豊穣と放生と(その2)

      
(前回から続く)
      

日本から一気に数千キロ飛んで、
ここはカンボジアの首都プノンペン

         

まったりとした空気の中をゆるりと流れるトンレサップ川のほとり。シソワット・キー(Sisowath Quay)と呼ばれる大通り沿い。

        
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ここは、かの有名なシアヌーク殿下の居住か公務の場であっただろう王宮前の広場である。

      
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夕方になると何処からともなく大勢の市民が集まってきて、大賑わいになっている。

  
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あまりに賑やかなので、年に一度の祭りにでも出くわしたのではないかと思って喜んだのだが、どうもそうではなく、毎日の事らしい。

   
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祈りを捧げるプノンペンの娘

        
    
仏前にお参りをする人、川縁で夕涼みする人、デートする若者など老若男女さまざまだ。

   
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この娘さんが食べようとしているのは、ポンティア・コォンと呼ばれる孵化寸前のアヒルの卵を茹でたものだろう。丸い方を上にして殻を割り、ライムや塩胡椒をかけて食べるオツな味だ。

      
     
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この仏像のお顔、どこかで見たような・・・??

      

     

この一角で、スズメのような生きた鳥がたくさん入った籠が並んでいて、お金を払ってわざわざ放して逃がしている光景を見てビックリした。

    
            
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大空に放たれる鳥 (左上隅)

      
     
 

これが仏教の放生なのかッ。

  

功徳を積む行為なのだろう。

  
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「ほらッ、こうやって。」 「命を大切にねッ!」

      

しばらく見ていると、次々に鳥を買っては逃がしてやっている。
     
   

僕は我欲から離れられない凡夫だから、
チラッと、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の話を思い出してしまった。
   
    

僕もやってみようか。
     

万一、地獄に行っても、一羽の鳥が飛んできて、サッと血の池地獄から救ってくれるかも知れない・・・。
   

小人(しょうじん)である。

     

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とにかく放生の現場を目撃して、感動にも似た思いがした。

      

そのうち、どこからともなく10人くらいの複数の集団が、金銀の装飾を施した張り型のような船を大事そうに抱えてやって来た。

   
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張子の舟には、いろいろな供物が備えられているではないか。

   
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そのうち大勢の人が集まってきて、川に浮かべる準備をしている。

    
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供物やお賽銭を次々に供える

    

ここで初めて判った。

     

なんだ! これは「精霊流し」じゃないかッ!!

       
    

すなわち日本流に言うと、この舟は「西方丸」だったのだ。

  
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いやはや、はるかカンボジアまで来て、日本文化との共通点を目の当たりにしてビックリ仰天。

   
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敬虔な仏教徒が多いこの国がグッと身近に、そして親しく感じた瞬間だった。

    

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(2006年9月撮影)
     

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田中 豊

地域の元気づくりと海外ビジネスを通じて、日本を元気にしたい行動派プロデューサーです。 海外ビジネスの参謀役として長年活動してきました。 とりわけ農林水産業を振興にすることで地域が元気になることを現場の生産者、支援者の皆さんと共に日々実践していることをとても誇りに感じています。 「地域を活かし、そしてつなぐこと」をスローガンに訴え、いつの時でもチャンス(chance)ととらえ、絶えずチャレンジ(challenge)し、チェンジ(change)を果たしていくことの「三つのC」をモットーにしています。