香港・台湾に出張した。
おりしも、ちょうど台風13号(漢字名:泰利)の来襲に遭い
ひさしぶりに出張先で台風を経験をした。
31日午後、台風襲来を承知で、
香港から台湾へ強硬移動。
空港に着くや、激しい風雨に見舞われた。
(台湾・中正空港で)
上陸は翌朝ということで、
夕刻数時間ですべての用件を済ませ、
ホテルへの帰路、
車から降りたその瞬間、
足元から信じられないような強い風が吹きあがり、
一瞬、視界が無くなり、息が出来なくなってしまった。
吹き飛ばされそうな体を支えるのに精一杯で
道路に立ち尽くしてしまった。
もちろん、全身ずぶ濡れになったが、
何度も日本で台風は体験しているが、
一瞬とはいえ、路上で動けず、
体が飛ばされそうになった恐怖体験は
初めての事だった。
きっとこれが風速4~50メートルという状況なのだと思う。
31日夜のニュースで、
南部では、夜にもかかわらず、
36℃の強い熱風が吹き荒れたのだそうだ。
亜熱帯の台風の凄さを身をもって体験した。
翌早朝、上陸後の台風の目に入っている間、
静まり返った街中を散策してみた。
街路樹が根こそぎ倒れていたり、
看板が外れたりしており、
時折吹き付ける強風に、思わず緊張してしまう。
午前9時になっても、台北の大通りは、
人も車も往来していない状態で
こんな光景は異様だった。
学校も会社も臨時休校や全面休業だからである。
(普段ならバイクと車で渋滞の朝の通勤時の目抜き通り)
テレビニュースでも、中南部の農村部の惨状を伝えるものが多く、
土砂崩れや決壊、浸水などの報道とともに、
産業別では、やはり農業、
特に果実の被害が甚大になるとの予測である。
台北市の青果の卸売価格も平均10~15%上昇しており、
一部ブロッコリーが20%、レタスが132%アップという報道もあった。
実際に早朝の台北最大の濱江青果卸売市場に足を運んだが、
人影はまばらで、テレビの取材クルーの姿が目立つくらいだった。
(閑散とする卸売市場)
農業はどうしても自然災害に左右される。
先の台風5号が台湾を襲い、50年ぶりの被害をもたらしたと言われているが、ある台湾の輸入商社一社だけで、
このひと月間に日本で暴落した群馬県産キャベツを
19コンテナ(40フィート)も緊急に買い付けたという。
そう言えば、台北のある高級スーパーでは、
地元台湾産のしおれたキャベツより、
立派な日本産キャベツの方が3割ほど安くてビックリした。
物流や商流が構築されると、台風などをきっかけに
思いがけない事態が起きるということだ。
危険と隣りあわせだったが、いい経験をさせてもらった。
田中 豊
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トラックバックありがとうございました。
風速50メートルなんて経験したことがないのでわかりませんが、このところ想定外の自然災害が多いので気をつけないといけませんね。