11日、鹿児島県志布志町の招きで、
同町の40名余りの元気人たちで構成される
異業種交流会の「志布志商人(あきんど)百人塾」の
夏の定例会で話をさせていただく機会を得た。
メンバーは、自営業、物流業、商店、農業、サービス、行政など多種多彩に及ぶ。
地場産業の国際ビジネスへの挑戦が今日のテーマであったが、講演後の交流会では、大盛り上がりというより静かではあったが、個別の懇談では会員ひとり一人が私に迫ってくる気迫を感じ、その意識の高さと秘めたる決意がテレパシーように伝わってくる。
こういう方たちは、往々にして実際行動に踏み切る可能性が高い。とても頼もしい。
志布志町は来年1月の合併を控え、「志布志市」になる準備が進められている。慶田町長とは2度目の面会だったが、先だってまた中国にも視察をされており、相変わらず精力的に国際交流へも強い関心をお持ちだった。
ここ志布志は、太平洋に広がる志布志湾の奥にあり、西は大隅半島に連なり、東縁は宮崎県南部に接している。
歴史的にも中世以来の対外貿易の窓口港であり、江戸時代末期には、薩摩藩の密貿易の拠点でもあったという。
町の一角には、密貿易船から貨物を積み替えた小船がカモフラージュされた秘密の格納庫の跡(今は復元されていない)が発掘されたという場所があり、とても興味深い。
きっと、海外にも積極的に交流を図るという進取の行動力のDNAが、今にも息づいているのだろう。
(地面を掘り秘密の水路に通じていて、屋敷で荷卸をカモフラージュしていたという発掘調査跡地)
志布志港は、コンテナの取扱量では、博多、門司港に次ぐ、九州第3位の中核国際港湾である。
特徴的なのは、畜産用飼料(トウモロコシ、稲わら等)の輸入港としては、鹿島港に次ぐ日本第2位の規模である。
畜産県鹿児島・宮崎への飼料供給基地として、年間240万トンの配合飼料を生産しているそうである。
しかし、飼料の輸入量が大きい割りに輸出貨物が少なく、海外輸出に対する需要開拓は緊急の課題でもある。理想は畜産飼料を輸入して、畜産加工品を輸出できれば、貨物がバランスしていくはずだ。
関東・関西市場には遠くても、台湾や香港などアジア市場には、日本でもっとも近い港湾のひとつである。
海外こそ挑戦すべきターゲットであっても不思議ではない。
ただ、BSEや鳥インフルエンザの発生により、肉類の海外輸出には現在逆風だが、香港では宮崎産の黒豚肉がブランド品として扱うデパートもあり、可能性は十分にある。
(林立する飼料工場のスケールは圧巻)
志布志港の穀物バースには、系統、商系の大規模な飼料サイロや加工場がいくつも連なり、しかも拡張中だと聞いて、そのスケールの大きさに本当に驚いた。BSEの発生で、国産牛の飼育が盛んになり、輸入飼料の需要が急増しているものと見られる。志布志港は、新たに水深14メートルの多目的ターミナルの整備がすすめられている。
農畜産物の輸出には、国際物流機能の有無は大きなポイントになる。
(志布志町港湾商工課の川野さんに整備事業を紹介していただく)
秘めたる熱い志を持つ
志布志商人百人塾のメンバーのこれからの動向が楽しみだ。
田中 豊
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