海口から車で西岸に向かって約1時間余り、国家級の開発区である洋浦経済開発区を15年ぶりに訪ねた。
1988年に海南島が広東省より独立して海南省になり、島全体が経済特区に指定された時のシンボル的な経済開発区である。
この開発区は当初、日本の大手ゼネコン社の香港法人が政府の委託を受けて開発したこともあって注目を浴び、当時、幾度かここを訪ねたことを記憶している。
もちろん開発当初はまだインフラ工事に精一杯で
土地や港湾の造成中だった。
その後、海南島ブームが起こり
地域振興のため、他の省では受けられない様々な優遇措置もあったため、内外の観光客やビジネスマンなど多くの人が海南島を目指し、
一時活況を呈した。
(現在発展中の洋浦経済開発区)
しかし、インフラ整備で資金不足に陥り
見合った外資誘致が進まず、
さらに密輸や不動産乱開発のイメージも重なり、
しばらく停滞の時期が続いた。
ところが、2000年頃を境に
それまで開発事業の委託方式から
海南省政府による本格的なテコ入れが図られた。
(視察した海南省最大の製紙工場)
(最新鋭の製紙プラントは、ここでも無人化・省力化がすすんでいる)
また、旺盛なエネルギー需要に支えられ、
石油化学やケミカル(化成品)関連、
その他、製紙などの素材産業も好調らしく
活況を取り戻している。
(急速に拡張中の石油天然ガス精製プラント)
今回の訪中は、転換期を迎えた中国の経済開発区と
投資誘致に関する調査である。
福岡市は早くからアジア企業、特に中国企業の
同市への投資誘致活動を活発に展開している。
現在、これは「二十一世紀中華街構想」という形に企画化されており
市長もトップセールスを行うなど全庁・全市的に
活発な誘致活動をすすめている。
実は、外資誘致では中国の方が多くの経験やノウハウがあるのではないかという仮説のもと、専門家チームを結成して、国内や中国各地を研究し、アクションに繋げようというものである。
現在、中国企業の対日投資は、日本側の熱い期待がある反面、
両国の制度上の問題やビジネス面での前提など様々な要因を抱え、
必ずしも実績が伴っていないのが現状である。
しかし、この海南・洋浦開発区の例にあるように
経済環境の変化を背景に、現場の積極的な働きかけや行政支援が加われば、必ず実現できるものだと確信している。
今まさに戦略的発想とスピーディーな行動が求められる時が来た。
福岡の投資誘致も、いよいよこれからが本番だ。
(現在の洋浦港)
田中 豊
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