今、巷間騒がれている話題の一つに
デング熱の全国的な流行がある。
11日の厚労省の発表によると
15の都道府県で計105人の感染者が
報告されているという。 (時事通信社)
このデング熱、僕らのようにもう30年も前から
頻繁に東南アジアに出張する者にとっては
基礎知識として誰でもが知っているべき熱帯感染症の一つである。
香港でもずっと以前から街中のいたるところで
デング熱や日本脳炎に注意するよう呼びかける
横断幕やポスターが貼られている。
都心の街市(マーケット)の壁面にも、このように大きな横断幕が。 -香港
登革熱がデング熱のことだ。日本脳炎もここでは患者が発生する。
共に蚊が媒体になって伝染するのだ。
日本では、インフルエンザのA香港型なんていうが、
香港の方では、日本脳炎が伝染病として恐れられている。
別に反日とは関係がない。
シンガポールの街頭でもデング熱の注意喚起が (今年2月)
蚊が発生する溜まり水をつくらないこと 罰金もあるとか
2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)や
何度か発生した鳥インフルエンザの時は
香港や台湾、中国、ベトナムでは死者も出た。
僕はその時、決死の覚悟をして現地に行ったが、
未知の伝染病と命がけで闘う医師や看護師が
野戦病院と化した屋外で、
必死の形相をして治療にあたっていた光景は、
今でも脳裏に焼き付いている。
幸いデング熱は、きちんと知識を持っていれば
パニックに陥ることはない。
どんな症状があり、どんな経過をたどるのか?
特効薬やワクチンは?免疫はどうなるのかなど
情報を仕入れておくことは大切だ。
九龍公園で
蚊に刺されないようにすること。
疲れ過ぎないようにして、免疫力や抵抗力、体力などが落ちないよう注意すること。
暴飲暴食や冷たく冷えたものを食べすぎないこと。
生水、生卵や
生煮えの貝類や甲殻類は口にしない。
睡眠をよくとること。
少なくとも仕事で渡航している以上、
体調管理には気を付けることを本能的に対応する力を持っていなくてはプロフェッショナルとは言えない。
2004年に中国衛生部(厚労省に相当する)大臣と面会した時も
当局の情報として、わかっているだけで約200近くの風土病が各地にあるという。
その中には狂犬病やコレラなども含まれる。
大都会ではネズミの媒介する伝染病も恐ろしい 香港にて
ほかにアジアでは広く性病や流行性肝炎なども本当に怖い。
専門の医師の話によると、
抗生物質が効かない新たな耐性菌が次々と出てきているそうなのだ。
これだけ日本人も頻繁に東南アジアや中国大陸に行き来する時代になったが、僕は毎回随行する際は、出発時にメンバーには、犯罪治安とともに自己責任で身を守ることを警告することにしている。
これは仕事以前の命にかかわる大事だからである。
表面上は日本と変わらない都会でも、見えない悪魔が潜んでいることを強く肝に銘じてもらいたい。
日本人は商談だけでなく、多くのことであまりにも無防備な人が多すぎる。
田中 豊
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