夕刻、小樽から札幌に戻り、再度仕事して一服、
「面白いものを見に行きましょうか」
という誘いを受けて、夜「すすきの」に繰り出した。
どんなものに出会うのだろうか?
期待を胸に、夜の歓楽街に向かった。
そこは、北海道ビギナーの定番「札幌ラーメン横丁」。
細い路地に何軒ものラーメン店が軒を並べている。
狭いその横丁に足を踏み入れた途端、アッと驚いた。
どの店も中国人の観光客でぎっしりと込み合っているではないか!
もう占拠されているという感じだ。
路地にもガイドブックを持ったいくつもの女の子たちのグループが、どの店がいいか迷っている。
耳に入ってくる言葉は、広東語、北京語、台湾語、上海語と勢ぞろいだ。
店の中もぎっしり一杯で、
ワイワイガヤガヤ香港の飲茶楼と同じくいつものとおりの喧騒ぶり。
日本人のカップルが
「なんだこれは!?」
と目を白黒させながら、首をすくめて麺をすすっている。
店の前には
「香港の**旅行社と提携」「雑誌クーポン使えます」など
中国語で書いてある。
韓国語だって・・・
一体、ここはどこなんだ!?
札幌に中華街なんてあったっけ!?
もっともこういう現象は時間帯や季節にもよるそうだが、
ちょうど旧正月シーズン終盤にもかかっていて、
なおさら凄かったみたいだ。
どこにもお調子者は居る・・・
おそるべし、アジアンパワー。
そのあと狸小路という大きな商店街を歩いていたら、
果物屋さんが遅くまで店を開けていた。
そのうち香港人らしきカップルがやってきて
一目散にイチゴの前に来て品定め。
二人でパックを手に取りながら、あれがいいこれがいい。
安いねッ! と広東語で感嘆の声。
あっと言う間に4パックもお買い上げ。
ニコニコしながら去っていった。
後からのぞいて見てみると、そのお店で売っていたのは
福岡産の「あまおう」と仙台産「とちおとめ」だった・・・。
そう、北海道ではあまりイチゴは生産されていないはず。
彼らにとっては、日本に来たら本場のイチゴが食べたかった、ということなのだろう。
産地がどこかなんて、こだわる必要は無い。
考えてみれば、タラバガニだって、ジンギスカンだって、素材の産地は僕もよく知らないけれど札幌の味、日本の味ですもんね。
香港でも今や、高いけど「あまおう」はあちこちで売ってます。
間違いなく香港で買うより安いのだけども、産地から届いた時間は、札幌より香港の方が早い可能性が大なのですよッ!!
このカップルは香港で一度は日本のイチゴを食べたことがあるのではないだろうか? など余計な想像を膨らませてしまう。
お店の人に聞くと、甘柿もよく売れるのだそうだ。
「札幌でもお買い上げ、誠にありがとうございますッ。」
僕は心の中で、そうつぶやいた・・・。
田中 豊
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すごいですね、ススキノもアジアパワーに席巻されていますね。博多も同じですが、観光そのものが売れることはいいことですよね。それに「あまおう」が北海道で売れているなんて嬉しいですね。
luckymentaiさん コメントありがとうございます。僕はこんな光景を見てビックリしたんですが、現場では結構普通にしていました。日常なんでしょうか。東京・大阪より国際的!?お金が世界を駆け巡っているように、人もモノも駆け回り始めていますね。私は今から海外に出張です。またレポートします。