毎年好評の食品ビジネスイベントが開催される

る3月20日、福岡市で「FOOD2006 in FUKUOKA」が開催される。

この事業は、福岡市福岡商工会議所、(社)福岡貿易会ジェトロ福岡貿易情報センターの4者で構成される「福岡アジアビジネス支援協議会」が主催するもので、在福岡の各国貿易代表機構も後援している。

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今年の事業は、中国、イタリア、カナダ、タイ、台湾、韓国、シンガポールから50社近くの企業が集まり、品質や価格、安全性などに特徴ある食品・食材を展示商談する「新食品・食材商談会」とその食材を用いてプロの調理人がアイデア料理を競うキッチンデモンストレーションが目玉の「福岡対話」の二つのイベントで構成される。

実はこの福岡市のFOOD事業は、過去6回にわたって毎年開催されており、すでに圏内の食品関係業者の間ですっかり定着した評判の事業なのである。

その理由は、第1回目からこの事業は、「個性も特徴もない商談会やセミナーにしない!!」「出展者にも来場者にも役に立たない、主催者の独りよがりのイベントにしない!!」というスタッフの強い意志があった。

東京や関西と異なる九州圏の食品企業のニーズを事前に徹底的に調査し、日本側需要家が求める商材をアジアの各企業に準備してもらうことと、福岡対話と称するシンポジウムでは、その時代の半歩先ゆくテーマ、たとえば、輸入食品の安全性、ITと食品、地場食品の輸出などを常に情報発信し続けてきた。

今年もアジアを中心に、欧米企業も一堂に会して、個性ある新商品を出展提案してもらい、食べ方のレシピも実演で提供するという新たなコンセプトで「食都福岡」「食品ビジネス拠点都市―福岡」を情報発信する。

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毎年毎回、進歩・進化する今年の事業には、すでに過去最高の来場希望者のエントリーが事務局に寄せられている。食品関連の企業、企画関係の方は、ぜひ参加されることをお勧めしたい。

開催日: 3月20日(月)
会 場: ソラリア西鉄ホテル8階大宴会場「彩雲」

プログラム:
「新食品食材商談会」 10:00~18:00
「福岡対話」キッチンデモンストレーション 10:30~16:00

参加: 無料

申し込み・問い合わせ:
福岡商工会議所経済部国際センター
TEL:092-441-1117  FAX:092-474-3200
E-mail:kokusai@fukunet.or.jp

やりましたッ!博多あまおう堂々の販売第一位

台湾のシンボル的存在のひとつである百貨店で、
今年1~2月初旬の日本産農産品の売り上げランキングで
福岡産イチゴの「博多あまおう」が第一位を獲得
した。

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(台湾で販売される博多あまおう)

並み居る有名青果物の中で、
しかも一年で最も販売が伸びる春節(旧正月)前後の
歳末・正月商戦での第一位だから、その喜びもひとしおである。

もちろん短期の催事イベントではなく、季節定番商品としてである。

同時に、店舗責任者の方から、販売客単価を大きく押し上げる効果に大いに貢献した、とお褒め頂いた。

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(台湾でも人気を博した博多あまおう)

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(驚くほど頻繁に補充される…)

思えば、台湾への輸出に着手したのが3年前のこと。
それまでの香港を含めた海外輸出のノウハウをもってしても
どうしたら新市場を開拓できるか、スタッフ全員とても不安だった。

台湾は、とても日本商品の受容度が高く、
ビジネスがやり易いところと思われているが
実は、中国と同じ年の2001年末にWTOに加盟してから
ようやく農産品の輸出が手探りで始まったばかりなのである。

だから、もちろん台湾の業者も本格的に日本産青果物を輸入しているところは皆無に等しかった。

その後、福岡県は官民を挙げて販路拡大に取り組んだ。
ここ数年の努力は並大抵のものではない。
今回の成果は、絶対に一朝一夕では実現できず、
またいくつかのノウハウを応用すればよい訳でもない。

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(ミス福岡も台湾入りし、キャンペーンを行った)

「人任せの販売では絶対に上手くいかない」というのが、
関係スタッフの信念。
今回の売り上げ第一位の好成績は、
「博多あまおう」の輸出関係者みずからが勝ち取ったもの。
去年の上海向け梨の輸出成功に続く快挙で、
生産者、JA、商物流企業、そして
福岡県「福岡・食の輸出促進センター」の執念の結果である。

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(現場実践主義の県スタッフには頭が下がる)

3年前、多くの人が本気にしなかった中で
本気で「台湾向け輸出にも成功させてやる」と心から信じ、念じたこと
これが閉塞感や固定観念を打破し、
新機軸を実現させた最大の原動力である。

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(一流職人による苺大福の実演には多くの人が集まった)

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(台湾のテレビ局の取材を受ける)

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本当に多くの台湾の皆さんにお買い上げ頂きました。多謝!

商業ベースの中国向けのナシ輸出が遂に実現

先月24日に、福岡県産のナシ2.5トンが
中国上海に向けて出荷された。

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(出荷を待つ上海向けの福岡県産のナシ)
*写真はいずれも福岡県提供

昨年も福岡県は、地元企業の支援でナシを上海に輸出した実績があるが、今回は、産地から農業団体、物流、商社、小売店のすべての関係組織が取り組んだ、初の本格輸出となった。

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(上海の高級デパートで販売される福岡産のナシ)

中国大陸への農産物輸出は、
限定的な輸入制度、未発達の商物流など数多くの難題を抱えていて、
テスト輸出や供与は出来ても、商業ベースの輸出となると難度が極めて高く、早くから輸出事業に取り組んできた福岡県も、中国大陸向けには2年越しの実現となった。

今回、輸出実現の大きな推進力となったのは、
JA筑前あさくらナシ部会とJA全農ふくれんの主体的な取り組みによるところが大きい。

「今年は、ぜひ私たちのナシを海外に輸出したい!」という年初からの産地の熱意は、ただならぬものがあった。

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(自慢の福岡県産の豊水梨)

福岡県の農産物輸出のトータルコーディネートは、
今年発足した福岡県農政部
「福岡の食・輸出促進センター」である。

促進センターでは今年、
輸出に関心を持つ、やる気のある産地を募り、
きめ細かいサポートを展開している。

海外の販路開拓も、輸入商社、および上海の高級デパートである久光百貨さんの協力を仰ぎ、商流を築いた。

産地側もJA組織が積極的に動き、品質チェックや梱包等にもに気を遣った。

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(輸出のために、産地が品質チェックに万全を期した)

また、今回特筆すべきは、海外輸送に航空機ではなく「上海スーパーエキスプレス」が使われたことである。博多-上海間を27時間で結ぶ高速貨物船で、RORO船と呼ばれるトレーラーごと積み込むことが出来る、いわば海上国際シャトル便である。鮮度とコストの両立が求められる青果物の海外物流において、日本で唯一、上海港との間で高速定期航路を持つ博多港のポテンシャルは非常に高いのである。

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(上海スーパーエキスプレスに船積みされる貨物)

つい数ヶ月前までは、あまりに立ちはだかる困難が多く、あきらめかけていた中国向けのナシの輸出が実現したことは、実に大きな前進である。

特に、生産者、農業組織、商社、物流、小売店、そして行政が有機的に連携したことの意義はとても大きい

関係者の努力に心から敬意を表したい。

今後、この輸出が継続できるのか、福岡ブランドが認知されるか、ナシ以外にチャンスはあるのか、など難題が山積している。

13億人のマーケットの入り口にようやくたどり着いたばかりだ。

台風の恐ろしさを体験

香港・台湾に出張した。

おりしも、ちょうど台風13号(漢字名:泰利)の来襲に遭い
ひさしぶりに出張先で台風を経験をした。

31日午後、台風襲来を承知で、
香港から台湾へ強硬移動。
空港に着くや、激しい風雨に見舞われた。

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(台湾・中正空港で)

上陸は翌朝ということで、
夕刻数時間ですべての用件を済ませ、
ホテルへの帰路、
車から降りたその瞬間、
足元から信じられないような強い風が吹きあがり、
一瞬、視界が無くなり、息が出来なくなってしまった

吹き飛ばされそうな体を支えるのに精一杯で
道路に立ち尽くしてしまった。

もちろん、全身ずぶ濡れになったが、
何度も日本で台風は体験しているが、
一瞬とはいえ、路上で動けず、
体が飛ばされそうになった恐怖体験は
初めての事
だった。

きっとこれが風速4~50メートルという状況なのだと思う。

31日夜のニュースで、
南部では、夜にもかかわらず、
36℃の強い熱風が吹き荒れたのだそうだ。

亜熱帯の台風の凄さを身をもって体験した。

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翌早朝、上陸後の台風の目に入っている間、
静まり返った街中を散策してみた。

街路樹が根こそぎ倒れていたり、
看板が外れたりしており、
時折吹き付ける強風に、思わず緊張してしまう。

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午前9時になっても、台北の大通りは、
人も車も往来していない状態で
こんな光景は異様だった。

学校も会社も臨時休校や全面休業だからである。

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(普段ならバイクと車で渋滞の朝の通勤時の目抜き通り)

テレビニュースでも、中南部の農村部の惨状を伝えるものが多く、
土砂崩れや決壊、浸水などの報道とともに、
産業別では、やはり農業、
特に果実の被害が甚大になるとの予測である。

台北市の青果の卸売価格も平均10~15%上昇しており、
一部ブロッコリーが20%、レタスが132%アップという報道もあった。

実際に早朝の台北最大の濱江青果卸売市場に足を運んだが、
人影はまばらで、テレビの取材クルーの姿が目立つくらいだった。

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(閑散とする卸売市場)

農業はどうしても自然災害に左右される。

先の台風5号が台湾を襲い、50年ぶりの被害をもたらしたと言われているが、ある台湾の輸入商社一社だけで、
このひと月間に日本で暴落した群馬県産キャベツを
19コンテナ(40フィート)も緊急に買い付けたという。

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そう言えば、台北のある高級スーパーでは、
地元台湾産のしおれたキャベツより、
立派な日本産キャベツの方が3割ほど安くてビックリした。

物流や商流が構築されると、台風などをきっかけに
思いがけない事態が起きるということだ。

危険と隣りあわせだったが、いい経験をさせてもらった。

守りだけで解決できるのか

「噂には聞いていたが、まさかこんなに早く動き出すとは…」

19日付の朝日新聞記事を目にして驚きを隠せなかった。

[農産物も“韓流” 九州向け輸出強化]

福岡市内に物流拠点開設

 韓国の農産地が九州のスーパーなど小売店との直接取引に乗り出す。来年早々にも拠点となる物流センターを福岡市内に開設。商社経由の販売方法を見直し、直接販売で物流費を抑え、価格競争力を高める

 慶尚南道などの自治体や第三セクターが具体的な販売ルートの開拓を検討中だ。パプリカやマツタケといった農産物を共同で借りるセンターにいったん保管して、小売店に配送する。福岡を拠点にした一般向けの通信販売も検討する。

 日本側で受け皿となる韓国貿易センターは「韓国産の場合、日本に届いてからの流通コストは小売価格の4分の1を占めるだけに、価格の引き下げは十分可能」とみている。

 食品の安全・安心をアピールするため、残留農薬検査なども徹底。生産農家をさかのぼって検証できるシステムを導入する案もある。

 04年に韓国から日本に輸出された食料品は1555億円に上り、うち九州は4割を占める。ただ、99年と比べると、対日、対九州とも約3割減っている。

 中国産品の輸出増や、種苗を日本から持ち出して栽培して、日本に逆輸入する「海賊版」への取り締まりが強化された影響という。

まだ、正式には具体的な事業は明らかにされていないが、
何らかの行動計画が練られているはずだ。

日本産農産物の海外輸出については、
やっとスタートラインにたったばかりだが、
いつも意思決定と行動が早い韓国の攻勢に対して
日本の関係者はどう対応するつもりだろうか。

福岡市に物流拠点を設けるというが、
これは福岡近郊の生産者だけでなく、
日本第4位の商業圏と呼ばれる福岡市場圏に出荷する
他県の生産者にも何らかの影響が考えられる。

また、今年からは、台湾からマンゴーなどの熱帯果実、
さらにFTAを締結した東南アジアなどの国々から、
検疫を通った様々な農産物が
今後、次々と日本市場に向けて輸出されてくるのである。

守りの姿勢、国内既存販路の強化さえ十分であればそれで良いという考えが、どこまで現実的であろうか。

地産地消を本来目的ではなく、
単なる排他的キャンペーンの道具として使うのであれば
需要家や広範な消費者からはいずれ支持されなくなるだろう。

韓国も、聞くところによれば、
中国産など諸外国からの安価な農産物の流入により
国内農業が打撃を受けており、
廃業・離農する生産者が増えていると聞く。

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(韓国のスーパーで)

また、日本などから無許可で導入した新品種などのコピー産品に対しても、国際的な枠組みに加盟したため、韓国当局が取り締まらねばならない事態も始まり、
窮余の策として、今から、海外へ向けての輸出の取り組みを模索しているのかも知れない。

中国などで開催される国際食品展での
大規模なプロモーション活動など
韓国の官民を挙げた積極的な活動は、
ここ数年、本当によく目に付くようになった。

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(2003年9月、中国上海で開催された国際食品展での韓国の巨大ブース。このとき、SARSが発生したとして、日本からの出展者、参観者はほとんどいなかった…)

このことは、
中国をはじめ、農林水産業を主たる産業とする国々でも
それぞれ内情は違っていても
海外輸出を強化する方向性には変わらないはずだ

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韓国とは、サッカー同様、日本農業にとっても
切磋琢磨しあうライバル(良く言えば!?)だ。

すでに私たちは、香港市場、台湾市場において、
安価で、しかも非常に近似した韓国産農産物と
厳しい「国際試合」を展開しているから、
およそ彼らの方法論、商品・サービスレベルは
すでに大方把握している。

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以前から、左写真のように
このような安価な韓国産甘柿と
“国際試合”をすでにおこなっているのである。

ほかにも、ミカン、イチゴ、ブドウ、梨、海苔、菓子など数え上げたらきりが無い・・・

サッカー同様、相手の戦術さえ知っていれば恐れるものなし。
むしろ堂々と戦うチームの方が強くなるのである

それにしても、日本産農産物の組織流通は、
もっと柔軟かつスピーディーな行動をしなければ
「大切なチャンス」を失うことになる。

上海で輸入果実のすごさを知る

福岡空港を午前10時発の便に乗ると
なんと上海には10時半に到着する。

時差が1時間あるためだが、
実際の飛行時間はわずか1時間半。
東京へ行くよりも短い。

しかも、この航空会社は、
同日午後6時上海発の復路便があるから
やろうと思えば、なんと
上海日帰りが可能なのである!

九州と上海の近さを肌で感じる。

肌で感じると言えば、今回の上海は暑かった。
連日33℃を超え、外出のたびに吹き出る汗を抑えるのに大変だった。

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(強い日差しの上海中心街)

ちょうど、台湾から福建省に上陸した強力な台風5号(アジア名:HAITANG)が接近していることもあって、時折、風も強かった。

いつもはガスやスモックがかかる上海の街も
久しぶりに青空が広がり、違った町並みを見せてくれた。

折りしも、18日より上海展覧センターで
「台湾農産品展示即売展」が開催された。

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(会場となった上海展覧センター)

今年4月に60年ぶりに国民党の連戦主席(当時)電撃的に訪中したが、それにタイミングを合わせるかのように、中国政府は台湾産の果物の輸入を全面的に解禁したのである。

これを広く市民・関係業界・報道界に広めるために
国務院、商務部、農業部などの主催で
台湾産果実の展示即売会が上海で開催されたのである。

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3日間の開催であったが、初日から会場は
解禁されたばかりの台湾の果物を目指して市民が殺到し大混雑した。
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マンゴーやパパイヤ、パイン、スターフルーツ、
スイカ、豊水梨、ブドウ、茶葉、蘭鉢などの生鮮物や
冷凍食品、水産加工品、菓子、健康食品なども展示販売された。

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(殺気すら感じるほど、台湾産果実を買い求める市民が押しかける)

一個70元(約900円余り)する巨大マンゴーや25元(約350円)のパパイヤなどが次々と売れていく。
初日からあまり売れ行きが良いので、こっそり値札を換えて値上げする業者も出る始末だった。
とにかく上海市民の新しい食品・海外産農産物に対する関心の強さと購買力に正直驚いた。
「日本産果実も、こうやって市場に並べることさえ出来れば、品目によっては決して売れないはずはない!」と、つい力が入ってしまう。

050724sakki (百元札が舞い、空箱が次々と積み上げられてゆく…)

しかし、現実には、日本産の果実は、リンゴとナシ以外は中国には輸出できない
過去の輸入実績に基づく、検疫上の問題というのが中国政府の理由だが、今回の熱帯果実の即決の輸入解禁を見てみると、複雑な思いもする。

とにかく、我々の商談現場では、貿易手続きの他にも商物流において気の遠くなるような障害が多く、現状では、多額の販促予算を持っているか、時間とコストをかけた取り組みが出来ないと、その多くが対中輸出には二の足を踏むことになるのが現状だ。
中国での販路開拓と同時に、日本国内での競争力強化に向けた取り組みにもなお一層の厳しい努力が求められる。

今回の台湾展示会で、
上海人消費者の購買力の潜在性を見せ付けられながら、
一方で様々な困難に直面し、暑さと共に卒倒しそうな気分に陥ってしまった。

私は、「農産物の対中輸出は、現状では絶対に発想転換が必要だ」と結論付けている。
これからが面白くなりそうだ。ファイティングスピリットが湧いてくる。

これまた折りしも、帰国日の夜、
中国政府が人民元を2.1%切り上げることを発表した。

切り上げは、「ニッポンを売る!」には追い風になるのだが、
それ以前に解決すべきことがあまりに多すぎて、
実際にはまだピンと来ない。

中国には、挑むもよし、また避けるもよし
すべては自身の思い次第だ。

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(今、上海では、ザリガニ(小龍蝦)料理が流行だとか…)

全国規模のうねりになる日本農産物の海外輸出

27日、「農林水産物等輸出促進全国協議会」
(会長:木村尚三郎東大名誉教授)が正式に発足し、
その設立総会が全国の関係者を集めて、
東京・大手町で開催された。

総会には、アジアアフリカ会議から帰国したばかりの
小泉総理も駆けつけ、来賓挨拶を行なった。

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総理は、他の改革同様、
「守りから攻めへ」の農業改革について
熱心に自説を唱えた。

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具体的な事例として、
青森のリンゴ、島根のコメ、
福岡のあまおうイチゴ、宮崎のシンビジウム

アジア各国で高値で売れているという例を紹介し、
極めて強い関心を寄せていることを参加者にアピールした。

続いて、
この協議会の名誉会長である島村農水大臣が挨拶に立ち
参集者に向けて激励の言葉を贈った。

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また、経団連の奥田会長も祝辞を行ない、
農業セクターも同連合会のメンバーになるよう
エールを送ったのが印象的だった。

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第2部のパネルディスカッションでは、
木村会長をコーディネーターに、
全国的に有名な青森のリンゴ生産者の片山社長
上海・蘇州で評判の日本食材店を
8店舗経営する石橋水産有限公司の石橋会長と
私の3人がパネリストとして登壇し、
農産物の輸出の可能性と心構えについて発言・提言した。

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(左は石橋氏、中は片山氏、右は木村会長)

生産者自らが主体的に動いて、
新たな活路を見出すことを実践する片山さん。

中国という、ビジネス上の障害が多く、
競争激しい市場で勝ち抜くための厳しさと可能性について訴える石橋さん。

両名とも、行動力と実績があるだけに説得力は抜群だ。

私は、地方の行政や団体など、輸出支援をする立場から、
地域の生産者や企業が、
いかにしてやる気と工夫を引き出すかの重要性について
発言する機会を与えてもらった。

この「全国協議会」は、関係省庁、47都道府県知事、
農業、林業、水産業、食品産業、酒類、流通、外食、観光
JETRO、日商、経団連等の広範な団体組織から構成
されており、
官民一体となった経済促進・地域振興を目指すものである。

050428houdou (駆けつけた多くの報道陣)

輸出促進、食文化発信という様々な基本戦略と共に
輸出額を5年で倍増という数値目標も設定している。

全国協議会の事業を通じて、
日本全国から、やる気のある生産者、企業が排出し、
地域が元気になることを期待すると同時に、
輸出当事者も、困難多い海外ビジネスに際して
この協議会の情報やネットワークを
ドンドン使い倒してもらうことを願っている。

事務局:農林水産省大臣官房国際部貿易関税課輸出促進室

福岡地震と反日デモと「ニッポンを売る!」

16日に発生した上海での反日デモ活動が契機となり、
いま日中両国間で様々な駆け引きが展開されている。

我々日本人にとっては
中国政府が次にどんな対応をしてくるのか大いに注目している。

事態はまだ流動的で、
国際情勢、および中国の国内世論や政権内部の動向次第で
どう変わるのか、なかなか予測がつかず、未だ予断を許さない。

ところで、今朝6時11分、
福岡地方で震度5強の大きな地震が発生した。

私も福岡に滞在していたので、
この激しい揺れには驚いた。

3月20日の震度6の本震以来、
数日間めだった余震がなく、少しだけ忘れかけていた後の
突然の激しい揺れだっただけに、
実際の被害より、精神的なショックの方が大きかった。

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ここで、ふと考えてみると、
「これは、中国の反日活動をはじめとする
アジアで起きる様々な事件災害と同じではないか」
と。

私が30年ほど前から中国と関わりを持ってからも
政治問題に端を発する反日抗議や権力闘争による混乱、
予測もつかない事件や災害の発生などによる
突然の交流中断を何度体験させられたか。

数年間にわたり情勢が安定していたことなんて記憶にない。

最近でも、
大津波、SARS、鳥インフルエンザ、アジア通貨危機、天安門・・・

忘れかけた頃に決まって突然現れる不測の事態

戦後だけでも、日本は大国・中国に大いなる期待や幻想を抱きながら、
「これからはアジアの新時代だ」と盛り上がるのだが、
必ず乱気流に巻き込まれ、右往左往してしまう。

日頃、私は

多くのビジネスマンの方々は
2008北京オリンピック、2010上海万博までは
少なくとも右肩上がりのはずと期待されているようですが、
それ以前にも紆余曲折は何度かありますよ、

と訴えていたが、やっぱりそうなってしまった。

でも、その後、下の句が続く。

絶望的に見える状況になっても、いつの間にか回復し、
忘れたかのように、
また中国ブームが始まるのが不思議なんです

と。

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             (反日デモ数日前の上海)

要は、
常に不測の事態、予想もつかない出来事が起こりえるのが
当たり前の環境で、
それでも我々は「ニッポンを売る!」ことに挑戦するのである。

それは、今日発生した福岡西方沖の余震と同である。

専門家は、後追いの解説や分析は出来ても、
決して正確な予知は出来ないのである。

この耐性がない人・組織は、
中国などとのビジネスはやめておいたほうが無難である。

反日の上海を行く

今日午前、北京・広州に続いて、
上海でも反日デモが発生し、
一部投石騒ぎや破壊行為が行なわれたことが、
日本では終日報道された。

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(時事通信社)

WTO加盟以来、
SARSを除けば、経済関連のニュースが多かった中国だが
思い出したかのように、
反日感情の悪化とその行動が
日本中に衝撃を与えている。

いま中国・韓国で起きている一連の出来事は、
多くの日本人に激しいショック、
あるいはこれらの国々に対する嫌悪感を与えたことは間違いない。

デモ活動の背景については、
いろいろ観測されているが、
いずれにしても、
中国当局側により、世界中にこの感情を知らしめることが
ある種の目的であったことだけは間違いない。

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(朝の上海の街角で)

「ニッポンを売る!」という視点から見れば、
この反日、日本商品ボイコット(排斥)、歴史認識問題などは、
マーケットとしてのアジア、消費者としてのアジア人をとらえる上で
どうしても避けられないテーマである。
中国、韓国だけでなく、台湾、香港、東南アジアにおいても。

対日感情については、
今後長期間は、いかなる条件・方法をもってしても
根本的な解決はありえないと考える方が自然であり、
それを前提としたアプローチを目指すべき
だろう。

ただ、ハッキリとしておかなければならないことは、
この種の事態は、
これからも起きる可能性があり続けると同時に、
もう日本商品が売れなくなるとか、
日本人が現地でビジネス出来なくなるという事は
まったくない
と言うことである。

中国と30年近くも付き合っていると、
この辺の感覚がなんとなく分かってくる。

昨年来、講演の機会があるたびに訴えているのだが、
中国特需だからといって、北京オリンピック、上海万博までは
ビジネス天国だとばかりに舞い上がり、
反日デモや人権問題、汚職や格差といっては
嫌悪感や差別意識が支配する。
どちらに振れても、日本人は中国に対して熱くなりすぎて極端なのである。

おそらく日本のような安定した平均社会を前提として
中国に過大な期待を寄せているからなのではないだろうか?

とにかくビジネスマンたるもの、
冷静にチャンスを窺(うかが)おうではないか。

今週11日から13日まで
渦中の上海に、マーケティング調査のために出張した。

精力的に数多くの日本人駐在員の方々と情報交換したが、
まったく普段と変わらない様子であった。

日本の騒ぎぶりが信じられないといった風である。

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(いつもと変わりない上海の街)

さすがに、この週末は、それなりに注意を払っていると思うが
日本で我々が想像しているような状態ではない。

出張時の上海の様子については
私のレポートが、Yahooニュース中国情報局
転載されているので、参照されたい。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050415-00000003-scn-int

http://forum.searchina.ne.jp/2005/0415/column_0415_001.shtml

愛国の熱情も大切だけれど、
熱くなり過ぎると客観情勢を見誤ることも
過去の歴史が教えてくれている。

福岡西方沖地震から考える

20日午前、福岡佐賀地方を襲った地震は、絶対にここではありえるはずがないと信じていた市民に大きなショックを与えた。
直接間接の被害に遭った多くの被災者の皆様に、心からお見舞い申し上げます。
地震の翌朝、所用で外出した道中でも、このような情景に出遭った。
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これらの画像は、遠く離れた人々にどのような情報を伝えるのだろうか?
福岡の街全体が、あちこちで倒壊し、大惨事の姿を想像するかもしれない。
私も神戸淡路大震災の時、発生一週間後、この眼で見た凄惨な光景は、今も忘れることが出来ない。
でも、今回の福岡の場合は、少し様子が違う。詳しくは省略するが、震源が都市の直下でなかったからか、倒壊したのは、主に古い寺社や家屋、ブロック塀などが中心だ。
繁華街の中心である福岡ビルの外壁ガラスがめちゃくちゃに割れたのだが、周りのビルはほとんど割れておらず、概観からは変化がない。このビルは比較的古いから、構造的に割れやすかったのだろう。
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しかし、この光景がセンセーショナルなシンボルとなってしまった。報道サイドとすれば、画像的に地震被害が分かりやすいところを狙うのは当然である。
私が何故このことにこだわるかと言うと、今後、福岡は、観光誘致や企業誘致にとって、暫くはマイナスイメージが付きまとうかもしれないからだ。被害者が出ているのに不謹慎と言われるかもしれないが、これは軽視できない事である。
これまで、福岡に企業を誘致する際に、訴えてきたフレーズのひとつが「日本で最も災害の少ない街」。特に、地震がないことが、東京との比較で、最大のアピールポイントになっていたのである。
昨年の中越地震発生2週間後に会議で新潟に行ったのだが、実際、新潟市は大きく目立った被害はなかったのである。当初報道により「新潟地震」と呼ばれたため、新潟市が危険だというイメージが広がり、付近の観光地やサッカーの試合、ビジネス関連の会議などに人が集まらず、新潟市の友人達がとても複雑な思いをしていたことを憶えている。
被災者がいる以上、「ここでは被害がなかったから問題ない」と大きな声で訴えることも出来ず、危険な街というイメージが先行してしまうことを心配していた。
同様に、現在、韓国で大騒ぎになっているという竹島問題や去年の中国のサッカーブーイング問題も注意が必要だ。その意味では小泉総理が言うように、まずは冷静に見守らなければならないというのは正しい判断かもしれない。
ここで報道の真偽やあり方を問うつもりはない。
実は、私自身も、例えば、香港で日本産のイチゴがまとまって輸出できたからといって、日本産農産物があたかもアジア市場で売れまくる、と軽々に判断してはいけないのだ。
また、福岡は過去、大地震の記録がなかったために、専門家も含めて誰も備えがなかった。地震保険も福岡県と佐賀県は一等地、すなわち保険料が一番安い地域なのであった。
そういえば、21世紀に入っても、地震や台風、豪雨などの自然災害、テロ、経済危機、疫病などは、時と所を選ばず、突然やってくる。
海賊事件も九州と関わりがあった。海賊なんて誰が予測していただろうか?
海を渡る事業は、いつもそのリスクにさらされる。
これも、正しいソフトパワーで打ち破っていくより他にない。