(前回から続き)
ホテルのマネージャーに案内された屋外プールの眼下に広がる独立記念日カウントダウンの会場を見下ろすと、なんともおびただしい数の群集がいつの間にかぎっしりと埋め尽くしているではないか。
もう何万人なのか何十万人なのか判らない。
とにかく180度・視界は無数の大群集だ。
信じられない!
先程まで命の危険すら感じていた現場に比べて、
いま僕が立っている所は、隣でシャンペングラスなどを傾けるような会員制のVIP屋外ラウンジなのである。まるで天上界の穏やかさ。
なんだか子供の頃に読んだ孫悟空の中に登場するお釈迦様が下界を見下ろすあのイメージと同じ感覚なのだ。
ウ~~ン 複雑な心境!!
会場のあちこちに巨大モニターが設置されていて、別の屋内会場の巨大イベントの模様を映し出している。
ちょうど年末の紅白歌合戦のような国民的カリスマ番組のようで、人気アーティストが登場するたびに歓声が沸き起こる。
なんだか、だんだんトランス状態になってきたゾ。
興奮状態が最高潮に達した午前零時を迎える時、
会場全体から
「ティガ(3)! ドゥア(2)! サトゥ(1)!!!」と
カウントダウンの大合唱が起こり、一斉に歓喜に包まれた。
その場の空気が震えるくらいの大歓声が沸き起こり
爆竹の音やロケット花火の発射音が起こるたびに、
ワァ~ッという叫び声があちこちで発生する。
こんな体験初めてだ。
そのうち、何万人が合わせたかのように
マレーシア国歌を大合唱を始めた。
Negaraku, tanah tumpahnya darahku,・・・・
誰もが一度は聞いたことがありそうな覚え易い旋律の曲だが、
これだけ圧倒されるほどの国歌斉唱を聞くと
人様の国の国歌でありながら
ジ~ンと涙があふれ出てきそうに感動した。
そうなんだ。アジアの大半の国は抑圧から解放されて独立を勝ち取った国なのだ。
その実感を若い彼らも受け継いでいるのかもしれない。
しばらくすると、メインイベントの打ち上げ花火が何十発と大輪の花を咲かせ、爆音と共に群集の歓喜の声とが渾然一体となった。
三脚なしの花火撮影は無謀とわかりながら・・・
まったく偶然にすごい場所で、すごい体験をした。
花火の終了と共に、興奮に包まれたカウントダウンイベントも終了した。
やはり地上界で生きてる僕も、もう一度会場の人ごみの中に飛び込んでいった。
観衆は大挙して帰路に着くのだが、いつまでも人の波が続き
何処からこんなに湧いてくるのかと、延々とそれが途切れることが無かった。
イエ~ぃ!!
終了してから一時間を過ぎても、若い人たちは余韻を楽しむかのようにその場を離れようとしなかった。
宴(うたげ)の後・・・
マレーシアに栄光あれ!!
田中 豊
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すごいですね。こんな体験が出来るのも海外を飛び回って仕事をされているからこそですね。
それにしてもマレーシアの人々の心の内から湧き出るような愛国心を垣間見たような気がします。
マレーシアは回教国でもあってテロもないのですばらしい国ですね。
luckymwntaiさん コメントありがとうございます。
まさに、9/11の5周年に際し、アジアイスラム社会の一端に触れることが出来て貴重な経験だったと思います。多様な社会・文化が共生していることを認識したいと思います。