「アイツさえいなければ、上手くいくんだが・・」
海外のある国で商談をしていて、
我々ニッポンチームがいつも発するため息である。
人相も良くない商談相手メンバーのアイツは、
我々との取引きを快く思っていないのか
しょっちゅうネガティブな発言をしたり、
条件を引っくり返してきたりして、何度も振り出しに戻ったりする。
忍耐、忍耐。
アイツをこの商談からはずしてくれ、と相手方に頼むわけにもいかず、ストレスは溜まる一方…。
* *
話は変わって、今ワールドカップで世界中が盛り上がっている。
僕も普段は熱烈なサッカー狂ではないのだが
この期間だけはにわかファンに変身し、
深夜だろうが昼間だろうが中継にかじりついて観戦している。
サッカーの町 埼玉県浦和
そのにわかファンにとって、はじめ良く解らなかったのが
オフサイドというルールである。
このルールというのは、
ゴール前で味方からボールを受ける時は
ゴールキーパーの他に
もうひとりゴール側に敵がいなくてはならない。
というものだ。
つまり、
敵のいないところでボールを受けられないということになり、
必ずパス回しをしたり、ドリブルを使って
相手を突破しなければいけないことになる。
なんと面倒で、まどろっこしいルールなんだろうッ!
僕が選手だったら、相手ゴールのそばで待ち伏せして
ロングパスを受けてゴールキーパーと1対1でシュートすればいいと考えるんだが、オフサイドルールによってこれが出来ないのだ。
しかしだ。
もしそうだったとしたら、
サッカーの試合なんて、きっとつまらないものになってしまうに違いない。
オフサイドがあるからこそ、
組織的な戦術やドッキドキする離れ業の個人技を楽しむことが出来るわけで、ここがサッカー観戦の醍醐味なんだ
と後から改めて知ることになった。
アイツさえいなければ・・・。
あのリスクさえなければ・・・。
そう、
アイツは、リスクは、
僕らのプロジェクトをよりエキサイティングしてくれるヤツ
だったんだ。
すんなりと運んじまうビジネスなんて大した価値はないし、
第一、ちっとも面白くないじゃないか。
過去をよぉ~く振り返ってみれば、
僕はこれまで何百何千のプロジェクトに携わってきたが、
例の「アイツ」が、敵か味方か第三者の
いずれかの中に存在しなかったケースはただの一度もなかった。
僕が生来、関わってきたビジネスは
未体験、新規立ち上げ、再挑戦、リスク、困難、挫折、逆風、危険、
反常識、トラブル、クレームがあるのが当たり前で、
そんなこと気にもしていなかった。
そうなんだ!
障害があるってことは、
仕事でも人生でも当たり前のことだったんだ!
ちなみに
あの、ある国の人相のあんまり良くないアイツとは、
今では僕の大の仲良しになっているから不思議なもんだ。
ああ~ッ、またオフサイドかよ~っ。
・・・だから、面白くなるんだね。
次回のワールドカップ開催地ブラジル・リオデジャネイロのコパカバーナ海岸で
2008年撮影
田中 豊
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ニッポンを売る!さんでさえ、壁やリスクあるんですね。私は先入観というのが嫌いで、人の噂とかネガティブな情報は、あまり気にせずにお付き合いが始まります。初対面で無愛想?だった方と笑って話せるのも人間関係の面白さでもありますよね。今、話題のサッカーですが、ず~っとオフサイドの意味がわかりませんでした。ニッポンを売る!さんのお陰で解決しました。もちろん日本に勝進んでほしいけど、ルール―がわからないのは致命的ですね。解説者が横にいないと得点が入ることでしが喜べません。ちなみにラグビーもルールがわかりません。29日はオフサイドのチェックをしながら観戦してみます!
はなさんの先入観や噂で人を評価しないという視点は、本当に大切だと思います。とかく色眼鏡で見てしまいがちですからね。なかなか出来ないことです。特に独立して仕事をしている人は、対面相手のことをある程度瞬時に見分けられなければ生きていけません。訓練や経験が要ります。僕もにわかサッカーファンですが、話題についていけるよう関心をもってます。