普段の生活において、水と空気というものは不可欠なものであるにもかかわらず、その存在を意識することは滅多にない。
今回これまで、本ブログでは「水」をテーマに
毎回エントリを綴(つづ)ってきた。
その水というものに注目するために、
日本や台湾のゲリラ豪雨、アルゼンチンのラ・プラタ川、
カンボジアのトンレサップ湖での見聞を紹介した。
どれもすべて巨大、強大、偉大な存在としての水だったわけだが、一方で、まったく「乏しい」という視点から、逆説的にその存在を意識したのが、中東のドバイを今年訪れたときの砂漠体験を挙げてみたい。
ドバイ市内で(車中撮)
UAE(アラブ首長国連邦)の数ある首長国のひとつである
ドバイ首長国の首都ドバイ市は、人口約140万人くらいであり、
日本で言えば福岡市とほぼ同じ規模の都市である。
インターネットから抜粋
1980年頃、人口30万人にも満たなかったこの街が、
21世紀に入り、中東における金融・商業・物流・貿易の拠点都市
として急成長し、世界中の注目を集めることとなった。
読者の皆さんもよくご存知のことだろう。
報道や雑誌などを通じて観るドバイの街は、
まさに中東の地に花開いた国際的コスモポリタン都市。
現地に足を踏み入れても、まさにそのイメージどおり。
香港やシンガポールも真っ青の近代的ビル群や整備された
都市インフラを眼前にして、ホントにフラフラ、クラクラきた。
早朝、ラッシュ前に独りでタクシーを乗りまわして徘徊する
でも、香港・シンガポールと同じく海に面してはいるものの、
樹木あふれるグリーンシティーという訳ではなく、
一歩郊外から視線を引いてみるとご覧のとおりの
白砂のじゅうたんが広がっている。
文字通り、砂上に忽然と現れた現代の楼閣群である。
大砂原の向こうにそびえるのは、建設中のブルジュ・ドバイ(ドバイタワー)。
2007年7月に台北101ビルを越えて現在世界一(818m.)。
そのあまりの凄さに、僕はもう声が出なかった。
砂の層となると、凄い基礎工事になるんだろうな
砂埃?それとも砂嵐のあと?
まるで月面のよう
一歩郊外に出ると、そこには360度地平線の彼方まで広がる砂漠と
一本の道路、そしてそれに沿うように走る巨大な送電線だけである。
おいおい ここドバイでは、ラクダさんが現代のらくだに乗っかってるぜ!
もし、こんなところでエンストしたとしたら・・・。
本能的にすぐに脳裏によぎったのが、
ガソリンではなくやはり水だった。
そのとき手にしていた飲みかけのミネラルウオーターのボトルを
ぎゅっと握って、つい、その存在を確かめてしまう・・・。
オイル用?それとも水道管? ここではどちらもライフライン(生命線)
普段当たり前のように使っていた水のことを
強く意識した瞬間だった。
(次回に続く)
田中 豊
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