水産と柑橘の王国で

   
愛媛県宇和島市を訪ねた。

   
松山から特急列車で約1時間半。

   

070225trn2
車窓から

070225trn
    

車窓にはリアス式の入江が続く海岸側と
収穫後の柑橘の樹が青々しい急斜面側とのコントラストに心を奪われながら初めて訪ねる宇和島駅に滑り込んだ。

   

070225stn

  

駅前通りの背の高い熱帯樹が印象的だ。

   

070225yasi

   

この日は少し肌寒かったが、もともと温暖なところなのだろう、街中にソテツや椰子の樹が植えられていて、南国の風情が漂っている。

   
070225sotetu_1
市役所の正面玄関にも立派なソテツが

   

宇和島市とジェトロ愛媛貿易情報センターの共催で
農水産物輸出セミナーが開催され、地元や県内から多数関係者が集まり、2時間にわたり熱心に情報交換を行なった。

   

070225ch

   

愛媛県といえば、昨年来、特に台湾でミカンをはじめとする柑橘類の輸出開拓活動が活発で、高級百貨店やスーパー、卸売市場などでよく目に付くようになった。

   

070225twsp
台北の百貨店で

   

特に化粧箱入りの高級ミカンは愛媛県産が、九州産と並び活発に取引されるようになった。

    

070225twmkt2

台北のある青果商は、昨シーズン愛媛県産高級ミカンを、一社で4000ケース以上も得意先に外商したという。

    

070225twmkt
台北の卸売市場で売られる愛媛産ミカン

   

全国的に有名な柑橘類や水産品、真珠などの海外輸出に大きな関心が寄せられた。

    

愛媛県、およびジェトロ愛媛による支援体制もしっかりとしていて、今後の動向が注目される。

   

070225bb

そう言えば、メジャーリーグに挑戦するヤクルトの岩村選手も、ここ宇和島の出身だったのだ。

  
スポーツ界でも、今年「宇和島から世界へ雄飛する」のだ。

        

宇和島といえば、美味しい特産品が数多くあることでも知られている。

    

070225wangguo
      

柑橘類の王国であることは言わずもがな。

    

まずは、なんといっても「じゃこ天」。全国的にも有名な一品だ。
     

詳しくは、私の師匠のブログでご堪能を・・・。

http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2005/06/with_3_1.html
(やまけんの出張食い倒れ日記・愛媛編)

    

  070225jakohata

   

このブログを見て、じゃこ天がちりめんじゃこから出来ているのではないことを知り、一度ぜひ地元で食してみたいと念願していた。
   

070225jako

     

また、新鮮な魚介類や豊富な農産物を使った郷土料理には驚いた。

  

地元でセイと呼ばれるカメノテや、チャンバラガイという変わった付け出しに感激。

070225shell
右がセイで、左がチャンバラガイ

      

070225tati
太刀魚の巻焼き。

見た目ほど濃厚な味付けでなく、太刀魚の旨みを堪能できる逸品だ。

    

070225tai

全国に鯛めしは数あれど、
炊き込みではなく、出汁と生卵、調味料で和えた新鮮な鯛の刺身をご飯の上にかけて豪快に食べる宇和島の鯛めしは絶品!!

    

070225satuma

さつま」と呼ばれる変わった名前のぶっ掛けご飯に2度感激。
  

魚のすり身を味噌で溶いた滋味豊富な出し汁をかけて頂く。満腹のお腹にもズルズルと入り込んでいく・・・。

    

070225hukumen

ふくめん」と呼ばれる色鮮やかな逸品。

中に細切りのこんにゃくが隠れている。

   

また、宇和島といえば、闘牛が有名。

   
070225togyu2
    

070225togyu

いちど、ぜひ観てみたい。

  

070225oni
牛鬼

     

東北の雄・伊達藩を受け継ぐ宇和島の歴史には幕末期にも輝きを増し、開明的だった伝統の一部を垣間見ることができる。

     

070225msm
宇和島歴史博物館

    

070225gdn
名勝  天赦園

    

070225fwr2
     

070225fwr

       

宇和島は、しっとりと情感ある街。

070225dt

       

歴史と文化に彩られ、人情あふれるこの街には、
間違いなく「」がある・・・。  

   

070225love

       

              

正月の大フィーバー(その1)

         

中華圏では、新暦の1月1日ではなく
伝統的に旧暦正月を祝う習慣がある。

   

今年は2月18日が旧暦の元旦に当たる。

         

Dsc_0676
上海の目抜き通りで

     

出身地を遠くはなれ都会に仕事に出たり、
移民や仕事・留学のために世界中に散っている家族たちも
この季節は生まれ故郷に集合するのだ。

     

Dsc_7445
香港の花屋で

        

旧正月(春節とも呼ぶ)の一週間前となると、中国・香港・台湾などどの都市も歳末の買い出しで街中ごった返していた。

   

Dsc_6284
台北の市場で

      

感覚としては、普段の週末の混雑のそのまた2倍という感じだろうか。

     

Dsc_3614
台北の店先で

   

Dsc_4153
めでたい言葉を掲げる  台北

      

一気に街のいたることころに正月の飾りつけが施され、
中華圏ではおめでたい色である朱赤色の装飾でイッパイになる。
      

Dsc_6124
ホテルでもこのとおり  台北で

    

Dsc_7306
香港でも

   

Dsc_4392_1 
下着ショップもこの時だけは赤一色・・・  上海で

   

商店ではギフト用の商品が高く積み上げられ、
増員された店員やアルバイトが声を枯らして売り込んでいる。

    

Dsc_6551
台湾の正月用品(年貨)市場で

   
Dsc_8537

香港の百貨店でも売り場が一変する

      

豪華に見えないギフトは売れないから
パッケージの色も派手になる

   

Dsc_5791
日本とは明らかに色使いが違う   台湾にて
          

        
もちろん中身も重要だから、日本製の食品や飲料、酒類、健康食品も健闘しているようだ。

    

Dsc_5782_1
台湾中部の高級店にて

     

この時期に大いに高額商品が売れるのだ。

   

また、飾り物や食べ物などの正月用品を中国では「年貨」と呼び、庶民はこの時とばかりに抱えきれないほど買い込む。

   

Dsc_5775
台湾ではあちこちで「年貨大街」が設けられる

     

Dsc_5982
正月飾りの屋台が沢山でる  台北

   

Dsc_4796
おつまみ、キャンデー、ナッツ類も食品の年貨

  

Dsc_6467
鮮やかな色が眩しい台湾の正月飾り

  

Dsc_6438
カゴ一杯に買い込む  台北

  

Dsc_7328
ポチ袋だって年貨   上海で

    

待ちに待った年一度のイベントだけに家族みな賑やかで楽しげでもあるが、日本と同様、慌しくて大変だ。

  

Dsc_4832
コンビニでも  上海

   

師走”に類するような言葉はないのだろうか?

    

Dsc_6258
香港の花屋で

     

Dsc_9875
上海のホテルの装飾

     

    

美味しいお茶の淹れ方知ってます?

   

福岡県八女市21世紀茶業青年の会の研究会が開かれ、私も招かれて参加させていただいた。

   

070215bd

    

八女といえば高級緑茶「玉露」では全国的にも有名な産地であり、八女茶ブランドとしても確立している。

 

070215cha

 

地元の青年の皆さんたちと一緒に、海外の市場開拓・マーケティングについて研修した。

  
070215mtg

     

講演の後、「おいしい緑茶の淹れ方選手権大会」が開かれ、私も志願して一選手として参加させていただいた。

 

070215zen

  

5名の選手がひとつのテーブルに着き、各々グラム3000円もする玉露を同じ茶器で自分流に最高の淹れ方で5杯に分けて入れてから、自分の番号の上に置く。

  

070215chaki

  

自分で淹れた後、隣のテーブルに移り、同じように淹れられた異なる選手の5杯の玉露を飲んで、今度は審査員として一番美味しいと思う番号を投票するのである。
    
もちろん、誰が淹れたのかはわからない。

  

私以外は、緑茶生産者や茶商の青年やJAの緑茶担当者であり、その道のプロである。

   

070215leaf

    

中には日本茶インストラクターの資格を持った人や手もみ技術で全国大会を制覇したツワモノまで何人もいる。

   

私も一応、常識として玉露は入れる温度がとてもナイーブで、人肌くらいに冷ましてから急須に入れることくらい知っていたはず。

     

070215wm
まずは茶器を十分に暖める・・・

    

気合を入れて試合に臨んだ。

     
しかし、温度計がある訳でもなく、頼れるのは自分の経験とカンだけ

  

廻りはじっと腕を組んで待っているのに、私だけ辛抱しきれずに急須にお湯をさしてしまった。

        

その後もしばらく他の4名はジッと動かない・・・。
   

070215wait
腕組みしたまま微動だにしない

    

070215wait2

  

その間の時間の経過がなんと長かったことか。

  

070215wait3

    

5人それぞれが淹れた茶碗の中の玉露の色を見たら一目瞭然だった。

  

070215sai

     

   

完敗・・・・・。

   

私が淹れたお茶は、色も悪いし、冷めると一遍に風味を無くして不味くなってしまっている。

   

070215aft
隣のテーブルの審査

    

初戦敗退である。

   

トホホ・・・   

勉強し直します。

    

    
それにしても、私が審査したテーブルでも
5杯5様で、すべて色も香りも味も違った。

    

甘さ、旨み、渋み、あと口・・・

上手に淹れられたお茶は冷めても美味しいのだ。

   

070215puted2

       

いや、冷めた方が違いがはっきりしてしまうほどだ。

  

なんて奥が深いんだろう!!?

 

俄然、お茶に対して興味が湧いて来た。

  

茶葉の分量、湯の温度、浸出時間、茶器の暖め方、そして心を込めて・・・

     

070215put1

     

知性と精神性の両方が求められるのだ。

    

このような競技(?)をぜひ大消費地や海外でもやってみてはどうだろうか?

     

いっぺんに高級緑茶ファンが増えるはずだ。

 

070215rdy
実は裏方の準備がとても大変なのだ

   

お茶席の抹茶も代表的な日本文化だけど、生活に根ざした美味しくお茶を頂く技法としても日本人の文化を再発見することができる。

  

ワインやコーヒーもいいけど、緑茶もいいぞ。

   

最近、料理の出来る若い男性が女性の間でモテているというが、

世の女性の皆さん!

「日本茶を美味しく淹れられる男性って素敵ッ!!」

と合唱してくれないだろうか。

    

きっと男たちはマイ急須などを持って研究に没頭するに違いない。

    

070215puted

     

ペットボトル全盛の時代、お茶を美味しく淹れられる男性を、私は本当にカッコいいと思う。

       

もちろん女性もとても素敵だ。

        
バレンタインやホワイトデーにはチョコレートもいいけど、八女玉露のリーフ茶なんてのはオシャレじゃないかなあ。

   

070215wtr
   

特別に「水出しの玉露」というのを頂いたが、最高に美味しかった。

   

   
それにしても、八女地区の緑茶生産者の青年たちは皆イケメンぞろいで驚いた。

   

070215ym

   

このまま渋谷の街を歩いても何ら違和感のないような、ルックスもいいし素直で明るいイイ男たちばかり。

   

輝いて見えるだ。

   

この茶業青年の会は40歳が定年で、会員が90余名いるそうである。

   

070215put

   

それだけ若い後継者に恵まれている産業なのだろう。

   

自然を相手にモノ作りする青年は、これから地球レベルで物事を考える時代、もっとも先端を行くリーダー達なのだ。

  

070215hyo
優勝者の表彰  「おめでとう!」

   

ぜひ大きな志を持って、これから世界を相手に飛躍して欲しい。

  

070215pot

   

福岡県は今、緑茶の海外輸出に向けて着々と作業をすすめている。

    

産地青年たちの行動が始まれば、きっと面白い事が起こせると思う。

     

           

甘あ~い香りのイチゴ畑で

      

福岡のイチゴと言えば、「あまおう」というブランドが全国的にも浸透してきている。

   

福岡県産イチゴの主力産地のひとつである八女市を訪ねた。

  

折りしも偶然立ち寄った観光農園にお邪魔した。

    

070131house

     

ちょうど園の担当者の方が、忙しい作業の合間を縫って、何棟ものハウスを案内して頂いた。
    

ここでは、いろいろな種類のイチゴ狩りが楽しめるという趣向だ。

  

070131kanban

    

    

「観てください。あまおうだけ真っ白でしょう? 熟れたものが全く無いんですよッ。」

    

070131amaou1

  

見てみると、確かにあまおうだけ実が赤いものが無い。

  

070131amaou2

   

先週の週末、イチゴ狩りを楽しむ観光客でごった返したそうだが、やはりあまおうの人気は抜群で、みんなあまおうばかりを摘んだもんだから、熟したものが無くなってしまったんだそうだ。

  

あまおうのブランド力は本当にスゴイ。

  

消費者は、価値が高いということを知っていて、集中攻撃を仕掛けたみたいだ。

    

070131kanban1

    

もちろん他の品種も、ほとんど完熟待ちの状態だったが、改めてそれぞれの品種特性について知ることが出来た。

     

070131sachi

    

さちのかは、特に実付きが良い品種だそうで、ご覧の通り鈴なりだ。

     

070131sachi1

      

   

今日頂いたイチゴの中では、さがほのかが美味しかった。

   

070131honoka 070131honoka1
     

この品種は、もう少し暖かくなるとさらに甘みが載ってくるのだそうだ。

    

季節によって美味しい時期が違うそうだから、チョッとした知識があるとお買い得かもしれない。

   

     

とよのかは、かつての福岡イチゴの主力品種だったのだ。

    

070131toyo

    

今はあまおうに主役の座を取って代わられているが、
その甘い香りは健在で、新品種の掛け合わせに必ず使われるらしい。

      
     

紅ほっぺは静岡で開発された品種だそうだが、名前がなんともかわいらしい。

   

070131beni 070131beni1

     

それぞれの品種に食味の特徴があり、また栽培上の違いもあるらしい。
収益力にも差があるので、生産者もその見極めが重要なのだそうだ。

    

070131sandan
なんと三段の高設栽培

    

今は、高設栽培が普及しており、露地栽培に比べ、効率が上がるだけでなく、作業が格段に楽になったそうだ。

     

070131si

    

突然の乱入にもかかわらず、熱心に教えてくださった中山さん、本当にありがとうございました。

      

     

070131tank
貯水槽だろうか? 子供客が喜ぶだろうなあ

      
     

年を越してからも、香港や台湾、シンガポールを中心にアジア各地から、あまおうの注文が相次いで、嬉しい悲鳴が続いている。

   
一説によると、
2005年の日本のイチゴ全輸出量の約8割が福岡産で、昨年2006年も約7割を福岡産が占めたと言われている。
     

これも、生産者、JA、福岡県の数年の努力の結果である。

    

でも、まだまだ海外販路開拓の事業は始まったばかり。

  

来月からは、いよいよアメリカに向けてあまおうの試験輸出も始まる。

    
    
イチゴの大産地アメリカ市場でアジア代表のひとつであるあまおうが果たしてどこまで通用するか?

  

関係者の努力と信念にかかっている。

   

松坂大輔と並んで、頑張れあまおう!!

    

070131amaouhana
あまおうの花

     

     

ロシアの味にノックアウト

   
今回の訪問で多くの予想を大きく裏切った物のひとつにロシア料理の味がある。

061111menu

    
     
私は食品関連のビジネスコーディネーターもしているため、現地受け入れの方に予め無理を言って、ひとり我侭と知りながら手配上、食事に関わる様々な要求をさせてもらった。

   

これまでの印象は、貧しい時代が長く続き、厳しい冬を乗り越える極東ロシアの料理は、質素で味気のない煮込み料理ばかりだろうと、正直まったく期待をしていなかった。

    

しかし、ウラジオストクの街は、その予想を大きく裏切ってくれたのである。

    

 

アメリカ出張での食事は3日目ともなると、食いしん坊の僕でも胃が受け付けなくなり、チャイナタウンか日本料理店に駆け込む始末だが、ロシアでならたぶん数週間は大丈夫だろうと思う。

     
ひと口でロシア料理といっても、伝統的なロシア宮廷料理もあれば、ウクライナやグルジアなどの民族料理も多彩で、中央アジアや黒海地方の珍しい料理もウラジオストクで堪能できる。

   

061111pan     
グルジア料理店で出会ったフォカッチャのようなパン。美味!

    

アルメニア料理は、世界三大料理の一つといわれるトルコの強い影響を受けている、とてもバラエティーにとんだ品々が並ぶ。
    

061111house
ツタで覆われた屋外の東屋の雰囲気は最高

   

羊肉の炭火焼やハーブを使った料理など、これまで味わったことのない美味をこれでもか、と堪能できた。

Herb
様々なハーブを生でいただく
   

061111muton
羊のカバブは絶品

   

またウラジオストクは港町だけあって海産物も豊富で、ナーベレジュナヤ海岸通りと呼ばれるリゾート気分満点の海鮮レストランでは、生まれて初めてこんなに食べたことがないほどのタラバガニを頬張った。
   

061111seaside3

061111kani
この皿を何回追加したことか・・・
   

ひとりで二ハイ(匹)分ぐらい食べただろうか? 年のせいで胃袋が小さくなったことをこんなに悔んだことは無い。
   

061111eat
みんな押し黙って食べる食べる
     

061111kara
目の前にみるみる殻が積み上げられる
      

061111seaside

    

熊エビという聞き慣れないエビを初めて食べたが、味が濃くて、旨み成分の甘さが口いっぱいに広がり、しかも、何匹でもお腹に収まっていく摩訶不思議なエビである。
    

今まで食べた甲殻類で一番美味しかったんじゃないだろうか。

   

まだシャリシャリと冷たさが残る、下ごしらえの極めてお粗末な冷凍エビなのに、である。

061111ebi2
愛らしいユニークな顔をしている
     

日本で輸入すれば間違いなく大ヒットすること保証つきの旨さなのだが、地元でも、シーズンと収穫量が限られてしまうので輸出に回らないのだとか。

わざわざウラジオまで食べに行く価値があるかも…。
   
     

061111seaside2

   

     
もちろんピロシキ、ボルシチ、つぼ焼きスープも、コク深い味で最高だった。
    
やっぱり本場の物を賞味しないとコメントなど出来ないな、とつくづく感じた。

061111borscht
かの有名なロシアン・ボルシチ
   

スープやシチュー料理が、こんなにまで奥深く、美味しい物だとは思わなかった。いや驚いた。
   

061111soup
スープに対する意識が180度変わった一皿。アルメニア料理店で

     

061111soup2
一生忘れられない感動の壷入りスープ

   

061111salmon
サーモンソテー。ロシア料理が脂っこくないことが分かる
   
    

061111tennai
店内は大勢の客でごった返した
  

061111bread
ライ麦製の黒パンも予想以上に美味しかった
      
    

私が大好物のニシンのマリネも無理にお願いして注文し、感動しまくりであった。前菜(ザクースカ)で有名な一品で、キリッと冷えたウォッカにピッタリである。

061111nisin

     

061111vodka
都心のスーパーでは、豊富な種類のウオッカを売っている

      

       

061111ice
アイスクリームが特別美味しいのにみんなビックリ。何故だろう?
    

061111yogurt
やっぱりヨーグルトもあった。カスピ海かな?

    
     
最後に、ロシア紅茶について一言。
     
   
僕は今まで、てっきりロシア人は紅茶の中にジャムを混ぜて飲むのかと思ったら、どうも本場では、ジャムや蜂蜜などを匙で舐めながら紅茶を飲むらしいのだ。

061111tea

     

またひとつ勉強になりました。

      

国際交流最古参の地 ―長崎

   
毎年10月7日から9日まで「長崎くんち」が行なわれる。
   

061008hunadaiku_1
(船大工町の川船)
  

9月9日の重陽節に行なわれたので「くにち」が「おくんち」になったものと言われている。

 

今年は3連休とピタリと重なり、中秋節にも重なった上に好天に恵まれたから、長崎の街は県内外から集まった大勢の人でごった返した。

061008lantarn
(新地中華街のランタン)

 

私は初めてのおくんち参観で、2日間にわたり大いに堪能させてもらった。

これまで、私は長崎くんちは、奉納される諏訪神社の境内でしか見られないものとばかり思い込んでいたのだが、3日間の期間中、市内随所を練り歩き、主要ポイントで出し物の演技が披露される事を知った。

061008neriaruki

   

今回はJR長崎駅前のかもめ広場に陣取って、6つの出し物を鑑賞した。

すでに372年の歴史のある長崎くんちは日本三大まつりのひとつに数えられ、国の重要無形民俗文化財にも指定されている。

 

今年は6つの町が素晴らしい出し物を披露してくれた。

数トンもある山車(だし)を前後に勢いよく引いたり、クルクルと廻す曳き物。男衆たちの力強さは他の勇壮な祭りと比べても引けをとらない。
 

061008syuinsen 
(本石灰町の御朱印船)

演技が終わるたびに、観客から威勢よく「モッテコーイ!」 「ショモー(所望)ヤレー」と掛け声がかかると、また引き返して再度演技を始める。

Dsc_1999
会場全体が「モッテコーイ・コール」でどよめく
 

いわば祭りのアンコールである。これが感動ものなのだ

演技者も観客も一体となって、大きな興奮に包まれる。
   

061008kujira
(万屋町の鯨の潮吹き)

 

また、本踊りと呼ばれる日本舞踊や阿蘭陀漫才など、あでやかな舞いや子供たちのコミカルな動きは、しばし緊張をほぐしてくれる。

061008odanda2
(栄町の阿蘭陀漫才)

061008oranda_1 061008nitibu2 

061008nitibu

061008nitibuback

  

町の幹部の装束も面白い。
   
日本の羽織に、下は中国の唐人パッチを履き、西洋の山高帽子をかぶるのだ。

061008kanbu_3 061008kanbu2_2

 
  

そう、和・華・蘭(わからん)チャンポン文化なのである。

 

061008syuinvet  
(ベトナムから凱旋帰国したテーマがモチーフに)

061008aozai
ベトナムのアオザイ姿も…
  

お囃子の音楽も、三味線あり、銅鑼や鐘もあり、異国情緒がタップリだ。
 

翌朝、各町内の出発式も見学した。

41年ぶりに参加する花町があった丸山町は、さすがに粋な風情。

061008maruyama
(丸山町の出発式の模様)

061008maruyamamusume
061008maruyamataiko

地元に根付き、老若男女地域共同体の伝統が垣間見えて興味深かった。

鎖国時代から、海外交流の唯一の窓口として重要な役割を担った長崎。

日本で最も早くから国際交流を始めていた長崎の人たちの活躍の舞台は今も世界に広がっている。

いわば国際派最先端のDNAを持った人たちだ。
  

どこかハイカラでセンスが良く、垢抜けているのも港町特有の情緒かも知れない。

 

061008neriaruki2
期間中、こうして町中を練り歩く

  

一度はぜひ足を運んで見学することを勧めたい秋祭りである。

  

韓国人、台湾人観光客はもとより、インド人、ロシア人、マレー人の観光客を見つけた。誘致活動もすすんでいるようだ。

Dsc_1350
長崎駅にて

   

2日間にわたり案内してくれた国際派のNさん、本当にありがとうございました。

 

日本ブランド農産物が空の玄関にもお目見え

回のエントリに続き、成田の話題をもうひとつ。

060722apt
成田空港出発ターミナル

少し前の話になるが、6月5日、
海外出張のためにいつものように成田空港に行ったら、
出国審査を出た後の一角(第2ターミナルビル本館3階)にJAが日本の農産物を宣伝・販売するコーナーを見つけた。

その名もぶらんどJAである。

パスポート検査の後すぐの場所で、免税品の買い物に散らばる前の多くの人が通過するローケーションのよい所だけにプロモーションには格好の場所ではないだろうか。

店舗の外観は黒を貴重にしたとてもシックなデザインだ。

060722syomen 

あまりに洗練されているので、およそ農産物の販売店というイメージとは大きく異なるところが斬新だ。

どんどん買ってくださいという免税店とは明らかに一線を画しているようで、日本を訪れる外国人に対して、ハイテク、アニメだけでなくジャパンブランドの農産物を紹介するという情報発信機能が前面に出ている。

ちょうど3日前の6月2日に正式オープンし、式典には中川農水大臣も駆けつけたという。

060722guest_1
店内の様子

季節商品として、メロンさくらんぼが販売されていた。

さくらんぼは化粧箱入りで15000円とかなり高価だから、簡単に誰でも手土産に買っていけるものではないが、技術王国・日本の高品質農産物を知ることはできる。

奥には、コシヒカリやあきたこまちなど日本を代表するブランド米や高級煎茶、梅干や乾し椎茸などの加工食品なども取り扱っていた。

060722melon

試しに、販売されていたブランド米450グラム(500円)をひとパック買い求めてみた。

お土産用のお米だから、もちろん国内で普通に買うより明らかに割高だけれども、ワンコインで買える価格だから、数個なら手にも持てるし、海外で配って話題作りになるだろう

和服を着た親切な店員さんから、お米に関する話を聞く。

英語や他の外国語が出来るかどうかは判らないが、日本語で丁寧に商品情報やこのコーナー設立の趣旨を説明してもらう。

060722enter_1

0607022matrix_2また買う時に、これからどこの国へ行くのかと尋ねられる。

農産物は、国によって個人で持ち込める商品に制限があるからだ。

資料で持ち込めることが出来ることを確認してから売ってくれる仕組みだ。

店内にも日本語と英語で国別、品目別にマトリックスで持ち込み可否が判るポスターやパンフレットが備えてあるが、これが少し判りにくい。

でも、買う時に確認してくれるから、それもよいか・・・

お米を買うと、サービスとして商品に貼れるよう日本チックなデザインのステッカーをつけてくれる

浮世絵とか、富士山、桜、和のデザインなど20数種類の中から好きなものが選ぶことが出来る。

これはとても洒落たサービスだと思うのだが、残念ながら実際に買ってみないとそういうサービスがあることが分からない。もったいない。

060722rice
好きなステッカーを選んで、パッケージに貼る

全体コンセプトから、商品、サービスに至るまで、斬新なアイデアが散りばめられているが、まだスタートしたばかりで、きっと試行錯誤なのだろう。

「まず事を起こし、走りながら考える」ことを良しとする、私の信条には合致している。

060722pirot

もっとも今後、これをどう生かすかは、現場の不断の改良と努力が必要だろう。

かなりの実践を必要とするが、やり方によっては、貴重な情報受発信の場として活用することができるかも知れない。

今後の展開を注目したい。

とんだトバッチリ

まさか、最後にドンデン返しが起ころうとは!! 

中国での出張日程をすべて順調に終え、ビジネス交渉も上手くすすみ、いよいよ帰国の途に着くことになった。

060721peking_1
まさかこれから災難が降りかかろうとは…  北京空港にて

北京空港でも、予定通りの離陸のアナウンスを受けて
無事中国国際航空(CA)の機内に着席したと思ったら、
それから1時間以上経っても、
機体は出発スポットに張り付いたままピクリともしない

もちろん気の利いた説明アナウンスや謝罪の言葉などあろうはずも無い。

皆イライラしていると、離陸もしないうちに乗務員が機内食を配りだしたのには驚いた。

「マズいッ!」

機内食の味のことではない。

もともとの成田到着時刻が午後9時だから、出発が2時間以上遅れたら、接続の交通機関が無くなってしまうので、その日のうちには自宅に帰りつけないと直感したのだ。

私は大体、機内食を食べないことにしているのだが、そのうち乗務員が慌しく食器を片付け始めたのである。

暫くすると機体がゆるりと動き始めた

狭い機内に長時間閉じ込められていた乗客も安堵の声をあげてくつろぎ始めた。

2時間遅れだ。

「やっぱりマズい!」

予感は当たった。

やっとのことで成田に着いたのが夜10時50分。

もう成田23時05分発のの最終列車には間に合わない。

060721arrive
出迎えホールに誰もいないおかしな風景

航空会社が、東京駅と新宿、横浜行きの無料バスを出すと言うのだが、それに乗っても、結局その先の電車は終電を過ぎて無くなっている。

深夜新宿で、重い荷物をガラガラ引いてホテル探しをするのも大変だ。とはいえ、成田で高いホテルに泊まるのは癪に障る。

ここは思い切って空港のベンチで一夜を明かす決意をした。

何十年ぶりだろうか。20代のサラリーマンの頃、ときおり公園や駅のベンチで夜を明かしたことを思い出した。今でもきっと出来るはず…。

060721haul_1
深夜の成田空港のホール

ベンチで長期戦の構えに移ろうと思った矢先、県警の人にここはダメだから別のところに移るよう促された。なんてことはない、夜明かし人を一箇所に集められただけのことで、やはりベンチに寝ることには変わりなかった。

警察官にパスポートを見せ、住所や連絡先を細かく聞かれ、それとは別に警備会社の人にも同じ事を確認された。近々、空港反対派の集会が予定されているのだそうだ。だからロッカーも使えない

ホールの照明も落とされ、なんだか蒸し暑い。

「なぜ僕は今、こんなところに居るんだろう…。」
さまよえる旅人の心境だ。

ベンチで寝ているのは、欧米人の中年男女が数名と日系ブラジル人の老人、そして中国人の若い女性で、日本人は僕だけであった。

060721bench

さながらワールドカップ状態だ。

サムライ日本を代表する僕が、ここでメゲではいけないのだ。

それにしても皆んな、アッという間に横になって寝入っている。

なんと逞しい事だろうか…。

060721bench2

結局僕は一睡もせず、ずっとパソコンで仕事をする羽目になった。

おかげさまで、原稿3本と出張レポートが完成したのは喜ばしい限りではあるけれど。

中国の航空会社にしてみれば、たった2時間遅れただけだろうが、
この「たった2時間」のおかげで、とんでもないトバッチリを受けてしまったのである。

それにしても、僕らがベンチで休んでいる間、
ずっと警備員の方が交代で夜通し見張りをしてくれた。

060721keibi

心から感謝している。

一夜明けて、帰国したんだな、と初めて思った。

帰国した日に、余計に日本で一泊して帰宅できないというのは、本当に心身疲れるもの。

チョー便利な成田空港 バンザイ!!

名物に旨い物はあるか?(その2)

(前回から続き)
津三絶の二番目は、日本でも有名な「十八街・麻花(マーファー)」だ。

日本のかりん糖を巨大にしたような、小麦粉をねじって油で揚げた甘い菓子で、ゴマやナッツ、サンザシ、ミントなどトッピングによって様々な味がある。

060702mahuar2

作りたての麻花は、さほど脂っこくないが、かなり硬くてボリューム感があり、ひとつ食べるのに結構閉口してしまった。

天津の人の話によると、
昔は年中、よく外から買って食べたらしいが、
最近は若い人などを中心に、あまり食べなくなったらしい。

どうせなら、このブランド名にある「十八街」という所に行って、元祖か本家だかの麻花を食べようと思うのだが、天津の大沽南路がそのルーツだそうだ。次回はぜひ足を運んでみたい。どうも「桂發祥」という老舗が有名らしい。

060702mahuar

長崎や横浜の中華街にもこの麻花児(マーファール)という名のお菓子が昔からあり、私も小さい頃、これを食べた記憶がある。

後の3番目は、「耳朶眼の揚げ饅頭」。

060702erduoyan

これは中国でも天津以外ではあまり有名ではなさそうで、もちろん私も知らなかった。

060702erduoyan1

柔らかな餅皮の中にこし餡が入った揚げ饅頭(炸羔)で、日本のものと大差なく、これは日本人にも結構いける思う。
揚げたてのものは、中はしっとりとやわらかく、外はサクサクと香ばしい。

060702erduoyan2

ただ、麹が入っているからか、油が酸化しているためか知らないが、妙に酸っぱい味がして、これも少々閉口する。

以上、三種の食べ物が「天津三絶」と呼ばれる名物だそうである。

どれも、なんだかもう一息という感じだ。

ものすごく美味しいかと問われれば、
答えは、「名物に旨いもの**」といったところか。

なみに、河北省の良郷という所が特産の「天津甘栗(糖炒栗子)」というのは存在するが、あのカニ玉あんがのった「天津丼」「天津麺という食べ物は、昭和初期に日本で発明されたといわれており、天津には存在しない

060702amaguri
甘栗は存在するが・・・

もう10年以上も前になるが、
同行したグルメ探求派の日本の方から「ぜひ本場の天津丼が食べたい」と散々せがまれて、
これにも閉口したことを今でも鮮明に覚えている。

060702shipinjie
天津の旨いものが集まる「南市食品街」

明代に「天子の津」と呼ばれ、19世紀後半に起こった「洋務運動」の拠点のひとつとしての天津は、「浜海新区」に対する国家の重点投資が始まっおり、至る所で再開発の真っ只中にある。

どちらかというと、これまで遅い発展、保守的な考え方を持つと言われてきた天津は何処へ向かうのだろうか。

名物に旨い物はあるか?(その1)

天津三絶」という言葉をご存知だろうか?   天津三絶060702sanjueの看板

天津の3種の名物というような意味で、
街を歩くとこの言葉を時々目にする。

その筆頭は、全国的にも有名な天津名物「狗不理(ゴウブリー)包子」(豚饅頭)だ。

「狗不理」は約150年も続く「中国老字號」(老舗ブランド)のひとつで、
天津に初めて来たら誰でも一度は食べてみたいと思う一品だ。

この狗不理の名前の由来だが、
よく「犬も見向きもしない」との直訳でまことしやかに言われているのだが、
犬も食わない様な物が、何で旨い名物を指すのか私にはこれまでどうしても解せなかった

ちなみに中国語で「狗」とは犬のことで、
「理」とは、ここでは動詞で(相手にする・構う)という意味である。

どうもこの由来は、巷でも意外に知られていないようなのだ。
タクシーの運転手に聞いてもあやふやで、
天津っ子でも正確に知らない人がいる位だから、
結構いい加減なのか、はたまたどうでもいいことなのだろうか。

060702en

由来を簡単に説明すると、

今から150年余り前に河北省武清県に生まれた幼名「狗子」(ワンちゃん)と呼ばれた男が、天津で肉饅頭屋を始めたが、これがめっぽう美味しくて大変な評判を呼んだ。

しかし、あまりに忙しく、いちいち接客できない(狗子売包子不理人)ため、いつしか人々の間で「狗不理」客をかまわない狗子)と呼ばれるようになったのだという。

天津の本店で、そう解説してあったから、これが真説なのだろう。

060702yurai
本店の解説文

最近、日本でも職人堅気で、無愛想なラーメン屋の主人がいるけれども、そんな感じなのだろうか。

今や全国に多くのフランチャイズを持つ「狗不理包子舗」だが、天津に来たらやっぱり総本店で食べたくなるのが旅人の人情というものだ。

060702goubuli
本店正面

蒸し立ての肉まんを一口ほお張ってみる。

「ん~ッ!?」

実は、見た目は特別ウマそうではなく、また食感もさほど良い訳ではない。上海の小籠包のように、熱々のスープが滲み出てくる訳でもない。どちらかと言うとパサパサとした感じで、肉餡も少なく、拍子抜けしてしまった。

060702baozi

ところが、一口食べると、またひと口と箸が伸びる。

強いて言えば、なんだか不思議な後を引く旨さなのだ。

値段が高い「三鮮包」(三種餡)よりも、安い「猪肉包」(豚肉だけの餡)の微妙なコクと塩加減の方が私には食欲をそそる。

軽食セットでは、この肉まんに、粟と緑豆で出来たお粥や醤油漬けの漬物を一緒に添えて食べるようだ。

060702xifan 添え物の粟・緑豆粥

今回ばかりは、狗不理の肉まんの味よりも、
犬が見向きしないのではなく、
主人のワンちゃんが客に見向きもしないという店名の由来を知り、
長年の謎がクリアになったことの方が感動したと言ったら天津の人に悪いだろうか?  (続く)

060702hoobaru
みんな、包子をほおばる、ほおばる

060702wall
街頭の壁にまで…(狗不理の肉まんをいつも食べると長寿になると書かれている)