中国冷凍餃子問題

     
日本中が中国製加工食品問題で揺れいている。
    

折りしも昨年一年間を通して食の偽装が大きな社会問題になった後だけに、火に油を注ぐことになった。
   
中国は特に燃えやすい。

   
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昨年、全国に通達して食の安全確保に乗り出した中国だったが…
                         (2007年11月 上海で)

    

消費者がさらに自己防衛の意識を高め、国産農産物への関心と理解を深める大きな契機となったことは言うまでもなく、安全性と価格の関係性、生産への認識について主体的に考えるという意味ではここで改めて指摘する必要なく、食育や報道セクターに任せることにしよう。
   

確かに、国産食品への一層の回帰は、国内農業にとってはある種の追い風になるとも言えるが、加工食品、冷凍食品業界、外食給食業界などは「チャイナリスク」に直面し、今大変な戦略転換を迫られていることを考えると尋常ではない。

   

他国産へのシフトと共に、国産農水産物への希求は国内農業に対する一層の変革要因となり、農業セクターも構造的な対応をよりシビアに、よりスピード感をもって迫られるだろう。

     
    
私は30数年、中国ウオッチを続けていて、このような社会を震撼させる事件をもう何度となく体験したり、居合わせてきた。
  

この時常に肝に銘じていることは、「とにかく冷静に、客観事実を追うこと。そしてどの位までの業界や人々にまで影響が及ぶか、さらにそれから後に続く変化は何が予測されるか」を考えるのだ。

   

とかく感情的、ヒステリックになり、先入感や自己利益の視点からだけで相手を安易に判断し、感情的に対応したり、事実ではないことにまで風評が及ぶと、国で言えば国益・社会益、ビジネスで言えば自社の利益まで長期間、負の影響を引きずることもまた、何度となく体験しているからである。

   

安全・衛生の問題だけをとっても、80年代の烏龍茶のダニ混入事件に始まり、最近もSARS、鳥インフルエンザ、口蹄疫などの案件の渦中に私は身を置いてきた。

   
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食品安全に関する政府通達  上海の卸売市場にて

     

中国自身、そしてアジアの少なからぬ消費者たちは、この問題に常にさらされていることも私たちは認識し、なぜ日本産の農産物や食品が、富裕層だけでなく中間層にまで求められているかがイメージできよう。
    

しかし、それは日本産農産物輸出への追い風と言うよりは、日本の農業技術や食品加工・品質管理技術が、ますます中国へ向かい、日本向けではなく中国を含め海外の国内向け製品の開発や改善に拍車をかけるだろうと、私は観ている。

    
   
今日は2月1日。
      
今後、ビール、牛乳、醤油、みそなど食品の値上げが相次いて実施される予定だ。

   

ただでさえ、世界的な相場上昇で値上げ圧力がかかり、賞味期限や品質チェックの厳格化でロス率の管理も含めコスト上昇の折に、さらなる原料・製品の調達変更は、加工食品、外食産業のみならず農水産業にも、そして地方経済にも波乱要因になる可能性があることを覚悟しておかなければならない。

    

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田中 豊

地域の元気づくりと海外ビジネスを通じて、日本を元気にしたい行動派プロデューサーです。 海外ビジネスの参謀役として長年活動してきました。 とりわけ農林水産業を振興にすることで地域が元気になることを現場の生産者、支援者の皆さんと共に日々実践していることをとても誇りに感じています。 「地域を活かし、そしてつなぐこと」をスローガンに訴え、いつの時でもチャンス(chance)ととらえ、絶えずチャレンジ(challenge)し、チェンジ(change)を果たしていくことの「三つのC」をモットーにしています。