地球最大の農商工連携(その2)

(前回から続く)

   
続いて、サトウキビ由来のバイオエタノールの製造プラントを視察した。

    
Dsc_9290

  
Dsc_0045

   

需要の急増で設備更新もすすむ工場施設の詳細画像はアップしないのがマナー。

  
ゴメンナサイ。

   
Dsc_9983

   

とにかく広大な丘陵地帯に突然現れた巨大秘密基地のような壮観な施設に終始圧倒され続けた。 

   

しばらくの間、そのあまりの巨大さにあっけに取られていた。
    

    
Dsc_9962
サトウキビ原料をプラントに運び込む大型トレーラーもこの通り渋滞

     

    

この工場では、直接エタノールを生産するのではなく、まず食品用原糖を製造して、その後蒸留にかけて工業用と燃料用エタノールを精製するのだが、副産物として排出される搾りかすは、発電用燃料としてボイラーでたかれ、工場の自家発電はもちろんの事、系統にも売電されている。

    
また、上澄み液や廃液はそのまま有機肥料として再度畑に散布されるなど、徹底的に循環型リサイクルシステムの完結に取り組んでいる。
    

   
Dsc_0027
搾りかすは発電用の燃料となる

   

Dsc_9873
発酵上澄み液は、有機肥料として大地に還される。
とってもダイナミックな光景

   

    

生産されたエタノールは、国内はもとより、専用バースを通じて日本を含む世界中に輸出されている。

    
    

Dsc_9309

    

     

   
これは地球最大の農商工連携だッ!!

    
    
思わず心の中で叫んでしまった。

   

    Dsc_9973   

     
     

有限な化石燃料ではなく、再生産が可能な植物由来のエネルギーだ。
    

製造過程におけるCO2の発生も極力抑える努力をしている。

    

      Dsc_9406
    視察の時に支給された安全ヘルメットとゴーグル

     

     
よく報道で、ブラジルはアマゾンの原生林を伐採してエタノール用のサトウキビを植えまくっているとの批判めいたものがある。

   

「割り箸は森林資源を破壊するから一律にダメ」式のレベルの類だろうか。

          

       
  
もとより高温多湿に弱く、特に冬場の降雨に弱いサトウキビ栽培は熱帯雨林地帯には適さない。ブラジルではほとんどが、この南東部に栽培が集中しているそうだ。

      

Dsc_9529
このような土地を好むサトウキビ

   
   

また耕作可能地で、未利用の土地が日本の8倍の面積もある

       

現に、この数年もブラジルは食糧用穀物の生産量は減少していないという(直接未確認)。

     

     
他国の事情は別として、ブラジルの現場の声にも冷静に耳を傾ける必要があろう。    

(ただし事実の根拠や見解にはいろいろあるのでここでは断定しない)

     

     

現在、ブラジル国内で販売される自動車用のガソリンにはすべて25%のエタノールを混入させることが法律で義務付けられているほどの徹底振りである。

   
Dsc_0170
右の価格のガソリンにもエタノールが混合されているはず

    

またエタノールが0%から100%の任意の混合率でも走れるフレックス車も急速に普及しており、資源大国であり、同時に環境大国としても着実に歩みだしている。

    
   
Dsc_0159

     
   

後ほど行く、イグアス国立自然保護区でも自然環境をそのまま手をつけずに守る徹底ぶりは目を見張るものがあり、
     
   
もしかしたら

    
10年後の環境共生社会をイメージしたければブラジルを見よ!

   
とも言えるのではないか。

                             (連載終わり)

      
     

The following two tabs change content below.

田中 豊

地域の元気づくりと海外ビジネスを通じて、日本を元気にしたい行動派プロデューサーです。 海外ビジネスの参謀役として長年活動してきました。 とりわけ農林水産業を振興にすることで地域が元気になることを現場の生産者、支援者の皆さんと共に日々実践していることをとても誇りに感じています。 「地域を活かし、そしてつなぐこと」をスローガンに訴え、いつの時でもチャンス(chance)ととらえ、絶えずチャレンジ(challenge)し、チェンジ(change)を果たしていくことの「三つのC」をモットーにしています。