今回の訪問で多くの予想を大きく裏切った物のひとつにロシア料理の味がある。
私は食品関連のビジネスコーディネーターもしているため、現地受け入れの方に予め無理を言って、ひとり我侭と知りながら手配上、食事に関わる様々な要求をさせてもらった。
これまでの印象は、貧しい時代が長く続き、厳しい冬を乗り越える極東ロシアの料理は、質素で味気のない煮込み料理ばかりだろうと、正直まったく期待をしていなかった。
しかし、ウラジオストクの街は、その予想を大きく裏切ってくれたのである。
アメリカ出張での食事は3日目ともなると、食いしん坊の僕でも胃が受け付けなくなり、チャイナタウンか日本料理店に駆け込む始末だが、ロシアでならたぶん数週間は大丈夫だろうと思う。
ひと口でロシア料理といっても、伝統的なロシア宮廷料理もあれば、ウクライナやグルジアなどの民族料理も多彩で、中央アジアや黒海地方の珍しい料理もウラジオストクで堪能できる。
アルメニア料理は、世界三大料理の一つといわれるトルコの強い影響を受けている、とてもバラエティーにとんだ品々が並ぶ。
羊肉の炭火焼やハーブを使った料理など、これまで味わったことのない美味をこれでもか、と堪能できた。
羊のカバブは絶品
またウラジオストクは港町だけあって海産物も豊富で、ナーベレジュナヤ海岸通りと呼ばれるリゾート気分満点の海鮮レストランでは、生まれて初めてこんなに食べたことがないほどのタラバガニを頬張った。
ひとりで二ハイ(匹)分ぐらい食べただろうか? 年のせいで胃袋が小さくなったことをこんなに悔んだことは無い。
みんな押し黙って食べる食べる
目の前にみるみる殻が積み上げられる
熊エビという聞き慣れないエビを初めて食べたが、味が濃くて、旨み成分の甘さが口いっぱいに広がり、しかも、何匹でもお腹に収まっていく摩訶不思議なエビである。
今まで食べた甲殻類で一番美味しかったんじゃないだろうか。
まだシャリシャリと冷たさが残る、下ごしらえの極めてお粗末な冷凍エビなのに、である。
愛らしいユニークな顔をしている
日本で輸入すれば間違いなく大ヒットすること保証つきの旨さなのだが、地元でも、シーズンと収穫量が限られてしまうので輸出に回らないのだとか。
わざわざウラジオまで食べに行く価値があるかも…。
もちろんピロシキ、ボルシチ、つぼ焼きスープも、コク深い味で最高だった。
やっぱり本場の物を賞味しないとコメントなど出来ないな、とつくづく感じた。
かの有名なロシアン・ボルシチ
スープやシチュー料理が、こんなにまで奥深く、美味しい物だとは思わなかった。いや驚いた。
スープに対する意識が180度変わった一皿。アルメニア料理店で
サーモンソテー。ロシア料理が脂っこくないことが分かる
私が大好物のニシンのマリネも無理にお願いして注文し、感動しまくりであった。前菜(ザクースカ)で有名な一品で、キリッと冷えたウォッカにピッタリである。
アイスクリームが特別美味しいのにみんなビックリ。何故だろう?
やっぱりヨーグルトもあった。カスピ海かな?
最後に、ロシア紅茶について一言。
僕は今まで、てっきりロシア人は紅茶の中にジャムを混ぜて飲むのかと思ったら、どうも本場では、ジャムや蜂蜜などを匙で舐めながら紅茶を飲むらしいのだ。
またひとつ勉強になりました。
田中 豊
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すごいですね。日本人にはロシアって嫌いな国のベストスリーくらいになるんでしょうけど、食べ物がそんなに美味しいとしたら順位がツーランクくらい軽くアップしそうですね。それに美人秘書がつけばなおさら(笑)