香港で名月(その2)

(前々回より続く)

中秋の10月3日夕刻、
日が傾きだして、再び香港島の中心部に戻ってきた。

    
   
向こう岸には、
夜が始まったばかりの九龍半島側が望める海岸べりを歩く。
     

         
目の前には、漁船や運搬船など小型の船が多数係留されている。

   
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80年代でも、船上生活者や船で商いをする人が沢山いて、この辺でも旅行客向けの遊覧船があり、簡単な海鮮料理を作って出す船や、飲み物・果物を売りにくる小船なんかも寄って来たりして、それはそれは香港らしく、とても風情のあるシーンであった。

   
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今はそんな面影も薄れ、大型の漁船の広間を時間貸しにして
船上マージャン荘なんかを開いているのを目にして、
少しだけ昔を思い出した。

   

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名月を観ながら船上マージャン   ― 香港式の風流だな

     

    

いつの間にか夜空には、中秋の名月が輝いている。

    

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日本の静かに過ごすお月見も
季節を感じることが出来てとても素晴らしい習慣だが、
半袖で過ごす港町香港のお月見もまた格別。
     

    
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若いカップルも体を寄せ合い、100万ドルの夜景と海に映った満月をまぶたに重ねながら、いつまでも愛を語らうかのよう。

   
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二人の目にはどう映っているのだろう?

   
   
ほかにも家族、老夫婦、仲間連れなどが思い思いに
楽しそうにこの海浜プロムナードをそぞろ歩く。

   

    
以前、香港に住んでいた時、中秋の晩には、銅鑼湾(コーズウェイベイ)のビクトリアパークで大勢の市民が持ち寄った月餅などの金属製の缶や蓋の上にろうそくを立てて火を灯して、静かに見守る、
とても幻想的なシーンがあったっけ
、と思い出して、早速タクシーに乗って行ってみた。

   
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中秋のお祝いセット

     

      

いるわいるわ、大勢の市民たちが公園に向かっている。

      
ゲートには「採燈会入口」と横断幕が張られているぞ。

   
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中に入ると、以前とチト様子が違う。

   
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どうも、今は
公園内では火を灯してはいけないことになっているらしい。

    
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火災や火傷の危険だからだろうか、それとも公園を汚すから?

   
   

それに替わり、あちこちに大掛かりな電飾ランタンが飾られている。

  
まるで香港の豊かさを象徴するかのように・・・。
      

   
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月夜の公園はランタンと大勢の市民たちで、とても賑やか。

    
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親子連れもロウソクの代わりに蛍光グッズで

   

子供たちも楽しそう。

   
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デジカメがあちこちで大活躍だ。

   
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屋外ステージでは、粤劇(えつげき・京劇の広東版)をやってるぞ。
    

  
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満月の夜、野外で演じられる粤劇は
数百年の昔からの風習だろうから、とてもしっくりとくる。
      

せりふの意味は解らなくても、どこか懐かしく、
しばらく見惚れていた。

  
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伝統楽器の囃子と抜けるような広東語の節回しが
心にグッと響いてくるネ。

  
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いつもは喧嘩をしてるかのように聞こえる機関銃のようなおしゃべりが大好きな香港人も、満月のお月様の下では、なんとなく物静か。

   
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日本の多くの文化や農作業の節目である節句
中国から伝わってきた。

   

家族や生活の営み、自然との融合を生み出した東洋の知恵に、
改めて敬意を込めて、こんな心持ちを大切にしていきたいな、
とソッと心の中で感じた夜だった。

   
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記念撮影   みんな中秋の物語を知っている       
        

香港で名月(その1)

      
今年は旧暦の8月15日、すなわち中秋節が10月3日となり、
1日の国慶節の祝日と重なったから、香港の街もひときわ賑やかな様子となった。

   

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香港でもお月様といえばウサギさんなんだ
     

      
  
街では、中秋にはなくてはならない月餅も売り出している。

  
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あちこちで月餅を買うことが出来る

   
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氷皮ってアイスクリームの月餅なのかな          コーズウェイベイで

     

   

高級スーパーなどに行くと、
この時期日本産の梨が山積みに売られている。

   

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満月にちなみ、ギフト用やちょっぴり贅沢なデザートとして
広く市民に好んで買って頂く。

  

僕が今回、目にしたのは鳥取梨、大分日田梨、福島梨などだった。

   

日本国内と異なり、大玉が人気のようだ。

        
   

   

        *                   *

       

         

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午後、時間をやりくりして、
香港島南東郊外の石澳
(Shek O )へ約10年ぶりくらいに足を運んだ。

   

昔から有名なビーチで、
10月というのに多くの若者たちが海水浴やサーフィンを楽しんでいた。

      

     

日本では十五夜にススキ・お団子の季節に海水浴なんて
考えられないけれど・・・

     
      

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週末ということもあって、海水浴場は人でいっぱい。

    

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いつも観察していて面白いのは、
浜辺でのバーベキューBBQと表示する)である。

   
    
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日本でも若い人の間でおなじみだが、香港では趣向がチト違う。

   

ここではお決まりである二股のBBQ専用の大串に、
肉や野菜などそれぞれ好きな食材を突き刺して炭火で焼くのだが、
なぜか串を持ったまま焼くのである。
   

     
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日本のように網の上に載せてひっくり返しながら焼けば
もっと楽そうなのだが、こちらではおしゃべりしながら、持ったまま。

   

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自分で焼くものには自分の責任で、ということか、
それとも人に取られないように???
      

でも結構、和気あいあいな雰囲気。

   
   

さらに不思議なのは、
必ず食材にハチミツを刷毛で塗ってから焼くのだ。
(瓶に糖漿と書いてあるから水飴かも)

   

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香港のBBQでは絶対定番のハチミツなのだ
   

   
焼肉はsimpleに塩と胡椒だけに限るぜ!

などというウンチクは、ここでは通用しない。

 

見るからに甘ったるそうなのだが、

こちらではそれがイケるんだそうだ。

   

ところ変われば… である。

    

     
聞けば、台湾では中秋の節句の時に、
全島的にバーベキューをするのが最近の慣わしだそうだ。

     

おかげで、中秋前には、
肉やトウモロコシが飛ぶように売れるらしい。

      

精肉業界の仕掛けでも図星当たったのかなぁ。

      

  

もっとも香港ではそうでないらしいから、これも不思議。

      

       

      

そうこうしているうちに陽も西に傾き、あたりが暗くなってきた。

   

さあ、今宵は中秋。

   

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夜、火を灯して持ち歩く香港のちょうちんは、昼間観ても綺麗

     
      

       
まもなく満月もお顔を出してくれることだろう。

 

        

久しぶりに香港で名月鑑賞だ。

                                  (次回に続く)

             

還暦なるも思春期の

      
今、水シリーズのドバイ編を紹介中だが、
ちょっと中断して、時事海外レポートをひとつ。

    

   
急用で数日間、中国広東省と香港を駆け足で廻ってきた。

   
     
おりしも10月1日は中国の建国記念日、

いわゆる「国慶節」である。

    

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香港の目抜き通りで

    

    
今年はちょうど建国60周年ということで、
人で言えば還暦を迎えたことになる。

  

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還暦といえば、日本のように「高度に」成熟し、
異常なほどに分別も利くが、一方でなんとなく夢や志しを持てなくなり、自己改革も進まないまま外部環境の変化にも疎くなってしまい、
もう耳でも遠くなったかのような内向き論議がお盛んである。

     
   

他方、中国は1950年代末から70年末にかけて、
内戦に近いほどのとんでもない遠回りをしてしまったため、
近代的な発展という意味では、ようやく思春期を迎えたような段階にある。

 
それを自ら「小康」状態と呼んでいる。

     
でも、世界に向けて公約した改革開放政策の初期目標をおおむね実現したことになる。

    

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去年オリンピックも無事開催し、来年は万博だ。

     

    

もっとも成長期には、体も心も異常なほどアンバランスなもの。
あちこちが歪(ひず)んでくる。

    

日本だってそうだった。

    

今でこそ、平穏・均一・清潔な先進社会にいるような気分だが、
五輪と万博の狭間の1960年代末後半に国内はどういう状況であったか思い起こしてみるといい。

   

1960年代の出来事
http://ja.wikipedia.org/wiki/1960%E5%B9%B4%E4%BB%A3

    

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今、CO2削減だ、高度民主化だ、などと新興国に求めるが、
自分たちも長年のプロセスで築いてきた価値観をそのまま押し付けてもなかなか事は進まないだろう。

      

僕らだってつい20年くらい前はバブル一直線で豊かさを追い求め、欧米先進国の人権や環境意識、動物愛護精神、循環型農業などを垣間見て、ただただよその国のことと感じていたような気がするのだが、自分だけだろうか?

    

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長い間、英国の影響を受けてきた香港

        
         

だからといって思春期の若者には、
周囲の理解と冷静・適切な対応が必要なことはいうまでもない。

   

     
興奮してまともにガチンコで対峙しても
きっとよい結果は生まれないだろう。

   

   
今、世界では皮肉にも米欧日に替わる新たな元気のよい
若者を探している
のも事実。

    

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翌日の香港の大陸系新聞「大公報」の一面

    
    

天安門前の壮大な軍事パレードを中国国営テレビのライブ中継で観ても、国力の誇示、威信の発揚、統率感などを全面に感じ、
リーゼントに革ジャンの若者がバイクを空ぶかししている感もないわけではないが、
    
僕も小学生くらいの頃から数えて約40年近く注目してきたこの国の経緯を見つつ、今後も時間経過という軸を据えて、冷静に、大局的に注目していきたい。

    

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世界を視野に「中国は世界に貢献できる」と自信をのぞかせる

    
     

      

本音を言おう。

   
   
還暦を迎えたこの国の今後を心配する向きもある。

さらにそのお隣の国もそうだ。

     

しかし、僕は「成熟しきった」わが祖国の行く末の方が、
何倍も何十倍も心配である。

     

     
今こそ、明るくいこう、ニッポンらしくいこう!!

    
   
   
分別の利いた大人たちが目をしかめるほどの非常識行動派の人々、若者、女性、シルバーの突破力こそが日本の宝だ、
と僕は思う。

    
           

病気に憂い、病名にも憂う

       
新たな気持ちで再スタートをしようと思ったら、
世界中で新型インフルエンザの話題が持ち切になってしまっている。

       
   
報道ではずっと豚インフルエンザと呼んでいるが、
どうしても気になってしまう。

      
腑に落ちない。

    

   
報道でも豚肉を食べても安全だ、とマイナスの風評が広がらないよう一定の配慮がなわれているが、生産者の皆さんはきっと懸念されているだろうな、ととても気がかりだ。

    
      

30日朝現在、WHOでも豚から人へ感染したことは完全に認めているわけではないというではないか!

     

      
つい2月も活発元気で勉強意欲旺盛な2社の生産者の方ともシンガポールにお供したり、国の事業の支援先もある。

   

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我が国には世界に誇れる生産管理をしている事業者が多い

     

         

大きな影響が無ければいいが。

   
     

それにしても、BSEで牛肉、鳥インフルエンザで鶏肉、そして・・・。

  
世界中で食生活・食材需給が変化シフトするのだろうか?

        

      
      
ところで、病名と言えば、
インフルエンザには、Aソ連型とか、香港型などと言われているものがある。

    
初めてウイルスが発見された場所なんだろうけれど、これが正式名なのか、通称なのか分からない。

              

僕らは結構普通に使っているけれども、今のロシアや香港にとっては多分に迷惑な呼称なんじゃないだろうか。他にもスペイン風邪などもあった。

     

    

   
そこで、この写真を見てほしい。

    

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ここは香港の中心部の人通りの多い一角である。

写真では大きさが分からないが、大型の看板大で結構目に付く大きさなのだ。

     

登革熱とは、熱帯地方などでよく発症する感染症であるデング熱のことである。

    

   

今、香港や台湾では都市部でも蚊を媒体とした日本脳炎とデング熱が再び発生しているらしく、このような注意を促すポスターなどが人目につくところに張られている。

    

    

この日本脳炎という病名も、海外で改めて見てみるとなんか気にかかってしまう。

      
僕もしょっちゅうここを通るのだが、そのたびに複雑な思いがしている。

      

アジアの人たちから観るととても恐ろしい病気のようなイメージに重なるだろうか?

など余計なことも考えてしまう。

       

なんで地域の名前を冠するのだろうか?

      

とは言え、天文のように発見者や研究所の名前というのも都合が悪いんだろうな。

    

    
    
最近、地域の皆さんとブランドだとか、イメージだとか盛んに議論するようになったから、余計に気になってしまうのだ。

      

メキシコとのFTA締結で両国の往来が活発になったシンボルのひとつでもある豚肉だけに複雑な思いもする。

      

いずれにしても豚やメキシコのイメージが損なわれないことを心から祈っている。

    

     
感染症と言えば、2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)がアジアでパニックを引き起こし、当時3年目を迎えた「ニッポンを売る!」活動が大きな転機となったことを、今でも鮮明に覚えている。

    
    

暴風吹き荒れる世界(その2)

    
(先回から続く)
        

台風「黒格比」(ハッカビー)と共に、アメリカ・ウォール街から来襲した「リーマンショック」が、アジアのグローバル化先進地である香港を襲った。  

    

この日、香港の株価指数であるハンセン指数が700ポイント近く急落。

    

リーマンブラザーズの個人向け小口債権を買った市民たちが決起に集結したり、風評により、ある有力銀行の取り付け騒ぎが起こったりして終日混乱した。

   
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風評の大きさを知る

     

銀行の取り付け騒ぎはその後も数日続いたが、
報道によると1997年のアジア通貨危機で銀行倒産に追い込まれた時以来ということである。

   
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また、もうひとつメラミン入り粉ミルク問題が火を噴いた。

    

まず小さな子供を持つ家庭で混乱が起こり、政府が指定病院・保健所での腎臓結石等の無料検診を発表したところ、多くの親子連れが検査に訪れ大混乱した。

    

関係の病院にも足を運んでみた。
    
   
心配そうな親子の表情、時折泣きじゃくる乳児など緊張感が伝わる。 ※報道人や写真家ではないので、さすがにカメラを向けることは出来なかった。

     

その後、菓子や加工食品、業務用食材、外食メニューなどから次々とメラミン検出の報道が相次ぎ、日本の比ではない食品パニックが起きている

    

事は乳幼児の食べ物ということもあり、中国大陸産食品の安全性に対し、決定的な不信感を増長させる事件となっているようだ。

   

日本産粉ミルクが引っ張りだこになったりプレミアムがついているが、現地のプロの流通マンは、日本の畜産業の現状、原乳等の供給が決定的に少ないことも知っている。
     
今はデンマーク産やニュージーランド産も打診している業者もいる。

   

それにしても日本製品の安全性に対する海外の信頼度の強さを改めて知らされた

   
国内の消費者同様、海外の消費者も日本産を求めているのである。

むしろ、より高い価値を認めているようにすら見える。

    

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香港でも秋果実が並び始めた。甘柿は人気。

   
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日本種のかんしょ(サツマイモ)も香港ではすっかり定着

          

      

金融危機の方は、まだほんの始まりに過ぎない。
      

僕はつい2週間前にNYCウォール街で生の声を聞いたばかり。
      

香港でも、まだ債権や保険など直接米国産金融商品を購入した人だけが騒いでいるが、これから地元金融機関のリストラや減給、もしかしたら再編劇も十分に考えられ、これが製造・サービスなどあらゆる産業に波及し、長期の消費不況、高額商品の敬遠などの状況が予測される。

   
    
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「ウォール街時代の終焉」と大見出し  蘋果日報経済面から

     

一方で、日本以上にアジア各地では中国産商品への不信、日本ブランドへの要求がより強まる傾向もあるだろう。

    

これからはますます、日本国内、香港、台湾、シンガポール、中国など全世界の経済・金融情勢の行方を固唾を呑んで注視し、果敢にチャレンジすることでのみ、自らの生きる道を切り開くことができるのだ。

      

        

金融も農業も、今静かではあるが日本は海外から求められているとみて良いと考える。

      

今こそ、内向きにならず、世界に拓くべし、 だ。
                            
                             (シリーズ終わり)

   

    

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香港は食糧自給率ほぼゼロ。
一人当たりGDPは日本に急接近している。

   

    

暴風吹き荒れる世界(その1)

     
今、南米編を自動更新でアップしているが、
実はその間、香港へ出張していた。

      
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現地で目の当たりにした時事の話題を臨時アップする。

      

     
香港入りしたその日は
まもなく台風「ハッカビー」(黒格比と漢字表記)が通過するということで少し慌しくなっていた。

    

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真っ黒い雨雲が猛スピードで動いていく

   
     

香港島・西区の問屋街でも、
いつもは冗談交じりの下町独特の風情だが、
この日は夕方の再接近に備えて、商品の搬送にも心なしか緊張が走っているように思えた。

      
    
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動きがいつもより慌しい・・・

     
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補修を急ぐ

   
       

午後を過ぎると、風雨が強まり3級台風警報のシグナルが発表されると仕事を切り上げて家路に急ぐ人の姿が目に付くようになった。

     
       
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一晩中激しい風雨が吹き荒れ、特に予想外の降雨に「少し様子がおかしいな?」とよそ者の僕にも感じるほどの凄さだった。

    
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外での営業ももう限界。店閉まいだ

  
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そろそろ傘も役に立たなくなってきた  

      

翌日の方では案の定、香港の沿岸地区、マカオの一部地域で浸水被害に見舞われ、

こんな水害は50年来経験したことがない

というTVニュースでの住民のコメントも。日本でも最近よく聞くフレーズだ。

     

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その後も台風一過とはいかず、大雨に見舞われて動きが取れなかった。

    

ひどい風雨だった・・・。

     

たまに居合わせた台風を恨めしく思ったが、
その日さらなる暴風雨に見舞われることになったのだ。
                            (次回に続く)

      

正月の大フィーバー(その1)

         

中華圏では、新暦の1月1日ではなく
伝統的に旧暦正月を祝う習慣がある。

   

今年は2月18日が旧暦の元旦に当たる。

         

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上海の目抜き通りで

     

出身地を遠くはなれ都会に仕事に出たり、
移民や仕事・留学のために世界中に散っている家族たちも
この季節は生まれ故郷に集合するのだ。

     

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香港の花屋で

        

旧正月(春節とも呼ぶ)の一週間前となると、中国・香港・台湾などどの都市も歳末の買い出しで街中ごった返していた。

   

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台北の市場で

      

感覚としては、普段の週末の混雑のそのまた2倍という感じだろうか。

     

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台北の店先で

   

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めでたい言葉を掲げる  台北

      

一気に街のいたることころに正月の飾りつけが施され、
中華圏ではおめでたい色である朱赤色の装飾でイッパイになる。
      

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ホテルでもこのとおり  台北で

    

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香港でも

   

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下着ショップもこの時だけは赤一色・・・  上海で

   

商店ではギフト用の商品が高く積み上げられ、
増員された店員やアルバイトが声を枯らして売り込んでいる。

    

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台湾の正月用品(年貨)市場で

   
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香港の百貨店でも売り場が一変する

      

豪華に見えないギフトは売れないから
パッケージの色も派手になる

   

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日本とは明らかに色使いが違う   台湾にて
          

        
もちろん中身も重要だから、日本製の食品や飲料、酒類、健康食品も健闘しているようだ。

    

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台湾中部の高級店にて

     

この時期に大いに高額商品が売れるのだ。

   

また、飾り物や食べ物などの正月用品を中国では「年貨」と呼び、庶民はこの時とばかりに抱えきれないほど買い込む。

   

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台湾ではあちこちで「年貨大街」が設けられる

     

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正月飾りの屋台が沢山でる  台北

   

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おつまみ、キャンデー、ナッツ類も食品の年貨

  

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鮮やかな色が眩しい台湾の正月飾り

  

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カゴ一杯に買い込む  台北

  

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ポチ袋だって年貨   上海で

    

待ちに待った年一度のイベントだけに家族みな賑やかで楽しげでもあるが、日本と同様、慌しくて大変だ。

  

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コンビニでも  上海

   

師走”に類するような言葉はないのだろうか?

    

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香港の花屋で

     

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上海のホテルの装飾

     

    

バレンタインのモノ凄い購買力

中国出張の帰路、14日に香港に立ち寄った。

おりしも今夜はバレンタインデー(中国語で)。
夕刻、退勤時刻ともなると、至る所で花束を持った若い男性がひとりソワソワ彼女が現れるのを待っていたり、すでに女性が花束を受け取ったカップルがもうわんさかと街中を徘徊している光景は壮観でさえある。

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(どこを向いても花束を手にしたカップルばかり…)

そう、ここ香港では、バレンタインデーは男性が女性にプレゼントするのである。

その日の報道によると、バレンタインギフト用の生花の価格は、好景気を反映して、今年数年ぶりに前年比20%アップとなり、売り上げ見込みも30%を超えるだろうと景気のよい話題となった。

日本で見かけるようなセンスの良い花束やブーケもあるし、99本の赤いバラなんていうドラマのようなカップルも結構目に付いた。

1000~1500香港ドルという価格帯が結構売れ筋だったが、彼女の自宅に4~5000香港ドル(8万円以上!?)の花束を贈るツワモノもいるのだそうだ。ここ香港でも、日本の購買力を絶対額でも超えているのではないだろうか。

当日手にした新聞報道によると、女性が男性からもらいたいプレゼントの第一位はアクセサリーで、次いで花束、デジタル製品、ラブレターやカードの順だという。

デパートの地下食品売り場に行ってみる。

やはりチョコレート売り場に女の子たちが集まっていた。当日に買う人も結構いるのだろう。
ということは、ここ香港では義理チョコなど無縁なのかもしれない。

ビックリしたのは、精肉コーナーでステーキ用の肉に女の子たちが争うように買い求めていたことだ。
バレンタインとステーキ?どんな関係があるのだろうか。

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(女の子たちがステーキ肉に群がる!?)

ステーキ肉にもバレンタイン用のハート型のパッケージがあるくらいだ。ほかにも日本食のサーモン寿司、チラシ寿司、マンゴープリンなどにもこのような容器が使われていた。恐れ入った。

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(バレンタイン仕様の寿司パック?)

帰国した翌日、すぐに台北に行ったのだが、バレンタインにステーキを買うような習慣は台湾には無いという。

また香港では、洋食レストランや洒落たカフェテリアはご覧のとおり、カップルによる長蛇の列だった。

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それと感動したのが、青果売り場で、若い男性たちがイチゴのギフトパックを選んでいる光景だった。しかも売れているのが、一番高い福岡県産の「博多あまおう」ばかりなのだ。

隣には、アメリカ産も台湾産、韓国産も並んでいるが、とにかく博多あまおうの人気は抜群だった。ひとケース198香港ドル(約3800円)也のギフトを真剣なまなざしで青年が見比べている。愛する人のために少しでも綺麗なもの、見栄えのするものを選んでいるのがありありだ。

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(愛しい人のためなら高価なものをよく吟味して…)

博多あまおうのコーナーが頻繁に補充されるので、その売れ行きのすごさは相当なものだ。

でもこれは一日にしてその地位を獲得したのではない。福岡県は今から14年前より香港向けのイチゴの輸出をはじめ、2002年から本格的な市場開拓に取り組み、この間、数多くの挑戦と努力をしてきたのである。香港の消費者に支えられ、売り場、代理店、物流業者、産地の人たちに支えられて得た結果なのだ。

とにかく、この夜の香港は熱きカップルたちで大いに燃え上がったのである。

この日だけは、若い男性が直接購買のターゲットとなるようだが、それはあくまで彼女を喜ばせるために…。

世界の注目集まる香港で

WTO閣僚会議を13日に控えた前週、会議の舞台である香港に立ち寄った。

世界が注目する会合だけに、香港のホテルも日本からのフライトも予約が困難を極めるほどの満席状態だった。

香港の街はすでにクリスマスのデコレーションで、いまや有名になったビルの電飾も相変わらず美しい。

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(いまや名物となった香港の電飾)

年々センスが良くなっているのがわかる。セントラルの一角にもクリスマスの装飾が施され、若いカップルなどで賑わっていた。

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商業施設もすっかりクリスマスモードである。一部バーゲンも始まっており、ここ数年に比べ、明らかに景気が上向いていることが傍目にも伺える。

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(香港でもクリスマス商戦が)

私たち一行が搭乗した福岡発香港行きの便は、実は今年初めて福岡の戦略商品であるイチゴの「あまおう」の香港向け第一便が搭載された便でもあった。

このあまおうは、日本国内市場でも、最も高価で取引される「美人系」のイチゴで、一昨年は香港向けに1.4トンの輸出を実現し、昨年度は台湾向けも併せて23.5トンと、なんと一年で16.5倍に増えたのである。

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(今年香港向け第一便の福岡産「あまおう」)

今冬は、産地や試験場、現地バイヤーとの協力関係も強化され、科学的分析を通じて、輸出を意識した商品作り、包装の改善、マーケティングミックスなど新たな取り組みにも挑戦している。

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(鮮度保持のための新工夫が施されている) 

この中心的役割を担っているのが、福岡県農政部の「福岡・食の輸出促進センター」である。常に難題に取り組む情熱は並大抵のものでない。今年初めて、困難といわれる上海向けの梨の商業輸出も実現した。生産者と共に行動する姿勢は、ひとつのモデルと呼ぶにふさわしい。

福岡から香港向けの農産物は、空港に集荷された商品が朝一番で通関を済ませ、午前の便に乗せられ、香港到着後、空港からそのまま売り場に並べられるので、当日午後5時に、香港の消費者は手に取ることが出来るのである。これは、トラックで福岡から東京に運ぶより一日早いこととなり、生鮮農産物の輸出には非常に有利である。

この日も、空港到着後、早速高級デパートに並べられた。
ひとパック79.8香港ドル(約1300円)という値札がつけられたが、私の見ている前で、香港人らしきご夫人ふたパック、サッとかごに入れてくれた。

何度この光景に遭遇しても、やっぱり信じられない想いであると共に、心の中で「毎度ありがとうございます」と頭を下げていた。

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(お買い上げありがとうございます…)

3年前、自分をだますつもりで、「とよのか」イチゴを香港の店頭に並べて頂いた時のことを思い出した。
それがこんなに短期間で、これから迎えるクリスマス、旧正月、新年商戦における青果売場のメイン商品のひとつにまで成長するとは思いも寄らなかった。

事実は常に想像を超えている。
もちろんそれを実現するのは、一人ひとりの人間の信念と行動である。

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(庶民の果物屋(旺角地区)でも正品のあまおうが約1600円売られていた。驚いた)

秋のバレンタイン商戦?

香港に出張した。

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(ネイザンロードの夜景)

相変わらず最高気温32℃の蒸し暑い香港の街だったが、
外出も億劫になるような一時の暑さのピークに比べると
少しは凌(しの)げそうな気もするが、
体にこたえることは間違いない。

それでも暦の上では、9月18日(旧暦8月15日)に、はや中秋を迎える。

ということは…。

やはり思ったとおり、
大型の百貨店の地下食品売り場は、
ほとんど月餅コーナーに占拠されていた。

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イメージとしては、日本の1月末ごろから
バレンタイン商戦向けのチョコレート売り場が
食品売り場を占拠しているのと、まったく同じ。

バレンタインに全く縁のない僕がひと月間
閉口してしまうあの感じだ。

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香港や台湾、中国などでは、中秋節に月餅を贈る習慣があり
親しい友人や取引先などにプレゼントするのである。
会社がまとめて購入することもあるそうで
メーカーにとっては、一年の売り上げをここで稼ぐ大事な時期なのである。

ここ香港でも最近は、有名ブランドの缶入り定番ギフト以外にも
デザインが工夫されたり、洋風のケーキのようなもの、
アイスクリームでできたアイス月餅、
冷やして食べる「氷皮月餅」などというユニークなものまである。

まもなく開園を控えたディズニーのイラストの付いた缶に入った月餅も売れており、トピックを感じさせる。

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(台北の百貨店地下売場でも)

月餅の上に金箔がのっている程度は許されるが、
昨年、バブルの様相の中国で、
月餅の中に金貨や旅行券を入れたり、
住宅つきなど豪華景品をつけた「バブル月餅」が登場し、
景品目当てに月餅を食べないのは浪費であるとして、
中国政府は、7月に華美を規制する通知を出したという。

贈賄汚職につながったり、華美な包装材が大量のゴミを発生させたりするためだと言われている。

この時期、月餅以外にも
乾し椎茸や貝柱、ふかひれなどの高級乾貨物のギフトセット
コーナーで販売されていた。

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(椎茸や貝柱等の高級食材ギフトも良く売れる)

また、満月にちなんで、この頃出荷されるナシ
売れるようになった。
鳥取県の20世紀ナシをはじめ、
昨年からは、日本の複数の県の豊水などの赤ナシ
売られるようになり、
旧正月(春節)に次ぐ有望なギフト商戦と位置づけられている。