

      
      
もうひとつ。

     
   
牡丹の栽培が有名な町なのである。

     
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立てば芍薬、座れば牡丹 というくらい美人の形容ともなる気品のある華(花)の代名詞である。

   

毎年、見ごろのゴールデンウィークにもなると観賞にやってきた観光客でごった返すのだという。

  
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全国シェア9割という日本一の生産を誇る大根島には、
世界を目指す熱い志をもった人たちがいる。

   

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すでに1960年代頃から輸出が始められていたというからスゴイ。

    
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その後一貫して輸出が続けられており、近年も約1億円前後で推移しているそうである。

      
     
主に、アメリカやオランダ向けに出荷され、そこからさらにドイツやフランス、イタリア等でも販売されるのだそうだ。

    
     
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中国では真紅だが、欧米では黄色が人気なのだそう

   

     
最近も、ニューヨークやロンドン、パリなどの植物園でも展示され、大いにニッポンの牡丹が人気を博しているのだそうだ。

     
   
また、今年4月25日まで台湾の台北で開催された「台北国際花の博覧会」にも出品され、馬英九総統のスピーチ演壇が「松江大根島ボタン」で彩られたことは関係者の間で有名な話なのだ。

   
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今では周年開花技術が確立し、一気に輸出がすすんだ

     

    
このような歴史と実績をもつ「ニッポンを売る!」その現場には、
必ず熱い志をもった男たちがいる。

       
    
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海外に挑戦するサムライたちの梁山泊だ 

       
    
   
しかも、JAくにびき、島根県、松江市、そして生産流通に関わる皆さんは、同じビジョンを持ち連携も見事で、活気に満ち満ちており、アイデアとアクションがほとばしるプロジェクトチームである。

      
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梅雨明け(訪問当時)を思わせる暑い日差しよりも、更に熱い議論がビシバシと飛び交っていた。

    

日頃、激動する海外事情を僕の方から忍耐強く説いていくのとは、まるで逆転。
    

ただただこちらが学ぶことばかり。

      

    
このチームは今年、アジア向けや新興大国への輸出にも行動計画が進んでいて、皆さん攻めの姿勢でワクワクして期待を膨らませているのが、明るい表情に浮き出ている。

       

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この元気な挑戦者たちをリーダーに、多くの関係者の努力と行動で、大根島牡丹の海外展開が続いている

   
        

島根県は、関係者なら皆が知っている農産物輸出先進地である。

     

この牡丹プロジェクトの中心人物でもある方が、
以前、僕の講演を聞いて、とても共感してくださったというので本当に嬉しかった。

      
     
僕はたまに自分の思いが周囲に通ぜず、心が折れそうになることもあるが、
この3回シリーズで紹介したように、
今回の原発事故による厳しい風評被害にもかかわらず、
だれかが、国内外のどこかで活発に動いてくれているからこそ
僕も信念を曲げずに頑張っていけるのである。
                                   (シリーズ終わり)

   
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みんなどこかで動いてる(その2)

                       
(前回から続く)

    

先月22日の台湾タイペイ。
               
    
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雨季もとっくに明けているという風情で、
強い日差しと夏の雲。

   
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台湾最大の食品展示商談会「台湾国際食品展・フードタイペイ2011」が今年も開催された。

     
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会場となった台北南港展覧館

   
   

僕が初めてフードタイペイに参加したのは、2000年だから、
もう11年も経つんだ。

   
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2000年当時の様子  会場の場所も違っていた

   
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2000年6月撮影

     

その頃は、まだ日本からは台湾進出の日本企業ぐらいのもので
まさか日本の各地がこれほど熱心に売り込みに来る時代が到来するなんて思いもしなかった。

    
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2000年当時の会場

    

     
今年も、台湾の有力企業、政府はもとより、
世界各国から、アツい台湾市場の旺盛な胃袋を目指して
熱心なプロモーションを展開した。

    
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台湾館  農・水産・畜産など重点政策が伝わる

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牛肉が輸出できるアメリカは、台湾市場開拓にも非常に熱心だった

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今年3月に行ったスペインも国を挙げての力の入れようだ

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日本の良きライバル韓国は、非常に熱がこもっていた。軽快なK-POPがブースに流れる

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辛ラーメンにとっても台湾は取りこぼせない重要なマーケットだ

    
        

我らがニッポンも、JETROと交流協会の強力支援のもと、
複数の自治体、企業がブースを構え、台湾をはじめとするアジアのバイヤーとの商談を繰り広げた。

   
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僕は、今回宮崎県から参加した皆さんの応援団として参加した。

    

事業者の皆さんは、これまで忍耐強く培ってきた3~4年の経験を生かし、更に一歩ステージアップを目指そう!という志を打ち立てて臨んだ。

   

「なぜわが社はこの商談会にわざわざ参加したのか?」という原点をしっかりと確認し、帰国するまでに何を得てくるかという目的意識を明確にしたのだ。

   
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その努力の結果、参加6社皆さん全社が、想定以上の成果を収められたのだそうだ。
   

のだそうだ、というのは、
実は、僕はサポーターであるべき人間なのだが
開幕の日の昼過ぎでさっさと会場を後にして台南に行ってしまったから。

    

なんと無責任なコーディネーターなんでしょうねぇ。

          
でも実を言うと、もう開幕前から、皆さんの気合と準備状況を見ていて
これで大丈夫だ、と確信していたからでもある。

   

Dsc_5594いつも本ブログに元気なコメントを寄せてくださるKIMURAさんのブース。様々な工夫があちこちにちりばめられていて大注目を浴びる。同じくコメントをくださるAYAさんのプロデュースによるもの。KIMURAさんは、台湾・香港では、困難と言われる定番を早くから勝ち取り、着々と業績を挙げている。その努力は並大抵でないのに、一見、楽しそうにやってるからすごい。        

      

      
原発事故、あるいは口蹄疫や新燃岳の噴火などの風評被害の大逆風で
今回は皆さん、今までのやり方じゃ駄目だ、と気合の入り方が違っていた。

  

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試食のノウハウも完璧。タイミング、ポジション、コミュニケーション・・・。
経験が生きる時。

   

    

ブースの統一感、商品の絞込み、互いの協力、地域の売り込み、
そしていくつかの重要なノウハウである目的意識の設定法…を心に期していた。

  
   
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i padを用いた営業プレゼンが、ここでも発揮するとはビックリ。

           

もちろん事後のフォローアップに突き進んだことは言うまでもない。

        

       
この事業者の皆さんの頑張りに加えて、宮崎県、宮崎物産貿易振興センターのスタッフの強力バックアップも見逃せない。

         

関係者の皆さん、風評被害の逆風下にあって、先んじてよく行動を起こし、
そして熱のこもった真剣商談
、本当にお疲れさまでした。

         

これからも益々、楽しくも緊張感を持った販路開拓に挑みましょう!
                             (次回に続く)

     

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台湾企業のブースには、「今を切り取る重要なキーワード」が盛り沢山
   
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世界中で「安心・安全」は、もう当たり前。日本の専売特許ではなくなった
    
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台湾では可塑剤混入食品事件が大問題に。検査証明書の提示が必須の様子
    
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バラエティーに富む林産品のコーナー。林業輸出の大きなヒントとなった
     
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台湾の醤油メーカーにも、ゆるキャラが
    
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改めて明確な目的意識と継続力の重要性を感じた