中国の温家宝首相が来日した。
12日の国会での演説でも
「我希望我的這次訪問能成為一次“融氷之旅”」
(今回の訪日が、氷をとかす旅になることを願っています)
と発言した。
漢字の国らしい表現で、私たち日本人にも非常に分かりやすいフレーズだ。
上下の写真は、2004年に故橋本訪中団に団員として参加し、北京・人民大会堂で接見したとき撮影したものである。
とても親しみやすく、飾らない理知的な印象だった。
温首相が今回の訪日前に北京でNHK記者のインタビューに答えて(新華網記事による)、
「もし、昨年の安倍首相の訪中が氷を割る旅(破氷之旅)だとすれば、4月の私の訪日はその氷をとかす旅となることを願っている」
という発言に続いている。
氷と言えば、この5年間ほどの政治セクターの冷めた関係のことを指すのは周知の事実。
日本国民の対中感情も大きく変わった。
北京の街角で
しかし、今回の両国首相の相互訪問で、日中関係も新たな展開に移るひとつの契機になることは間違いない。
そのひとつの成果として、正式に日本米の中国向け輸出が今夏にも復活することになった。
もっとも、戦略的互恵関係と言うくらいだから、当然、わが国も何らかの門戸を開けるはず。
冷めても問題だが、熱くなるとまた摩擦も起こすはずだから、気が休まることはない。
でもこれは隣国としてはむしろ当たり前のこと。
氷が融けるといろいろな事も起こってくるのもまた道理。
日中間の氷が融けるのを待っているビジネスマンも多い
チャンスの側面にも目を注ぎたい。
私が中国にかかわった30年の間にも日中関係は何度も大きく揺れた。
中国の格言にもあるが、「人間万事、塞翁が馬」。
「人間」とは正しくは「じんかん」と読み、中国語では世の中、世間と言う意味だ。
にんげんという意味はない。
ちなみに中国では「塞翁失馬」と使う。
現代の名馬? 上海・南京路にて
「とかくこの世の禍福は、万事、あざなえる縄のごとし」という感じだろうか。
いちいち必要以上に一喜一憂することの無意味さを私は体感している。
上海の街角にて
この読者の皆さんは、中国に対して好き・嫌い、友好・不信の想いもあると思うが、私は一応、この国を含めたアジアを舞台にビジネス支援をする仕事人として、中国の事はもちろん嫌いではないが、好きだ、骨まで愛してるという感情なども特段ない。
淡々とした想いで臨んでいる。
中国ビジネスにかかわって2年目の24歳の時にこれを自覚した。
「物事は常に変性流転し、相対的である。無為自然で臨め」とは、
20年前、私の中国人の老師匠にコンコンと諭された処世訓だ。
江蘇省で
彼は戦前戦後、そして文革、改革開放をたくましく生き抜いていったネアカな鉄人である。
中国も中国人も奥が深い。
いつまでも果てることなく興味が湧く。
田中 豊
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