大寒の北国4話(その2)

           
この日、北海道経済センタービルで
農林水産省輸出倍増リード事業「輸出オリエンテーションの会」北海道地区研修会が開催された。   
http://www.nousui-orien.jp/hk.html

          
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会場には全道各地から幅広い分野の事業者、団体、行政の方々より
160名を超えるエントリーがあったという。

  
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さすが食と農の王国だけあって、その層の厚さと裾野の広さから
海外販路開拓への強い意欲を感じた。

      
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研修会では、北海道農政事務所から放射能など海外の規制に関する最新事情と今後の施策説明、また帯広市川西農協の常田部長による十勝川西長いもの海外展開についての事例紹介があった。

   
    
十勝川西長いもは、台湾で圧倒的な人気ブランドに成長し、いまや不動の地位を占めるにまで至っている。

  
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台湾では圧倒的人気の十勝川西ブランドの長いも  2006年11月台北で撮影

        

その裏に秘められた生産、販売、輸出に関わる傑出した発想と不断の努力の成果の報告は、会場の参加者の皆さんの大きな共感と貴重な参考になったことだろう。
      

私も前々からこの十勝長いもの成功譚を伺いたかっただけに、大いに勉強になった。

     

 ニッポンは広い! 上には上がある。

   
    

先人の貴重な財産の賜物と語る謙虚な常田部長が、
なぜか北の若き英雄・ダルビッシュ投手に重なってしまった。

       

      
研修会終了後も、ビックリするほど沢山の皆さんと情報交換をさせて頂き
終日・翌日まで面会の機会を与えてくださった。

   
    
北海道は、今回、国より「北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区」の指定を受け、全道的に各地の個性を生かした食と農のプロジェクトが次々と展開されることになる。

      
         
    
関係者の皆さんの気迫と熱意を十二分に感じる
大寒さ中の「アツい」研修会となった。  (続く)
          

大寒の北国4話(その1)

            
やっぱりねぇ~。

    
         
機内のアナウンスで、
到着地の気温はマイナス6℃だと言っている。

     
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年が明けて、宮崎や熊本、福岡などを廻っていたから
余計にグッと胸に響いてくる。
    

こんなことでひるんでいては、地元の皆さんに笑われる…。
       

            

複雑な思いで降り立ったのが、
夕日が一際映える札幌新千歳空港だ。

       
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広大な滑走路は一面銀世界……

と、思いきや、
    

???

    
ところどころ路面が出ている。

    
    
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なんだ、大したことないじゃないか…。

   

    

日の暮れた札幌の中心街に着いても同様。

   

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大雪のニュースを見て勝手にロマンチックな雪景色を想像をしていたよそ者が、大寒の北海道に驚くまで、ほんのしばらく時間を要した…。 (続く)

        
       
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頼もしいニッポンの人材

                  
24日午後、熊本市で熊本県農業コンクール大会表彰式が行われた。

            
農業経営や技術の発展、振興、普及に顕著な成果を収めた先駆的農業経営者や地域支援者の皆さんが表彰されるものである。

         
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昭和35年に始まったこの大会は、今年で52回目を迎える歴史ある独自の表彰事業である。

 

経営体、新人、食と農などの各分野で、優秀賞や農林水産大臣賞などが授与された。   
               

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九州農政局長より農林水産大臣賞が授与される        
               
壇上に見る生産者の皆さんは、奥様を含め、
とても晴れ晴れしく、
また頼もしく心強い印象を与えてくれる。

 

僕は常々、この農業に携わる皆さんは、今すでに
技術エンジニアリング、経営マネジメント、企画マーケティングのトップランナーであり、日本が誇るハイテクや科学技術分野と比べてみても優るとも劣らない、世界に通用する有為の人材である信じていて疑わない。

     
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新人王部門の若き受賞者      
        

これら農業に長年従事してきた、またはこれから志す人たちは、今後新たな価値観の時代を迎えるにあたって、僕は、間違いなく人類社会の最先端、最重要産業のエンジニアとして、世界を舞台に活躍する時代が、もう、そこまで来ていると考える。

楽しみだ。
         
      

            
この日、私にも農業貢献賞という身に余りある賞を蒲島熊本県知事より頂戴した。

  
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もっと知恵を出して生産者の皆さんのために頑張れ、という叱咤激励の意味であるに違いない。

     
       
気が引き締まる農暦正月のスタートとなった。
             

年が明けた

         

年明けましておめでとう!

元旦から20日以上も経っているからって
おかしくなった訳ではない。

    

旧暦で祝う中華圏やアジアの国々では、

今からわずか数十分前に新しい年が明けたのである。

    

深夜の今でも、メールや電話などで
あちこちからおめでとうの挨拶が送られて来る。      

     
       
新年快楽 恭喜発財 身体健康 万事如意 

生活愉快 工作順利 生意興隆 心想事成 などが一般的で

    

龍馬精神 金玉満堂 なんてのもある。

  
いつかまた解説しよう。

   

  
昨年は、東日本大震災で、
一生懸命に応援、支援してくれる人たちのおかげで
改めてアジアと日本の絆もさらに深まった。

  

今年も、アジアの諸国、市民の交流と友誼の念が一層深まることを心から願ってやまない。
      

  
祝 万事吉祥如意!

           
 万事めでたく順調でありますように
       

危急存亡のとき その2

            
自宅の書棚を整理していたら
昔買った歴史の本を久しぶりに手に取った。

         
    
偶然なんだが、
幕末の僕のヒーロー 高杉晋作が詠んだ漢詩に目を運んだ。

     

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下関市日和山公園の高杉銅像  2005年撮影

    

    
内憂外患 吾州に迫る

まさにこれ 危急存亡の秋(とき)

ただ 邦君のため、邦国のため

降弾 名姓 また 何ぞ 愁(うれ)えん

   

    
(大意)

国内は混迷を極めて乱れ、諸外国の脅威が迫っている。

まさに今が、国家存亡危急のときである。

このような時にこそ、自分は主君のため、国家のため
ただ尽くすのみである。

たとえ、自分の命や名が奪われたとしても、何も悲しむことはない。

        

   

僕の記憶では、
幕府軍による長州征伐が迫り、藩内は混乱し恭順派が台頭し、
下関には四か国艦隊の砲撃に見舞われるという
まさに存亡をかけた四面楚歌の境地を詠んだものだと記憶している。

   
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関門海峡を下関側から俯瞰する  2005年撮影

      

        
晋作だって、中国・諸葛孔明の「前出師の表」(前回エントリで紹介)を学んだに違いない。

    

    
僕は学生時代、この晋作に全身全霊傾倒してしまい
その破天荒な発想と八面六臂の行動力に強い影響を受けた。

   

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高杉ら奇兵隊が仕掛けた長州藩クーデター最大の激戦地  太田・絵堂
      

    
     
まさか、幕末にも似た状況が今訪れようとは思いもしなかった…。

     
     
皆さんは、幕末かぶれオヤジの妄想だ、と笑い飛ばしていただいても一向に構わない。
              

危急存亡のとき

              
前々回のエントリで、先月、成都にある武侯祠を訪ねたことを紹介した。

ここにはいくつもの歴史的遺産があるのだが、僕のお気に入りをひとつ案内しよう。
             
      

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中国四川省成都市にある武侯祠

   
    

中国の知識人や文化人らしき人たちがひと際集まって、眺めている石刻の墨跡がある。

     

南宋の武将「岳飛」の書による「前出師(すいし)の表」がそれだ。

   
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これは、227年に諸葛孔明が主君の劉禅に奉った上奏文で、
中国古典中の名文と称されている。

    

画像に出ているくだりの部分を読み下すと、
          

(臣亮言す)
先帝創業未だ半ばならずして中道に崩殂せり。
今、天下三分し、益州は疲弊す。
此れ誠に危急存亡の秋なり。
    

然れども侍衛の臣、内に懈らず、
忠志の士、身を外に忘るるは、
蓋し先帝の殊遇を追い、之を陛下に報いんと欲すればなり。(後略)

  
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末尾にある岳飛の揮毫
  
          

不親切ではあるが語意は三国志の終盤部分を参照されることとし、

      

ここでは、日本でも広く使われている中国諺言である
危急存亡の秋(とき)」は、ここが出典であることを紹介しておこう。

      

      
      
いま、我が国は、まさに内憂外患、危急存亡の秋である。

  
(注:「秋」をあきと読まず「とき」と読むのは、穀物が実る時が農民にとって最も重要な時期であることから「大事なとき」という意味を強調するために敢えて秋の字を使ったものと言われる)

    

多くの元気な若者が、自分の信念を持ってドンドンと立ち上がって欲しいと
強く願わずにはいられない。

     

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僕が最も期待する農業経営者のひとりが遥々訪ねた蜀都で感慨深げだったのが頼もしく僕の目に映った。頑張れ。日本の若き英傑よ! 中国の地を我が庭たらんと駆け巡ることを祈る!!
          

正月7日に想い浮かべて

                             
今日は七草粥
     

七草と言えば、出荷日本一の愛媛県西条の仲間の皆さんを思い出す。
        

もうまる2年くらい会っていないかな。
でも、メールや年賀状をもらっていて、皆、元気にチャレンジしていることは知っている。
                 

タイ向けの農産物食品輸出でも洪水特需(?)もあって
大変ながらも着々と実績を積み上げているらしい。
        

今年も頑張ってくださいねッ! 

    

           

粥と言えば、
昨年末、最後の出張地だった香港で
10年ぶり? いや もっと前に行った記憶がある
九龍サイドのお粥やさんを紹介しよう。

   
    
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店の名は、「妹記(ムイケイ)生滾粥品」といって
旺角駅からすぐ近くの花園街市の上階にある。

    
     
階下は、香港のどこのブロック(町内)にもあるローカルな日用食品市場。

  

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庶民が普段使いの商品を、日々の買い出しをするところ。

  
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生活感とスパイスの香りが複雑に入り混じるパワースポット

   
      
市場の最上階に登ると、活気あるフードコートが。

  
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フードコートといってはちょっとオシャレすぎる
むしろ雑然とした市場屋台街だ。

       

      

その真ん中にドカンと鎮座していて、
一際活気ある店が、この妹記(ムイケイ)だ。

  
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メニューから、迷わず「魚腩牛肉粥」を注文。

   
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「あッ! それから油条と爽魚皮もね~っ!」

        
10数年ぶりというのに、まるで常連客みたいな厚かましさが自分でも笑える。

   
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その油条と爽魚皮

    

     
ランチタイムはとうに過ぎたというのに大勢の客。

   
          
こだわり珈琲のように一杯ずつ鍋で作るので、
当然のごとく待たされる。

   
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グツグツと湯気と音をを立てながら煮立っていく…    
     

    
せっかちの僕でも気にならないほど待ち遠しいこの時間。

   
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15分くらい待っただろうか。
     

ようやくご対面。

    
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広東粥には、なぜか白コショウが合うんだよね
     

       
アツアツ、ふーふー、トロ~リトロリと極上の白露をレンゲですすると、ああ極楽、幸福感で一杯に包まれる。

    
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僕は、粥の具はもともと豚レバーが好物なんだけど、
こんな粥の名店で味わうと、ベストマッチは絶対に淡水魚か白身魚だなって感じさせられてしまう。  
  
   
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若い女性もとにかくお粥が好き

    

    
サラッとした日本の白粥と違って、味わい深い広東粥は
魚の旨味がギュッと凝縮され、塩気もあって、生姜やネギの香草のアクセントも加わってたまらないのだが、その味を引き出すもう一つの主役は、やはり米だろう。

  

日本のコメは世界一と言われるが、香米とも言われるこの外米を使ってこそ、この味と粘りの食感が出せるのだ。

    

この食材に、この食べ方あり、だ。
      

          
    
もう一つのサイドメニュー。
    

魚の皮の湯引き。

   
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こりこりした食感と微妙な塩気がド・ストライクに良い醤油ダレと薬味のバランスが、頭をかきむしりたくなるほど旨かった。

  
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広東豪華宴会 vs  香港庶民派B級グルメは、
圧倒的大差で後者に軍配!

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おせちに疲れていなくても食べたくなる逸品でした。

  

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年頭宣詞

        
新年あけましておめでとうございます

   

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機上からの朝焼け

   
       
本年もどうぞよろしくお願いします

     

         
      
昨年、本ブログも私も、多くの皆さんに支えられて
なんとか日々送ることが出来ました。
            

改めて厚くお礼申し上げます。

   

      
地域の元気と海外とのつながり」という
一見、対立するようなテーマに長年取り組んでいる訳ですが、
この私の主張に共感し、行動を共にしてくれる全国の人は
押しなべて皆さん、開拓精神に溢れた人たちばかりです。
      

     
   
そこで私は、さらに多くの皆さんに向かって
    
周りの空気は読むな! 空気を作れ!
      

というくらいの気迫が今のニッポンに必要なんだ
と、年頭にあたり訴えたいと思います。

     
    

政治家は、民主主義の名のもとに選挙民の空気ばかり読んで借金を膨れあげ、ビジネスマンは、バイアスのかかった二次情報(必ずしもマスコミ報道の事を指しません)や標準的価値観の空気を読み込むことに振り回され、本当の多様性(時間軸の転折)を拒絶し硬直化しています。 
     

日本だけじゃない、ヨーロッパもアメリカも「かつての」先進国総てがそういう傾向にあると感じています。 
    
    

2012年の世界は、政治や社会情勢でさらなる変化、
すなわちこれまでの常識の「想定外の事象が次々と起こる事でしょう。

   

視点を変えれば、これほどのチャンスはありません。
    

今こそ、本物の知恵と構想力が求められることはないでしょう。

   
    
実際に、このニッポンにも元気な人たちのアクションがあちこちで始まっており、とても頼もしく感じているのも事実です。
      

         

         
昨年12月、元気な空気を作り続ける皆さんと
中国四川省成都市の古跡である武侯祠を訪ねました。

  
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ここは三国志の英雄が祭られているのですが、
この武侯とは、もともと三国時代の丞相(じょうしょう)である
諸葛亮(諸葛孔明)を祀る霊廟です。

     
   
4年ぶりに再訪し、孔明の塑像を前にして、
迎える新年は、
少しでもピンチをチャンスに変える知恵と
次代を見据える構想力と視点を強化して、
命を削ってでももっともっと役に立ちたい

と加護を念じてきました。

  
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ニッポンの、そしてアジアの、世界の、地球の持つ、素晴らしい自然や文化、歴史、技術、人情などを守り続けるためにも、果敢に既成概念を突破して挑戦する皆さんを応援したいと願っています。

      

      
今年もどうぞよろしくお願いいたします
                 
                        合掌