ヘルシー料理の本命はどこ?

 
体に良い、体にやさしい料理と言えば、
日本料理の素晴らしさは、かなり世界中に浸透している

   

ヘルシーで、油脂分が少なく、栄養バランスに富んだ日本食は、世界一の長寿国の大きな根拠となるものである。

 

最近は、BSEや鳥インフルエンザなどの流行を背景に、肉食から魚食への転換も世界中で起こっているようで、魚介類を素材にした日本料理がブームになっている要因のひとつにもなっているようだ。

  

アジア各地でも、ずっと日本食の健康志向については注目を集めており、単なる高級接待料理だけではなくなっている。

   
  

が、しかし、最近、そのヘルシー料理の地位が危ういかもしれないのだ。

 

シンガポールのある庶民向けのフードコートの一角にあるレストランで、下の写真のようなメニューを発見した。

   

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大長今」とは、日本でもブレイクしたTVドラマ「宮廷女官 チャングムの誓い」の韓国原題で、「養生套餐」とは「ヘルシーセットメニュー」という感じだろうか。

  

この番組は東南アジア一帯でも相当ヒットしたようで、台湾では冬のソナタより視聴率が高かったという話もある。

  
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HPより引用

  

かつて、日本の連続ドラマ「おしん」が世界中でヒットしたのと同じような現象に近いのかも知れない。

  

それが単なる視聴率だけの問題ではなく、もしかしたら飲食の業界にも影響するかもしれないのだ。

  

「チャングム」では韓国の宮廷料理だけではなく、不老(アンチエイジング)や長寿、病気予防・治療などの食養生の知恵が満載で、長い歴史に育まれた韓国伝統の医食同源、薬食同源のイメージが視聴者にも伝わってくる。

  

もっとも、この店では、ナムルやビビンバ、コムタンスープ、人参茶など、すでに日本でもおなじみの定番料理をヘルシーメニューと謳っているだけの話なのだが、時としてイメージは消費者に大きな影響を与えることがある。 

   

裕福になったアジア大都市では、若返りや長寿にこだわる、いわゆる「健康オタク」が急増している。

   

日本で放映されたテレビの健康番組が現地語に即刻翻訳され、結構ブームになっているらしい。

  

健康酢、ウコン、五穀米、納豆いたるまで、日本食材のブームが各国に伝播している。

   

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シンガポールでは牛丼にもこのとおり長い列が

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東南アジアでも讃岐うどんブーム!?

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健康食品もこの人気

    

このように、単に商品を紹介するだけではなく、メディアを通じて食べ方や文化、健康知識、情報伝達などを戦略的に活用することも有効に違いない。

  

このままにしていると、「ヘルシー料理の代名詞は韓国料理」に取って代わられるかもしれない。

  

ここでも「攻め」の姿勢が求められる。

   

緊急事態に翻弄される対外貿易

  

属する貿易団体から、緊急のニュースレターが届いた。

  

経済産業省貿易経済協力局からの通知で、
11日、政府が「北朝鮮による核実験に係るわが国の当面の対応について」を発表し、その中に北朝鮮からの全ての品目の輸入を禁止するという措置が含まれている。

この措置は、今日13日に外為法第10条に基づき閣議決定され、明日14日から施行される予定だ。

詳細については、同省のホームページに掲載されることになっている。

  

措置の主な内容として、

○北朝鮮からの全ての貨物について、経産大臣の輸入承認義務が課せられることになり、輸入が禁止される。

○北朝鮮から第三国へ輸出される仲介貿易取引や承認を受けずに行う輸入貨物代金の支払いも禁止される。

また、施行日以前に交付された輸入承認の取扱いについても別途規定が盛り込まれる。

今回の北朝鮮による核実験は、唯一の被爆国であるわが国としては断じて容認されるべきものではない。それはわが国に近かろうが遠かろうが関係はない。人類存亡の問題でもあるからだ。

  

核問題に対してわが国、我が国民が敏感に反応するのは当然のことである。

  

民間貿易取引は、原則的には平和と安全保障が前提として行われる経済行為である以上、これが脅かされることがあれば、政治上の理由で制約が加えられることは覚悟をしておかなければならない。

  

国際貿易では市場原理だけでなく、政治問題や様々な天災・人災が原因で予測もつかない事態に急変することが時々起こる。

最近でも、9.11テロSARSの流行で身動きすら取れない経験をした記憶はまだ新しい。

  

私も業務上関係している農水産、食品、繊維、建材の業界では北朝鮮と何らかのつながりがあるはずで、企業によっては取引中断や制限、逆に他国へのシフトや調達奔走など、逆風や特需に追われているはずだ。

前世紀までは中国をはじめ、主に社会主義国とのビジネスは常に政治問題に翻弄され、私も何度か修羅場を経験してきた。

  

新内閣発足直後、様々な波紋を呼んでいる今回の核実験問題だが、平和を前提とする貿易立国に住む国民のひとりとして、この事態に対して毅然と立ち向かうことが求められている。

  

同時に、したたかな国際派ビジネスマンなら、当然、世論やマス報道だけに目を奪われるのだけでなく、次ぎの展開、またその次ぎの展開を見据えた変化を先取りするイメージを持ち、アクションを起こしおかねばならない事は言うまでもない。

    

整備を進める博多港

 
多湾のアイランドシティ地区で9日、国際コンテナターミナル整備事業着工式が行なわれた。

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国交省、福岡市など行政をはじめ、工事関係者、各界来賓や福岡地区選出の国会議員、多くの報道陣が式典に参加した。

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神官による安全祈願祭礼の後、式典が行なわれ、国土交通省九州地方整備局長および福岡市長が挨拶に立った。

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国交省九州地方整備局 小原局長
 

最後に来賓によるスイッチ起動が行なわれ、海上のポッパーが作動して工事が始まった。

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最近、北部九州への自動車関連産業の集積や躍進する東アジア各国との活発な輸出入を背景に、博多港で取り扱われるコンテナ貨物は急増している。

この10年間で全国平均で約1.5倍の伸びに対して、博多港は2.4倍の勢いである。

コンテナ船も大型化しており、その対応として岸壁水深15mのコンテナターミナルが計画されている。

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この地点にターミナルが整備される

   

また昨年、予想外の地震を体験した博多港は、今回耐震仕様となっている。

平成20年初めの供用を目指してこの日工事が始まったが、高規格のコンテナターミナルが整備されることによって、国際中枢港湾としての更なる貢献が期待されている。

博多港は、主に工業製品や素材などを輸出し、肥飼料、食品、民生品などを輸入しており、産業の動脈として重要な役割を担っている。

 

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既存の14mバースでは効率よい荷役が行なわれていた

  

物流の利便性が向上することにより、新たなビジネスが発生する。

アジアとの近接性を生かすためにも、今後も地域の物流機能が高まることは、自動車・IT半導体関連から農産物・食品に至るまで幅広い産業振興の可能性を押し広げるもっとも有効な「架け橋」のひとつであると実感している。

  

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さらに一歩動き出したアイランドシティー事業だが、真に地域社会に貢献し、少しでも効率的で将来ビジョンに即した現実プロジェクトとなるよう、今後も多くの人たちの知恵と努力を結集していかなければならない。

  

私は仕事を通じて様々な産業の国際化支援に携わっているが、ビジネスマンは海運および港湾の機能や利便性について、もっともっと認識を深めておくと大きな武器になると考えている。

  

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青森で守りと攻めを考える

日の豪州戦、残念でしたねぇ。」
「最後の10分間、虎の子の1点を守ろうと、攻めることを忘れ、隙が出来たのでしょうか?攻めと守りのバランスは難しいですね」とつい壇上から叫んでしまった。にわかサッカーファンのくせに…

「社団法人東北経済連合会創立40周年記念フォーラムin青森・東アジア交流の未来」が、13日青森市内のホテルで開催され、パネルディスカッションのパネリストとして参加させていただいた。

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前半は、伊藤忠中国総合研究所の古屋代表による「中国の今後の動向と日本企業」をテーマに講演が行われた。

幅広いテーマと事例をもとに、とてもわかりやすく実践的な内容だった。

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中国は不安定な社会事情ではあるが、今後も持続的成長は可能であり、「政冷(政治関係の冷却化)」が叫ばれる日中関係も「経冷(経済関係の冷却化)」にはつながらないだろう。ただし、個別ビジネスではしっかりとリスク管理をして中途半端な取り組みはしないことの重要性などについて説かれたが、とても共感を覚えた。

後半のパネルディスカッションでは、東北学院大学の柳井教授をコーディネーターに、地元企業家お二人、青森県、そして私の4名で中国・アジアビジネスの要点について事例紹介した。

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会場は330名におよぶ東北一円から集まった企業人や個人が熱心に耳を傾けた。

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青森といえば、リンゴ、ナガイモ、ホタテなどの海外向け輸出では実績があり、日本の成功モデルでもある。農産物・食品輸出の面では、むしろ私が学ばなければいけない地域だ。

今、東北地区では、観光誘致をはじめ様々な分野で東北7県が連携を模索している。今後、東北経済連合会の役割は更に重要になることだろう。

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幕田圭一東北経済連合会会長の挨拶

攻めの姿勢が感じられる東北地域。国際ビジネスでいつもキーワードになる「守りと攻め」の話題で、ワールドカップの話題につい触れてしまったのである。

若きサムライ戦士たちを今こそ応援したいし、また、自らの海外へのチャレンジ精神を奮い立たせている。

夜、昨年1月に記録的な大雪に見舞われた時、青森で初めて聴いた津軽三味線をもう一度堪能した。

先回同様、感動に心が震えた。

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「日本的なものほど国際的になる。」

今夜もそう感じた。青森がさらに親しくなった。

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ねぶたのミニチュア

内陸を疑う 成都紀行(その5)

家用車の普及やファッションへの関心の高さに触れて
私営経済の活発さを感じたのだが、
地元政府(役所)に行って、また驚いた。

省や市の人民政府の本庁ビルとは別に
四川省と成都市は連合して、巨大な市民サービスセンターを新設している。

日本で言えば、県庁と市役所が共同で行政窓口を運営するようなもので、普通にはとても考えられない。

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四川省&成都市連合の行政サービスセンター

これがまた立派な建物で、すべての行政サービスの窓口が揃っており、ここへ来ればほとんどの行政関係の手続きをワンストップで解決してくれる。

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すべての行政窓口が揃う

教育や医療、公安、衛生、交通、計画生育、会社登記などあらゆるサービスであり、もちろん成都市や四川省に投資を行なう外国企業に対するサービスもここで一元的に行なう。

060528gaisyo_1 外国企業の投資を一元的にサポートする

市民が窓口で相談すると、その内容によって、その場で解決や翌日までとか一週間以内など規定のタイムリミットが示され、それまでに行政が解決できなければ、相談者は別途独立した苦情相談部門で提訴することも出来るのだ。

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大勢の市民が来庁していたが、どこもスムースな感じで手続きが行なわれている様子だった。
もしこれが本当だとすると、革命的な変化だ。

現に、ここまで徹底して行政サービスを一元化ているところは成都だけで、これまでも北京や上海、江蘇省、広東省の各都市からも行政幹部がひっきりなしに視察に訪れて来るという。

また、ちょうどここを訪れた日に、成都市政府では新たに商務局が誕生し、それまで国内流通管理部門と対外経済部門が合併し、内外の経済商業部門を一手に管轄することになった。

新商務局の高官たちも大変熱意を示し、日本企業とのビジネス交流を活発化させたい表明した。

都市の中心部に華西医科大学という古くから有名な医学系の名門校がある。現在は四川大学と合併しているが、この大学病院を訪ねてまたビックリした。

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一日1万人が来院するという。とにかくデカイ

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広大な駐車場が自家用車で満杯

とにかく大きな病院で、ベットが4000床を超え、これは世界一のギネスものなのだそうだ。設備も最新鋭の機器を揃え、独立経営で一日約1万人の患者がここを利用するのだそうだ。

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日本の大学病院と少しも変わらない

大学病院の漢方製剤開発室長で、西洋医学・漢方医学一体治療(中西結合)の責任者でもある李教授と知古を得、中国医学と今後の日中ビジネスの件で情報交換を行なった。

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医学部キャンパス正門

また四川省は古くからの漢方薬材の宝庫で、成都市の北地区の漢方原料卸売市場は中国一の規模を誇るという。

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とにかく広かった・・・

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日本人の多くも健康・長寿を願い、中国医学や漢方に強い関心を持っているが、このネットワークを通じてまだ知られていない様々な知識や情報をこれから発信していこうと思う。

驚きのファッション先進地 成都紀行(その4)

れまで3回のエントリでは、四川省成都の料理や歴史遺産などを紹介したが、もちろん今回の訪問目的はビジネスだ。

3日間で政府をはじめ、様々な機関を精力的に訪問し、
多くの収穫を得た。

中国の西南地区といえば、
西南大開発という国家的な地域発展戦略の地であり、
交通不便で多民族が住む貧しく遅れた地域のイメージがある。

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このくらいの都市景観は想像していたのだが…

それでも、雲南省の昆明や直轄市となった人口3000万の重慶市などは、ビルが林立する大都市だろうという映像イメージを持っていたが、想像通りだったのはその近代的な都市景観だけで、都会としての機能やそこに住む人々のあか抜けた姿には予想を裏切られっぱなしだった。

とにかく訪問前の想像以上に進んでいるのだ。

成都市は自家用車の保有比率は全国第三位だそうで、とにかく公用車より自家用車ばかり目立つのだ。

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知り合う誰と逢っても、車で送り迎えはあたりまえ。完全に車社会といってもよいだろう。

四川人はとにかく消費が大好きのようだ。

天府の国のおおらかさがあるからだろうか、あまり後先を気にせず、
消費に走るのだそうだ。

都心のシンボル的なポイントである天府広場を中心とする中心街に行ってビックリした。

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とにかく道行く人がオシャレなのだ

一部の特別なレベルの高さではなくて、一般市民のファッションに対する意識の広がりという意味では、上海や大連、広東、はたまた台北などよりも高いんじゃないかと思う。

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確かに一部の金持ちや若い女性がファッションセンスがいい大都市は、いまや珍しくない。

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しかし、ここ成都では、若い男の子や年配女性たちもファッションに強い関心を持っている人が多いことが見て判る。

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服装はもとより、髪型、化粧品、バッグなどの持ち物にいたるまで気を遣っている人がやたらに多い。

よく成都や重慶は美人やハンサムが多いと言われるが、素質の上に自己演出が巧みなのだろう。

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本から進出したイトーヨーカ堂も平日というのに買い物客で満員。しかも実際に商品を買っている。昨年も巨大な売り上げと納税額をあげてくれたと地元政府の官吏も笑みを隠さない。

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現在、伊勢丹が進出予定の大型ショッピングセンターも建設中で、さすが日本企業も見過ごしていないようだ。

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伊勢丹出店予定の工事も着々とすすむ

「ニッポンを売る!」スピリットをもってして、これを見逃す手はない。

ウソだと思うのなら、ぜひ成都へ行ってみることをお勧めする。内陸中心都市の従来イメージを見事にぶち壊してくれる。

元気と忍耐と

馬県前橋市で講演させていただいた。

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会場の群馬ロイヤルホテル。手前は利根川

主催は「群馬国際ビジネス協同組合」といい
海外と非常にアグレッシブな活動を展開している会員組織だ。

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メーカー、物流、商業サービス、教育機関など幅広い分野の企業から構成されており、共同で国際ビジネスを展開している。

対中ビジネスでの人材育成をテーマにした活動を活発に行なっており、この一年で西安市などから200名を超える中国人研修生を受け入れて各企業に派遣したり、江蘇省張家口市に日本語学校を設立するなど、日中間で活躍する人材育成に熱心に取り組んでいる。

今回で私も4回目を数える講演会だったが、ますます熱気を感じ、具体的なアクションを起こしているからなのか、アジアビジネスに対する関心の内容も非常に現実的で、とにかく積極的なのに驚いた。

少々おっとりした群馬県人のイメージが変わりそうなくらいだ。

ホットな精神とクールな思考を持った元気人たちの組織だから、交流していても話題が未来ビジョンまで弾む。

今後、農業や観光分野についても、関東広域とアジアとの交流を目指して計画が進行中だというから、これからの活動が楽しみだ。

橋での講演に先立ち、高崎で時間があったのでしばし散策した。
これまで何度が立ち寄ったことがあったのだが、仕事ばかりでじっくりと街を歩いたことがなかった。

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JR高崎駅前

高崎市は新幹線、高速インターと交通の要所にあり、今は県都・前橋市とほぼ同じ人口だが、9月にはまた合併があり、人口では群馬県一の都市になるそうだ。

060522pasta_2 高崎はパスタで町おこしをしているらしい

郊外にある少林山達磨寺を訪ねた

名前といい、また黄檗宗であることから中国の影響を受けた禅寺らしく、総門はやはり特徴的だった。

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少林山総門

本堂に至る参道から観る境内の景色は、言葉にならないくらい美しかった。

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写真術が未熟なので表現できないのが悔しいくらい実物は素晴らしい。

なんと言っても、この寺の特徴は境内に沢山のだるまが納めてあるのが面白い。

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奉納といっても、いわゆるお札やお守りの納めどころと同じで、役目を果たしただるまさんを引き取ってもらう所なのだ。

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両目が黒いものもあれば、片目のダルマもいる。選挙必勝もあれば、営業目標必達、合格祈願など大小様々なダルマが納めてあった。

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高崎といえば全国の約8割を占める日本一のだるまの産地で有名だが、初めて縁起だるまを生み出したのがこの達磨寺で、特徴は、マユは鶴、鼻から口ヒゲは亀をあらわしているおめでたいだるまなのだという。知らなかった。

本堂の隣には、達磨堂という木造の平屋があるが、出入り自由のちょっとしただるま陳列館になっていて、全国のダルマや達磨大師に関する収集物が所狭しと陳列してあって、ついつい長居してしまった。

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達磨堂は面白かった

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群馬三宰相の選挙ダルマと思われる実物も鎮座している。

僕もダルマのように忍耐強く不屈の精神で、困難と思える事業にも挑戦し続けていかなきゃ…。

この日は多くの元気人たちと再会を果たし、思わぬダルマ様との出会いに心洗われる一日だった。

木材輸出セミナーに参加

11日、東京・虎ノ門で「国産材輸出促進セミナー」が開催された。

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虎の門のセミナー会場

とても内容の濃いセミナーで大変勉強になった。

冒頭、主催者である木材輸出振興協議会会長で東大大学院教授の安藤直人先生によると、中国の経済成長と不動産の活況により日本の杉材の輸出の可能性が現実味を帯び始めていること。世界的な資源の需給バランスや各国通貨の変動により国産材も競争力を持ち、資源としての見直しとアジアとの交流の可能性について、じっくりと取り組む必要性について説かれた。

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安藤直人協議会会長

わが国の木材需給における自給率は、昨年ようやく20%台に乗った状況で、産業の活性化はもとより国土の環境保全に対しても、木材の有効利用は非常に重要なのである。

もし輸出への道のりが開けるとしたら、大きな活力になることは間違いなく、関係者は密かに期待しているところではないだろうか。満員のセミナー会場もそれを示している。

講演の前半は、北京から来日した中国林業科学研究院資源情報研究所の易浩若氏が中国の森林資源と木材需給について、詳しく紹介した。国家プロジェクトとしての森林資源保護、植林事業が大々的に展開されているプロセスと旺盛な国内需要と輸入増加の関係についてさらに理解を深めることが出来た。

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北京周辺の衛星写真。赤色の都市部が近年急速に拡大しているが、緑色の森林部も増えているのがわかる(出所:中国林業科学研究院)

中国の2004年の木材輸入量(紙パルプを除く原木換算)は約4000万立米で、1995年に比べ4.5倍に急増し、米国に次ぐ世界第2位の木材輸入国になっっているのである。

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(出所:中国林業科学研究院)

今後、日本一国分の需給量が中国で増えるというのだから、これを放って置く理由はないのではなかろうか。

後半は、木材輸出振興協議会事務局長の日比野義光氏による「上海住宅における木材利用状況」というテーマで、とても詳細な分析報告がなされた。上海では今後、内装済みの住宅建設への転換が行なわれ、高品質の内装材に大いにチャンスがあるのではないか感じた。上海市民へのアンケートでも、すでに不動産を所有している中間層の多くが、新たに高品質内装の住宅購入を希望しているという驚きの結果を見てもそれがわかる。

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日比野局長の講演風景

「単に高品質・高付加価値の商品が売れるからといってそのまま日本の木材や木質建材が売れるわけではない。日本はタタミ、中国は床の生活の違いなど、相手のニーズに合ったものを作る努力なくして販路開拓は実現できない」という日比野氏の最後のメッセージは、特に心に響いた。

実は加工が出来ないように見える農産物についてもそれが言えると、最近私も感じ始めていたのである。

日本国内での「こだわり」の商品を持ち込むだけでは海外の消費者にはすぐには通じないのである。酒類しかり、茶葉しかり、和菓子もしかりである。

大胆な発想転換が出来ないと十分な成果は得られないのではないだろうか。

木材輸出振興協議会では、今年11月に参加者を募って、中国でセミナーや商談会を行なうビジネスマッチングを企画している。本格的に動き出せば、木材は物量や金額が大きいだけに今後の動向が注目される。

FOODEX JAPANでもニッポンを売る

14日から千葉県幕張メッセで
第31回国際食品・飲料展(FOODEX JAPAN 2006)が開催された。

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(会場エントランス)

期間中、10万人に迫る動員を誇るこの商談会は、世界三大国際食品展のひとつにも挙げられている。

思えば、今から22年前、私が北京に駐在していた当時、中国の食品貿易の唯一の窓口商社であった中国糧油食品進出口総公司から
「日本で事業効果の高い食品展示商談会に出展したい」と言われ、このFOODEXを紹介し、日本の主要輸入商社が共同で受け入れ体制を整えて、初めて中国ブースが実現したときのことを懐かしく思い出す。

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(今年の中国ブース)

久しぶりに中国食品館を視察したが、中国全土から出展者を集め、一大勢力となっていた。

て、ここでも初めてFOODEXにブースを展開した新コーナーがある。
それは、まさに「日本食品の輸出促進コーナーである。

「ニッポンを売る!」アクションに携わる者としては、とても嬉しいことだ。

ジェトロ(日本貿易振興機構)農水産課がプロデュースするもので、和のひろば」と称する一角にセミナー会場と輸出に挑戦する全国24団体による商品展示コーナーを設け、日本食品を海外に発信するブースがここに誕生した。

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(日本食品輸出促進コーナー)

私もジェトロの要請を受け、会期中、セミナーのパネリストと参加全ブースへのアドバイス活動を行なった。

食品輸出セミナーでは、台湾、香港、シンガポール、タイのバイヤーも登壇し、各地のマーケットや日本食品の販売事情などを紹介した。

日本食品がすでに定着しつつある香港・台湾とこれから次の可能性を含むシンガポール・タイ、そして誰もが関心を持つ巨大市場-中国のマーケット比較は、参加者の貴重な参考になったと思う。

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(日本食品輸出のパネルディスカッション風景)

展示ブースでは、北は青森から南は鹿児島まで、全国の食品企業や団体がバイヤーとの出会いや情報を求めて積極的にプロモーション活動を行なった。

すでに輸出実績の豊富な青森県の農業法人(リンゴ)や静岡県の製茶企業(緑茶)、各地の酒造メーカー(日本酒・焼酎)も参加し、さすが販促活動に習熟しているなといろいろ勉強になった。

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(経験豊富な出展者のブースには何故か次々と有力バイヤーが現れる・・・)

ただ、ほとんどの出展者が、輸出については初めての企業が多く、「どうしたら一歩が踏み出せるか?」「安心できるパートナーを探したい」という点で試行錯誤しているようだった。

海外の商談会では、来場者が当然、海外企業バイヤーばかりなので、一見、ストレートに商談や情報収集につながるように思われるのに比べ、FOODEXとはいえ日本での商談会では日本人の来場者が多く、外人バイヤーが少ないことが物足りないように感じられる向きもあるが、特に地方の企業にとっては、実は必ずしもマイナス点とは言えない事実もあのだ。それは輸出を始めてしばらくすると自ずと判ることである。

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(NHK「経済最前線」クルーも取材に来場)

しかし、今回は初めての試みったこともあり、輸出促進のブースであることの演出やより効果あるビジネスマッチング実現のための改善点はいくつかありそうだ。

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(輸出促進ブースにも多くの来場者が集まった)

とにかく、日本食品輸出促進コーナーが、このFOODEXでも中国館同様、近い将来、この巨大会場にあって、一大テーマ館を構成できるよう、今後の展開を期待している。

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(今年のFOODEX会場遠景)

毎年好評の食品ビジネスイベントが開催される

る3月20日、福岡市で「FOOD2006 in FUKUOKA」が開催される。

この事業は、福岡市福岡商工会議所、(社)福岡貿易会ジェトロ福岡貿易情報センターの4者で構成される「福岡アジアビジネス支援協議会」が主催するもので、在福岡の各国貿易代表機構も後援している。

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今年の事業は、中国、イタリア、カナダ、タイ、台湾、韓国、シンガポールから50社近くの企業が集まり、品質や価格、安全性などに特徴ある食品・食材を展示商談する「新食品・食材商談会」とその食材を用いてプロの調理人がアイデア料理を競うキッチンデモンストレーションが目玉の「福岡対話」の二つのイベントで構成される。

実はこの福岡市のFOOD事業は、過去6回にわたって毎年開催されており、すでに圏内の食品関係業者の間ですっかり定着した評判の事業なのである。

その理由は、第1回目からこの事業は、「個性も特徴もない商談会やセミナーにしない!!」「出展者にも来場者にも役に立たない、主催者の独りよがりのイベントにしない!!」というスタッフの強い意志があった。

東京や関西と異なる九州圏の食品企業のニーズを事前に徹底的に調査し、日本側需要家が求める商材をアジアの各企業に準備してもらうことと、福岡対話と称するシンポジウムでは、その時代の半歩先ゆくテーマ、たとえば、輸入食品の安全性、ITと食品、地場食品の輸出などを常に情報発信し続けてきた。

今年もアジアを中心に、欧米企業も一堂に会して、個性ある新商品を出展提案してもらい、食べ方のレシピも実演で提供するという新たなコンセプトで「食都福岡」「食品ビジネス拠点都市―福岡」を情報発信する。

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毎年毎回、進歩・進化する今年の事業には、すでに過去最高の来場希望者のエントリーが事務局に寄せられている。食品関連の企業、企画関係の方は、ぜひ参加されることをお勧めしたい。

開催日: 3月20日(月)
会 場: ソラリア西鉄ホテル8階大宴会場「彩雲」

プログラム:
「新食品食材商談会」 10:00~18:00
「福岡対話」キッチンデモンストレーション 10:30~16:00

参加: 無料

申し込み・問い合わせ:
福岡商工会議所経済部国際センター
TEL:092-441-1117  FAX:092-474-3200
E-mail:kokusai@fukunet.or.jp