遠くて近い国へ(その6)

(先々々回より続く)

    
今年は日系移民100周年にあたり数多くの記念行事がサンパウロでも行なわれている。

   
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サンパウロ・大阪橋付近
   

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私が訪ねた期間も、ちょうど沖縄から大勢の団体がブラジルを訪れ、交流事業を行なっていた。移民の皆さんの出身地は、県別では沖縄県がもっとも多いことからその熱意が伺われた。
   

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その日の夜、在伯日本商工会議所(伯とはブラジルの意味:昔は漢字で伯剌西爾と表記していた)の会頭、日系県人会会長をはじめ多くの日系人のリーダーの皆さんと交流する機会があったのである。

       

本当に親しく面談していただいたが、二世、三世としての生い立ち、先祖先達の苦労や日本に対する想いを存分に伺った。そして感動した。

   
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会長さんのお話に本当に感動し、涙した

   

県人会会長さんの話によれば、当時はもちろん苦労も多く、最も困ったのは異国の地での様々な病気に医者が不足していたこと
      
そこで日系人は医者を育てることをはじめ、教育に力を入れそうである。医学だけではなく、本業の農業技術や土木・建築なども熱心に子弟に学ばせ、これを日系人だけでなく、ブラジル社会に還元させ、広く深く貢献したのである。

    

   
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東洋人街の医院  ※本文とは直接関係ありません

    

それは今でも農業という事業を通じてサンパウロ郊外に深く根付いていて、大勢のブラジル人から敬意と感謝の念を持たれていて、その結果、親日的感情がとても強い

       
僕自身も各地で何度も体験済みである。
  

  
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実に多様な人種が共存する国 -Brazil

   
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友誼の情は大切だよね

   

    

どちらかと言うと、流通や商売に熱心で結束強い中国人や韓国人との決定的な違いがここにあり、日本人街が少ない所以でもありそうだ。
   

   
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チャイナタウンやコリアンタウンは最近海外でもよく見かけるが、リトルトーキョーがとても少ないことにかねがね寂しい思いをしていたが、今回、その理由と真意がハッキリして、却って嬉しい気持ちにもなった。
    

    
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尊敬します 日系の皆さん!

     

僕はこのお話を時系列にスケール大きく滔滔と聞かせていただき、感動し心から涙した。

   
   
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この時ほど僕は日本人に生まれて良かったと誇りに思ったことはない。 

    

アジア各地では反日的感情の発露に寂しい思いをすることがたまにあるが、ここブラジルではまったく逆である。

   
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どこから見ても日本人同士なのに、言葉はポルトガル語だ。不思議!

    

日系移民先達の苦労と貢献のおかげで、後の世代の我々にどれだけの良好な環境をもたらしてくれたであろうか。

    

   
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ニッケイ新聞 !?

  
   

それにしても現代においても、日本人の農業技術における貢献は素晴らしいものがある

     

この点でも、日本国内で餃子問題のアンチテーゼとして感情的に唱えられている内向きの自給論議だけでなく、世界に日本の素晴らしい農業技術を広めることこそ、わが国の戦略にも適うし、自然条件の異なる環境での研究、向上のためにも必要な事ではなかろうか。

    
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ブラジルでは一体何杯のコーヒーを飲んだだろうか?
100年前、コーヒー園の契約労働者として入植した
移民の皆さんの苦労に思いを馳せる

    
     

今回面識を得た日系の皆さん方の異文化を受け入れ共存し、日本の文化や技術の伝播を惜しまないスケールの大きさ、そして底抜けに明るいポジティブ指向など考えさせられることの多い大きな収穫を得た。

      

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日本はこういうイメージ?
   
   
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手作りドリンクとっても美味しかったよ。ご馳走さまッ!

    
    

          

ブラジルはまさに「遠くて近い国」なのであった。
                             
                             (シリーズ終わり)

      

   
※今回、南米訪問の機会を与えて頂いた、創立50周年の社団法人
福岡貿易会
に対し、この場を借りて心から厚くお礼申し上げます。

      

   
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    Obrigado !!    ありがとう!ブラジルの皆さん

   

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田中 豊

地域の元気づくりと海外ビジネスを通じて、日本を元気にしたい行動派プロデューサーです。 海外ビジネスの参謀役として長年活動してきました。 とりわけ農林水産業を振興にすることで地域が元気になることを現場の生産者、支援者の皆さんと共に日々実践していることをとても誇りに感じています。 「地域を活かし、そしてつなぐこと」をスローガンに訴え、いつの時でもチャンス(chance)ととらえ、絶えずチャレンジ(challenge)し、チェンジ(change)を果たしていくことの「三つのC」をモットーにしています。

“遠くて近い国へ(その6)” への2件の返信

  1. 日本人の先人たちの勇気と汗を受け継ぎ、現代の日本人も誇りを持ち続けなければなりませんね。私も微力ながら頑張ります。

  2. じーこむらさんコメントありがとうございます。僕は24時間の飛行時間くらいで音を上げそうになりましたが、当時の移民の皆さんは56日かかってサントス港に行ったそうです。精神が違いますね。これから世界も混乱期。いまこそ開拓者精神の発揮しどころですか。

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