流行り言葉

ある晩、台湾の台北の居酒屋で杯を酌み交わしながら談笑していたら、突然台湾の友人が、「ジャーベイ・フォンフアン」「ジャーベイ・フォンフアン」と叫び始めた。

こっちは何を言っているのかさっぱりわからない。日本語ができないその友人は、「おまえ、こんな言葉も知らないのかっ!」と最後には怒り出す始末。焦ってますます何のことだかわからない。

そうこうしているうちに、日本のドラマでの一節であるらしいことが分かった。それを聞いた別の日本人の友人が、「それ、倍返しのことじゃないか?」とつぶやいたら、ようやく一件落着となった。

2013年当時、半沢直樹の前作が大変なブームだった頃、台湾でも放映されて大ブームになり、倍返しが流行語になっていたのである。漢字で書くと「加倍奉還」となり、ドラマを見ていなかったのは私だけで、とても恥ずかしかった記憶が残っている。本当に私のレベルの中国語では、やはり新語や流行語には泣かされた。

閑話休題。台湾でも流行した「倍返し」というこの言葉は、復讐のイメージではなく、受けた恩を倍にして返すという良いイメージでも使う。例えば、デパートや不動産の広告コピーなどにも「倍返し特別セール」という風に盛んに使われたりした。

なかでも出色だったのが議員の選挙広告に使われていたのには驚いた。有権者の負託に倍返しで応える政治家ならいいが、年収の「加倍奉還」をもくろむ政治屋がいたら御免こうむりたいものである。

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田中 豊

地域の元気づくりと海外ビジネスを通じて、日本を元気にしたい行動派プロデューサーです。 海外ビジネスの参謀役として長年活動してきました。 とりわけ農林水産業を振興にすることで地域が元気になることを現場の生産者、支援者の皆さんと共に日々実践していることをとても誇りに感じています。 「地域を活かし、そしてつなぐこと」をスローガンに訴え、いつの時でもチャンス(chance)ととらえ、絶えずチャレンジ(challenge)し、チェンジ(change)を果たしていくことの「三つのC」をモットーにしています。