徳島にも、全国に有名な農水産物が多い。
今回機会あって、名高い産物の生産現場を訪ねることが出来た。
徳島の名産といえば、まずは、なんと言っても「なると金時」と称するサツマイモである。
東の「べにあずま」と並ぶ西の代表格で、大阪市場などでは圧倒的なブランドになっている。
あの上品な甘さとホクホク感はたまらない。
ブランド名は早くから知っていたが、
どんなところで生産されているのか想像もつかなかった。
徳島県の北部、鳴門市郊外に“なると金時”の栽培を見ることができた。
東岸は紀伊水道に面していて、一面の海岸線が広がる。
北側を臨むと、淡路島が近くに横たわり、関西がとても近いことを実感できる。
(鳴門側の海岸より淡路島を臨む)
実際、鳴門橋の開通以来、神戸や大阪、京都などには日帰り圏内で、ショッピングや行楽に出かけることは普通の事だそうだ。当地の言葉も関西のイントネーションだから、昔からその結びつきの強さは容易に想像できる。
ここ一帯の農地は、独特の海砂の畑で、しかも緑っぽい色をしたここだけの砂らしいが、どうもこれが鳴門金時のすごさの秘密らしい。
皮の鮮やかな紅色がすぐに目を引く。
大きさも立派だ。
(すでに収穫は終盤)
海外では、台湾、香港、シンガポールでこの鳴門金時が売られているのを見たことがある。
(台湾で売られていた鳴門金時)
すでに収穫は終盤を迎えていて、採り入れが終わった多くの土地には、はや大根が元気に育っていた。
(砂地の高い畝が特徴的だ)
砂地というと、らっきょうも思い浮かべるが、やはりここでも栽培されていて、紫色の花がとてもきれいだった。
また、徳島はレンコンの産地でもあり、ちょうど収穫の風景も見られた。
他の多くの産地は、水が張ってある状態で、水圧を使って収穫するのに対して、徳島県の場合は一旦水を引いて、泥を露出させた上で、重機を使って掘り出すそうだ。
それにしても、レンコンがどこに埋まっているかを探り当てるのは、
素人では出来ないらしく、また、こんなに重労働だとは思わなかった。
これからレンコンを頂く時は、感謝して食べよう、と思った。
次に、トンネル栽培のニンジンの生産現場を見せてもらった。
品薄のシーズンを狙って投入されるもので、4月には立派なニンジンが出荷されるのだそうだ。
トンネルといっても人が中に入って作業できるほど大きく、以前は竹だった芯も今は金属製で、機械で設置されるそうだ。
水産物でも「鳴門ワカメ」は三陸に並んで有名で、海岸の至る所で養殖ワカメの「ワカメ棚」を見ることができた。やはり現地で、生産されている風景、環境、生産者の人たちと触れ会うことで、理解を深め、そしてファンになってゆく。
(有名な鳴門のうず潮)
(この日は、地元の人も滅多に見ることができないようなはっきりしたうず潮を見ることができた)
徳島の多様な物産の生産現場を訪れ、とても豊かな気分に浸ることが出来た。
(徳島の農業を潤す“四国三郎”吉野川)
四国が一気に近づいてきた。

田中 豊

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