世界の注目集まる香港で

WTO閣僚会議を13日に控えた前週、会議の舞台である香港に立ち寄った。

世界が注目する会合だけに、香港のホテルも日本からのフライトも予約が困難を極めるほどの満席状態だった。

香港の街はすでにクリスマスのデコレーションで、いまや有名になったビルの電飾も相変わらず美しい。

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(いまや名物となった香港の電飾)

年々センスが良くなっているのがわかる。セントラルの一角にもクリスマスの装飾が施され、若いカップルなどで賑わっていた。

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商業施設もすっかりクリスマスモードである。一部バーゲンも始まっており、ここ数年に比べ、明らかに景気が上向いていることが傍目にも伺える。

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(香港でもクリスマス商戦が)

私たち一行が搭乗した福岡発香港行きの便は、実は今年初めて福岡の戦略商品であるイチゴの「あまおう」の香港向け第一便が搭載された便でもあった。

このあまおうは、日本国内市場でも、最も高価で取引される「美人系」のイチゴで、一昨年は香港向けに1.4トンの輸出を実現し、昨年度は台湾向けも併せて23.5トンと、なんと一年で16.5倍に増えたのである。

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(今年香港向け第一便の福岡産「あまおう」)

今冬は、産地や試験場、現地バイヤーとの協力関係も強化され、科学的分析を通じて、輸出を意識した商品作り、包装の改善、マーケティングミックスなど新たな取り組みにも挑戦している。

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(鮮度保持のための新工夫が施されている) 

この中心的役割を担っているのが、福岡県農政部の「福岡・食の輸出促進センター」である。常に難題に取り組む情熱は並大抵のものでない。今年初めて、困難といわれる上海向けの梨の商業輸出も実現した。生産者と共に行動する姿勢は、ひとつのモデルと呼ぶにふさわしい。

福岡から香港向けの農産物は、空港に集荷された商品が朝一番で通関を済ませ、午前の便に乗せられ、香港到着後、空港からそのまま売り場に並べられるので、当日午後5時に、香港の消費者は手に取ることが出来るのである。これは、トラックで福岡から東京に運ぶより一日早いこととなり、生鮮農産物の輸出には非常に有利である。

この日も、空港到着後、早速高級デパートに並べられた。
ひとパック79.8香港ドル(約1300円)という値札がつけられたが、私の見ている前で、香港人らしきご夫人ふたパック、サッとかごに入れてくれた。

何度この光景に遭遇しても、やっぱり信じられない想いであると共に、心の中で「毎度ありがとうございます」と頭を下げていた。

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(お買い上げありがとうございます…)

3年前、自分をだますつもりで、「とよのか」イチゴを香港の店頭に並べて頂いた時のことを思い出した。
それがこんなに短期間で、これから迎えるクリスマス、旧正月、新年商戦における青果売場のメイン商品のひとつにまで成長するとは思いも寄らなかった。

事実は常に想像を超えている。
もちろんそれを実現するのは、一人ひとりの人間の信念と行動である。

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(庶民の果物屋(旺角地区)でも正品のあまおうが約1600円売られていた。驚いた)

愛媛で農産物輸出を考える

愛媛県松山市で、(社)愛媛県産業貿易振興協会、ジェトロ愛媛貿易情報センター等の主催による「愛媛県農林水産物輸出促進セミナー」が開催された。

輸出セミナーは、昨年に続く2回目の開催だそうだが、70名を超える熱心な参加者を集めた。

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東京からジェトロ農水産部の石川総括審議役が、国の様々な施策や輸出事例などが紹介された。国の輸出事業推進の最前線におられる方だけに、貴重な情報を幅広く勉強できた。今後、東アジアだけでなく、インド、中東、欧州にまで、日本食の普及を目指すジェトロの意気込み熱く語られた。

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(ジェトロ石川審議役)

私が2番手に立った後、トリを務められたのは、島根県西部のJA西いわみの御手洗部長で、プレミアム米の台湾向け輸出の事例についての講演があった。JA西いわみの「ヘルシー元気米」の台湾輸出は、いまや伝説となりつつある成功事例として、小泉総理がアドリブで紹介するほどだ。

051215ja 中山間地の単位農協が、自力で無名の減農薬米を海外に輸出する挑戦は大きな注目を集めた。決して派手な語り口ではないが、人任せにせずコツコツと実績と信用を勝ち得ておられる経緯を説明された。いたずらに量を追い求めるのでなく、質を高め、息長く海外に販売することで組織が活性化し、地域が元気になるという大きなビジョン支えられた活動なのだ。

石川審議役も御手洗部長も、早くからお名前は耳にしていたが、対面が実現し、たいへん勉強になった。

松山といえば、漱石の坊ちゃん。そして道後温泉である。話を聞くと、韓国や中華系のツアー団体客が大勢温泉三昧にやってくるという。館内には、ハングルや中国語の表記がされていた。彼らもきっと愛媛産のミカンや水産物などの素晴らしさを体験していることだろう。

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(道後温泉本館正面)
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(館内の表示板。各国語で表記されている)

今回、松山を訪れるにあたって、もうひとつの楽しみがあった。

私の農業、ITの師匠である農産物コンサルタントの山本謙治氏(通称やまけん)が、親友のホリエモンこと堀江貴文氏と人気スポーツライター二宮清純氏の三人で、「愛媛じゃこ天ツアー」を敢行したときの紀行ブログを見て、ぜひ松山に来たらじゃこを味わおうと思っていたのだ。

良かったら、ぜひ氏のブログをご参照いただきたい。きっとじゃこ天が食べたくなるから…。ちなみに山本氏と二宮氏は愛媛県の出身なのだ。
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2005/06/with_1.html
(やまけんの出張食い倒れ日記)

私は今日まで、じゃこ天は、チリメンジャコを使って作られるものだとばかり思っていたが、現地に来てそれが間違いであることがわかった。「はらんぼ」と呼ばれるほたるじゃこという魚を骨ごとすり潰して油で揚げるテンプラである。

前夜、会席料亭で板前さんにわざわざ私の為に、揚げたてのじゃこ天を特別に作っていただいたのだ。もう感激、絶句であった。グルメブログでないので詳細は省くが、すり身独特の深い味わいで、瀬戸内の潮を香りを感じさせる見事な一品であった。

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(忘れられない愛媛の味)

ちなみに、香港をはじめ、東南アジア地域では、この魚肉練り製品はとても良く食べられている。もしかしたら、近いうちに、この愛媛のじゃこ天が海外でも味わえるようになるかも知れない。

畜産の町を訪ねて

宮崎県高城(たかじょう)を訪ねた。

昨日から降り続く雪は、九州高速道を南下する道中、熊本/宮崎/鹿児島の県境付近で横殴りの吹雪になり、速度規制をするほどだった。都城インターを降りると、肌寒い中にも晴れ間も見え、南国太平洋側に近いことを感じた。

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到着するや否や、高城町役場の課長さんの案内で、農業関連の現場も見学させていただいた。

高城町は、豚やブロイラー、肉牛・乳牛など畜産の生産額が農業全体の86%という地域だ。
農産物は、水稲のほか、ゴボウ、サトイモ、キュウリ、イチゴ、葉タバコ、茶葉などを産する。

来年1月には、隣接する都城市と合併する予定である。
今年の台風15号は、この地方でも大きな被害をもたらし、ここ一帯のハウスが完全に水没するほどの冠水に見舞われたという。とても信じられない。

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(この一帯は畑も家屋も皆、浸水したという)

最初に、認定農業者協議会の会長さんのハウスを見せて頂いた。

広いハウス内には、見事にキュウリの苗が植えられていて、すでに実っていた。

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「吊り下げ式栽培」という、この一帯では広く採用されている効率の良い栽培方法だそうである。とにかく見事という他ない。

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(吊り下げ栽培。ワイヤに水色のフックが掛かっている)

続いて、乳牛の酪農家を訪ねた。

お馴染みのホルスタインがずらりと並んでエサを食んでいる。牛舎を覆う酸味の強い発酵臭は、飼料成分によるものだろうか。稲藁は地元のものを使用しているとの事である。

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お話を伺ったら、冬は夏場に比べて、需要も減り、原乳の単価も低くなるので、作業量が減るのだという。
夏場の良い時で1リットル100円くらいで、今の時期は70円ほどの厳しいものだという。

また、成分により価格が変動するそうで、脂肪分の多い原乳を採ろうとするとどうしても高価な飼料を与えなければならないという
大変な作業だ。
それでも、当地の畜産は、農産に比べ、後継者は比較的確保しやすい方だという。

引き続き、町内最大の肉牛の肥育場も見学させていただいた。
とにかく広い敷地に延々と牛舎が連なる。いわゆる宮崎牛として出荷される和牛の黒牛と、ホルスタインの去勢牛が数多く肥育されている。

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(ホルスタインの去勢牛)

このホルスタインの去勢牛の販路は、主に大手食肉パッカーに出荷されるのだが、まさに昨日発表されたアメリカ産牛肉の輸入解禁により、来年には価格の軟化が懸念されるらしい。
畜産県である宮崎や鹿児島にも、また超えるべき試練が迫るかもしれない。

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(町内には、焼酎原料用甘藷の大貯蔵庫もある)

ほかにも、町の委託事業のひとつであるコメ粉で作ったパン工房も見学した。新たな取り組みを模索している。

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夕刻、年一度の研修会に参加させていただき、貴重な情報交換を行なった。

篠原町長をはじめ、100名を越す認定農業者が集まり、活発な議論を行なった。

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農畜産物の輸出に対しても強い関心を示していただき、とても頼もしかった。

畜産物は金額が大きいだけに、輸出するにしてもその実績が期待される。BSEや鳥インフルエンザなど今後の推移が気になるところだが、香港ではBSE以前、宮崎牛はブランドでもあっただけに、関係者には、来るべき解禁の時はぜひ頑張ってもらいたい。

寒さ募る高城の町を、ひとり深夜あとにした。

このエントリをすぐにアップする事を期待してくれているある方に捧げます…

思わぬ吹雪に遭遇する

今日は朝から雪が降り出した。

午後から、福岡県田川地域農業改良普及センターでの研修会に参加すべく、バスでの移動中、突然の吹雪に遭い、思わぬ雪景色となった。

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田川市後藤寺の街についても、雪は降り止まず、手がかじかんでしまって、ここ九州でも思わぬ寒さだった。

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(後藤寺の街で)

今日の研修会は、県の農業普及員の皆さんによるもので、2時間にわたりアジア市場に向かって攻める福岡県の輸出の取り組みについて講演させていただいた。

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(田川地域農業改良普及センター)

この地域は、良質な水や土壌に恵まれ、県下では最良食味の美味しい米が採れるのだそうだ。また、トルコキキョウの生産では県下最大で、花卉の輸出についても関心が寄せられた。他に、イチゴや甘柿、梨、メロン等の栽培も行なわれている。

若くて優秀な指導員の方ばかりで、たいへん熱心に話しを聞いていただいた。

田川は「炭坑節」で有名な旧産炭地のひとつでもあり、近年の停滞振りが懸念されている地域ではあるが、若い指導者にはぜひこの農産物輸出の挑戦の現状を多くの生産者に伝え、元気を出してもらって、新たなチャレンジに取り組んでもらいたいと願っている。

東京での輸出セミナーに参加して

9日に、東京四谷 主婦会館プラザエフで、
農林水産物等輸出促進セミナーが開催された。

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(会場のプラザエフ)

これは農林水産省が行なう支援事業の一つで
今年度は、名古屋、札幌、宮崎、那覇など全国9箇所で催されている。

さすが東京だけあって、大勢の参加者を集め、白熱した雰囲気でのセミナーであった。

051211izumi セミナー冒頭で、農水省輸出促進室和泉室長が挨拶し、今年度は全国的な事業展開の成果が現れ始め、今年1~9月の輸出額は前年同期比+7.6%増の2,226億円のジャパンブランドの農林水産物が輸出されたという。

全国版のセミナーだけあって、講師も経験実績が豊富で、大変実務的で有意義な内容だった。

㈱ホクレン通商取締役の坂井紳一郎氏による香港向け輸出の実践論は、非常に参考になった。豊富な情報とそのノウハウの一部に触れるだけで、さすが輸出最先進地・・・北海道だと再認識した。輸出成功の王道は、自ら日々の努力の積み重ねであるという指摘は、本当に説得力があった。

もう一人の講師である㈱日通総合研究所町田一兵氏の講演も、物流を切り口にした対中国輸出のポイントについて勉強させてもらった。今後の市場規模には大きな期待がある中国大陸だが、物流と決済など多くの課題に目をそらすことなく、冷静にアプローチすることの重要性を改めて確認させられた。

後半のパネルディスカッションでは、講師おふたりに加え、東京海洋大学の櫻井研先生がコーディネーターを務められ、より内容が深められた。

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櫻井先生は、農産物輸出、国際マーケティングの権威であり、80年代からの農産物輸出の指南役として、国の事業にも精力的に活動されている。

櫻井先生の専門家2講師に対する「ブランドの本当の価値について」「メイドインジャパンであることの本質について」の問いと、総括における輸出事業成功の姿勢に関するコメントは、やはり問題の本質を理解している方だからこそのメッセージであったと思う。

東京だけあって、生産メーカー、団体、行政に加え、商社の方が多く参加しているのが、私の目には新鮮に映った。地方では、輸出事業に関心をもつ物流、商流の事業者がまだ十分でないところが多い。

事業面でも、行政面においても、東京と地方の連携をすすめることが大切なのかも知れない。

九州上海事務所が正式開業

再び上海を訪れた。

2週間ぶりなのに、朝晩はめっきり寒くなって、街行く人も冬の装いだ。

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(南京西路のブランド街で)

21日、上海市のホテル、花園飯店で、「九州上海事務所」のオープンを記念して、レセプションが盛大に開催された。

この九州上海事務所は、福岡県、北九州市、福岡市、九州電力の4団体による共同事務所で、自治体や企業が連携して、上海を基点に中国における情報収集や支援サービスなどを行なうもので、非常に画期的な取り組みといえる。

レセプションでは、上海市、江蘇省、連雲港市などの中国側来賓をはじめ、日本側は関係自治体の副知事や副市長等をホストに、総勢300人を超える招待客を集め、この種の式典としては非常に大規模なものとなった。九州のこれからの上海および中国に対する意気込みの強さが感じられる。

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式典での九州紹介のコーナーでは、福岡県をはじめ、沖縄県を含む九州全県の情報や物産・観光を映像を通じて紹介した。

あくまで「九州」である。観光や物産、企業誘致などを海外に向けてアピールするためには、やはり県境を越えた広域連携が不可避である。

特にアジアでは、北海道、東北、九州という名称の認知度が最近急速に上がっており、これを利用しない手はないのである。

もちろん、各県や市の担当者は、県名、都市名ブランドの売り込みに熱心だから、九州と**県、△△市などと巧く使い分ければよいのである。各自治体間の競争と連携は、今後、多様な展開を見せることだろう。

式典と併催で、「九州福岡産業観光展 in 上海」が開催された。

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上海からわずか1時間半という近さをもつ福岡の多様な観光、産業資源を紹介した。また、福岡県が重点とするIT、自動車産業、ロボット産業に関する展示も行なっており、来場者の注目を集めた。

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物産についても、地場産業の得意技を披露するものになっていた。博多織や久留米絣、日本酒、大川家具も、展示はもとより、ミスが笑顔で応対したり、販促マーケティング関係者が人脈構築や情報収集に取り組んだ。

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(博多織も中国への輸出を検討している)

加工食品も、日本酒・焼酎のほかに、和洋菓子、飲料、明太子、ラーメン、味噌、醤油など幅広い商品が紹介され、来場した中国人関係者の注目を浴びた。

「私たちで取り扱えないか」という引き合いが随分あり、反応の強さに驚いた。

輸出にかかわる煩雑な手続きなど、克服すべき課題は多いが、九州・福岡の産品の潜在的な需要があることを確認できたという点では収穫があった。

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(食品のコーナーは人で一杯)

会場では、招待者全員に化粧箱入りの愛宕梨(あたごなし)が配られ、大好評だった。一個1kgほどもある巨大梨だが、食味も食感も、そして見た目の豪華さも中国人の心を捉えたらしく、日本ブランドの実力を、ここでも確認することが出来た。

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(福岡の愛宕梨は大きくて歯ざわりが良いと大評判)

もちろん、この福岡産愛宕梨は、いま、上海の高級デパートでも高値で販売されている。

今後に向けて、手ごたえ十分だ。

中国の微妙な変化を見逃すな!

上海に出張した。

051116muji およそ2ヶ月ぶりだが、今回も至る所でスクラップ&ビルドにより、街の様相が目に見えて変化している。

建築物だけではない。街行く人も店舗も、商品もやはり変化している。

在住でなく、短期出張で行き来する人間が「微妙に」感じることのできる瞬間だ。

気のせいだろうか、最近、タバコを吸う人がめっきり少なくなっているような気がする。
ゴミを無造作に捨てる人もいることはいるが、都心ではあまり目立たなくなった。
上海の街にいる限りにおいては―だが、トイレの不潔さで悩むストレスがめっきり減った…。

最近、ニッポンを売るプロジェクトに関わるようになってからは、
今回のように別件で中国に訪れても、青果市場にはできるだけ足を運ぶようになった。
一種の職業病だな、と思う。

日本国内でもそうだ。
若い人のコンビニ詣でのように、買う目的が無くても、デパートの地下食品売り場と物産催事場へは、必ず立ち寄るスポットになってしまった。

今回も早朝、上海の黄浦江沿いにある果物の卸売市場を訪ねてみた。
ここは市場といっても、競りを行なう処と異なり、全国からブローカーや生産者が商品を持ち寄り、相対取引を行なう問屋街のような通りである。

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確かにここは、いつも雑然としており、商品管理というには程遠く、地面に果物を転がしっぱなしにしていたり、箱を高く積み過ぎて下が潰れても平然としているし、ゴミも散らかしっぱなしというくらいで、販売以前の衛生管理すら心配してしまうほどだ。

また、最近は、緑色食品や有機食品、AA級などとケースに記載してあることがあるが、規格や等級、品質保証、ブランドなど、素人の私には全く判別できない。もしかしたら、価格と鮮度、外観などを、見ながら、触りながらで区別しているようにしか思えない。

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(この時期、柿の出荷が目立った)

価格も、当然この国では一物一価ではないはずだ。上海語の出来ない私なんて初めから相手にされてない。カメラを向けると冷やかされっぱなしで、却って面白いコミュニケーションが図れた。

「にいちゃん!ちゃんと立派に撮ってくれよっ」

「私とオレンジとどっちが綺麗?アハハハハッ」

ってな調子だ。(下写真

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(市場の人との会話も弾む)

ただ、ここ数年の間で、微妙だが明らかに品種や品質が向上しているのではないかと、今回初めて感じた。
味わってみていないので、まさに外観だけだが、大きさや色、鮮度が向上し、種類が豊富に「なりつつ」ある。

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(商品構成にも明らかに進歩のあとが…)

現在、中国農業はある意味危機的な状況にあり、農村、農民への対策は、政府の最重点政策だ。対外開放に伴う食糧生産の矛盾は、当然、付加価値の高い経済商品への転換を大きく促している。

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(上海市内にある共同青果小売市場)

中国産の参入による海外市場での一層の競争激化も懸念されるが、一方で中国国内に流れる製品へのニーズも高級化していくこと間違いない。

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(今、上海では、乳製品売場の充実振りが目立つ)

いま、日本産の青果物を、この商流・物流に預けることは、天地がひっくり返っても考えられないが、この微妙な変化だけは、「行き来すること」によってしっかりとウォッチしていなければならない。

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(あった、あった!! 福岡県の梨が売られている!)

中国の流通が飛躍的に発達することは、十年先二十年先のことではない。もうすぐそこまで来ていると考えておいたほうが良い。

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(上海バンドの夜景)

秋の名品「鳴門金時」の畑を見た

徳島にも、全国に有名な農水産物が多い。
今回機会あって、名高い産物の生産現場を訪ねることが出来た。051115kintokiimo

徳島の名産といえば、まずは、なんと言っても「なると金時」と称するサツマイモである。

東の「べにあずま」と並ぶ西の代表格で、大阪市場などでは圧倒的なブランドになっている。

あの上品な甘さとホクホク感はたまらない。

ブランド名は早くから知っていたが、
どんなところで生産されているのか想像もつかなかった。

徳島県の北部、鳴門市郊外に“なると金時”の栽培を見ることができた。

東岸は紀伊水道に面していて、一面の海岸線が広がる。
北側を臨むと、淡路島が近くに横たわり、関西がとても近いことを実感できる。
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(鳴門側の海岸より淡路島を臨む)

実際、鳴門橋の開通以来、神戸や大阪、京都などには日帰り圏内で、ショッピングや行楽に出かけることは普通の事だそうだ。当地の言葉も関西のイントネーションだから、昔からその結びつきの強さは容易に想像できる。

ここ一帯の農地は、独特の海砂の畑で、しかも緑っぽい色をしたここだけの砂らしいが、どうもこれが鳴門金時のすごさの秘密らしい

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皮の鮮やかな紅色がすぐに目を引く。

大きさも立派だ。

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(すでに収穫は終盤)

海外では、台湾、香港、シンガポールでこの鳴門金時が売られているのを見たことがある。

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(台湾で売られていた鳴門金時)

すでに収穫は終盤を迎えていて、採り入れが終わった多くの土地には、はや大根が元気に育っていた。

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(砂地の高い畝が特徴的だ)

砂地というと、らっきょうも思い浮かべるが、やはりここでも栽培されていて、紫色の花がとてもきれいだった。

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また、徳島はレンコンの産地でもあり、ちょうど収穫の風景も見られた。
他の多くの産地は、水が張ってある状態で、水圧を使って収穫するのに対して、徳島県の場合は一旦水を引いて、泥を露出させた上で、重機を使って掘り出すそうだ。

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それにしても、レンコンがどこに埋まっているかを探り当てるのは、
素人では出来ないらしく、また、こんなに重労働だとは思わなかった。
これからレンコンを頂く時は、感謝して食べよう、と思った。

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次に、トンネル栽培のニンジンの生産現場を見せてもらった。
品薄のシーズンを狙って投入されるもので、4月には立派なニンジンが出荷されるのだそうだ。

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トンネルといっても人が中に入って作業できるほど大きく、以前は竹だった芯も今は金属製で、機械で設置されるそうだ。

水産物でも「鳴門ワカメ」は三陸に並んで有名で、海岸の至る所で養殖ワカメの「ワカメ棚」を見ることができた。やはり現地で、生産されている風景、環境、生産者の人たちと触れ会うことで、理解を深め、そしてファンになってゆく。

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(有名な鳴門のうず潮)

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(この日は、地元の人も滅多に見ることができないようなはっきりしたうず潮を見ることができた)

徳島の多様な物産の生産現場を訪れ、とても豊かな気分に浸ることが出来た。

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(徳島の農業を潤す“四国三郎”吉野川)

四国が一気に近づいてきた。

青年は宝

福岡県青年農業士会の研究会で講演させていただいた。

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(会場の博多サンヒルズホテル)

青年農業者の皆さん達との交流は、これで2度目だが、とりわけ楽しみにしている。いつも感じるのだが、農業を志す若い青年や女性は、地域にとって、そして国家にとってもかけがえのない財産である。

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(壇上で挨拶する農業士会幹部)

講演では福岡県が農産物の輸出に力を入れている経緯や実績、そして未知の事業に挑戦する人たちの姿を青年達に紹介した。

ただ、壇上から見ていると、後ろの方で数人居眠りしている人が目に付いた。
他地域の高齢者が多い会場では、ほとんど居眠りする人はいないのだが…。
年配者のほうが向上心や探求心が強いからだろうか。それとも、私の話の内容に、若い人は魅力を感じないからなのか・・・。

しかし、後半から終盤になるにつけ、全員が身を乗り出して聞いてくれた。

一時間半の講演にもつい力が入り、声がかすれてしまう。

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講演後の意見交換の時間にも、積極的な反応が返ってきた。
質問が途切れないのだ。これは、他の会場では滅多にないこと。
講演者としては、とても嬉しいことだ。

また、研修後の懇親会では、個別に面談できて有意義だった。

次の予定があるので、30分で退席する予定が、青年達が次々に語りかけてくれて、ついに1時間半も会場から離れられなかった。

蘭の苗を、人任せにせずに自分で台湾から買い付けて、すでに海外と信頼関係を築いている人。

韓国と行き来するほどのネットワークを持っている人。

スモモやナスを差別化し、商品開発に挑戦している人。

イチゴのあまおうをもっと積極的に展開しようと企画を練っている人。

作っている作物や地域は違えども、皆、熱い想いは同じだ。
目が生き生きしている。

ひときわ声が大きく、私に喰らいついてきそうなひとりの青年は、
5年後に1億円の売り上げを目指して頑張っている夢を語ってくれた。
彼はソフト業界からの転身組だ。

彼の農業に対する先見の明は、近い将来必ず開花する、と私は断言した。

彼らが主役となり農業を担う数年後には、日本の農業事情もすっかり変わっていることだろう。

今は、とても辛い時期。
しかし、文字通り、農林水産業が実りある産業に展開するかどうかは、すべてこの青年達の頑張りにかかっている

徳島でもニーハオ

徳島を訪れた。

久方ぶりの四国行で、徳島県は恥ずかしながら初めてだ。

高松から海岸線沿いを南下したが、
徳島駅に着いたのは、もう夕方5時を回っており
すでに真っ暗だった。

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明日から始まるビジネスを控え、少しでも徳島の事を知りたいと、
夜「阿波おどり会館」に足を運んだ。

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ここでは、毎日昼と夜に、阿波踊りをショー仕立てで実演してくれるもので、8月12日からの本物の阿波踊りには中々行けないが、ぜひ一度観てみたい者にとっては、本当にありがたいスポットだ。

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正面の席を確保するために早めに会場に入り
しばらくすると、品のよさそうな中年婦人や若い女性の団体さんが
大勢入って来て、僕の周りの正面の席を広く陣取った。

品がいいといっても、そこは女性たち。
いつの間にか、ガヤガヤとお喋りする声が満ち溢れてきた。

聞き慣れた方言だなあ、などと思っていたら、
なんと台湾語や中国語なのである。

「どこから来たんですか?」
とすぐに聞いてしまう私。

「台北ですよ」
と見た目には日本人と区別がつかないご婦人が笑顔で答えてくれた。

いろいろと話すと、この団体さん、
日本の有名な華道流派の台湾支部の人たちで、初めて京都の家元を訪ねてお稽古をした帰りに、徳島に観光に立ち寄ったとのことである。

051113yokoso_japan 「徳島は素晴らしい。東京や京都もいいけど、ここは空気も綺麗だし自然が美しい」

「日本には何度も来てもワクワクする」

と、屈託なく返してくれる。

嬉しいじゃないですか。
だから日本人は、台湾の人に親近感を覚えてしまうのである。

また、乗って来た観光バスの中には
抱えきれないほどのお土産を買って置いてあるそうだ。

海産珍味やワカメ、お饅頭、小物、湯呑などだとか。

私にとっては彼女らが何を買うのか、仕事柄興味深々なのだが
おば様方にしてみれば、私が何でこんなに根掘り葉掘り効くのか、不思議だったに違いない。

台湾では、結構日本の華道が盛んだそうで、
いくつかの流派があるんだそうな。

茶道はあまり普及していないらしい。

「くそっ!抹茶や和菓子、それに茶器を台湾に売り込むチャンスだったのに…」

「でも、待てよ。
普及していないということは、これから流行るチャンスということでもあるんだな。」

ただでは転びたくない性格である。

気を取り直して、

「台湾は、いつだって綺麗なお花が沢山あるから、
花材には困らないんでしょうねぇ。
蘭なんかも使って生けるのですか?」

などと、素人丸出しの質問をすると、
彼女たちは「ワハハ」と笑って答えてくれた。

「いろいろあるんだけど、季節によって台湾にはないものや
スイセンなどのお花は、日本から取り寄せなきゃならないので、結構お稽古代がかかっちゃって大変なのよぅ」

ん~っ、これはチャンスかも。

花卉(生花類)の海外輸出も
ニッポンを売るアイテムのひとつだからである。

宮崎県がシンビジュームなどの蘭鉢を中国に輸出している。

花と一緒に、陶磁器製の花器や織物のテーブルセンターなども一緒に売ってみては?

などとアイデアだけは広がっていく…

そうこう話が弾んでいると、いよいよ開演の時間。

本場の阿波踊りを堪能した。
祭りはどこでもそうだが、この鐘と太鼓、笛、三味線のテンポ良い一定のリズムを聞いているとだんだんトランス状態になってくるのを感じた。大興奮だ。

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「踊る阿呆に見る阿呆。同じ阿呆なら踊らなソンソン」

台湾の女性たちも、隅で固まっている日本人サラリーマンの人たちに混じって、いつの間にかみんなステージに上がって踊っていた。
言葉は要らない…。

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ここ徳島でも台湾や韓国、中国の旅行者が最近増えてきているらしく、
このように日本文化や食の世界を体験する人たちの間で
地方のことに対してもかなり詳しく理解している人が増え、認知度、知名度を上げている。

観光誘致、物産振興ともに、すでに海外ニーズは高まりつつある。

興奮の余韻残る、夜の阿波おどり会館を後にした。