(先回から続く)
車でダラットの郊外へ出ると、
一面、水平線を引いたかのようなフラットな山の稜線が360度に広がっている。
そう、ここは広大な高原であることが分かる。
360度の地平線なら中国東北部でも見たことがあるが、
ここは海抜1500メートルの高地。
おそらく一生忘れられないだろう・・・
こんな光景いままで観たことがない。
そして、いたるところで高冷地野菜を栽培している。
一日の作業を終え家路につくダラットの農民の表情に屈託はない
これだけの規模と内容の生産は最近のことなのだろうか?
それとも南ベトナムになってから?
それとももっと前のフランス領インドシナの時から?
広がる棚田にアッと息を飲む
いずれにしても長い戦火の中をくぐり抜け、
高いレベルの品種や生産、流通・物流、そして販路をこれまで築きあげてきたのだ。
ベトナムの底ぢからはスゴイ。
雪が積もったかのようなハウスの群れ
ダラットでは実に多くのことを考えさせられた。
「日本の農業には、まだまだ先がある。ゴールではない」
広がる山の稜線の向こうに新たな希望と目標が見えてきたような気がする。
ホテルに戻ると、レストランのシェフが僕だけのために、一杯だての「フォー(ベトナムうどん)」を作ってくれた。
本場ハノイで食べたものとも、慣れ親しんだホーチミンの味とも違う、どこか洋風の、いやきっと、まだ僕が知らぬフランス風の洒落た味なのだ。
野菜がタップリだ
アジア各地には、実に多くの歴史の遺産が刻まれていることを舌の上でも体験した。
こんなに美味しい野菜サラダは初めてだった。
甘くて奥深い香りのする野菜の滋味に心の底から感動ッ。
あなたは生派? それとも揚げ派?
僕は断然揚げ派。 そう、ベトナム春巻きのこと。
揚げ春巻き(チャー・ヨー)は、
ヌクマム(魚醤)やライムの絞り汁をつけていただく。
パリッとしてとてもジューシーだった。
クレソンのスープは格別 !! こんな食べ方あったんだ
ホーチミンより美味しく感じられたダラットのフランスパン。
外はほどよくパリッと、中はとてもしっとりしている。
食事時も、あんまりパンが美味しくておなか一杯になり、メインディッシュが食べられなくなることは日本でもたまにあるが、ダラットではそのことを後悔しないくらい旨いのダ!
とても甘くて果汁が滴り落ちるダラットのランブータンは最高!
これまで台湾、香港、シンガポール、タイ、マレーシアなどで食べたけれど、こんなに美味しいものに出会ったのは初めてだったヨ。
ダラットでは、「ア・ティ・ソ」というお茶も飲まれる。
アンティチョークや朝鮮アザミと呼ばれる花や葉を乾燥させたもので、ほんのり甘いホットドリンクだ。
ダラット名産のワイン。
決してしつこくないベトナム料理にとても良く合う。
まさに天上の楽園で至福の時を過ごすことが出来た。
決して近代的なサービスではないのに
とても洗練されていて、心地よい時間と空間を体験させてくれた。
アジアンリゾートの原点が残されているのかもしれない。
田中 豊
最新記事 by 田中 豊 (全て見る)
- 人生で一番高いところに登った日(その3) - 2021年2月10日
- 人生で一番高いところに登った日(その2) - 2021年2月5日
- 人生で一番高いところに登った日(その1) - 2021年2月1日