(先回から続く)
一度刺激を受けると、さらに強い刺激を求める・・・。
僕はサンパウロの下町をさらにディープなところへと歩を進めていった。
もうすっかり地図でも今の位置はわからなくなってしまっている。
市場の雑踏を過ぎて10分くらい歩いたであろうか、ホコリっぽく
土気色をしているが、明らかに大きなバスターミナルのようなところにたどり着いた。
あちこちからひっきりなしにバスが行き来している。
結構新式バスばかり。
バスは大勢の人を吐き出したり、また吸い込んだりして出入りを繰り返している。
あれぇ~っ。ここにも背中が開いている娘が
そのバスの乗降客が必ず通るあまり広くない広場のようなスペースがシンプル商売の小宇宙なのだ。
しばらくここをウロウロする事にした。
いろんなものを売ってるじゃないか。
ブラジル人はカラフルがお好きなようだ
ナタを振り下ろす!!
お見事ッ!! それにしてもアブねぇなぁ
大体簡単な食べ物が多いようだ。
本場のシェラスコ売りもいる。
この炭火焼の煙を嗅いで、何度誘惑に負けそうになったことか!
なんとも言えないジューシーで、しかも香ばしい肉の香り。
よだれが落ちてくる。
これはブラジル版「角打」(立ち飲み居酒屋)か。
手前のピリカラっぽい突き出しが強い酒に合いそうだ
あ~あ オジさん、酔っ払っちゃったの?
香港の80年代の九龍城、マニラのスラム街、バンコクの深夜の屋台群などと異なり、これまでのアジアではあまり体験したことのないディープな感じがたまらない。
始めは少々心細かったので、サッサとおいとましようと思ったが、なぜかこのエリアが僕を受け留めてくれているような錯覚がして、ついつい長居をしてしまった。
かれこれ40分以上いたであろうか。たいして広くもないスペースに。
美味しそう!
褐色のまばゆさ
とても小汚いのに、いつまでも居ていたいと思わせる妙に惹かれる場所だった。
カチカチなアイスキャンデー
アレレ?? ヤッパ背中開いてんじゃん
今度は人の流れに任せてズンズンと歩いていく・・・
すると、あの有名なセー広場に出てきた。
カテドナル・メトロポリターナ大聖堂
これでようやく地図でどこに居るのかがわかったゾ。
相当な距離を歩き廻っていたことを知る。
またこの辺りからスタイリッシュなパウリスタが多くなる
かなり運動量に加え、心の緊張感が弛緩した脱力感が合わさり、
なんとも言えない気だるい疲れを初めて感じる。
夕日に伸びる長い影がなんとも美しい
ヨーロッパそのもの
ああ、やっぱり、旅に出て来て良かった・・・。
古いカトリック教会の袖で、ふとそう思った。
(次回に続く)
telephone stand 2
田中 豊
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8月末に沖縄に出張に行ってきましたが、ブラジルでは沖縄移民100周年の記念行事があちこちで開かれていると聞きました。日本と深いつながりのある南米の地。そこに今おられるんですね。なんか見ててもワクワク、どきどきですね。気をつけて楽しんでください。
素晴らしいニッポンを売るさんならではの旅ですね。私のPCディスプレイから、サンパウロの空気が漂ってきました。ありがとうございました。ナイトクルーズ編も期待したいところですが・・・。(笑)