こんなに早くから

      
朝九時前。宮崎。

   

仕事の予定にはまだ随分時間があるので、
ミーハーで物好きな僕は、
連日全国版のテレビ番組で紹介されている県庁を一目見ようと足を運んでみた。

我ながら少々あきれてしまう・・・。

    

          
そうこうしていると、なんと県庁の正門から大型観光バスが3台も入っていくではないか!!

         
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まもなく開いたドアからゾクゾクと家族連れ、子供、年配のオジサマ・オバサマ方が降りてくるではないか。

   
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心なしか庁舎前が華やかに整備されている

      
       

バスを降りたご一行様方は一目散に、テレビですっかり見慣れた正門玄関の「」のあの一枚のボードの前で列をなして記念撮影を始めた。

   
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信じられないッ。
            

まだ出勤時間中のこんなに早くから!

    
正面玄関は大勢の観光客で占拠状態だ。
   
    
普通県庁の玄関でこんなことしてたら追い返されるに違いないが、ここでは守衛さんも温かく見守ってくれている。

            

ここはもう立派な観光資源・地域資源である。

            
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名刹同様、ガイドさんが説明するスポットでもあるのだろうか

             

しかも、なんと玄関横にはオープンカフェまで新設されているではないか。

       
     
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県庁玄関前の敷地内に、である。

    
開放感タップリなロケーションがなんだか複雑

         
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気鋭のコンセプターだって、こんな企画は出せないだろう。

      

        
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カフェ内にこんなコピーが。ジュース飲むと僕の頭にも効くかな?

      
     
さらに、庁舎の隣にあるみやざき物産館という県産品のアンテナショップ前を通ってみた。

    
           
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目を疑った。

なんと開店前というのに百人以上の人たちが待っているではないか!!
       

             

「そんなバカなっ!」

     
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つい、半年前までは、誰も気にも留めなかったような施設が、だ。

        

「ん~ッ!」

僕は頭を抱え込んでしまった。

        

いや、地元宮崎の人たちはもっとビックリしているのだ。

       
    
タクシーの運転手さんに聞いたら県外からの来訪観光客が最もよく行きたがるのが県庁なのだそうである。

    
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今や日本のホットスポット!?

         

かつての観光王国にとってありがたいことなのかどうなのか首をひねりたくなるが、とにかく大変貌である。

           

      
地元宮崎の元気仲間が紹介してくれた最高の「チキン南蛮」を頬張りながら、とにかく様々なビジネス現場の変化について教えてもらった。

       
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地元仲間推薦のチキン南蛮は格別ッ!
     
    

ここではマーケティングなど理屈なんか越えている

経済分析同様、もう後追い解説にすぎない。

       
      

空港までの沿道には、黄金色に頭(こうべ)をたれ始めた稲穂が敷き詰めたじゅうたんのようだ。
    

4号台風が直撃したにもかかわらず、稲が倒れなかったのが幸いだ。

     
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聞けば、なんと来週から稲刈りが始まるそうだ。

 

こんなに早くから!! 

        

日本一早い新米の収穫だ。

      
             
台風銀座である宮崎の知恵でもあり、出荷のタイミングの速さが1キロ1000円という付加価値をつけるのである。

         
        
宮崎のシンボルである太陽ハマユウが今日はひときわ目に映る。

   
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県花 はまゆう

     

それにしても「」は、あちこちにいる。

   
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新たなシンボルに定着だ。

    

こんなに早くから!!

     

ついたち(一日)に想う

   
今日は7月1日。

 

2007年もはや半年が過ぎ、下半期が始まることになる。

   

忙しかったかのようにも思えるが、その結果
いったいどれだけ人様のお役に立てたのだろうか?

    

あっという間の時の流れに、不安と後悔ばかりが心をよぎる。

   

    
最近、ある方の紹介で
毎月一日の午前零時を過ぎ夜明けにかけての時間に
自宅から車で1時間ほどの神社で行われる朔日(ついたち)参りに参加するようになった。

   
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ここは1600年前に創建された商売繁盛と開運祈願で広く有名な神社だ。

    
無事に過ぎた1ヶ月を感謝し、新しい月の無事を祈る習慣「朔日参り」は伊勢神宮が有名だ。
   
初詣で同様、誰でも参拝可能な年中行事。

   

月の末日の午後11時半を過ぎると、
この神社の境内に次々と人が集まってくる。

   

家族連れあり、カップルあり、商売人と思われる人あり・・・。

    
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深夜ということもあるからだろうか、年配の人より若い人がとても多いのに驚かされる。

   

一日の午前零時と共に合図の太鼓が打たれ、一斉に賽銭が投げられて拍手(かしわで)の音が鳴り響く。

   
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頭上の注連縄(しめなわ)は日本一だとか

   

気持ちが凛とする一瞬だ。

   

「先月も頑張りました。ありがとうございます。
今月もまたよろしくお守りください。」
と皆さん念じているに違いない。

  

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神様とのご縁が結べる様にと五円玉を結ぶ

    
   
境内には季節によっていろいろ演出も施されて、参拝信心の晴れやかさと共に日本の伝統文化を再認識する機会にもなり、改めて日本の素晴らしさを体感するのだ。

    
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先月6月1日は花ショウブが境内一面に飾られたが、今月は七夕飾りだ。

   
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願い事を短冊にしたためる。

     
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参拝を終えると、待ちに待ったお楽しみ―朔日餅(ついたちもち)を手に入れること。

   
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毎月趣向を凝らし、季節に合わせたここでしか手に入らないプレミアムな和菓子を頂く。

   

実は、この有り難いお菓子を納品している会社の社長さんとご子息にこの朔日祭を教えていただいたのだ。

   

昨年3月、台湾の台北で福岡県産イチゴ「あまおう」のプロモーションを行った時に、あまおうを使ったイチゴ大福の実演をお願いしたところ一週間の計画で準備していたのが、3日で売切れてしまうといったレコードを作られた時からのお付き合いでいろいろ教えを乞うている方なのだ。

   
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てんてこ舞いの忙しさ  台北にて

   
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台湾でも高級イチゴとしての博多あまおうの認知度は抜群

   

自社ばかりでなく、近い将来、九州中の志ある多くの和菓子を世界に広めたいと大きな夢を持っておられることにとても敬服している。

       
とにかく、私は毎月この朔日餅が楽しみなのだ。

         
先月は葛で寄せられた菖蒲餅だったが、今月は特製ワラビ餅だそうだ。

    
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接待所でも無料でお茶と共に頂けるのだが、必ず数箱買い求め、近所の甘党のお年寄りなどに配っている。

  

    

    
そういえば、先月24日、日本産のコメの中国向け輸出が4年ぶりに再開された。

    

わずか24トンのごく少量の第一便ではあるが、これが意味することは予想以上に大きな契機になるだろうと考えている。
   

様々なマスコミ関係者からもコメントを求められた。

   
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北京の大手スーパーのコメ売場

   
   

攻めの農業の本格的な行動開始とも、また新たな摩擦の始まりとも賛否渦巻くニュースではあるが、政府の外交交渉支援の下で、難度高いと言われる中国での販売事業に果敢に挑戦する人がいるということは事実だ。

    

この機会を生かすも殺すも我々の考えと行動次第。

   

折りしも、昨夜の経済新聞では、10年ぶりにコメの国際価格が上昇したと言う記事が目に留まった。

     

もっとも上昇したのは世界の9割を占める長粒種のことであって、日本の短粒種ではないのだけれど、世界的に資源保護、環境破壊、同時好況を背景に穀物相場がエネルギーと同じ運命にはならないとはもう言えないだろう。

    

時間を後戻しして分析することは比較的簡単だ。

    

今後半年、3年後、5年後、10年後の変化を読んで対応することこそ我々日本人に最も求められることだと思う。

    

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ぽっかり浮き出た満月がとても印象的

    

      

一日(ついたち)零時の心のけじめは、私にとって、時の流れを再認識する絶好の機会にもなっている。

     

    

さあ、朔日餅を頂こう!!

     

氷を融かす旅

    
中国の温家宝首相が来日した。

12日の国会での演説でも

「我希望我的這次訪問能成為一次“融氷之旅”」

(今回の訪日が、氷をとかす旅になることを願っています)

と発言した。

       

漢字の国らしい表現で、私たち日本人にも非常に分かりやすいフレーズだ。

      

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上下の写真は、2004年に橋本訪中団に団員として参加し、北京・人民大会堂で接見したとき撮影したものである。

    
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とても親しみやすく、飾らない理知的な印象だった。

      
    
温首相が今回の訪日前に北京でNHK記者のインタビューに答えて(新華網記事による)

「もし、昨年の安倍首相の訪中が氷を割る旅(破氷之旅)だとすれば、4月の私の訪日はその氷をとかす旅となることを願っている」
    

という発言に続いている。

  

氷と言えば、この5年間ほどの政治セクターの冷めた関係のことを指すのは周知の事実。
    

日本国民の対中感情も大きく変わった。

      
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北京の街角で

      

しかし、今回の両国首相の相互訪問で、日中関係も新たな展開に移ひとつの契機になることは間違いない。

     

そのひとつの成果として、正式に日本米の中国向け輸出が今夏にも復活することになった。

  

もっとも、戦略的互恵関係と言うくらいだから、当然、わが国も何らかの門戸を開けるはず。

     

冷めても問題だが、熱くなるとまた摩擦も起こすはずだから、気が休まることはない。

   

でもこれは隣国としてはむしろ当たり前のこと。

  

氷が融けるといろいろな事も起こってくるのもまた道理。

    

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日中間の氷が融けるのを待っているビジネスマンも多い

    

チャンスの側面にも目を注ぎたい。

     

私が中国にかかわった30年の間にも日中関係は何度も大きく揺れた

  

中国の格言にもあるが、「人間万事、塞翁が馬」。

   

「人間」とは正しくは「じんかん」と読み、中国語では世の中、世間と言う意味だ。
   
にんげんという意味はない。
    
   
ちなみに中国では「塞翁失馬」と使う。

    
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現代の名馬? 上海・南京路にて

     

とかくこの世の禍福は、万事、あざなえる縄のごとし」という感じだろうか。

         
いちいち必要以上に一喜一憂することの無意味さを私は体感している。

        
    
Dsc_9986 上海の街角にて

    

この読者の皆さんは、中国に対して好き・嫌い、友好・不信の想いもあると思うが、私は一応、この国を含めたアジアを舞台にビジネス支援をする仕事人として、中国の事はもちろん嫌いではないが、好きだ、骨まで愛してるという感情なども特段ない

   
淡々とした想いで臨んでいる。 

    

中国ビジネスにかかわって2年目の24歳の時にこれを自覚した。

    

    
物事は常に変性流転し、相対的である。無為自然で臨め」とは、
20年前、私の中国人の老師匠にコンコンと諭された処世訓だ。

    
     
Dsc02479 江蘇省で

     

彼は戦前戦後、そして文革、改革開放をたくましく生き抜いていったネアカな鉄人である。

      
中国も中国人も奥が深い。
     

いつまでも果てることなく興味が湧く。

       

甘あ~い香りのイチゴ畑で

      

福岡のイチゴと言えば、「あまおう」というブランドが全国的にも浸透してきている。

   

福岡県産イチゴの主力産地のひとつである八女市を訪ねた。

  

折りしも偶然立ち寄った観光農園にお邪魔した。

    

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ちょうど園の担当者の方が、忙しい作業の合間を縫って、何棟ものハウスを案内して頂いた。
    

ここでは、いろいろな種類のイチゴ狩りが楽しめるという趣向だ。

  

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「観てください。あまおうだけ真っ白でしょう? 熟れたものが全く無いんですよッ。」

    

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見てみると、確かにあまおうだけ実が赤いものが無い。

  

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先週の週末、イチゴ狩りを楽しむ観光客でごった返したそうだが、やはりあまおうの人気は抜群で、みんなあまおうばかりを摘んだもんだから、熟したものが無くなってしまったんだそうだ。

  

あまおうのブランド力は本当にスゴイ。

  

消費者は、価値が高いということを知っていて、集中攻撃を仕掛けたみたいだ。

    

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もちろん他の品種も、ほとんど完熟待ちの状態だったが、改めてそれぞれの品種特性について知ることが出来た。

     

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さちのかは、特に実付きが良い品種だそうで、ご覧の通り鈴なりだ。

     

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今日頂いたイチゴの中では、さがほのかが美味しかった。

   

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この品種は、もう少し暖かくなるとさらに甘みが載ってくるのだそうだ。

    

季節によって美味しい時期が違うそうだから、チョッとした知識があるとお買い得かもしれない。

   

     

とよのかは、かつての福岡イチゴの主力品種だったのだ。

    

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今はあまおうに主役の座を取って代わられているが、
その甘い香りは健在で、新品種の掛け合わせに必ず使われるらしい。

      
     

紅ほっぺは静岡で開発された品種だそうだが、名前がなんともかわいらしい。

   

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それぞれの品種に食味の特徴があり、また栽培上の違いもあるらしい。
収益力にも差があるので、生産者もその見極めが重要なのだそうだ。

    

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なんと三段の高設栽培

    

今は、高設栽培が普及しており、露地栽培に比べ、効率が上がるだけでなく、作業が格段に楽になったそうだ。

     

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突然の乱入にもかかわらず、熱心に教えてくださった中山さん、本当にありがとうございました。

      

     

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貯水槽だろうか? 子供客が喜ぶだろうなあ

      
     

年を越してからも、香港や台湾、シンガポールを中心にアジア各地から、あまおうの注文が相次いで、嬉しい悲鳴が続いている。

   
一説によると、
2005年の日本のイチゴ全輸出量の約8割が福岡産で、昨年2006年も約7割を福岡産が占めたと言われている。
     

これも、生産者、JA、福岡県の数年の努力の結果である。

    

でも、まだまだ海外販路開拓の事業は始まったばかり。

  

来月からは、いよいよアメリカに向けてあまおうの試験輸出も始まる。

    
    
イチゴの大産地アメリカ市場でアジア代表のひとつであるあまおうが果たしてどこまで通用するか?

  

関係者の努力と信念にかかっている。

   

松坂大輔と並んで、頑張れあまおう!!

    

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あまおうの花

     

     

黄色一色の街

    

今日は月曜日。

    

バンコクの街に一歩外に出ると
右を見ても左を見ても、
黄色、黄色、黄色、黄色、黄色・・・
黄色一色になっている。

    

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国中で販促キャンペーンでもやっているのか?
それともチームカラーが黄色の阪神かソフトバンクホークスの応援か!?

       

実は、今年6月、ラマ9世プミポン国王の即位60周年にあたり
日本の天皇陛下を含む各国王室が集うほどの式典を行ったのだが、この時に国民が敬意を表すために着た黄色いシャツについて、政府は、年内一杯、国王が生まれた月曜日には着用するよう奨励しているそうなのである。

     

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プミポン国王

        

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今年6月12日 世界の皇族が集まった。 中央:国王夫妻、前列右:天皇皇后両陛下

        

政府の奨励だけでこんなに皆が着るだろうか?

かなり自発的な行為だと感じざるを得ない。

      

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プミポン国王の誕生日は12月5日。

       

なのに、なぜ毎週月曜なのか?

      
タイでは、生まれた日の曜日がとても重要なのだ
そうだ。

          

皆さんは
自分の誕生日の生年月日は全ての人が知っていると思うが、
生まれた日の曜日はご存知だろうか?

     

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僕も一応は知っているつもりだが、心もとないし、
正確に知ろうという気持ちも特段にない。
占いでも信じている人は別だろうけど。

     

タイのプミポン国王は月曜日の生まれだそうだ。
今年の誕生日の12月5日は火曜だったが、月曜というのが肝心なのだ。

   

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朝の出勤風景

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タイ名物のボートもこの通り
    
     

また黄色は王室の色とされ、とても崇高な色なのだそうだ。
       

中国でも、確か清朝時代は、黄色と龍の文様は皇帝のものとされ、
庶民がこれを使うと罪になると、聞いた事がある。

      
面白い。
  

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朝の屋台街も黄色のシャツで一杯

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ところで、私がバンコクを訪れたのは、
まだ誕生日には程遠い時にもかかわらず、
街中は慶祝ムード一色だった。
    
至る所に、国王の肖像や国旗などでデコレーションされている。

        

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タイの人にとって国王陛下は、本当に敬愛する人物で
国王に対する尊敬の念は、どこの国にも負けていないだろう。

    

061210gunpuku_2国民にとっては特別な存在で、日常はもちろん、先日のクーデターの時なども、国王の意向や言動が絶対的な裁定となることは周知の事実である。
      

軍といえど、政治家といえども国王に対する忠誠心は絶対だ。

        

     

どうも、教育による強制などではなく、
国王が若い頃から精力的に地域や庶民との交流を持ち、
政治的危機に及んでは、見事にこれを治めたなど、長い期間にわたる実績があって、国民の絶対的ともいえる崇拝を受けているのだという。

        

       

バンコクの街ではいたるところで
黄色のポロシャツやTシャツが売られている。
     

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Huku2 061210huku

  

タイの人たちの想いをまた感じる事ができた一日だった。

     

      

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師匠がやって来た

    
ブログの生みの親とも言うべき
私のITスキルの師匠で、
愛称「やまけん」こと山本謙治氏が遠路はるばるやって来てくれた。

    

3年以上前から、パソコン・電子機器音痴である私に、
根気強く1年以上もかけてブログの効用を説き続けてくれ、
もちろん今も頻繁に指導してもらっている。
    

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2005 TOKYO
        

もちろん今と違って、
ブログなんて日本でもほとんど知られていない黎明期の頃の話である。
        

私とは15歳も年下であるが、師匠は師匠である。
年の大小なんて新しい事にチャレンジするのに何ら関係ない

    
       
山本氏の伝説的なブログ「やまけんの出張食い倒れ日記」をご存知の諸氏も多いと思う。
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/

     
   
三度のメシより食べる事が好きという氏が、
超人的スケジュールで全国を飛び回る出張先で、「佳い食事とは何か?」を求め、ひたすら喰い倒れる記録なのだが、その豪快かつ人情の詰まった日々のエントリ(記事)は、読者を山本ワールドに引き込んで離さない。

    

そんなブログだから早くから全国的な注目を集めており、
有名誌やテレビなどでも頻繁に紹介されている。

    

一日に約1万アクセスを誇る伝説的ブログと呼ばれる所以だ。

    

やまけん師匠がやってきた時の模様も、
さっそくアップされているから、ぜひのぞいてみて欲しい。

http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2006/11/post_924.html
(福岡の魚はやっぱり旨~いヨ!「漁師小屋」の鯖の刺身とイカ刺しに悶絶した昼時!)

      

その時の取材(食い倒れ!?)の様子である。
     

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料理人の包丁さばきと変わらぬくらい、やまけんのカメラ捌(さば)きは目にも留まらぬ早業だ。
   

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そして豪快に、旨い!旨い!」と心の底から叫んでくれる。
      

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彼はいわゆる美味探求のグルメではない。
    

食材生産者から料理人まで作り手のこだわりや苦労に思いを馳せ、これを応援するサポーターなのだ。
   

この点において、
実は、やまけんは私のもう一分野の師匠でもあるのだ。

    

山本氏の本業は農産物流通コンサルタントであり、
今や全国から引っ張りダコの人気で、
農水産業の生産者やJA、食品メーカーの顧問をしたり、
執筆、講演活動とその活動は幅広い。

    

今年4月から、NHKラジオ第一放送で毎週月曜午後3時半頃から、
ビュッフェ131」という番組の中で、
その時の旬の食材を紹介するというコーナーに出演しているから、
国内どこにいてもやまけんの声を聞くことができる。
http://www.nhk.or.jp/radiodir/hot/b131.html
(NHKラジオ番組ビュッフェ131公式ホームページ)

   

専門家だけでなく、僕ら普通の市民に判りやすく
日本の農産物・食材の素晴らしさを紹介しているので、
多くの人に聞いてもらいたい。

   

山本氏の農産物流通に対する思想はシンプルで明確だ。
   

生産者が一生懸命心をこめて食材を生産する。
消費者はその素晴らしさを知り、
日々の食生活を通してこれを消費する事で農水産業・食品業を支えていく。

     

良いものを作るのにはそれなりのコストがかかる。
その事も消費者は次の再生産の糧となるときちんと受け止め、そして消費する。

   

最近巷では、
食育という言葉があいまいなまま連呼されているが、
私は氏の思想こそ本物の食育であり、
彼こそ真の生産者サポーターだと考えている。
    

私も国内農業振興のサポーターの末席にいるつもりではあるが、
その造詣の深さと長い実践の積み重ねでは、とても足元に及ばない。

         

       
だから農産物の国際貿易に対しても、やまけんには一家言ある
    

私には耳が痛い事も多い。

    

私は氏の考えと行動に触れるたびに、
いつも立ち止まってその原点を確認する。

         
「何のため、誰のための農産物の輸出なのか?」
   

自問自答は尽きない。

    

安倍新政権の食品輸出1兆円構想(9月29日所信表明演説)が打ち出された今こそ、関係者はこの点をしっかりと押さえておかなければ、「ニッポンを売る!」活動は、単なる輸出ブームに終わってしまう

          
やまけんブログの記事では、豪快な「やまけんの喰いっぷり」と案内人である私との掛け合いが軽快なテンポで紹介されているが、
    
その裏では「生産者のために、消費者のために僕らは何が出来るのか?」というテーマで、実はかなり真剣な師弟の議論が取り交わされた事を敢えて付け加えておこう。

      

     

下の2枚の写真は私が写した料理写真。やまけんのブログ写真と比べて頂きたい。その差は一目瞭然だ。
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2006/11/post_924.html
      

同じモノを写しても、どうしてこんなにもシズル感(料理の臨場感)が違うんだろう? まだまだ修行が足りない・・・
    

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新潟国際ビジネスメッセ

16日、新潟国際ビジネスメッセが二日間にわたり開幕し、
午後のビジネスシンポジウムにパネラーとして参加させていただいた。

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地場企業と共に、中国やロシア、モンゴル、韓国など海外からの商談ミッションも参加し、会場ブースでビジネスマッチングに出展した。
  

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シンポジウムのテーマは、「中国東北三省とのビジネスマッチングを求めて -その問題点と解決策を探る」と題し、中国側から三省のビジネス・キーパーソンが熱のこもった講演を行なった。

   

新潟と友好関係の深い黒竜江省からは省商務庁の王副局長、自動車工業など発展著しい吉林省からは人民政府の王副秘書長、省全体で外資誘致を全面展開する遼寧省からは対外貿易経済合作庁の宋副処長が登壇。
     

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各省とも豊富な資源と国家的な東北振興政策を背景に、自信たっぷりにプレゼンテーションを行なった。かつての国有企業の重荷を背負うイメージを払拭するに相応しいなかなかスマートな紹介振りであった。
      

中国東北部、朝鮮半島、極東ロシアに近い新潟は、戦略的にこの「北東アジアとの経済交流」に積極的に取り組んでいる。
     

企業誘致や観光誘致、農産物輸出などにも大変熱心で、私も大いに勉強させてもらった。

  

シンポジウムの進行と総括をされたのが吉田進 (財)環日本海経済研究所理事長で、今回のビジネスメッセの実行委員長である。

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吉田理事長は私の前職の貿易団体の大先輩で、日中貿易業界および中国ビジネスの実証研究では大御所的な存在だ。

最近の中国、朝鮮、ロシアの情勢分析は大変貴重で示唆に富み、今後の地方都市と近隣諸国との経済交流を考える上で大変参考になった。
     

財団法人環日本海経済研究所(通称:ERINA)は新潟を拠点とする実績あるシンクタンクで、中国、北朝鮮、ロシアに精通する若きエキスパートがそれぞれいて、活発な調査研究活動をしている。
   

私も今回のウラジオストク訪問を前に、情報収集の為にわざわざ新潟までERINAを訪ねたほどのとても頼りになる存在だ。

  

北朝鮮の今後の展開次第では、新潟を中心とする日本海側の経済交流が劇的に活発化すると私は観ており、来年、政令指定都市となるこの街を拠点に、元気な日本の地方がまたひとつ飛躍する事を心待ちにしている。
    

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新潟空港で
     

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紅葉の街路樹がロマンチックな新潟の通り

      
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それにしても、どうして新潟で買う柿の種は、こんなに美味しいんだろうか?

      

装甲車と機関銃とセクシー秘書

 
ウラジオストクでの訪問先のひとつに民営の海運会社があり、ここで貴重な体験をした。

 

立派なオフィスに調度類。
    

今年若干46歳の創業社長は
小さな海洋調査会社から身を起こし、
今では十数隻の中古船と倉庫も保有するに至っている。

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とても精悍な表情をしており、いかにも男っぽい。

それもそのはず、以前はキャプテン(船長)をしていて
世界の海を股にかけていたのだと言う。

   
 
起業から現在に至るまでまでの創業物語は、さながら立志伝のよう。
   

地元当局と密接な関係を持って事業を拡大させる他の業者を尻目に、絶対に人に頼らないという強い意志を持っている
    

それだけに、癒着する同業者との激しい競合や妨害工作、法外の攻撃などに常にさらされるのを、自らの力だけを頼りに事業を守り続けている姿は、さすがに小説になるような男の世界がそこにあった。

   

引き込まれるような眼差し、聞き入ってしまう落ち着いた語り口。

男が惚れる男…。

   

   
そのうち秘書のようなスラっとした女性があの有名なロシア紅茶を運んできた。
    

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若くて美人というだけ(?)なら、時おり出くわすこともあろう。
しかし、その上
大胆にもウエストが丸出しで、胸も大きくはだけているなんて有り得ない事で、一瞬ギョッとした。
(掲載できないようなスナップが何枚か撮れて?しまった)
   

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せっかく感動あふれる会談の最中に、

なんでこんな時に煩悩にさいなまれなきゃならないのか!? 

と心の中で頭を掻きむしりながら、何度も葛藤する…。

     

そのうち会話も弾み、予定になかったのだが、
ぜひ自分が案内するから所有する埠頭の現場を見に行こう、と言う。
    

わざわざ社長が出てこなくても良いから、と遠慮したが、

    
社長:  「自分が行かないととても危険だから」
  

一同:  「んッ!?」
  

足元が危険だというのか、それとも…。

     

予想は当たってしまった。

   
    
私が乗せられた車は、どう見ても装甲車。

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外にコンバットと書かれている。
    

乗車しようとするのだが、ドアが重くてなかなか開けることが出来ない。

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聞けば、14kgもあるのだと言う。女性なら絶対に動かせない。

鉄板の厚さは75ミリ。当然防弾ガラスで、もちろん開閉なんて出来ない。

   

車の中は、総革張りのリムジンそのもの。

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軍事工場で作ったもので、もし海外で作ったら数億円はする代物で
ウラジオストクにはわずか2台しかないと言う。

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初めは子供のようにはしゃいで、自ら運転する社長にいろいろ質問などしたものだが、よく考えてみると、なんだかそら恐ろしくなってきた

  
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鉄柵を張り巡らせてある敷地内に入り、荷役する現場に着いて
感動のコンバットから降りたのだが、そこで2度ビックリ。
   

後ろの車から機関銃を持った無表情の警備員が出て来て、ピッタリと我々を護衛するではないか!!
   

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ゾ、ゾオ~ッ。

   

そうだ、どこでも港の現場には怖い所があると聞いている。

しかも、ここはロシア…。

    

それでも、港湾荷役業務の話、中古車取り扱いの話など、現場で社長が熱っぽく語る話に引き込まれ、いつの間にか夢中で聞き入ってしまっていた。

   

新たに広大な敷地も買収し、壮大な事業構想なども伺い、予定を1時間以上オーバーしたが、本当にあっという間の収穫多い貴重な訪問となった

   

帰る頃には、僕はあの機関銃を持っている警備員とも
アイコンタクトで仲良くなり、
彼のフト見せる笑顔にお友達感覚となった。

なんて優しい目をしているんだろう。 
  
  

でもイザと言う時は、体を張って凄まじいもんだろうな、なんて勝手に想像を膨らませてしまう。

   

ロシアに詳しい人に聞けば、このような身辺警護やオフィスにいたセクシーな秘書は、結構よくある事だそうだ。 

  

装甲車や機関銃の「硬」とセクシー秘書の「軟

  

僕はほんの少しばかり中国兵法の現代ビジネス向け解釈をライフワークにしているが、知ってかしらずか、この社長は、「硬軟ゆさ振りの計」を実践しているのだろうか。

   

僕が勝手に精神を揺さぶられただけ、とも言えなくもない。

   

兵法分析家(!?)として、チョッとばかし恥ずかしい

    

     
事業競争の話を聞いても、登場する男女にしても、見方をすれば、ロシアは力ずくのマフィア経済が牛耳っているというような言い方もされるのかも知れないが、どうも言葉のイメージと現実は少し違うのかもしれない

    

とにかく、このストレートさ、強烈さが何とも刺激的で心を揺さぶられた

    

私にとって、ロシアに強い興味が湧いた瞬間だった。

   

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急速に進歩・成長する北京

日に続いて北京から2度目のライブレポートを行なう。

ビジネス商談を控えて、早朝の空き時間に
恒例により北京の市場を視察した。

夏の風物詩である地元「大興産」スイカや
日本では見かけることの無い、平べったい盤桃と呼ばれるモモが目を引く。

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北京の夏のシンボル「大興すいか

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平べったい形をした桃

いつの間に中国の農産物はこんなに種類が豊富で、しかも品質が向上したのか、と本当に驚いてしまう。
中国産は粗悪で危険などと観念だけで判断していては、時代遅れになる可能性すらある。

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多くの夏野菜が品質も鮮度も大幅に向上している

つい時間が経つのも忘れて、丹念に売り場を廻り、
買い物客の行動を観察する。

後、中国での小売業の成功事例に必ず挙げられるイトーヨーカドーの麦倉会長に5年ぶりに再会し、北京における事業の概要について詳しくお話を伺った。

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最近の北京の消費動向や我々の取り組むべき姿勢などについても、多くの示唆を頂いた。

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店内は商品があふれ、買い物客でごった返していた

特に、今の中国人は、経営者もマネージャーも、農業従事者も皆、海外も含め熱心に内外の事物を広く学び取る精神に富んでいる中国人の姿は、さながら、戦後、あるいは東京五輪の頃の日本人と少しも変わらないハングリーさで、今や既得権益を守る傾向の日本人では、今後敵わなくなるのではないか、という見解には、改めて危機感を感じた。

大胆に中国幹部人材育成を強化し、現地化を進める同社の戦略は、広く北京の市民に受け入れられる存在に成長している。

2008年北京五輪までにさらなる事業展開の目標も、すでにゴールが見えてきたそうだ。

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26日現在も建設中の五輪メインスタジアム

数多くの教訓を得て少々興奮し、ホテルへの帰路についた。

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北京市街の夕景

青森で守りと攻めを考える

日の豪州戦、残念でしたねぇ。」
「最後の10分間、虎の子の1点を守ろうと、攻めることを忘れ、隙が出来たのでしょうか?攻めと守りのバランスは難しいですね」とつい壇上から叫んでしまった。にわかサッカーファンのくせに…

「社団法人東北経済連合会創立40周年記念フォーラムin青森・東アジア交流の未来」が、13日青森市内のホテルで開催され、パネルディスカッションのパネリストとして参加させていただいた。

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前半は、伊藤忠中国総合研究所の古屋代表による「中国の今後の動向と日本企業」をテーマに講演が行われた。

幅広いテーマと事例をもとに、とてもわかりやすく実践的な内容だった。

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中国は不安定な社会事情ではあるが、今後も持続的成長は可能であり、「政冷(政治関係の冷却化)」が叫ばれる日中関係も「経冷(経済関係の冷却化)」にはつながらないだろう。ただし、個別ビジネスではしっかりとリスク管理をして中途半端な取り組みはしないことの重要性などについて説かれたが、とても共感を覚えた。

後半のパネルディスカッションでは、東北学院大学の柳井教授をコーディネーターに、地元企業家お二人、青森県、そして私の4名で中国・アジアビジネスの要点について事例紹介した。

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会場は330名におよぶ東北一円から集まった企業人や個人が熱心に耳を傾けた。

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青森といえば、リンゴ、ナガイモ、ホタテなどの海外向け輸出では実績があり、日本の成功モデルでもある。農産物・食品輸出の面では、むしろ私が学ばなければいけない地域だ。

今、東北地区では、観光誘致をはじめ様々な分野で東北7県が連携を模索している。今後、東北経済連合会の役割は更に重要になることだろう。

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幕田圭一東北経済連合会会長の挨拶

攻めの姿勢が感じられる東北地域。国際ビジネスでいつもキーワードになる「守りと攻め」の話題で、ワールドカップの話題につい触れてしまったのである。

若きサムライ戦士たちを今こそ応援したいし、また、自らの海外へのチャレンジ精神を奮い立たせている。

夜、昨年1月に記録的な大雪に見舞われた時、青森で初めて聴いた津軽三味線をもう一度堪能した。

先回同様、感動に心が震えた。

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「日本的なものほど国際的になる。」

今夜もそう感じた。青森がさらに親しくなった。

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ねぶたのミニチュア