体に良い、体にやさしい料理と言えば、
日本料理の素晴らしさは、かなり世界中に浸透している。
ヘルシーで、油脂分が少なく、栄養バランスに富んだ日本食は、世界一の長寿国の大きな根拠となるものである。
最近は、BSEや鳥インフルエンザなどの流行を背景に、肉食から魚食への転換も世界中で起こっているようで、魚介類を素材にした日本料理がブームになっている要因のひとつにもなっているようだ。
アジア各地でも、ずっと日本食の健康志向については注目を集めており、単なる高級接待料理だけではなくなっている。
が、しかし、最近、そのヘルシー料理の地位が危ういかもしれないのだ。
シンガポールのある庶民向けのフードコートの一角にあるレストランで、下の写真のようなメニューを発見した。
「大長今」とは、日本でもブレイクしたTVドラマ「宮廷女官 チャングムの誓い」の韓国原題で、「養生套餐」とは「ヘルシーセットメニュー」という感じだろうか。
この番組は東南アジア一帯でも相当ヒットしたようで、台湾では冬のソナタより視聴率が高かったという話もある。
HPより引用
かつて、日本の連続ドラマ「おしん」が世界中でヒットしたのと同じような現象に近いのかも知れない。
それが単なる視聴率だけの問題ではなく、もしかしたら飲食の業界にも影響するかもしれないのだ。
「チャングム」では韓国の宮廷料理だけではなく、不老(アンチエイジング)や長寿、病気予防・治療などの食養生の知恵が満載で、長い歴史に育まれた韓国伝統の医食同源、薬食同源のイメージが視聴者にも伝わってくる。
もっとも、この店では、ナムルやビビンバ、コムタンスープ、人参茶など、すでに日本でもおなじみの定番料理をヘルシーメニューと謳っているだけの話なのだが、時としてイメージは消費者に大きな影響を与えることがある。
裕福になったアジア大都市では、若返りや長寿にこだわる、いわゆる「健康オタク」が急増している。
日本で放映されたテレビの健康番組が現地語に即刻翻訳され、結構ブームになっているらしい。
健康酢、ウコン、五穀米、納豆いたるまで、日本食材のブームが各国に伝播している。
健康食品もこの人気
このように、単に商品を紹介するだけではなく、メディアを通じて食べ方や文化、健康知識、情報伝達などを戦略的に活用することも有効に違いない。
このままにしていると、「ヘルシー料理の代名詞は韓国料理」に取って代わられるかもしれない。
ここでも「攻め」の姿勢が求められる。