上海に出張した。
およそ2ヶ月ぶりだが、今回も至る所でスクラップ&ビルドにより、街の様相が目に見えて変化している。
建築物だけではない。街行く人も店舗も、商品もやはり変化している。
在住でなく、短期出張で行き来する人間が「微妙に」感じることのできる瞬間だ。
気のせいだろうか、最近、タバコを吸う人がめっきり少なくなっているような気がする。
ゴミを無造作に捨てる人もいることはいるが、都心ではあまり目立たなくなった。
上海の街にいる限りにおいては―だが、トイレの不潔さで悩むストレスがめっきり減った…。
最近、ニッポンを売るプロジェクトに関わるようになってからは、
今回のように別件で中国に訪れても、青果市場にはできるだけ足を運ぶようになった。
一種の職業病だな、と思う。
日本国内でもそうだ。
若い人のコンビニ詣でのように、買う目的が無くても、デパートの地下食品売り場と物産催事場へは、必ず立ち寄るスポットになってしまった。
今回も早朝、上海の黄浦江沿いにある果物の卸売市場を訪ねてみた。
ここは市場といっても、競りを行なう処と異なり、全国からブローカーや生産者が商品を持ち寄り、相対取引を行なう問屋街のような通りである。
確かにここは、いつも雑然としており、商品管理というには程遠く、地面に果物を転がしっぱなしにしていたり、箱を高く積み過ぎて下が潰れても平然としているし、ゴミも散らかしっぱなしというくらいで、販売以前の衛生管理すら心配してしまうほどだ。
また、最近は、緑色食品や有機食品、AA級などとケースに記載してあることがあるが、規格や等級、品質保証、ブランドなど、素人の私には全く判別できない。もしかしたら、価格と鮮度、外観などを、見ながら、触りながらで区別しているようにしか思えない。
(この時期、柿の出荷が目立った)
価格も、当然この国では一物一価ではないはずだ。上海語の出来ない私なんて初めから相手にされてない。カメラを向けると冷やかされっぱなしで、却って面白いコミュニケーションが図れた。
「にいちゃん!ちゃんと立派に撮ってくれよっ」
「私とオレンジとどっちが綺麗?アハハハハッ」
ってな調子だ。(下写真)
(市場の人との会話も弾む)
ただ、ここ数年の間で、微妙だが明らかに品種や品質が向上しているのではないかと、今回初めて感じた。
味わってみていないので、まさに外観だけだが、大きさや色、鮮度が向上し、種類が豊富に「なりつつ」ある。
(商品構成にも明らかに進歩のあとが…)
現在、中国農業はある意味危機的な状況にあり、農村、農民への対策は、政府の最重点政策だ。対外開放に伴う食糧生産の矛盾は、当然、付加価値の高い経済商品への転換を大きく促している。
(上海市内にある共同青果小売市場)
中国産の参入による海外市場での一層の競争激化も懸念されるが、一方で中国国内に流れる製品へのニーズも高級化していくことは間違いない。
(今、上海では、乳製品売場の充実振りが目立つ)
いま、日本産の青果物を、この商流・物流に預けることは、天地がひっくり返っても考えられないが、この微妙な変化だけは、「行き来すること」によってしっかりとウォッチしていなければならない。
(あった、あった!! 福岡県の梨が売られている!)
中国の流通が飛躍的に発達することは、十年先二十年先のことではない。もうすぐそこまで来ていると考えておいたほうが良い。
(上海バンドの夜景)
田中 豊
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微妙な変化の積み重ねが大きなうねりになっていくのでしょうね。今まで以上に中国とは切手も切れない関係になっていくと思うと日本も気を引き締めていかなくては・・・・と思います。
luckymentaiさんコメントありがとうございます。
中国が変わると、日本にはピンチもチャンスも両方やってくるでしょうね。
日本が和を尊ぶ気風に対して、中国は競争こそが活力の源泉だったりしますから、相手をよく知り、冷静に対処すべきなのでしょうね。
今後10年で何が変わっていくか?
私なりに考えるんですが・・・
もっともっとアジア諸国への貿易が身近になり、旅行が身近になる。九州の中小企業は地の利を生かして、国際化を推進していく
そんな時代がくると思います。
まさに九州が立ち上がるのは今って感じがします。
ふじさん コメントありがとうございました。
本当にそのとおりですよね。
アジアとの交流が深まれば、脅威も増えますが、チャンスに対しても目を向けておくべきだと思います。
ふじさんがおっしゃるとおり、まさに自分が「立ち上がる」ことが重要だと思います。