(前回から続き)
天津三絶の二番目は、日本でも有名な「十八街・麻花(マーファー)」だ。
日本のかりん糖を巨大にしたような、小麦粉をねじって油で揚げた甘い菓子で、ゴマやナッツ、サンザシ、ミントなどトッピングによって様々な味がある。
作りたての麻花は、さほど脂っこくないが、かなり硬くてボリューム感があり、ひとつ食べるのに結構閉口してしまった。
天津の人の話によると、
昔は年中、よく外から買って食べたらしいが、
最近は若い人などを中心に、あまり食べなくなったらしい。
どうせなら、このブランド名にある「十八街」という所に行って、元祖か本家だかの麻花を食べようと思うのだが、天津の大沽南路がそのルーツだそうだ。次回はぜひ足を運んでみたい。どうも「桂發祥」という老舗が有名らしい。
長崎や横浜の中華街にもこの麻花児(マーファール)という名のお菓子が昔からあり、私も小さい頃、これを食べた記憶がある。
最後の3番目は、「耳朶眼の揚げ饅頭」。
これは中国でも天津以外ではあまり有名ではなさそうで、もちろん私も知らなかった。
柔らかな餅皮の中にこし餡が入った揚げ饅頭(炸羔)で、日本のものと大差なく、これは日本人にも結構いけると思う。
揚げたてのものは、中はしっとりとやわらかく、外はサクサクと香ばしい。
ただ、麹が入っているからか、油が酸化しているためか知らないが、妙に酸っぱい味がして、これも少々閉口する。
以上、三種の食べ物が「天津三絶」と呼ばれる名物だそうである。
どれも、なんだかもう一息という感じだ。
ものすごく美味しいかと問われれば、
答えは、「名物に旨いもの**」といったところか。
ちなみに、河北省の良郷という所が特産の「天津甘栗(糖炒栗子)」というのは存在するが、あのカニ玉あんがのった「天津丼」「天津麺」という食べ物は、昭和初期に日本で発明されたといわれており、天津には存在しない。
甘栗は存在するが・・・
もう10年以上も前になるが、
同行したグルメ探求派の日本の方から「ぜひ本場の天津丼が食べたい」と散々せがまれて、
これにも閉口したことを今でも鮮明に覚えている。
天津の旨いものが集まる「南市食品街」
明代に「天子の津」と呼ばれ、19世紀後半に起こった「洋務運動」の拠点のひとつとしての天津は、「浜海新区」に対する国家の重点投資が始まっており、至る所で再開発の真っ只中にある。
どちらかというと、これまで遅い発展、保守的な考え方を持つと言われてきた天津は何処へ向かうのだろうか。
田中 豊
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たまたま北京の前門大街で購入した麻花が桂發祥のものでした。中華街や百貨店で買う麻花が子どもの頃から好きです。天津の物と知らずにいました。
メーカーが色々あるのに店員が「これが一番だから」と言うので、他の麻花より値が張りましたが購入。長崎の物より堅くないです。色々入っていて美味しいですよ。