福岡県青年農業士会の研究会で講演させていただいた。
(会場の博多サンヒルズホテル)
青年農業者の皆さん達との交流は、これで2度目だが、とりわけ楽しみにしている。いつも感じるのだが、農業を志す若い青年や女性は、地域にとって、そして国家にとってもかけがえのない財産である。
(壇上で挨拶する農業士会幹部)
講演では福岡県が農産物の輸出に力を入れている経緯や実績、そして未知の事業に挑戦する人たちの姿を青年達に紹介した。
ただ、壇上から見ていると、後ろの方で数人居眠りしている人が目に付いた。
他地域の高齢者が多い会場では、ほとんど居眠りする人はいないのだが…。
年配者のほうが向上心や探求心が強いからだろうか。それとも、私の話の内容に、若い人は魅力を感じないからなのか・・・。
しかし、後半から終盤になるにつけ、全員が身を乗り出して聞いてくれた。
一時間半の講演にもつい力が入り、声がかすれてしまう。
講演後の意見交換の時間にも、積極的な反応が返ってきた。
質問が途切れないのだ。これは、他の会場では滅多にないこと。
講演者としては、とても嬉しいことだ。
また、研修後の懇親会では、個別に面談できて有意義だった。
次の予定があるので、30分で退席する予定が、青年達が次々に語りかけてくれて、ついに1時間半も会場から離れられなかった。
蘭の苗を、人任せにせずに自分で台湾から買い付けて、すでに海外と信頼関係を築いている人。
韓国と行き来するほどのネットワークを持っている人。
スモモやナスを差別化し、商品開発に挑戦している人。
イチゴのあまおうをもっと積極的に展開しようと企画を練っている人。
作っている作物や地域は違えども、皆、熱い想いは同じだ。
目が生き生きしている。
ひときわ声が大きく、私に喰らいついてきそうなひとりの青年は、
5年後に1億円の売り上げを目指して頑張っている夢を語ってくれた。
彼はソフト業界からの転身組だ。
彼の農業に対する先見の明は、近い将来必ず開花する、と私は断言した。
彼らが主役となり農業を担う数年後には、日本の農業事情もすっかり変わっていることだろう。
今は、とても辛い時期。
しかし、文字通り、農林水産業が実りある産業に展開するかどうかは、すべてこの青年達の頑張りにかかっている。

田中 豊

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