上海市人民政府(市役所)の福祉政策主管部門を訪ねた。
珍しく上海で晴天に出会った
今後の日中間の福祉分野での協力関係について情報交換、意見交換を行なった。
政府担当者の話によると、05年の上海市の60歳以上の高齢者の割合は約20%弱だという。
早朝の公園にて
日本の統計は65歳以上だから単純比較できないが、上海の高齢者比率は決して小さくない。
今後、2020年までに35%くらいまで増加していくと予測されている。
上海ではもう少子高齢化は始まっているのだ。
もっとも、上海では長期にわたる好景気で、若い人を中心とする流入人口が小さくないし、中心市街地だけを見れば活気ある若者の街という印象を持つのだが、実際の戸籍で政策を運営する政府にとっては、次第に頭の痛い問題になってくるだろう。
紙には「怒るな、機嫌よく」と書いてある
現に、今の第11次五カ年計画では、経済過熱、環境汚染が克服すべき問題に据えられているが、次の五カ年計画では、間違いなく人口バランス、高齢化問題も取り上げられるはずだ。
それでも数年前、一部緩和された一人っ子政策も、最近維持強化の方向へ向かっているといわれるし、経済的理由、生活の豊かさを求めて、日本のように晩婚化、非婚化、望んだ少子化やノーキッズなどの状況が上海でもすすんでいるから、5年後10年後はやはり懸念されるテーマである。
老人と子供
近い将来、中国で少子化が顕著になる時は、どんな事が起こるのだろうか?
上海市政府も高齢者福祉、障害者福祉、保険制度ほか少子高齢化に向けた対応について、今から対応を進めている。
情報交換・政策交流の面でも“少子高齢化先進国 ― 日本”への期待は大きい。
ビジネスチャンスかも・・・。
また、「ニッポンを売る!」視点で観ると、対象国・対象地域の社会問題についても情報を収集しておくことは重要だ。
すでに台湾をはじめ東南アジアなど主要地域・都市の社会事情についても様々な特徴が見えてきている。
上海の路上にて
例えば、
今、日本食品を支持している年代や階層はどうなっているのか?
また10年後はどのように変化していくのだろうか?
など、思考を縦・横・時系列に広げていく事が求められる。
日本商品輸出の長期戦略を練る上でも、単なる実践マーケティング活動だけでなく、いろいろな「切り口」で捉えていく事が大切ではなかろうか。
新旧の建物のコントラスト
まさか、将来中国は、石油・食糧のように世界中から移民、労働者の大量輸入を始める時代がやってくるなんて考えるのは早計だろうな。
しかし、エンジニアや優秀な経営者など高度人材は、もうドンドン世界中から引き寄せている。
上海カニ料理の名店 -王宝和酒家
好き嫌いを越えて、海外事情に対して冷静に見ておくことが重要だ。
田中 豊
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