今年に入って5回台湾に行っているから、
毎月1回のペースということになる。
さかのぼること、1月に今年初めて台湾に行ったときのこと。
空港に降り立った後、いつものとおりパスポートのチェックを済ませ
入国管理(イミグレーション)を過ぎた直後、
なんと言うことのない一枚の看板を見つけて
僕はアッと息を飲み込んだ。
ああああああああああああああああっ!!
同行の日本人の方が不思議そうに僕の驚いた顔を見つめる。
「一体どうしたんですかァ??」
そう、中国の民間航空会社の広告だ。
台湾の民用空港に大陸の航空会社の看板が掛かっている。
一昔前のことを知っている人には信じられない驚愕の事実。
そう、昨年3月国民党の馬英九氏が総統選を制し、
8年ぶりに政権交代が実現した結果、
12月に大三通が実現したのであった。
大三通とは、それまで断絶されていた台湾本島と中国大陸との間の通信、通商、通航の3つの分野での直接往来が解禁になったのだ。
(一部金門島などの離島との直接交流は2000年に解禁されていて、
これを小三通と呼ぶのに対して「大三通」と呼んでいる)
1949年以来の断絶からだから、長年の案件となっていたのである。
空き室、貸家も目立つ台北の繁華街
大陸との経済交流復活に期待を寄せる・・・
私が最初に台湾を訪問したのが1980年だったが、
その頃はまだ台湾は戒厳令下で一触即発の可能性も残っていて、
中国へ渡航するのにパスポートに台湾の入国スタンプが押してあると、中国側では入国を拒否されるとの理由から、当時は特別に
別途、一次パスポートを取り直してから、そこに台湾のスタンプを押してもらっていたくらいである。
また、香港経由で中国大陸の人が台北の空港に降り立っただけで(降機しなくても!)、中国では大問題になり政治犯になってしまうというので、とても気を遣った記憶もある。
この日も台北の街はバイクであふれ返っていた
そのくらい、つい最近まで大陸と台湾との間は緊張していたのに、
あっという間に交流解禁となったのだ。
だからこの空港での一枚の看板の意味するところは、
知っている人にとってはとても衝撃的な出来事なのだ。
相変わらず寿司の人気は変わらない・・・
海外では、予想外のことやかつての常識だったことだって
ドラスティックに変わり得ることをまたひとつ体験した。
静かに変わる日本とは様相が大きく違うことをまた学んだのだった。
台湾は本当に軌道修正をしたのだろうか?
田中 豊
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