還暦なるも思春期の

      
今、水シリーズのドバイ編を紹介中だが、
ちょっと中断して、時事海外レポートをひとつ。

    

   
急用で数日間、中国広東省と香港を駆け足で廻ってきた。

   
     
おりしも10月1日は中国の建国記念日、

いわゆる「国慶節」である。

    

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香港の目抜き通りで

    

    
今年はちょうど建国60周年ということで、
人で言えば還暦を迎えたことになる。

  

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還暦といえば、日本のように「高度に」成熟し、
異常なほどに分別も利くが、一方でなんとなく夢や志しを持てなくなり、自己改革も進まないまま外部環境の変化にも疎くなってしまい、
もう耳でも遠くなったかのような内向き論議がお盛んである。

     
   

他方、中国は1950年代末から70年末にかけて、
内戦に近いほどのとんでもない遠回りをしてしまったため、
近代的な発展という意味では、ようやく思春期を迎えたような段階にある。

 
それを自ら「小康」状態と呼んでいる。

     
でも、世界に向けて公約した改革開放政策の初期目標をおおむね実現したことになる。

    

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去年オリンピックも無事開催し、来年は万博だ。

     

    

もっとも成長期には、体も心も異常なほどアンバランスなもの。
あちこちが歪(ひず)んでくる。

    

日本だってそうだった。

    

今でこそ、平穏・均一・清潔な先進社会にいるような気分だが、
五輪と万博の狭間の1960年代末後半に国内はどういう状況であったか思い起こしてみるといい。

   

1960年代の出来事
http://ja.wikipedia.org/wiki/1960%E5%B9%B4%E4%BB%A3

    

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今、CO2削減だ、高度民主化だ、などと新興国に求めるが、
自分たちも長年のプロセスで築いてきた価値観をそのまま押し付けてもなかなか事は進まないだろう。

      

僕らだってつい20年くらい前はバブル一直線で豊かさを追い求め、欧米先進国の人権や環境意識、動物愛護精神、循環型農業などを垣間見て、ただただよその国のことと感じていたような気がするのだが、自分だけだろうか?

    

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長い間、英国の影響を受けてきた香港

        
         

だからといって思春期の若者には、
周囲の理解と冷静・適切な対応が必要なことはいうまでもない。

   

     
興奮してまともにガチンコで対峙しても
きっとよい結果は生まれないだろう。

   

   
今、世界では皮肉にも米欧日に替わる新たな元気のよい
若者を探している
のも事実。

    

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翌日の香港の大陸系新聞「大公報」の一面

    
    

天安門前の壮大な軍事パレードを中国国営テレビのライブ中継で観ても、国力の誇示、威信の発揚、統率感などを全面に感じ、
リーゼントに革ジャンの若者がバイクを空ぶかししている感もないわけではないが、
    
僕も小学生くらいの頃から数えて約40年近く注目してきたこの国の経緯を見つつ、今後も時間経過という軸を据えて、冷静に、大局的に注目していきたい。

    

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世界を視野に「中国は世界に貢献できる」と自信をのぞかせる

    
     

      

本音を言おう。

   
   
還暦を迎えたこの国の今後を心配する向きもある。

さらにそのお隣の国もそうだ。

     

しかし、僕は「成熟しきった」わが祖国の行く末の方が、
何倍も何十倍も心配である。

     

     
今こそ、明るくいこう、ニッポンらしくいこう!!

    
   
   
分別の利いた大人たちが目をしかめるほどの非常識行動派の人々、若者、女性、シルバーの突破力こそが日本の宝だ、
と僕は思う。

    
           

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田中 豊

地域の元気づくりと海外ビジネスを通じて、日本を元気にしたい行動派プロデューサーです。 海外ビジネスの参謀役として長年活動してきました。 とりわけ農林水産業を振興にすることで地域が元気になることを現場の生産者、支援者の皆さんと共に日々実践していることをとても誇りに感じています。 「地域を活かし、そしてつなぐこと」をスローガンに訴え、いつの時でもチャンス(chance)ととらえ、絶えずチャレンジ(challenge)し、チェンジ(change)を果たしていくことの「三つのC」をモットーにしています。

“還暦なるも思春期の” への6件の返信

  1. 「還暦」というタイトルだったので「そんなになられたのかなあ」と勘違いしてしまいました(笑)。それにしても40年ちかい付き合いとはすごいです。そして確かに心配なのは日本の方というのは賛成です。

  2. 先日金美齢さんの講演会に行ってきました。
    「メイドインジャパン」への回帰
    ということをさかんにおっしゃっていました。
    日本製品を買うこと。
    そしてそれらを大事に使うこと・・・
    日本がこれまで大切にしてきた精神を大事にしていうこと。。。
    台湾で「日本精神」とは、最高の褒め言葉とか。
    今、若い人の中に日本回帰の動きが生まれつつあります。

  3. luckymentaiさん コメントありがとうございます。僕はまだまだ還暦じゃないんですが、実は先月、ある初対面の人に「あなたは60歳くらいかと思っていた」と言われ大ショックで、翌日まで後を引いていました(笑えない)。これからアンチエイジングに励まねば。ラツさんのようにいつも若々しくいられるノウハウを教えてください。僕は日本の将来には「楽観的に」心配しているんですが、ラツさんの先日のブログ記事を読んで、日本人の自国に対する誇りや自信が世界で最低ランクだったという事実にはショックを受けました。ラツさんご指摘のとおり程度問題ですが、やはりもっと必要ですよね。

  4. inoさん コメントありがとうございます。誤解を恐れずに言うと、僕にはもうひとつの本音があります。今回の記事では建国60周年のトピックを紹介するために、中国と日本という「国」を引き合いに出しましたが、今後、日本とか中国とか台湾とか、いわゆる国家、イデオロギー、政府とかいう垣根はさらに意味の薄いものになっていくんじゃないだろうかと考えています(グローバル化とは少し違います)。もちろんそれに代わるものが民族だとか精神とか、文化などではないかとも思います。人が地図の上で引いた線ではなく、可視的ではないもっと本質的なものでしょうか。自らを誇りに思えば思うほど、異文化や異質なものに対する対峙の仕方を進化できる人間になりたいと志しています。これからの私たちは、地域人・地方人として、そしてニッポン人としての基本に加え、アジア人、地球人として相応しい生き方も求められる気がしていますが如何でしょうか?

  5. ”「成熟しきった」わが祖国の行く末の方が、何倍も何十倍も心配である。”
    同意です。
    ただ、日常 異国の地に住み おまけに家族や身内も当地の人々なので、どこか祖国のことであっても、他人事みたいなところがあります。
    とはいえ、心の奥底では フツフツと”何とかせんといかんやろう~」と言う気持ちは強いです。
    どうなって行くのか この先 ニッポンは、、、。

  6. Y社長さん コメントありがとうございます。ご指摘のとおりです。日本の中にいると見えない「大きなもの」があるんでしょうね。Yさんのように、海外からわが国を見ておられると様々な姿が映ってくるでしょう。お魚さんには水の姿は分かりませんが、飛魚さんが空を跳ねると海の様子が見えるかのような。ちょっと違うか…。でも宇宙旅行する人が増えるともっと価値観変わるかも。だから僕もバーチャルで宇宙遊泳していることをイメージしながら先見力を養っているつもりです。でもやっぱり確かに僕も、ずっとフツフツと言う気持ちは強いです。
     また、先回カンボジア・トンレサップ湖の生活の一端をブログで紹介しましたが、日本が、経済成長、国家間競争という20世紀型の価値観を変えて、「先進国として」自然環境と共に、まさに自然体の心で生きていくという新たな価値観創造の先頭を切り開いていける可能性も含んで、あの“水に暮らす”人々を紹介したつもりなんです。
    Yさんに改めて、インドシナ的な、南洋的な、人としての生き方の素晴らしさ、優位性についても私に教えていただけないかと強く願っています。

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