人に教えたくない店

                
誰にも一軒くらい人に教えたくない旨い店というものがあるんじゃないだろうか。

         
今、僕は台北にいるけども、
この街にその教えたくない店というのがある。

 

ただし、僕の場合意味が少し違う。
          

            
おそらく誰に教えても、あまりに地味すぎて喜んでくれないと思うからである。

 

           
       
この店は、もちろん僕の大のお気に入り。
            

復興南路にあるどこにでもあるような台湾料理の大衆食堂である。

          
おばちゃんたちばかりで切り盛りしている
いわゆる台湾版オフクロの味というやつだろうか。

     
Dsc_85310

       
僕が食べたいおかずが、トコトン揃ってるんだ。
      
                      
Dsc_84710
「涼韮菜」  柔らかく茹でたニラに鰹の削り節を乗せただけのシンプル料理。この店に来たら、必ずこれを所望する

 

味も濃すぎず、薄味傾向なのもお気に入り。

   
Dsc_84880
「肝連肉」  スープを摂ったあとの出汁ガラのようなもの。まったく油っ気が抜けている。味も素っ気も無いパサついた肉を、たっぷりの刻み生姜ととろみの効いた旨タレで頂く。スソものを美味しく食べる台湾人の知恵。C級グルメだな。
         

           

そして何よりも一人で頼んでも、おかず一品の量が少ないからいい。
         

    
Dsc_85360
メニュー兼注文票 自分で書き込むフォーム
               

        
海鮮やら精肉など派手な食材は一切なし。
          

     
Dsc_85270
「台湾版揚げ豆腐」  熱くて舌が焼けそうだ。臭豆腐ではない。外はカリカリ中はトロトロ

 

         
野菜や豆腐、臓物、魚などばかり。

    
Dsc_85110
最近僕がはまっている虱目魚(サバヒ)という魚の生姜味スープ

           

加えて僕が行くと、どのおばちゃんも親切にしてくれるほどの仲良し。
            

もっとも一度だって安くしてもらったり、一品余計に付くなんてことはない。
         
親しげに話しかけてくれること。ただそれだけ。
       

Dsc_84950
唯一の卓上調味料が黒酢ときているから、酢好きの僕には最高!

 

           
とにかく安心して食べられる店なんだけど、
人に教えても、絶対に気に入ってもらえることはないこと請け合いである。

         
だから教えたくない店なのだ。
          

でもこの日も駆け込むように初日から立ち寄ったのだが、
今回は時間がとれそうにないので、一度で終わりそうだ。

 

Dsc_84820

                  
僕は今、馴染みの店というのは、日本の地元より
アジアの街の方が多いと思う。

            
         
聞いても無駄だよ。

僕が直接案内しないと教えてあげないんだから…。

 

The following two tabs change content below.

田中 豊

地域の元気づくりと海外ビジネスを通じて、日本を元気にしたい行動派プロデューサーです。 海外ビジネスの参謀役として長年活動してきました。 とりわけ農林水産業を振興にすることで地域が元気になることを現場の生産者、支援者の皆さんと共に日々実践していることをとても誇りに感じています。 「地域を活かし、そしてつなぐこと」をスローガンに訴え、いつの時でもチャンス(chance)ととらえ、絶えずチャレンジ(challenge)し、チェンジ(change)を果たしていくことの「三つのC」をモットーにしています。

“人に教えたくない店” への4件の返信

  1. 台北お疲れ様です。今回のお店イイ感じです。僕は好んでこんなところに行きたいほうなので…是非お伴させて下さい(笑)B級の次はC級だ!

  2. 三方よしさん 台北に行く機会があれば、ぜひ案内させてください。ただし、およそ満足出来る代物ではありませんよ。座り心地も悪い椅子テーブルだし、店は開放式で室内外の区別はないし、日本人や外人が来ることはまずないし、食べ応えのあるオカズはないし、ビールもないし、無い無い尽くしですよ。ただし、日本料理でもそうですが、必ずしも宴会料理や居酒屋メニューだけでもない庶民的な台湾料理の存在に、そこはかとない興味をそそられるかもしれません。三方よしさんもお知り合いの台湾ナンバーワンブランドのお酢メーカーの社長さんの商品が一番よく似合う料理かも知れませんからね。

  3. 僕は、田舎でばあちゃん料理で育ったものですから、宴会料理や居酒屋(ファミレス)などはあまり得意ではありません。(笑)それに農作業などの合間に食べる季節の素朴な“あるもの”的なものにそそられます。年齢が上がるに従って、回帰的な位にそういうものを求めるようになってきているようです。日常にあってこそ…というものだと思います。そういう意味では、日台の違いはあれ「酢」もまた日常品としてどう溶け込んでるかが、そのメーカーの強さなのでしょうね。

  4. 三方よしさん 食は文化でもあり、生活そのものであり、命でもあり、技術でもあり、そしてバイオでもあるわけですよね。異文化の食を理解したり、交換交流したり、融合させたり、その可能性も無限大です。それだけに幅広い視野や価値観、相互尊重などの視点が必要ですね。ただ物を持って行って良さを押し付けても受け入れられませんから。だから、僕はニッポンを売る!為に、現地でも様々な食文化に触れたいのです。実は食いしん坊なだけなのかもね。

コメントは受け付けていません。