日本なしの海外展開、そして驚くほどの改良ぶりに感嘆した

秋節と言えば、

最近ギフト用に日本産のが輸出されるようになった。
 
 
主に台湾と香港向けなのだが、
70年の歴史を持つ鳥取県の二十世紀が
圧倒的な人気だ。
 
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季節になると台北の卸売市場でも鳥取梨の箱がうず高く積まれる
 
 
ほかにも、ここ数年、
大分、熊本、福岡、佐賀、千葉、茨城など
各県の組織が梨の輸出に熱心だ。
 
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ギフトシーズンともなると熊本八代産の大玉梨が飛ぶ様に売れる(台湾で)
ヒットの裏には関係者の努力が
 
 
 
東北大震災の前までは福島のJAも香港で頑張っていた。
 
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2009年10月
 
 
とはいえ、近年は地元台湾産や韓国産・中国産のレベルが上がり、
柿と同様、日本産も安閑としていられなくなっているのだ。
 
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台湾地産の高接梨も人気が高まっている (台北の果物専門店で)
   
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韓国産も品質、価格、対応サービスで急速にレベルを上げており、各市場で日本の強力なライバルとなっている
 
 
 
一方、我が国も不断の努力で
安心、美味、差別化を追及している。
 
 
九州の某県某市のブランド産地の梨園を視察させて頂いた。
 
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丘陵地に整然と梨や桃が植えられていた
 
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米は文字通り、八十八の手間がかかると言われているが、
聞けば、梨も良いものを作るために、気の遠くなるような手間をかけられているのだ。
 
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袋掛けも一回ではなく、複数回行われると聞いてビックリ
 
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若い生産者さんの改革・改良に向けた熱意に触れ感動。
     
農業という職業の無限の可能性と素晴らしさを改めて認識する。
 
 
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日本には「日本なし」「西洋なし」「中国なし」の3種が流通しているが、国内の生産量は圧倒的に日本なしで、二十世紀に代表される青なしと、「幸水」や「新興」など皮が褐色の赤なしに大別される。
 
 
 
分類上はバラ科ナシ属で、
千葉県、茨城県、福島県の生産が多い。
 
 
先日、生産量トップの千葉県の松戸産の梨を送って頂いた。
 
僕は以前、松戸に5年ほど住んでいたことがあるだけに、とても嬉しかった。
 
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豊水という品種で、文字通り水分たっぷりで
前歯が当たった瞬間から甘い果汁が噴出してきてビックリ驚いた。
 
 
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豊富な果糖やリンゴ酸、クエン酸には疲労回復効果があり、
ソルビトールという整腸作用のある成分も含まれているという。
 
 
 
会席料理の品書き(メニュー)の最後によく
水菓子」と書かれているのを見かけるが、
これは果物のことである。
 
中国語でもフルーツのことを「水果」という。
 
 
まさに水分80%以上で占められる梨にこそ相応しい言い方だと実感した。
 
 
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     梨を噛む 霧に見えざる 湖を前
                             福田 蓼汀
          
     
 
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梨に関わる格言はあまり思いつかないが、
若い時に中国語の学習で読んだ
(当時、僕の住む田舎では中国語の教材なんて何も無かった)
毛沢東の「実践論」の一節を思い出した。
 
 
〝知識を得たいならば、現実を変革する実践に参加しなければならない。梨のうまい味を知りたいなら、自分でそれを食べて、梨を変革しなければならない。”
 
 
近代版の知行合一だろうか?
 
いずれにしても中国人にとって
梨は、昔からとてもポピュラーな果物であることには違いない。
 
     
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香港の油麻地街市で売られる中国産南水梨(原産地は長野県で、台湾企業によって中国にもたらされたとも言われている) と青なし
 
 
 
まさに、日本をトップランナーに
各国がしのぎを削って梨の味の変革を実践しているのである…。
              
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田中 豊

地域の元気づくりと海外ビジネスを通じて、日本を元気にしたい行動派プロデューサーです。 海外ビジネスの参謀役として長年活動してきました。 とりわけ農林水産業を振興にすることで地域が元気になることを現場の生産者、支援者の皆さんと共に日々実践していることをとても誇りに感じています。 「地域を活かし、そしてつなぐこと」をスローガンに訴え、いつの時でもチャンス(chance)ととらえ、絶えずチャレンジ(challenge)し、チェンジ(change)を果たしていくことの「三つのC」をモットーにしています。